転職活動中に求人広告を見ていると、魅力的なキャッチフレーズに惹かれて気になったということはありませんか?

企業はできるだけ時間と労力をかけずに多くの応募者を募りたいと考えますから、目に留まりやすいキャッチフレーズを載せようとします。

広告なので当然と言えば当然なのですが、単なるキャッチフレーズであるということを忘れて鵜呑みにしてしまい、転職後に後悔する応募者が多いのも事実です。

では、応募者がつい惹かれてしまう、慎重になるべきキャッチフレーズとはどんなものなのでしょうか?

「入社祝い金あり」

入社祝い金ありには、応募者を以下のような気持ちにさせる効力があります。

  • 「どうせ同じような仕事に就くならお金をたくさんもらえる企業がいい。」
  • 「祝い金をくれるなんて従業員に優しい会社かも。」
  • 「業績が良くて資金力に余裕があるから祝い金を出せるんだよね。」

確かに祝い金をもらえるのは嬉しいですし、実際に従業員のために祝い金を用意している企業もあります。

ただ、よく見てみると大抵「※当社規定による」と書いてあります。

実際に入社して即支給という企業は少ないですし、勤続半年後にもらえるとか、成績をクリアしていればもらえるとか、タダでくれるわけではありません。

そして企業が入社祝い金を設ける裏側を見てみると、本当は毎月の給与をもう少し出せるのに、基本給自体を抑えて祝い金にあてているなど、資金力に余裕があるわけではないというケースは意外とあります。

また、入社祝い金があると応募者の目を引くことは十分に予想されますから、「とにかく人を募集したい。」と考えている企業も多いです。

猫の手も借りたいぐらいに忙しい、人が辞めてしまって急いで募集したいということです。

すべてとは言いませんが、こういったケースに該当すると残業が多い、従業員の満足度が低い企業である可能性があります。

お金がもらえるということはついつい目が行きがちですが、一時金よりも毎月の給与や仕事内容の方が大事なのは言うまでもありません。

「寮完備しています。」

寮完備のキャッチフレーズは、一人暮らしの人や経済的に余裕がない人にとっては魅力的です。

最近は寮と言っても、きれいな一人暮らし用のアパートなどで普通に生活させてもらえる、ありがたい企業も多くあります。

ただ、こちらも会社規定によるところが大きいので注意が必要です。

例えば寮代の負担ですが、全額会社が負担してくれるケースだけでなく、半額は実費が発生することはよくあります。

独身者のみの入居で結婚したら即退去するという決まりが設けられていることもあります。

また、最近は少ないですが、個室ではなく共同部屋でプライバシーが保ちにくいという寮も存在しています。

いずれにしても、詳細の確認は怠らないようにすべきです。

「休日の希望など応相談」

シフト制を導入している企業の場合など、休みの希望が通りやすいのか、どれぐらいフレキシブルに対応してもらえるのかは気になるポイントです。

しかし、「応相談」という言葉には注意が必要です。

応相談の意味は「相談に乗ることはしますよ。」ということなので、必ず希望が通るということではありません。

極端に言うと、本当は希望が通る確率が5%ぐらいしかなくても、事情や状況によっては希望が通る「場合がある」ということです。

希望を出しても「その時期は繁忙期だからムリ。」と言われてしまう可能性も十分にあります。

そして企業側の事情を探ると、できるだけ柔軟な企業姿勢をアピールするために、応相談というフレーズを使うことがあります。

応相談は便利なフレーズで、可能性がある限りは嘘にはならないため使われやすいのです。

もちろん、本当に希望が通りやすい企業もあるので一概には言えません。

便利な言葉に惑わされず実態を確認する慎重さが必要だということです。

「未経験者歓迎」

応募のハードルが下がって安心材料となりやすい未経験者歓迎というキャッチフレーズですが、ブラック企業が使う率も高いので気をつけたい言葉です。

未経験者歓迎とあっても経験者の方が優遇されやすいのは間違いありませんし、とにかく人手が欲しいという場合に使われるということを忘れてはなりません。

人手が欲しいのは、業務拡大などでなければ離職者が出たということです。

しかも「未経験者であってもほしい」ぐらい、人が足りていないわけです。

そもそもこのフレーズがなくても、給与が高いなど応募者にメリットが大きい求人には人が集まります。

他にメリットがなくて応募者を募ることができないから載せているとも考えられるので、慎重に見極めなくてはならないでしょう。

「月収100万円以上稼ぐことも可能です。」

どうせ働くなら高い給与をもらいたいと多くの人が考えるため、給与への期待感を煽るキャッチフレーズは人を惹きつける魔力があります。

月収100万円とか、あまりに高い報酬を期待させるような求人はかなり注意が必要です。

例えば歩合制の営業など、実際に月収100万円以上稼ぐ人はいるでしょう。

しかし当然ながら全員に当てはまることではなく、実力が伴ってこそのものです。

そしてそれを稼ぎ続けることの難しさは営業経験者でなくとも予想できるものでしょう。

また、悪質な求人の場合は、実際に100万円稼ぐ人がいないのに給与モデルケースとして載せていることもあります。

これも「契約件数が多かったら支給できるから嘘ではない。」と、企業には逃げ道があります。

高い報酬に関するフレーズは夢があるようで魅力的ですが、現実こそが大事です。

「やる気がある人歓迎」

やる気をキャッチフレーズに入れてくる求人も少し注意が必要です。

「頑張った分だけ正当な評価を受けられそう。」「社内が活気ある雰囲気なのでは?。」などと思ってしまうことがあるでしょう。

具体的なスキルではなくやる気という精神的なものを求めてくる企業は、やけに体育会系だったり、残業に対して気合いや根性で乗り切れなど要求してくる可能性があります。

転職してから何か不満がでて上司に相談したとしても、精神論で押し切られて具体策を講じてくれないことも考えられます。

キャッチフレーズに惑わされず冷静に転職活動を

ここまで応募者がつい惹かれてしまうキャッチフレーズをご紹介しました。

求人広告の内容は、とにかく応募者の目に留まることを目的としていますから、必ずしも実態に沿ったものでないことも多いです。

あくまでも単なるキャッチフレーズなので、それに惑わされず冷静に応募先を見極める必要があります。

転職エージェントを利用して転職活動を行うなど、事前の情報収集がしやすい環境で転職活動を行っていきましょう。

求人広告の内容に踊らされないよう、賢い転職活動を心がけてください。