応募した先で受けた面接が好感触、面接官との相性もバッチリだったなんてことはありませんか?

その後内定をもらえた場合は、面接官は自分が転職したときの上司にもあたる人だから、これで転職後の人間関係が良好なものになるだろうと、安心した気持ちになるかもしれません。

しかし、一旦冷静になりましょう。

面接官との相性は確かにありますが、それだけで勢いよく転職先を決めてしまっていませんか?

内定をもらった先が複数あるのに「こちらの面接官の方が感じが良かったから..。」と面接での感触だけを頼りに決定するのは危険なことです。

それはまるでたまたま出会った人と会話が弾み、勢いだけで交際をスタートさせてしまうようなものです。

付き合ってみたらとんでもない人だったなんて話もよく聞くでしょう。

面接は企業側にとっても応募者にとっても大切な出会いの場ではありますが、決してその日の雰囲気や相性だけで決めてしまってはいけません。

今回は、転職先を決めるのに面接官との相性を信じ過ぎるべきではない理由についてご紹介していきます。

上司は大事。でも一番仕事で関わるのは誰?

面接では人事担当の人だけでなく、直属の上司も同席していることが多くなります。

会社を辞めたい理由として上司との人間関係を挙げる人も多いですから、上司との相性はとても重要なことなのは間違いありません。

ですが、直接的に仕事を教えてくれるのは上司ではなく、先輩や同僚たちです。

転職してからほぼ毎日長い時間を一緒に過ごすのは上司ではありませんから、上司がいくらいい人でもどうしようもないということはよくあるのです。

職場によっては上司とは席も離れていてあまり話す機会もない、たまに書類の決裁をもらいにいくだけ…といった場合もあります。

ただ、実際に多くの時間を過ごす先輩や同僚がどんな人たちなのかは面接では分からないというもの。

ですから事前に職場の雰囲気を知るために職場見学をしておいたり、面接の質問タイムなどで雰囲気を確認する質問をしておくことが大切なのです。

実は…というプロ面接官が多いから注意して

面接官の中には正直あまり面接慣れしていない人もいれば、これまで大勢の面接を担当してきた人事のプロもいます。

特に人事課の課長クラス以上であれば面接のプロですから、応募者の素を出させるためにあの手この手とテクニックを使って面接の雰囲気作りをしてきます。

応募者がついつい騙されてしまうのは「穏和そうに見えて何を言っても怒らない人」です。

年齢は40代半ば以降ぐらいでニコニコしていて優しそうな人、応募者のことをやたらと褒めてくれるような人はプロ面接官の可能性ありです。

こういった人に対して「優しくていい人事の人がいるから安心!」と信じ切ってしまうのは危険です。

人事担当者としての能力は申し分ないかもしれませんが、だから人間的にいい人であるとは限らないのです。

実際に働いてみたらイメージと全く違っていて「あの人面接では猫をかぶっていたの?」と疑いたくなるような人もいるものです。

肝心の仕事内容を確かめなくなる

面接官との相性で転職先を決めてしまった結果、肝心の仕事内容について転職後にギャップを感じてしまうケースがあります。

普通であれば仕事内容は詳細まで確認して納得した上で転職を決めるのですが、「人間関係が何より大事」とばかりに確認を怠ってしまい、想定外の仕事内容に不満を感じるようになってしまいます。

面接官で会話が盛り上がったりすることは気分のいいことですが、面接は楽しい会話をするための場ではありません。

実際に毎日の仕事と向き合うのは自分自身なのですから、責任をもって仕事内容について確認しておきましょう。

仕事内容は募集要項にも書いてありますが、それだけで判断できるものではありませんから、面接の質問タイムなどを使って聞いておきましょう。

カリスマ社長とワンマン横暴社長は紙一重

言い方一つなのですが、「カリスマ性の高い尊敬できる社長の元で働きたい。」とは思っても「ワンマンで横暴な社長の元で働きたい。」とは誰も思わないはずです。

しかし、カリスマ社長とワンマン社長は意外と紙一重だったりします。

この判断は難しいので、面接時のインスピレーションだけを頼りにするのは危険です。

特に中小企業の面接では、最終面接に経営者自らが出てくることはよくあります。

普段経営者クラスの人と話をする機会が少ない人も多いので、その雰囲気やオーラのようなものに圧倒されてしまうということがあるのです。

恐らく頭のどこかで「経営者にまでなる人ってすごい人」という先入観があるのではないでしょうか?

もちろん会社経営は大変なことですし「本当にすごい」経営者も世の中には大勢います。

しかし実際には社会人経験がゼロの二世が偉そうにしているだけだったり、中途半端に会社経営に手を出した素人経営者のような人もいます。

でもサラリーマンとして普通に働いてきた人にとって最初はすごい人のように感じてしまい「この社長の元でならやっていける。」と根拠のない自信を持ってしまうことがあるのです。

ですから面接での印象だけでなく、会社の評判を調べておく、同業界の人に話を聞いてみるなど下調べが重要なのです。

自分自身の「人を見る目」をあてにしてはいけません。

本当に大事なことを見逃さないで

面接官との相性は、転職先を見極める上でのごくごく一部の材料に過ぎません。

全く関係ないとまではいいませんが、転職ではもっと大切なことがあるのです。

それは、毎日いる職場、仕事内容、自分が達成したい目標など、これまでの転職活動の中で分析してきた「自分自身が転職に求めているもの」です。

転職に「面接官との相性」を目的としている人などいないはずです。

面接官と相性が良かったことは仕事がやりやすくなる可能性もあって、決して悪いことではないでしょう。

ただし、それで本当に大事なことを見逃してしまうのであれば無意味なことになってしまうということだけは忘れないでください。

最終決定で迷ったら転職エージェントに相談を

転職先を決めるとき、最後の決断を下すのは当然応募者本人です。

誰かに「ここが良いのでは?」と言われて転職しても、うまくいかなかったときに後悔するだけです。

ただ、最終決定の判断に迷うということもでてくるでしょう。

その場合は転職エージェントに相談してみましょう。

特定の企業をすすめることはしませんが、どんな風に決断を下すべきか、これまでの転職活動の中で何を大切にしてきたのか、一緒に考えてくれるはずです。

転職エージェント経由で応募をしておくと、こういった悩みにも相談に乗ってくれるのもメリットです。

最後に

いかがでしたか?今回は、転職先を決めるのに面接官との相性を信じ過ぎるべきではない理由についてご紹介しました。

面接はお見合いと例えられることが多いですが、最終的な交際はお見合い日当日のことだけでなく、いろいろな材料を使って総合的に判断していくはずです。

転職面接においても同じことで、面接官との相性だけを頼りにするのは慎重になるべきということですね。

ぜひ参考にしてみてください。