起業する前は、起業してやりたいことや、いくらくらい稼げるのかなど、「起業中」のことばかりに目が行きます。

もちろん、失敗を前提でやってもうまくいきませんから、それらを考えることは大切でしょう。

ただし、万が一のリスクヘッジとして起業を失敗した場合のことは考えてみたでしょうか。

「失敗を恐れずチャレンジする。」はカッコイイですが、現実問題としては自分や家族の生活がかかっています。

起業前には、失敗した後のキャリアについて考えることも重要。

今の年齢によってどう起業と向き合うのかが変わってきますから、年代ごとのスタンスと注意事項を解説します。

20代の起業はやり直せるが逆効果も考えられる

まだ20代であれば、起業して失敗しても十分にやり直せる年齢。

未経験での就業可能性もあり、貯金ゼロからの再起だって問題ありません。

ただ、「若いから失敗しても大丈夫」は少し安易な考え方です。

大丈夫なのは、起業失敗から再就職するときに、どんな仕事でもやろうとできる覚悟がある人に限ります。

20代の早いうちから起業すると、社会人経験が浅いうちに「人から指図されない働き方」に慣れてしまいます。

能動的な働きができるという点では強みになるのですが、問題は、サラリーマン特有の人間関係や縦社会へのストレス耐性が構築できないということ。

若い世代は先輩や上司などさまざまな「上の人」から指示、教育を受ける中で、吸収して成長し、ときには我慢も覚えていくものです。

例えば20代前半で起業し、後半で失敗再就職した場合、自分より年下の人から指導されていることになりますが耐えられるでしょうか?

もちろん、30代以降の人でも同じことが言えますが、起業前にサラリーマン経験をそれなりに積んでいれば「会社組織とはこういうもの」と割り切ることもできるでしょう。

20代での起業は、気持ちの面における覚悟が必要です。

30代、40代の起業は再就職が難しくなる

30代から40代の起業は、失敗したときの年齢がそれなりに高いため、再就職の可能性が大きく下がることが問題です。

再就職が難しいうえに、年金がもらえる年齢まではまだまだ遠いこともあり、逃げ道がない状態に追い込まれます。

転職市場では年齢による壁がなくなってきているとはいえ、まだまだ若い人有利。

しかも、30代、40代で転職できるのは、組織の中で鍛えたマネジメントスキルがあることを前提としています。

従業員を雇えるほどまでに成長した経営者であれば、マネジメント能力が評価される可能性はありますが、失敗した事実をどう前向きに説明するのかがポイントになります。

個人事業主として起業した場合の再就職は、マネジメントスキルはアピールできませんから、起業中に磨いてきたスキルが活かせる企業を探すことになります。

30代、40代での起業は、長期的なキャリアをしっかり計画してから挑戦する必要があります。

50代からの起業は慎重に

50代で起業する場合は、失敗した場合の再就職はかなりの厳しさを極めます。

知人の紹介でもない限り、自力で再就職するのは難しいと思っておきましょう。

そのうえで、「いつ起業するか」は慎重になる必要があります。

50代で起業したいという熱意があるということは、定年など関係なく長く働き続けたいということでしょう。

ならば、もう少し待って退職金の額を増やしてから辞めるという選択肢もあります。

起業の元手が増えて安定経営につながりやすいですし、万が一失敗しても、アルバイトなどで食いつないで年金受給開始まで頑張るということもできなくありません。

自身の家族の状況を見極めることも重要です。

子供がすでに大学を卒業して自立し、教育費がいっさいかからなくなった、親が他界しており介護の必要性はないなど。

自分以外の人にお金がいらないことを確認してから起業することも大切です。

どの世代でも共通しているのは元手が少ない事業を狙うこと

いずれの世代でも起業する際は、成功可能性を事前にシミュレーションしておくことと、元手が少ない事業を狙うことが大切です。

起業を失敗したときに借金があるかないかは死活問題で、今後の人生そのものを左右するでしょう。

元手が必要な事業の場合は綿密な計画性をもつ必要が。

専門家に資金計画のアドバイスをもらうくらいは、しなくてはなりません。

少ない元手で取り組める事業の代表格はやはりネットを使ったビジネス。

店舗や在庫など経費がかからないためリスクが低いビジネスと言えます。

参入障壁が低い分ライバルは多いので、企業に属しながら副業として始め、副業収入だけで生活できるレベルになってから独立するのが王道の成功パターンです。

収入を増やしたいならまずは転職も手

起業の理由が「今より収入を増やしたい。」というのであれば、起業ではなく転職でも十分に叶えることができます。

同じような仕事をしているのに、所属する企業が異なるだけで年収が大きく変わるのはよくある話。

経験やスキルをもとに転職活動してみると、意外にも自分の転職市場での価値が高いことに気づく場合があります。

終身雇用制が崩壊した日本では転職がもはや当たり前になっており、転職市場も活気づいています。

転職して収入アップを目指してから起業と向き合うのでも遅くはないでしょう。

起業期間を挟んで再就職するのに比べると、いずれの年代でも転職確率はあがります。

適性年収を確かめてみよう

転職サイトや転職エージェントでは「適性年収」「転職市場価値」などを診断してくれるツールを公開していることが多くあります。

起業に踏み切る前に、転職した場合の年収を調べてみてはいかがでしょうか。

思っている以上に年収アップが期待できるなら、わざわざリスクを覚悟で起業する意味は薄まってきます。

いったん転職し、資金を加速的に増やしてから起業するという選択もできるでしょう。

今はどんな企業でも倒産する可能性がある時代とはいえ、会社がそう簡単に潰れることはありません。

リスクはあっても、自分で起業するときの比ではないと思っておきましょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、起業して失敗した「その後」を知るために、年代ごとの起業に対するスタンスと注意点を解説しました。

起業にはわき目をふらず突き進む強い精神力が必要ですが、リスクを考慮しなくていいということではありません。

今の年齢で起業するとどんなリスクがあるのかを、十分に予想してから挑戦しましょう。