転職活動に至った経緯は人それぞれですが、勤務先の倒産によって転職活動を余儀なくされたというケースがあります。

その場合は、自己都合退職の人とは異なる事情があるということですが、応募書類の作成や面接では特別に気を付ける点はあるのでしょうか?

今回は、倒産退職の場合に書類や面接で意識したいポイントをご紹介していきます。

経緯の詳細は避けて端的に伝えれば良い

会社の倒産によって転職活動を行うようになった人は、倒産が理由で転職活動をしていることが応募先企業に悪い印象を与えることを心配するケースが多いです。

しかし、経営者や役員クラスでない限り、倒産して退職した人をその理由だけで不採用にするということはあまりありません。

不採用になるのはそれ以外の理由があると考えておくべきです。

倒産がきっかけで転職活動を始めたという点は、嘘は言っても必ずバレますから正直に伝えるようにしましょう。

その代わり倒産に至った経緯や詳細は避けて端的に「経営の悪化により倒産しました。」など伝えれば十分です。

履歴書にも「会社倒産により退職」と書き、職務経歴書で簡単に補足する程度で良いでしょう。

面接官としても前職を退職した理由が知れれば良いので、それ以上深く聞いてくるというケースも少ないです。

何か聞かれた場合のみ必要なことだけを答えれば良いですし、会社が倒産したからと言って前職で関わっていた機密情報など詳細を伝えないよう注意しましょう。

面接官が食い下がってきた場合は、機密情報にあたる内容である旨を伝えればしつこく聞いてくることもないはずです。

倒産した会社への批判は避けるべき

倒産したということによって職を失い転職活動を余儀なくされたわけですから、経営者の見通しの甘さやずさんな管理方法など、前職への不満は少なくないという人もいるはずです。

しかし、倒産した会社への不満や批判と聞こえるようなことは、応募書類でも面接でも言わないでおきましょう。

どんな理由があっても人事担当者の心象は悪くなります。

確かに経営者には経営責任が問われることになったり、倒産後も労働者への賃金支払義務などが残ります。

色々と不安を抱えたままでの転職活動ということで、同情に値すべき点も多くあります。

ただそれについては労働基準監督署や専門家に相談するなど、全く別の問題なので、その不安を見せない姿勢が大切です。

大変な思いをしてもそれを表に出さず、前向きに転職活動を行っている、そんな姿こそが企業側にとって魅力的に映ることでしょう。

倒産する前に辞めなかったのかと聞かれたら

頻繁にあることではありませんが、「倒産する兆候は察知できなかったのですか?」「倒産する前に辞めるという選択肢はなかったのですか?」と聞かれることがあります。

企業が倒産する前にはなんらかの兆候があることがあり、それに気づかぬまま過ごしたいたことを「危機管理能力のなさ」と判断する人もいないわけではないからです。

確かに経営方針に明らかな欠陥があったり、資金繰り担当である経理の職員が相次いで辞めるなど、従業員の立場から感じ取れる倒産の兆候というものがあります。

しかし実際には倒産手続きが秘密裏に行われていたり、ある日会社に出勤したら突然倒産のお知らせが貼られていることなどもあり、従業員が推測できない場面も多くあります。

また、経営者に恩を感じ、倒産寸前まで一緒に何とかしようと踏ん張っていたという人もいるでしょう。

前者の場合は、端的に「従業員が予期せぬ倒産だった」と伝えれば十分で、後者の場合は正直に伝えることで人柄や会社への忠誠心が評価されることもあります。

この質問は少し意地悪な質問でもありますから、表情や態度で嫌な心情を表さないこと、できるだけ端的に答えるに留めておき、応募先企業への熱意や魅力を精一杯伝えることに注力することが大切です。

倒産で大変な経験したことが強みになることも

倒産前の会社では、整理解雇があったり取引先への根回しをしたりと、各担当がバタバタと最後まで走り回っていたということも少なくありません。

そのような場合は、大変な経験を経て今に至るわけですから精神的にタフになっていることでしょう。

面接では、企業の同情を買うような態度ではなく、「大変な思いをしたけれど今は気持ちに区切りをつけて前向きに歩き出した」という姿勢で臨むようにしましょう。

人間は不思議なもので、何の苦労もなく順調にここまでこれた人よりも、苦労をして乗り越えた人に対して共感や好感度を持つものです。

面接官も人間ですから、そのような心情を持つことが十分に考えられます。

また、実際にも、苦難を経験して乗り越えようとしている人の精神力が周りの職員たちのやる気を促すなど、良い影響を与えることがあります。

会社の倒産を経験したということは、あなたを強くし、応募企業にそれが伝われば採用につながる可能性もあります。

そのためにも、強く前向きな姿勢を忘れずに転職活動を行っていってください。

倒産についてよりも自身のスキルや経験をアピールするのが大切

勤務先の倒産という大きな出来事があった直後ですから、ついそのことばかり考えてしまいがちです。

しかし、応募先の企業にとって、倒産については正直採用に関係がないことです。

どんなスキルや経験があって、どんな貢献をしてくれるのかという、とても基本的なことが大切なのです。

倒産した会社も含めて経歴を掘り起こし、応募先でどんな風に活かしていけるのかという点を重視した書類作成や面接対応を行っていきましょう。

倒産退職だからと言ってアピール方法に特別な違いはないということは覚えておきたいところです。

スキルや経験を活かせる仕事は転職エージェントで探そう

倒産退職にしろ自己都合退職にしろ、自身のスキルや経験を活かせる仕事を選ぶという点がマッチングを成功させるために重要なポイントです。

企業研究や自己分析を行った上で経験が活かせる転職先を探すようにしましょう。

転職先を探すには様々な方法がありますが、転職エージェントを利用するのがおすすめです。

業界事情に詳しく企業とパイプが太い転職エージェントであれば、企業の求める人材について熟知していて、それに合致した求人を紹介してもらうことができるからです。

書類の書き方や面接で不安がある場合にも相談することができますから、上手に利用してください。

最後に

いかがでしたか?今回は、倒産による転職者が、書類や面接で気を付けたい点をご紹介しました。

倒産理由などは端的に伝えるに留め、自身のスキルや経験を十分にアピールしていくことが大切です。

ぜひ参考にしてみてください。