「どうしてもこの業界で働きたい。」
「この業界だけでは働きたくない。」

このように、意見が真っ二つに割れるという特徴をもつのがブライダル業界です。

ブライダル業界の関連ニュースや記事を見ると、近年は特に「激務」の二文字が踊っています。

一方で、ブライダル業界に憧れを抱く人はまだまだ多く、激務だとわかっていながら飛び込んで失敗してしまうケースも。

ブライダル業界への転職を検討している人は、激務の理由をしっかりと直視し、それでもなお希望したいと思えるかどうかを見極めましょう。

今回は、ブライダル業界が激務である理由と、激務でも転職してしまう理由を紹介します。

ブライダル業界が激務と言われる理由とは

まずは、ブライダル業界が激務だと言われる理由を整理しましょう。

立ち仕事であるとか、サービス業ならではの大変さだけでなく、ブライダル業界ならではの深刻な理由があるのです。

業界全体が不振

ブライダル業界は不振が続いていて、原因は下記のようなさまざまな要素があります。

  • 未婚率の上昇(結婚する人が減っている)
  • 少子化の影響(若い人が少ない)
  • 晩婚化が進んでいる(年齢が上がると派手な挙式に抵抗がでて質素な挙式を好む)
  • ナシ婚、地味婚が浸透(若い人の中でも結婚式への価値観が変化している)
  • 先行き不透明な経済への不安(将来に備えて蓄えておきたいため、結婚式にお金をかけたがらない)

今後、こうした要素が大幅に改善されるとは考えにくく、革新的なアイデアでも打ち出さない限りは、ブライダル業界の不振は続く可能性があります。

給与に恵まれていない

業界全体が不振だと、従業員の給与に反映させることができず、「長時間低賃金」になりやすくなります。

できるだけ人件費をかけずにこれまでと同じ価値を提供しようと考えるため、1人あたりの労働時間が長くなるのです。

定期的におこなわれる昇給も経営を圧迫するため、経験を積めば積むほど給与がアップするという可能性も減っていきます。

人手不足につき担当業務以外の仕事をこなすことも

不振の影響は、業務範囲にまで影響を及ぼします。

たとえば、人気が高いウエディングプランナー。

本来の仕事は顧客へのプラン提案や聞きとり、料金回収といった、営業要素が強い仕事です。

しかし、結婚式当日にはホールにかりだされて片づけや皿洗いをさせられることも。

ホールスタッフに予算をかけられないため、今ある人材を使うしかないからです。

サービス残業が当たり前の業界

ブライダル業界ではサービス残業が当たり前におこなわれています。

オフィス内での仕事のように、定時を目安に仕事を進めることはできず、結婚式全体を1つの業務としておこなうため、残業時間の線引きが明確にされにくいからです。

企業側も線引きを曖昧にすることで、人件費をかけずに結婚式を開催したいと考えているのでしょう。

「ブライダルとはそういうもの」と半ば諦めている従業員も多いため、「サービス残業をなくそう。」などと声高に主張することもしにくい状況です。

自分の友人挙式には参加できない

ブライダル業界は土日祝勤務が基本です。

結婚式がある場合は急な休みはまず許されません。

中には自分の友人の挙式に参加できなかったり、家族の弔事に遅れてしまうことも。

人手不足の中皆がギリギリの状態で仕事をしているため、諦めて申請しないという人もいます。

この「非情さ」も、激務と言われてしまう理由の1つでしょう。

激務なのに希望者が集まる理由

ブライダル業界が激務であることは、近年のネット社会では簡単に情報を得ることができます。

「ブライダル業界って激務なの?」と驚く人ばかりではないでしょう。

しかし、激務だと知っていながら応募する人は絶えません。

離職率は高いものの、新規入職者もいるからこそ成り立っている業界とも言えます。

一体なぜ、多くの応募者たちは激務を覚悟してまでブライダル業界を志すのでしょうか。

「大変でも楽しければ乗り越えられる」という誤解

仕事にやりがいや楽しさを求める人は多いですが、実際に長く同じ会社で勤めている人を見ると、「どうしても耐えられないことがない」という共通点があります。

つまり、メリットが大きいかどうかより、退職理由になり得るほどのデメリットがないということが、長く働くためのポイントと言えるのです。

ブライダル業界が激務だと知っていながら希望する人は、「たとえ大変でも楽しければ頑張って乗り越えることができる」と思っているのではないでしょうか。

もちろん、やりがいだけを支えに頑張れる人もいますが、それは相当タフな精神力が必要なことなのです。

ドレスにブーケ、華やかな世界で働きたい

ブライダル業界は非日常を感じられる特殊な世界ということもあり、華やかなイメージや憧れがどうしても捨てきれないという人がいます。

結婚式を想像してみても、ドレスにブーケ、幸せそうな笑顔と、いいところばかりが思い浮かぶことでしょう。

こうした華やかさを喜びに感じられるのは、転職して少しの間だけ。

仕事に慣れ、仕事の大変さや苦労を知るうちに、大切なのはそこではないと気づいてしまいます。

求人広告が素敵

転職先を探すとき、各求人媒体に掲載されている求人広告を見ることでしょう。

ブライダル業界から出る求人は、どれも素敵です。

海が見える教会でドレスを着た笑顔の花嫁がいて、やりがいを感じている表情のプランナー。

「幸せな結婚のお手伝いをしませんか?」「頑張りが成果につながるやりがいある仕事です。」といった魅力的な文言が並びます。

こうした素敵な求人広告自体はいいのですが、内容を重視せず見た目に惑わされてしまう人が多いことも事実なのです。

ブライダル業界への転職は慎重に

激務とわかっていても、夢を捨てきれずにブライダル業界へ転職したいなら、慎重に企業を見極めることが重要です。

大切なのは、実態がどうかを知ること。

転職クチコミサイトで調べてみる、転職エージェントを利用するなどして、激務ぶりがどの程度なのかをしっかりと見極めましょう。

応募前に知りたい情報については、エージェントを使えば信憑性の高い情報を得ることができます。