転職市場では、30代、40代のミドル層人材に注目が集まっています。

管理職経験があるとアピールポイントになるため、「管理職なら転職に苦労しないのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、管理職の転職活動は、一般社員以上に難しい点があり、そのハードルは高めです。

今回は、管理職が転職活動で苦労するポイントと、希望の転職に成功する方法をご紹介します。

管理職が転職活動で苦労するポイント

管理職に就く人は、転職活動でどんな点に苦労するのでしょうか。

まずは、管理職転職の難しさを紹介します。

今の仕事が忙しくて活動時間が取れない

管理職の場合、責任ある立場ですから、簡単に有休が取れなかったり、トラブル対応など急な仕事が入ることがあります。

一般社員であればある程度代替がきくものの、管理職の場合はそうはいかないでしょう。

定時で帰って面接に行く、有休を頻繁に取得して転職活動するなど、時間捻出が難しいと言えます。

業界内に知り合いが多く会社にばれる可能性がある

管理職は仕事柄、同業他社の人と交流があることが多いため、同じ業界内での転職を目指す場合に「ばれやすい」リスクがあります。

一般的に転職成功しやすいパターンとしては同業他社への転職ですが、管理職の場合は気をつけたいポイントです。

一般社員であれば、たとえ職場内に知られたとしても、経営幹部にまで話が及ぶことは少ないでしょう。

しかし、管理職は企業の中でも限られた重要人材のため、話が大ごとになる可能性があります。

強い引き止めに合う、転職をやめさせるための根回しをされてしまうなど、一般社員以上のリスクがあります。

現職の給与が高いため給与交渉に苦戦する

管理職にもなると、現職での給与が高いため、年収アップが難しいことが多くなります。

しかし、30代、40代の管理職は世代的にお金が必要でもありますし、せっかく転職するのに年収ダウンは納得できないこともあるでしょう。

特に、新卒から今の会社で順調に出世してきた人は、世間相場より高い給与をもらっていることもあります。

そうなると、給与交渉は難航しがちで「我が社ではそこまでは出せない」と言われてしまう可能性があるのです。

重要ポストや高年収求人は一般にでまわらない

管理職の求人を探すのは、一般社員の求人以上に難しいです。

理由は、重要ポストの募集をするのは経営上の秘匿事項のため、ハローワークや転職サイトなどには出回りにくいこと。

そもそも管理職の割合が、一般社員に比べて求人自体が少ないということもあります。

一般社員が「求人が見つからない」と言っているのなど可愛いもの。

管理職求人はそれ以上に見つからないのです。

管理職候補など見せかけの管理職求人がある

企業はマネジメントスキルがある人を求めていると言われていますが、その多くは「管理職候補」の求人です。

候補というからには、「いずれ」管理職になってもらいたい人を想定していますが、「いずれ」がいつかは、非常にわかりにくいのです。

もともと課長以上の管理職だった人が、マネジメントスキルを活かして管理職候補に転職した場合、思いがけない失敗につながることが。

思っていた仕事ができなかった、給与が大幅にダウンして管理職になれるまで何年もかかってしまったなどは、実際にあった事例です。

管理職候補やリーダー候補という文言は、すでに管理職として活躍している人は気をつけるようにしましょう。

管理職が転職活動を成功させる方法

難しい管理職の転職活動ですが、成功させる方法もあります。

ここからは、管理職転職の活動ポイントを紹介します。

年収アップを狙うなら別業界を狙う

管理職にまで上り詰めたのに転職を希望するということは、給与や待遇に納得できないこともあったはず。

その場合は年収アップを狙うことになりますが、同業他社では正直難しいと思っておきましょう。

企業規模に大きな差がない限り、業界内の給与相場はそれなりに近いものがあります。

転職先では新参者のため、給与ダウンもあり得るでしょう。

管理職経験を活かしつつ年収アップを狙うなら、別業界にスライドさせるのがポイント。

たとえば、IT業界やベンチャー企業では、優秀な若手はそろっているものの、チームをまとめたり、人前で堂々と説得力のある話し方ができる40代以降の人材が不足しています。

同じ企業内でいくつかの部署経験がある人なら、業界が変わっても適応力があるため有利。

業界にはこだわり過ぎないことも大切です。

専門性が高い部門での管理職転職は経験が必要だと知る

管理職の中でも、事務系職種である管理部門は、一般社員と同様に比較的人気が高い分野です。

肉体労働がないため年齢が高くなっても続けやすい仕事ですし、営業や技術系の職種に比べると、部下たちも割とクセが少ない人材がそろっています。

ただし、管理部門の管理職はハードルが高めだと思っておきましょう。

管理部門は直接利益につながらないものの、縁の下の力持ち的な重要部門ですから、それなりの知識や経験が求められます。

特に経理や財務、経営企画などの管理職となるとマネジメントスキルだけでなく、プレイヤーとしての経験がどの程度あるのかも重要になります。

人脈を活かした活動をおこなう

管理職クラスになると、これまで培ってきた人脈も経営者層などの人事権がある人たちになります。

その人脈をとことん活かすのは賢い選択。

転職活動を会社に知られるリスクが低く、一般募集していないポストに出会える可能性もあります。

思い当たる人がいるなら、まずは話を聞いてみることで、思いがけない情報にアクセスできるかもしれません。

転職エージェントの非公開求人を狙う

重要ポストや高年収の求人は一般公開されていないため、転職エージェントを活用する必要があります。

転職エージェントでは「非公開求人」と呼ばれる、秘匿性の高い求人や、好条件の案件を扱っており、管理職求人も多数あります。

エグゼクティブ向けエージェントやヘッドハンティング型のエージェントを利用するのもいいでしょう。

エグゼクティブ向けは、主に管理職クラスで高年収の求人を扱っており、コンサルタントも相応の知識や経験がある人たちです。

ヘッドハンティング型の場合は、経歴を登録しておくと興味をもった企業やヘッドハンターからのスカウトを受け取れるサービス。

複数のエージェントに登録し、自分に合った方法を見極めるようにしましょう。