自営業から会社で雇われる正社員へ転職するという人の場合、企業側が抱えやすい不安要素を払拭していく必要があります。

応募書類や面接を通して企業の不安をフォローしていかなければ、内定につなげることはできません。

では、企業側は自営業出身者に対してどのような不安を抱えがちなのでしょうか?

今回は、自営業から正社員への転職希望者について、企業が気になるポイントとフォローの仕方をご紹介していきます。

なぜ自営業から会社員を目指すのか


元自営業だからと言って正社員として採用できないということでは決してありませんが、企業側が知りたいのはなぜ自営業から会社員を目指すのかということです。

これは、会社員から会社員の転職における退職理由を知りたいということと同じです。

そこで納得できる理由を伝えられなくては、次につながる志望動機も、とってつけたような印象を与えかねないでしょう。

前職を辞めた理由として前向きな理由を述べることは、会社員からの転職と同様に必要なことです。

ただし、「ステップアップのため」というような、会社員転職で考えられる理由だけではあまり効果がありません。

それでは自営業を辞めた理由として説得力がなく、「仕事がうまくいっているのであれば自営業の方が自由に稼ぐことができるのでは?」と思われてしまうからです。

この場合は、経営が下火になり早めに見切りをつけた、個人経営でやれる範囲に限界を感じたなど、ある程度のマイナス要因も付け加える必要があります。

その上で経営者として行った判断が会社を畳むということであれば、自営業を辞めた理由として説得力があります。

ただし、取引先とトラブルを起こした、ずさんな資金管理が原因だったなど、そもそも働き手としての資質が疑われるようなことは述べるべきではありません。

あくまでも「やむを得ず」辞めたという理由にとどめておく工夫も大切です。

自営業に戻ってしまうこと

自営業を辞めた理由に納得ができたとしても、企業側には「いつかまた自営業に戻ってしまうのではないか?」という不安があります。

企業としては採用する以上長く働いてもらいたいと思うわけですから、基本的には自営業に戻るために退職されるのを避けたいと考えます。

この企業側の不安を解消するため、自営業を辞めた理由に付け加えたいのは前向きな要素です。

企業に所属することで成し遂げることができること、個人経営にはなくて企業経営にあるメリットは何があるでしょうか?

例えば企業規模の大きさや関われる業務内容について、「個人経営で培ったノウハウを企業規模で活かしたいと感じた」「下請けで一部の工程にのみ携わるよりも、企業に所属して幅広い業務に関わりたいと感じた」など。

企業で働くことに魅力を感じた点を退職理由として付け加えることで、単に仕方なく会社員を選び、状況が許せばまた自営業に戻る選択をしないとアピールすることができます。

単に安定を目指して自営業を手放したのではないか?


また、退職理由として言ってはいけないこともあります。

それは収入のために自営業を辞めたということです。

実際にはその理由が大きかったとしても、前職を辞めた理由としてはやはり敬遠されます。

会社員からの転職でも「給与が低かったから」という理由が嫌がられるのと同じことです。

「お金のためだけに仕事をする人」「給与や待遇に不満があればまた辞めてしまうのではないか?」と思われてしまうことでしょう。

また、安定を求めて会社員勤めを選んだという理由もNGです。

確かに会社員は一度雇われれば、よほどのことがなければ労働基準法で守られており、解雇されることもありません。

毎月同じ給料がもらえて社会保険料の負担や交通費も支給されるなど、メリットは大きくあります。

しかしその安定が目的であれば「会社に依存したい」「単に楽をしたいだけ」という印象を与えてしまい、肝心の「企業にどんな貢献ができるのか?」という点が見えてこなくなります。

自営業経験の長い人が周囲と協力してやっていけるのか?

自営業経験は、スタッフ管理や商品発注、営業など、会社員として働くにあたっても活かせるスキルをたくさん身につけています。

個人としての能力がありますが、気になるのは「チームの一員としてやっていけるのか?」という点です。

雇われである以上、上司や先輩から指示を受けることは当然ありますし、他の職員と協力して仕事を進めていく必要があります。

自営業の場合は仕事の方法やペースなど、すべてを自分の考えてやっていけましたが、雇われの場合はそれが叶わないということも多くあります。

それに対して物足りなさを感じる、あるいは周囲との人間関係がうまくいきにくい、など協調性については面接官としても気になる点です。

これを払拭するには、まず今後は会社員として長く働き続けていきたいという意志を示すということです。

自営業として個人でやっていくよりもチームでやっていくことのメリットを感じた、自分に適性があると判断した理由などを述べた上で、だから会社員勤めを選んだと伝えましょう。

また、自営業としての経歴の中から、協調性があることをイメージできるエピソードがあれば加えていくのも有効です。

自営であっても業界の団体に所属していて他の経営者と協力して何かをすることがあったとか、地域の組合に参加して活性化を目指す活動を行ってきたとか、他者との調整が必要とされた経験をアピールしていきましょう。

自営業から会社員に転職したいなら転職エージェントの利用がおすすめ

自営業と会社員では環境や周囲の職員との関係性など、異なる点が多くあります。

特に自営業時代が長い人であれば、いわば「会社員事情をよくわからないままの転職活動」になりますから、一人でやみくもに転職活動を行っていくことはおすすめできません。

転職支援のプロである転職エージェントを利用して転職活動を行っていきましょう。

企業が求めている人材について熟知していますから、サポートを受けながら転職活動を行うことで、企業が感じやすい不安を上手に解消することができます。

求人探しだけでなく、応募書類の添削や面接時のアドバイスなど幅広いサービスを無料で受けることができますから、ぜひ利用してみてください。

自営業独特の不安さえ解消してしまえば、一人でやってきた行動力や仕事のノウハウは高く評価されるはずです。

ぜひその魅力が伝わるように応募書類や面接を工夫していきましょう。