「社会貢献性」という言葉はよく使われますが、特に病院関係者は社会貢献性を理由に就職する人が多いです。

病院という場所は人の命に関わる場所ですから、社会貢献度が高い場所と言えるのは間違いありません。

もちろんこれは良いことなのですが、社会貢献ができるということを理由に就職してしまった人が、それが足かせとなって自分自身を苦しめてしまうことがあります。

一体どういうことなのでしょうか?

今回は、病院関係者が陥りがちな社会貢献性のワナについてお伝えしていきます。

社会貢献性を理由に就職すると辞められなくなるのはナゼ?

社会貢献をしたいという理由は、就職理由としては周囲からも尊敬され、自分自身も胸を張って言えることでしょう。

しかし、それだけを理由に就職してしまうと、実際の仕事の大変さや人間関係の辛さに直面したとき、どうしても辛くなってしまっても辞められないというジレンマに陥ることになります。

一体なぜなのでしょうか?

社会貢献をしなくなるという後ろめたさに耐えられないから

その一つに「社会貢献性を捨てることに対する自己嫌悪」があります。

つまり、「辞めて社会貢献ができなくなる自分ってサイテー」ということです。

病院という場所を去ることに対してどこか後ろめたさを感じてしまうため、それが足かせになって辞めることができないのです。

世の中には病気で辛い思いをしている人がいるのに、仕事が嫌でこの場を離れることを考えている自分は何て小さな人間なのだ、と思ってしまうのです。

ひどい場合は上司から言われることもある

仕事が辛くて辞めたいと考えて上司に相談すると、病院関係の仕事では「世の中には困っている人がいるのに仕事を投げ出すのか?」と社会貢献性を盾に自分自身を否定されるような発言をされることがあります。

辞めたい理由がなんであれ、このようなことを言うのは間違っていますが、実際にこのような引き留め方をする上司というものは存在します。

確かに仕事で辛いことがあっても、「人の役に立ちたい」という想いがそれを打ち消し、社会貢献できる喜びが勝ることはあります。

しかし、「本当に辛くて辞めたい」というぎりぎりの状態にまでになった人に対し使われると、その人を追いつめてしまうことにもなりかねないのです。

病院関係の仕事は家族から止められることもある

病院関係の仕事をしているということは、その本人だけでなく家族にとっても「誇り」です。

「人の役に立つ仕事をしている自分の家族って偉い」という風に、仕事としてのランクが高いと思うこともあります。

周りにも自慢できることでしょう。

「私の子供は病院で働いている(人の役に立っている)んですよ。」という風に。

そうなると、仕事が辛くて辞めたいときに家族に相談しても「どうしてそんな素晴らしい仕事を手放すのだ?」止められることになります。

例え家族であっても、本人がどれだけ辛い状況で、なぜ辞めたいのかを考えることができるのは、本人がうつ病などになった後だったりするということはよくあることなのです。

辞めたくても辞められないとどうなる?

では、社会貢献性を理由に辞めたくても辞められないとどうなっていくのでしょうか?

逃げ場がなくなり追いつめられる

辞めることができない、辞めないで続けるべき、という強い思いは自分自身を苦しめることになります。

どんなに仕事が辛くても、我慢してこの仕事を続けなくてはいけないのだという強迫観念を持つようになってしまいます。

追いつめられるとうつ病になることもある

病院関係者は人の命を救ったり、治療をしたりする仕事に携わりますが、仕事をする本人も一人の人間であることに変わりはありません。

長時間労働が続けば他の業界で働く人と同じように体を壊しますし、精神的に負担がかかりすぎることによってうつ病になることだってあります。

正常な判断ができなくなる

精神的に追いつめられた人は、普通に考えれば分かることができなくなるなど正常な判断ができなくなります。

正常な判断とは、例えば「どうしても仕事が辛いときに自殺するぐらいなら辞めた方がよっぽど良い」というような判断も含みます。

過労自殺する人たちの周りは「なぜ死を選んだのか、それなら辞めれば良かったのではないか」と思うかもしれませんが、すでにその正常な判断ができない状態に追い込まれていたということです。

社会貢献性を理由に辞められないと感じたら思い出してほしいこと

病院関係者が社会貢献性を理由に辞められないと感じたら思い出してほしいことがあります。どんなことでしょうか?

自分を保つことができなければ社会貢献はできない

人の役に立つのは自分のことができてから、ということは誰もが当たり前だと思うかもしれません。

しかし、社会貢献性のワナにはまった人にはこの当たり前に気づくことが難しいのです。

自分自身を保つことができない、自分の体がボロボロで精神的にも追い込まれているのであれば、社会貢献ができる状態ではありません。

まずは自分自身が幸せに、生き生きと生活することを第一に考えましょう。

文句を言いながら嫌々やっているボランティアの人に手助けをされて、一体どれほどの人が「嬉しい、ありがとう」と心から思うでしょうか。

自分を保つことがいずれ世のため人のためになるのです。

本当に社会貢献したいのか考えてみる

世の中には本当に社会貢献のために働いている人たちがいます。

それは本当に素晴らしいことですが、それだけが素晴らしい生き方ではありません。

自分自身は本当に社会貢献したいのかを考えてみましょう。

もしかすると、人に言いやすい、人格が優れていると思われる、という考えがどこかにありませんか?

また、自分を好きになれないということを、社会貢献で埋めようとしていませんか?

社会貢献をしているから自分が好きなのではなく、自分が好きが大前提にあるべきです。

順番を守ろう

社会貢献をするには、前述したようにまずは自分です。

そこから大切な家族のため、社会のためへと広げていくという順番があります。

その余裕ができてから社会貢献をするのであれば、きっと素晴らしい貢献ができることでしょう。

自分も家族も、社会も、皆が幸せになれるということです。

「社会貢献しなくては」から解放されたら転職しよう

社会貢献をしなくてはいけないという気持ちから解放され、辞める覚悟ができたら転職に向けて動きだしましょう。

転職活動には様々な方法がありますが、おすすめは転職エージェントを利用することです。

転職エージェントには優良な求人が多数掲載されていますから、希望の条件に合った求人がきっと見つかります。

最後に

いかがでしたか?今回は、病院関係者がはまりやすい社会貢献性のワナについてお伝えしてきました。

社会貢献性という言葉は響きが良いですが、自分自身をおざなりにしては叶えることはできません。

仕事が辛くて辞めたい、そう感じたら、自分を大切にして「辞める」という選択を取ることも必要なことなのだと覚えておきましょう。