転職先を選ぶ際「同族経営かどうか」を気にされる方も多いと思います。

同族経営には良い面もあるのですが、役員が全員同族で一般社員の意見が通りにくい、一族以外には出世の道が開けていないなど、転職先としては選びたくない要素もあるからです。

特に大企業に比べて情報が少ない中小企業の場合は、入社してから同族経営だと知ってショックを受けることはできるだけ避けたいという方もいるでしょう。

応募前に同族経営だと知っておけば、同族経営だという心づもりで面接に臨み実態をきちんと見極めようとすることもできますし、応募を避けるということもできます。

では、同族経営の中小企業かを見極めるためにはどうすれば良いのでしょうか?

残念ながら完璧に調べるということは難しいですが、複数の方法を使っていくつか確認しておくということは可能です。

そうすることで転職失敗のリスクを低くすることはできますから、転職活動の参考にしてみてください。

企業HPの役員名に注目

企業研究に欠かせない企業HPですが、役員紹介の項目に注目してみてください。

必ずではありませんが、社長だけでなく役員が全員紹介されているという企業もあります。

この場合、役員の名字が同じだと同族経営の可能性があります。

また、役員紹介が大々的にされていない場合でも、会社の沿革などを見てみると創業者の子供が社長、常務などになっているなど分かることがあります。

他には、面接官が部長や課長クラスの場合、名字が経営者と同じかどうかを確かめるのも一つあります。

面接では面接官の名刺をもらうこともありますし、名刺がなくても大抵は最初に名乗ってくれます。

そのときの名字を覚えておいて、あらかじめ確認しておいた創業者や社長の名字と同じであれば同族経営の可能性があります。

もちろん、たまたま同じ名字ということもありますし、そもそも同族だから悪いということではありません。

ただし、同族が社内にいるということは、他の一般社員たちはその人たちに対して神経質すぎるほど気を遣うということもあるということです。

事業展開が長年にわたって限定されている

企業研究を行う際に、企業の事業展開の歴史について見てみましょう。

同族経営の中小企業の場合、事業展開に変化がないというのが一つの傾向としてあります。

長年にわたって同じ事業のみを柱として続けているのは良いことのようで「変化を好まない」ということを意味しています。

それはまさに同族経営の姿そのもので、保守的で、同族以外の考え方を採り入れたくないということによって新しい事業展開が生まれにくいということがあります。

もちろん、ワンマン社長がいろいろなことを思いついて、あちこちに手を出すような事業展開をしている企業もあるので一概には言えません。

しかし一つの事業だけでやっていけるのは長くても20~30年程度と言われています。

誰もが知っている大企業であっても、一つの事業を何十年も続けていくということは難しいのです。

その中で同じような事業だけを続けていっている中小企業は、創業時のうまくいっていたイメージに固執しているとも考えられ、それはやはり同族経営に多いと言えるでしょう。

面接の質問タイムで聞いてみる

かなり規模が小さい企業であれば「役員の皆さんはご身内でいらっしゃいますか?」と聞いてみるのも一つです。

アットホームな企業であれば丁寧に聞くことでそれほど嫌がられることはありません。

また、創業に至った経緯や、会社の沿革の中で変革と言えそうな出来事を掘り下げて聞いてみる方法もあります。

この場合は「このときに先代から息子である今の社長が引き継いで…」「創業時には自分と弟で走り回って業務拡大をしていった。」などと同族経営だと思わせる話を聞くことがあります。

他には、経営者の考え方や方針を聞いてみるのも、働きやすい中小企業かどうかを確かめる上で効果的な方法です。

中小企業の場合、経営者の考え方や性格が社員の仕事のやりやすさに直結します。

風通しの良い企業経営を心がけている経営者であれば「実力があればどんどん責任のある仕事を任せたいと思っている。」など、同族でなくても出世の道があるという考えを口にすることがあります。

例え同族経営であっても、経営者の考え方に納得できれば、自分にとって働きやすい環境であるということもあります。

その意味でも面接の質問タイムでは、経営に関しての質問も積極的に投げかけるようにしましょう。

募集の背景から探る

企業が中途で人員を募集する背景には色々ありますが、業務拡大か欠員補充かによって企業の実情をある程度推測することができます。

業務拡大の場合は業績好調とも考えられますが、同族経営に多いのは欠員補充求人だと言われることがあります。

欠員が出る理由も色々あって一概には言えませんが、いわゆるブラック同族経営の場合は離職者が多く欠員補充の頻度が高くなる傾向にあります。

求人検索をしてみて、「この会社いつも募集かけているな。」と、よく見かけるという企業には少し注意が必要です。

ただし、離職者が多いというネガティブなことは企業側も公にはしませんので、求人広告だけで判断するのが難しいという場合もあります。

そのときは面接で「働かせていただくことになった場合の心構えのため、今回の募集の背景を教えていただけませんか?」と聞いてみると良いでしょう。

「実は今度業務拡大の予定があって…」など教えてもらえる場合もありますし、よく分からない理由でごまかすようなことがあれば、トラブルがあって辞めた人がいるなども考えられます。

もちろん、離職者が多い=同族経営とはいきませんが、募集の背景を尋ねる質問に対しての答え方や反応などから、ヒントを得ることは可能です。

転職エージェントに聞いてもらう

転職エージェントを利用した転職活動であれば、業界事情や企業の内情について詳しい話が聞けることがあります。

その業界に強いキャリアコンサルタントが在籍している転職エージェントは豊富にありますし、企業の太いパイプを持っていて内情をよく知っているというケースもあります。

同族経営かどうかを知りたいということであれば、キャリアコンサルタントに聞いてもらうことで角を立てずに知ることができます。

面接で聞くなんてとんでもない、色々調べたけれどよく分からないという場合は転職エージェントを頼ってみましょう。

転職エージェントのサービスはすべて無料ですから、経済的な負担がないのもメリットです。

最後に

いかがでしたか?今回は、転職先候補の中小企業が同族経営かどうかを調べる方法をご紹介しました。

冒頭でも少し触れましたが、「この方法だったら確実」というものはありません。

しかし、可能な限りの方法を使って同族経営かどうかを予想することはできます。

その上で、転職先として適切かどうかを自身の目で見極めるようにしていきましょう。