数ある職種の中でも営業は「転職しやすい職種」と言われることがあります。

営業として転職するには、コミュニケーションスキルが高く、数字への感度もある人でないと難しいと思われますが、一体なぜなのでしょうか。

今回は、営業が「転職しやすい」と言われる理由と、そう言われながらも転職できない理由を紹介します。

営業が「転職しやすい」と言われる理由

営業が一般的に転職しやすいと言われるのはさまざまな理由があります。

誰にでもできる仕事ではないような気もしますがなぜなのでしょうか。

資格が必要ない

営業になるために特別な資格はいりません。

たとえ、生命保険や不動産のように専門的な知識が必要な営業職であっても同様です。

基本的には入社した後に働きながら知識を得ていくため、転職時に特定の資格を求められるケースは少ないのです。

もちろん、応募先企業での営業に活かせる資格があれば評価される可能性は高いですが、資格がないから転職できない職種ではないため、多くの人に転職チャンスがあるのです。

医療系専門職やエンジニアのように、長い年月をかけて技能を習得しないと転職できない職種との大きな違いはここにあります。

学歴が求められない

給与や待遇がよく、手掛ける仕事の規模も大きくて魅力ある大手企業への転職は、非常にハードルが高いです。

通常、転職で学歴が求められることは少ないですが、大手企業への転職の場合は、ある程度の学歴と特筆すべきスキルや経験が求められるからです。

しかし、営業は別です。

営業職であれば大手企業でも学歴関係なく採用してもらえるケースが多いため、大手志望の方にはチャンスが残されます。

当然ながら大手の場合は人気が集中しますので、ライバルたちに差をつけられる実績やアピールポイントは必要になりますが、大手への転職チャンスがある数少ない職種の1つと言えるでしょう。

未経験応募可能な求人も多い

第二新卒、フリーターなど若年層向けの求人媒体で多く扱っているのが営業求人です。

若年層を採用する場合、経験が少ないことは分かりきっているはずですが、なぜ求人が多いのでしょうか。

それは、営業はビジネスマンとしての基礎を学べ、所属企業の商品サービス特性を理解するのに適した職種だからです。

若手には一番最初に営業を経験させることで、人材としてのレベルアップを図ることができ、将来的には企業に貢献してくれる期待もあります。

若年層にも適した職種であることから、未経験でも応募可能な求人も多く、結果的に若年層以外の未経験者も転職しやすくなります。

企業利益の中核を担う職種

どの業界を見ても、圧倒的に求人件数が多いのは営業です。

理由の1つは、営業職が企業利益の中核を担う、必要不可欠な職種だからです。

どんな優れた商品やサービスを展開する企業であっても、それを一般消費者や法人に売り込む人がいなければ意味がありませんよね。

商品サービスの質は高いのに業績が上がらない企業は、営業部隊が弱いのです。

企業にとって直接的な利益につながる営業職は厚くそろえておきたいため、営業求人が多数存在するのです。

他職種からの転職でも経験を活かしやすい

一般的に、転職で職種変更をするのはリスクが大きく、おすすめできない道と言われます。

職種を変えればこれまでの経験を活かすことができず、中途採用者でありながら新卒とほとんど同じ扱いになってしまうからです。

しかし、営業の場合は他職種からの転職でも成功可能性が高いと言えます。

営業に求められる力として、コミュニケーションスキルや提案力、タフな精神力などが言われますが、これらは他のどの職種にも必要なスキルだからです。

つまり、他職種からでも、営業に活かせるスキルを兼ね備えているケースが多いということ。

応募の際も、これまでの経験を営業職のどんな点に活かせるかを整理して伝えることで、他職種からのキャリアチェンジも可能になるのです。

入れ替わりが激しいため通年募集している

営業は結果を求められる厳しい面がありますから、結果を残せない営業は淘汰されていきます。

企業が人材を解雇するハードルは高いため簡単に解雇はされませんが、成績が悪くて職場に居づらい、上司から厳しく叱咤されて精神的に参ってしまうなどで、自ら辞める営業も少なくないからです。

