転勤命令は会社に裁量権がありますから、会社は自由に労働者に転勤を命じることができます。
しかし、女性社員にだけ県外転勤が多いという会社があり、そのような会社は自分の性別問わず、会社の体質そのものを疑ってみるべきです。
今回は、女性社員の県外転勤が多い会社の実態についてご紹介していきます。
目次
女性は家族の状況などで転勤がしにくいのは事実
転勤に対して対応がしにくいのは男性よりも女性であることは間違いありません。
女性の社会進出が進んだとは言え、家庭における家事の負担割合はやはり女性の方が大きいですし、子供がいる場合には授乳など、身体的な問題として女性にしかそもそもできないことがあるからです。
どんなに協力的な旦那さんがいたとしても、母親にしか果たせない役割というものがある以上、女性が転勤に対して消極的になってしまうのは無理のないことなのです。
転勤は会社の裁量次第であることを逆手に取った悪質な行為がある
そもそも配置などに関しては会社に裁量権があります。
転勤に関しても同様で、転勤命令に対して労働者は基本的に拒むことはできません。
元々転勤がないという雇用契約を結んでいるのであれば別ですが、転勤の可能性に関しては入社時に本人も確認しているからです。
ただ、会社はこの裁量権を逆手に取って転勤を命じることがあります。
どんなことかというと、「転勤が難しいからという理由で労働者が自主退社することを見越して、敢えて転勤命令を出す」ということです。
会社が労働者を解雇するには、かなりハードルが高く、よほどの理由がない限りは解雇することはできません。
しかし自主退社となれば別です。
自分で退社を希望するのですから、会社側の法的な責任はありません。
つまり、労働者が自主退社するようにわざと仕向けているということです。
特に子供の都合で仕事を抜けがちになる可能性が高い女性社員や、真面目に仕事をやっているけれど成果を挙げることができない労働者などが対象になってしまうことが多いのです。
これらの人は会社にとってみれば、人件費を払う価値が他の人に比べると低いと判断されがちな人です。
どんな理由があっても、よく仕事を抜ける人より、毎日出勤して働いてくれて高い成果を挙げてくれる人の方が会社にとってメリットがあると思われてしまうのです。
法違反ではないけれど、わかっていてやっている、このような悪質な行為は実在します。
育休明けの女性に県外転勤を命じる場合は悪質性がかなり高い
育児・介護休業法では、事業主は育児中の労働者に対して転勤などに一定の配慮を求めるよう定められています。
育児中の労働者というのは育児休業中の労働者に限りませんので、育休から復帰した労働者にいきなり県外の転勤を命じるのは基本的にあってはならないという意図があります。
ただ、これは配慮という曖昧なもののため抜け道もあり「配慮したけれど人員の配置上仕方のないことだった」と言い訳をする企業は多いのでしょう。
育休明けの労働者に転勤させることが必ずしも違法になるわけではないのです。
ただ、普通に考えて、育休明けの女性に県外転勤を命じるのは著しく配慮に欠く行為です。
本人の希望があればもちろん別ですが、育休から復帰するには保育園などを決めてある場合がほとんどでしょうし、育児の状況から考えても県外転勤を受け入れられるという人は少ないでしょう。
育休明けの女性に県外転勤を命じるケースが多い会社は、かなり悪質性が高いと言わざるを得ません。
従業員を大切にしない会社に魅力を感じるかどうか
女性社員の県外転勤命令が多いという事実が見えたら、その会社は「わかっていてやっている」可能性が高いです。
従業員を駒のようにしか考えておらず、転勤という制度を悪用して自主退社に追い込む、そんな会社は終わっています。
自主退社に追い込まれた従業員たちから始まり悪評がいずれ立ち、業績が悪化する可能性もあります。
自分の性別問わず、そのような会社に魅力を感じるかどうか真剣に考えてみましょう。
そもそもそのような体質の会社に魅力を感じる人は少ないはずですし、転勤以外にもあの手この手で従業員を使い捨てにして、うまく退社に追い込む策を考えている可能性もあります。
自分が被害を受ける前に転職を考えてみよう
育児中の女性や、今後結婚・出産の希望がある女性は、自分が被害を受ける前に早めに転職に向けて動きだすのが吉です。
いつ自分が家族の状況を配慮されない転勤命令を受けるかわかりません。
女性が安心して働くことのできる会社は世の中にたくさんありますから、今のうちに転職先を探しておくべきです。
転職先の見極め方としては、育児をしながら働く女性が多く活躍している、時短制度や短時間正社員などの働き方の制度が充実している会社が良いでしょう。
女性を大切な人材と考える意識が高く、育児などに対する理解が得られやすい可能性が高いです。
ロールモデルの確認や制度の有無は面接で直接聞いてみるほか、転職エージェントなどに聞いてもらうこともできます。
転職は転職エージェントを利用して
辞めてしまってから転職活動を行うのは経済的な不安がありますし、ブランクができて転職しにくくなることもあります。
基本的には在籍中の転職を成功させるのがおすすめです。
その場合、ハローワークや求人誌を使った転職活動よりも転職エージェントを利用するのが良いでしょう。
転職エージェントはあらかじめ希望の条件やスキルなどを登録しておくことで、適切な求人を紹介してくれますから、自分で求人を探す手間が省けます。
また、平日の夜や土日に求人を探すこともできますから、有休を何日も使って転職活動をする必要もありません。
面接の日程調整や給与交渉なども応募者の代わりに行ってくれるなど、サポートが充実しています。
転職エージェントは無料なのでぜひ活用してください。
最後に
いかがでしたか?今回は、女性社員の県外転勤が多い会社の実態についてご紹介してきました。
法に触れない範囲でわかっていてやっているというのは、訴えることができず悪質です。
今の会社で女性社員の県外転勤命令が多いのであれば、会社の体質を疑ってみましょう。
例え法律上違反していなくても、従業員を大切にできない会社はいずれ衰退します。
早めに見切りをつけて安心して働くことができる優良企業へ転職を成功させましょう。