宝石・宝飾・ジュエリー業界を景気が良い業界だと感じる人は、そういないのではないでしょうか?
デパートのジュエリー売り場も閑散としていることが多く、単価が高いにしても大きな売り上げをあげているというイメージはないかもしれません。
そしてそのイメージ通り、ジュエリー業界の現状は厳しく、そこで働く人たちも岐路を迎えています。
転職を考えるなら今というタイミングに来ているとも言えます。
そこで今回は、ジュエリー業界の厳しさと販売員の過酷な現状をご紹介していきます。
目次
ジュエリー業界の市場規模は縮小傾向にある
ここ数十年でジュエリー業界の市場規模は、ピーク時の3分の1ほどに縮小したと言われています。
バブル崩壊からリーマンショックに至るまでの間に、下がり続けた業界全体の売り上げは、わずかながら回復の兆しが見えております。
東京オリンピックなどを控えて、外国人観光客などの需要が見込まれるとも言われています。
しかし、近年の中国人観光客の爆買いと言われる現象も一時的なものだったことを考えると、継続して売り上げが見込める大きな期待はできないでしょう。
やはりジュエリーは生活必需品ではありませんし、はっきり言ってなくても困らないものです。
日本全体の景気が大回復傾向にあるという見方もありますが、実際には中小企業の従業員が感じられるほど回復しているとは言えないのが現状です。
実際は、ジュエリーを買うほどの余裕はない人が多いです。
ブライダルジュエリーも厳しい
普段はジュエリーを買わない人でも、ブライダルジュエリーだけは別というケースは多いでしょう。
ただ、近年は生涯未婚率も年々高まっていますし、結婚という枠にとらわれない様々なカップルの形が世間的にも容認されるようになりました。
また、入籍するにしても結婚式を挙げない、婚約指輪はなし、それよりも生活重視という実用主義のカップルも増えました。
ジュエリーの中でも譲れないポイントであるブライダルジュエリーについても、将来性は不透明と言えるでしょう。
自爆営業が多いと言われる販売員の現状
ジュエリー業界で働くにはデザイナーや本社の総合職などを除けば、割合的には多くがショップでの販売員となります。
業界全体が苦しい以上、デザイナーや本社勤務でさえ先行きが見えない世界ですが、販売員の仕事は特に過酷を極めています。
特にノルマが厳しい店が多いことでも知られており、売り上げがないと上司から厳しく言われるという販売員の声は多く聞かれています。
さらに自爆営業と呼ばれる、ノルマを達成するために身銭を切る行為もいまだに行われているようで、高額なジュエリーを購入して生活が苦しいという販売員も実際にいます。
ノルマがないと入社前に言われていることも多い
ジュエリー業界に就職しても、そのノルマの厳しさを理由に辞めていく人は大勢います。
ノルマの話など知らなかったという人もいるのでしょうが、多くは入社前に確認したけれど「ノルマは一切ないと言われていた」ということがあります。
「ノルマは一切ない」という言葉は非常に危険な言葉で、確かに会社規則にもどこにもそのような規定はないから、ウソではないという言い訳ができる言葉です。
しかし、暗黙のルールとして存在していたり、ノルマではないけれど売り上げを厳しく指摘されることは日常的にあることがほとんどです。
「会社規則としてのノルマはないけれど、実質的なノルマは存在する」ということなのです。
今後も景気に左右され続ける不安定な業界
ジュエリー業界の今後は、市場規模がこれ以上縮小し続けるというよりは、何年かは低空飛行が続いていくと言えるかもしれません。
婚約指輪を持たないカップルが増えたとは言え、まだまだ持つ派の方が割合的には多いです。
ある程度収入に余裕がある人にとっては、ジュエリーは身近な存在かもしれません。
ただ、少子化であることや年金制度の崩壊によって若者たちの老後に不安が大きいことを考えると、消費者の節約傾向は続くと見るのが妥当です。
ジュエリー業界の売上が大幅に回復すると考えることは、できないのではないでしょうか?
少なくとも、今後も景気によって大きく左右され続ける業界であることは、確かだと言えそうです。
ジュエリー販売に価値を見いだせないなら他の販売を
ジュエリー業界で働く人にとって、将来性への不安や現状の苦しさがあったとしても、ジュエリーに高い価値を見出し、世の中に広めていきたいという熱意があるのであれば業界内に留まって努力するべきでしょう。
その熱意は仕事へのやりがいにつながりますし、精神的な支えとなって仕事を継続する意欲が沸きます。
将来性がないからすぐに辞めるというよりは、その仕事が好きで価値を見出しているという要素すらもないなら、辞めるべきだということです。
ジュエリーは他の販売と違って何となく敷居が高く、上品でレベルが高い販売員のように感じて就職した人はどうでしょうか?
ジュエリー自体が高価だからと言って、販売員の質が高いわけではありません。
何の販売をするにしても、その商品への愛情や熱意がなければ所詮は単なるお会計係になってしまうのです。
ジュエリーによほどの価値を見いだせないのであれば、自分が好きになれる商品を売る他の販売員に転職するのも手です。
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ジュエリー業界を飛び出そう
ジュエリー業界の厳しさと、販売員の過酷な現状についてご紹介してきました。
ジュエリーそのものは決して悪ではありませんが、業界の厳しさからもノルマや自爆営業などに苦しんでいる販売員もいます。
業界全体の将来性への不安と現状の辛さが同時にあるのであれば、転職に向けて前向きに考えていきましょう。