営業は本当に入れ替わりが激しい職種なので、通年募集する企業も多くなります。

ハローワークや求人媒体で「よく見かける求人だな。」と思って見てみると、営業であるケースも多くありますよ。

歩合制で人件費削減ができるから好都合

営業の給与形態は、固定給と歩合給とに分かれます。

法人営業やルート営業を除くと、歩合給の営業が多いと言えるでしょう。

歩合給の場合、営業自身にとっては、頑張った分だけ稼ぎやすいという利点があります。

一方で、企業にとっても大きなメリットが。

結果がでれば報酬で還元する分、結果を残せない営業は各段に給与が下がるため、人件費の面では企業が優位に立つからです。

歩合給は一見、営業に優しい制度のようにも思えますが、「売り上げた分だけ払えばいい」という意味で業務委託と似たところがあります。

毎月一定の人件費が発生する固定給人材より好都合なのです。

必然的に求人数も多くなり、採用ハードルも低めで転職しやすくなると言えるでしょう。

「転職しやすい」と言われても転職できない理由

営業職は「転職しやすい」と言われる一方で、営業職に転職したくてもできない人もいます。

転職ハードルが低いはずの営業職ですが、なぜ転職できないのでしょうか。

資格や経験が問われる営業もある

資格や学歴、経験さえも問われにくい営業職ですが、当然ながら企業によって応募条件は異なります。

営業部隊に力を入れる企業ほど高いレベルの営業人材を求める傾向にありますから、特定の資格や学歴、経験年数が応募条件になっている場合もあります。

一般的に、応募条件が厳しい企業ほど、給与や待遇などの条件がよく、応募者の目を引く募集内容になっています。

そうした企業は人気が集まりやすいため、応募条件を高めに設定してふるいにかける必要があるからです。

営業職になかなか転職できない人は、給与や待遇にこだわり過ぎて、そもそも応募できない求人ばかりを探している可能性があります。

どの営業求人にも通用する応募書類を送っている

営業職に応募しても書類選考の段階で不採用になることが多い人は、応募書類自体の見直しが必要です。

多いのは、どの営業求人にも通用する応募書類を送っているケース。

応募書類の作成は手間がかかるため、個別の企業ごとに作らず、一度作った応募書類を流用しているのです。

これでは、企業が見たときに意欲を疑われてしまいます。

人事担当者は多数の応募書類を見てきたプロですから、どこかで見たような応募書類には目も向けてくれません。

面倒でも、応募書類は企業ごとに作成しましょう。

企業研究をしっかりおこない、その企業でなければならない理由を書くことで、個性がでて人事担当者の目を引く書類になります。

そもそも営業向きではない可能性

面接までは行くけれどいつも不採用になるという場合、面接対策によって改善できるケースと、そもそも営業向きではないケースとあります。

前者の場合は、転職エージェントなどのプロに依頼すれば対策してくれるため改善見込みはあるのですが、後者の場合は致命的です。

特に、コミュニケーション能力が低く、売上への意気込みや向上心がない人材は営業向きではないと言え、面接官もしっかり見抜いています。

単に話すのがうまいということではなく、人の話をよく聞き、熱意をもって仕事に取り組めるかどうかにかかっているでしょう。

もう一度自己分析を丁寧におこない、自身の強み弱み、仕事に何を求めているのかを整理すべきです。

簡単に転職しやすい営業に転職するリスク

営業職に応募したら、特に厳しい面接もなく、あれよあれよという間に内定までたどり着くことがあります。

想像以上に簡単に採用されると、「やっぱり営業は転職しやすい!」と思うかもしれませんね。

しかし、選考基準が緩く簡単に採用された企業に転職するには注意も必要です。

どんなリスクがあるのでしょうか。

売上ノルマが厳しい

採用されやすい企業ほど、入った後に後悔する可能性が高まります。

売上ノルマが厳し過ぎる、上司からの圧力が強いなど、転職して苦労するかもしれません。

売上ノルマが厳しいと離職率も高くなりますから、たいした選考をせず、どんどん営業を雇う企業も存在しています。

歩合率が低すぎて生活できない、営業に使う車や備品購入費用を営業自身に負担させるようなブラック企業もありますよ。

「うまい話には裏がある」は転職においても言えることですから、企業情報や口コミなどをしっかり調べておきましょう。

「転職しやすい」と「営業として成功する」はまったく別物!

営業は確かに転職しやすい側面がありますが、勘違いすべきでないのは「転職しやすい」と「営業として成功する」はまったく別物だということです。

前述したようなさまざまな理由から、営業の転職ハードルは他職種に比べると低いですが、その分転職した後に大変なケースが多いのです。

稼げると聞いた営業も、なかなか契約が取れず最低賃金ギリギリ、休日や時間外関係なく連絡してくるクライアントにイライラするなど。

ストレスフルな環境になりやすい職種だからです。

希望の営業職に転職するなら転職エージェントを使おう

営業の求人は、他の多数の職種と同様に、いい求人、悪い求人が混在しています。

転職しやすいからいいというものではありませんから、慎重に見極める目が必要でしょう。

納得できる営業の求人を見つけたいなら転職エージェントを頼るのが一番です。

プロならではの視点で希望に合った営業求人を見つけだしてくれ、企業情報提供にも一役買ってくれるからです。

転職活動全体をサポートしてくれる心強い存在ですから、上手に活用してください。

最後に

いかがでしたか?今回は、営業が「転職しやすい」と言われる理由と、転職できない理由を紹介しました。

営業の転職しやすさには理由があり、そこには企業の思惑も見え隠れしています。

営業職に魅力を感じる人でないと難しい仕事でもありますので、自身の適性も踏まえ、ぜひ慎重な判断をしましょう。