会社が倒産しそうなときに、倒産前に転職をするか、倒産するまで待ってから転職活動をするのかの選択を迫られます。

倒産がほぼ確実であれば、早めに見切りをつけて倒産前に転職活動を行うようにしましょう。

今回は、倒産してからの転職活動に潜むリスクと、倒産前に転職をすることのメリットについてご紹介していきます。

倒産してからの転職の金銭的なリスクとは?

倒産してからの転職活動では、まず金銭的なリスクが大いに考えられますが、どのようなことなのでしょうか?

給与未払いや退職金不支給のリスクも

倒産した会社には支払能力がないため、最悪の場合には給与の支払に遅延が生じることがあります。

経営者の夜逃げなどで、給与が支払われないというケースもあります。

また、未払い賃金を国が立て替えてくれる未払賃金立替払制度というものがありますが、未払い賃金の全額ではなく8割です。

しかも、ボーナスに関しては対象にならないため、注意が必要です。

さらに退職金に関しても対象になりえますが、上限が定められているため、高額の退職金を全額受け取れるということはありません。

給付日数が長くなるのは実はデメリットかも

倒産して退職をした場合、雇用保険のいわゆる失業手当に関しては給付日数が多くなったり、自主退職よりも早めにもらえるというメリットがあります。

しかし失業手当でもらえる金額は、あくまでも賃金の6割程度に過ぎず、自立して生活をしていくのはかなり厳しい金額です。

いくら給付日数が長いと言っても、その間貯金を切り崩していく必要はありますので、倒産後の援助について安心しきってしまうのは実はリスクがあることなのです。

倒産してからの転職が与える精神的な影響とは?

倒産してからの転職活動は、精神的に悪影響を及ぼすことになります。

どんなことが考えられるのでしょうか?

失業期間が長くなると働くのがバカらしくなる

失業手当をもらい、貯金を切り崩しながらの生活は厳しいです。

しかし、実家に帰って住む家などを確保できれば、何とか生活していけるレベルを保つことは可能です。

その間は、働かなくても収入があるため、失業期間が長くなればなるほど働くのが馬鹿らしくなることがあります。

特に倒産したために給付日数が長い場合には、自分の中に甘えの心が生まれてしまい、「失業手当をもらえる間は敢えて職探しをしなくてもいいや」という気持ちになります。

怠惰な気持ちが生まれてしまうと、そこから気持ちを切り替えて仕事を探すのはなかなか難しく、気分が乗らないため、転職先にもうまくアピールすることができなくなっていきます。

焦りがでてくるため転職が失敗しやすい

自立して生活している人にとっては、倒産したあとの転職活動はかなり焦りがでてくるものです。

なぜなら、早く転職先を決めないと生活自体が困難を極めるからです。

焦る気持ちが生まれることで転職先のレベルを下げてしまったり、「ここで決めなくては!」という強い気持ちが気負いになり、応募先の企業に好印象を与えることができなくなってしまいます。

倒産してからの転職活動は、長引けば長引くほど焦りの気持ちが増えていくというデメリットがあります。

倒産する前の転職活動にはこんなメリットが

倒産する前に転職活動を行うことは、倒産後の転職活動に比べてもメリットが大きいことです。

一体どんなメリットが考えられるのでしょうか?

気持ち的な余裕を持って転職活動に臨めるため能力を十分にアピールできる

倒産する前に在籍しながら転職活動をすると、時間的にも気持ち的にも余裕があります。

焦る気持ちが少ないため、面接などでも落ち着いて冷静に対処することができ、結果として自己アピールをしっかりと行うことができます。

気持ち的な余裕があるのとないのとでは、転職の成功にも大きく影響を与えることなのです。

転職先でブラック企業につかまらない

焦りが生まれる倒産後の転職活動と違い、内定をもらった企業に多少不満があれば、妥協して転職する確率が低くなることは大きなメリットです。

気持ちの余裕があれば自分自身で冷静に転職先を見極め、しっかりとした企業を選ぶことができます。

妥協をして就職した会社は結局自分の希望とずれがあるため、満足できないことが多いですし、中には転職先がブラック企業だったということもあります。

ブラック企業につかまれば長時間労働で体を壊したり、ノルマが厳しくパワハラ上司がいたりなどで、再度の転職活動を強いられるはめになります。

貯金を削らず経済的な安定が図れる

倒産前に転職先を決めてしまうことで、収入が途絶えることがないため経済的なメリットは非常に大きいです。

さらに倒産前であれば企業側の支払体力がまだあり、給与の遅延や退職金の未払いなどを避けることもできます。

倒産の兆候を敏感に察知しよう

会社の業績が良くないことは薄々感じるかもしれませんが、倒産の兆候にはどんなことが考えられるのかを知っておく必要があります。

それに該当することがあれば倒産の可能性が高まるため、素早い行動に移すことができるからです。

例えば一般社員には知らされない内容の役職者会議が頻繁に行われるようになったとか、銀行関係者がよく訪ねてくるようになったなどは、経営が悪化しているサインです。

さらに、経理課の職員の退職が相次いでいる場合には危険です。

経理課は会社の資金繰りなど経営状況を把握していますから、倒産前に脱出を図っている可能性が高いです。

新しく人員の補充がなければ、経営悪化はほぼ確実でしょう。

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在籍中の転職活動には転職エージェントがおすすめ

倒産後の転職活動は非常にリスクが高いことですから、倒産前にしっかりと転職先を見つけておくようにしましょう。

在籍中の転職活動には、転職エージェントの利用がおすすめです。

ハローワークなどに出向かなくても求人を探すことができますし、面接の日程調整など具体的なサポートを受けることができます。

業績悪化でなかなか有休がとりにくいという状況であっても、転職活動を進めていくことができるのが大きなメリットです。

転職エージェントの登録は無料なので、賢く利用していきましょう。

会社の倒産前に転職をしよう

今回は、倒産してからの転職に潜むリスクと、倒産前の転職活動のメリットについてご紹介してきました。

会社と一緒に沈没しても、将来その会社が助けてくれる保証はどこにもありません。

自分の身は自分にしか守れないのだと理解して、倒産前の転職を心がけましょう。

ぜひ参考にしてみてください。