面接でよくある質問の一つに「あなたにとっての仕事とは?」という質問があります。

知識を問うような明確な正解がある質問ではなく、その場ですぐに答えられるものではないでしょう。

また、人によって異なる価値観を問う質問に対してどのように答えるのが正解なのか、考えれば考えるほど迷宮入りしてしまうという人も少なくありません。

この質問に対しての答えを探すためには、質問に隠されている面接官の意図を知る必要があります。

そこで今回は、仕事の価値観を問う質問の意図と、答え方のポイントについてご紹介していきます。

「あなたにとっての仕事とは?」という質問で面接官は何を知りたいのか

経験が重視される転職組に対してこの質問をすることに、一体何の意味があるのかと思う人もいるかもしれませんが、質問には必ず面接官の意図があります。

この質問で面接官は応募者について何を知ることができるのでしょうか?

仕事に対しての価値観が企業の方向性と一致しているか

「あなたにとっての仕事とは?」とは、その言葉通り、仕事に対しての価値観を知るための質問です。

ではなぜ応募者の仕事の価値観を知る必要があるのかというと、「私たちと同じ価値観、方向性を持っている人を採用したい。」という企業の意図があるからです。

退職理由として「会社の方針と自分の仕事に対する考え方が合わなかったから。」と述べる人は多いです。

このような理由で辞める可能性がある人は最初から採用したくない、同じ方向を向いている人と働きたいと考えるのはごく自然なことなのです。

仕事への熱意を確かめたいという想いがある

仕事への価値観を知りたいと同時に、仕事に対してのやる気、熱意を確認したいという想いもあります。

当然ですが、やる気を持って仕事に取り組んでくれる人の方が吸収力が高く仕事もどんどんできるようになるでしょうし、周りの職員たちにも良い影響を与えます。

企業側はやる気があって貢献度が高い人を求めているのです。

「あなたは仕事に対してやる気がありますか?」という質問であれば全員がYESと答えるでしょうが、「あなたにとっての仕事とは?」という質問に対して、仕事への熱意を表現できる人はそう多くはありません。

仕事への価値観とやる気を同時に伝えらえるようになれば完璧です。

自分の価値観を掘り下げて考えているか

この質問は価値観という漠然としたものを問うものですから、しっかりと自分自身について掘り下げて考えておかなくては答えることができません。

何が正解ということはありませんが、自分なりの答えを導きだしておく必要があるのです。

特に転職は、仕事という人生の中で大きな時間を費やすものが変わるという一大イベントです。

この人生の節目に自分自身と向き合わず、真剣に考えるという作業を怠っているようでは、何も考えずに生きている人という風に思われてしまうことになります。

自分の頭を使い考えて、自分なりの答えを用意することは、仕事上でも求められる大切な要素なのだということを忘れてはなりません。

仕事への価値観を問われたときの答え方のポイント

質問の意図を理解した上で、答えるときにはどんなことに気を付けて答えれば良いのでしょうか?

そのポイントをご紹介していきます。

経済的な理由だけを挙げるのは避けるべき

「生活をするため」「お金のため」という理由は決して間違っていませんが、確実に内定を勝ち取るためにはそれだけを理由にするのは避けるべきです。

もちろん企業の採用担当者によっては「お金のために働いている人の方が嫌なことがあっても簡単に辞めないから良い。」と考える人もいます。

しかし、前述したようにこの質問の意図を考えると、それだけでは仕事への熱意が薄いと思われてしまったり、露骨すぎて悪い印象を与えてしまうこともあります。

そもそもお金のために働くのは大前提で、それ以外の価値観を確かめたいという場合もあるのです。

お金のためなどの経済的な理由を述べるのであれば、それだけではなく、仕事そのものへの価値観につながる答えをプラスして加えるようにしましょう。

人生哲学や漠然とした回答はNG

「仕事とは人生そのものです。」「自己実現のための手段です。」と答えても、なぜそうなのかよく分かりません。

この回答をするのであれば、「なぜなら」という具体的な理由を必ず付け加えるようにしましょう。

これと同じように哲学的な答え方や、具体性にかける漠然とした回答では、「ふーん。」で終わってしまうか逆に深く突っ込まれて答えに窮することになります。

応募先へのやる気を伝えること

「あなたにとっての仕事とは?」という質問に対して仕事への価値観を述べたら、最後は転職先で達成したいこと、どんな風に仕事に取り組んで行きたいのかなど、やる気をアピールして締めくくるようにしましょう。

こういう価値観を持っている、だから転職先に適性があり、活躍できるということを面接官に分かってもらえるようにするのです。

以下は参考までに回答例です。自分なりの答え方をぜひ考えてみてください。

<回答例>

私にとって仕事とは生活をしていくための経済的手段であると同時に、人とのつながりによって自分の価値を高めていくためのものです。

仕事は周りの人と協力したり一緒に困難を解決していくことでお互いが成長し、結果的に企業全体の成長につながるものだと思っており、これまでの経験でも周囲と助け合うことで得た知識やスキルが多くあります。

御社で働かせていただくことになったら、コミュニケーションを大切にして学ぶ姿勢を忘れず、常により良い価値を提供できるよう心がけて仕事に取り組んでいきたいと思っています。

難しい質問は転職エージェントにアドバイスを求めよう

今回ご紹介したような難しい質問に対しては、自分なりの答えを掘り下げて考えておくと同時に、客観的な意見を聞いておくことも大切です。

自分では上手に答えているつもりでも、第三者から見たら意味不明な答えだというケースはよくあります。

転職支援のプロである転職エージェントに添削してもらうなどして、いざというときに慌てないように準備しておきましょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、「あなたにとっての仕事とは?」という質問に隠された面接官の意図と、答え方のポイントをご紹介しました。

難しい質問ですが、じっくりと考えておくことで、転職活動全体を通して方向性を決める際にも役立ちます。

自分の仕事に対する価値観としっかりと向き合っていきましょう。