未経験で介護業界に転職を考えている人は安易に考えすぎず慎重に応募に踏み切る必要があります。

これだけ情報が多い時代であっても、未経験で介護業界に入って「こんなはずじゃなかった。」と嘆く人が多いからです。

今回は、未経験で介護業界に転職する場合に事前に知っておくべき注意事項をご紹介していきます。

採用のハードルは高くはないが続けられるハードルは高い

人手不足の介護業界は内定までのハードルは高くはありませんが、転職は内定をもらうところがゴールではありません。

転職して実際に働き続けることができるのかが大事で、そのハードルが高いのがこの業界の特徴です。

介護の仕事内容は働く場所や介護の形式によっても様々ですが、基本的に介護対象者の身の回りのお世話をすることがメインの仕事です。

起床の介助から始まり、着替え、食事、入浴、オムツ交換など多くの業務を休みなく行っていきます。

体力的にハードであることはもちろん、介護対象者やその家族、職場の人たちとの人間関係における大変さもあります。

自身の適性と照らし合わせて耐えられるのかという視点は常に持っておく必要があります。

未経験でも転職できるが一生の仕事にできるか

介護業界は未経験者への門戸も広く30代はもちろん、40代の未経験者であっても転職できる可能性は十分にあります。

特に40代未経験で転職できる業界はそう多くはありませんから、40代の転職希望者にとっては魅力的な業界と言えるでしょう。

ただし、40代ともなれば今後介護業界に骨をうずめる覚悟があるのか?ということも考えておく必要があります。

40代からの転職で5年、10年と経験を積めばもう50代、その時点で他の業界に再転職は難しくなります。

現状での年金支給開始年齢を考えると最低でも65歳まで働く必要がありますし、今後の開始年齢引き上げによっては70歳も現実的に考えられるラインです。

介護業界に現時点で入ることはできるかもしれませんが、65~70歳ぐらいになるまで働き続けることができるのかは考えなくてはなりません。

何歳になっても現場に立ち続けるのか、それとも資格等を計画的に取得してステップアップし、介護職の中でも事務系の領域にシフトしていけるのか、将来的なヴィジョンを3~5年スパンかつ現実的な視点で設定しておきましょう。

今は体力的に大丈夫でも、10年先にはどうなのかという点まで考えておく必要があります。

給与水準は低いから覚悟すべき

一般的によく言われているように介護業界の給与相場はかなり低いです。

転職した後に「想像以上に低い」「低いどころのレベルではなく生活できない」と嘆く人もいます。

これではあまりにも事前のシミュレーションが不足していると言わざるを得ません。

これだけメディア等様々な場所で介護業界の待遇の悪さが指摘されているのですから、他の業界以上に慎重に下調べをして転職直前まで確認をするという姿勢が必要です。

求人広告に記載されている給与は手取りではありませんから、実際に、最低でも、いくらは手元に残るのかを想定した上で今の生活を維持できるのかを考えてみてください。

配偶者や家族がいる場合は、その人たちの収入も含めて考えてみると良いでしょう。

奥さんが妊娠して働けなくなる可能性がある場合などは、その間に生活が成り立ちそうかも考えてみてください。

介護業界を逃げ道にする人は高い確率で辞めていく

介護の仕事は離職率が高くきつい仕事だと言われますが、実際にはこの仕事を天職のように考え、やりがいを感じながら働いている人も大勢います。

その人たちが特段給与や待遇に恵まれているわけではないくても、です。

それはその人たちが介護の仕事を通じて社会に貢献したいとか、人の世話をすることに喜びを感じるとか、仕事そのものに対して意義を見出しているからです。

未経験で介護業界に入りすぐに辞めてしまう人の特徴として「他に採用してくれるところがなかったから。」「介護業界なら入れると思った。」など介護の仕事を逃げ道として入ってきた人です。

こういう人はよほど心身ともにタフでない限りは、仕事のきつさと給与の低さで辞めてしまう確率が高いです。

今、未経験から介護業界に入ろうと考えているのであればこの仕事に対して価値を見出せそうかどうかは考えておくべきです。

いつでも感謝されるわけではない。理想を持ちすぎないように

介護の仕事に対して高い理想を抱きすぎるのも危険です。

例えば、介護対象者から笑顔で「いつもありがとう」と言ってもらえそうと、やりがい面をやけに期待して転職する場合があります。

テレビCMや介護施設のパンフレットなどでは、優しそうな介護対象者と笑顔で接する介護職員の写真が載ってます。

そういう場面もありますが、実際にはほとんどの大変な仕事のうち、ごく稀にお礼を言われるとかそのレベルです。

それどころかお礼を言ってくれる介護対象者なら良い方で、介護対象者から罵声を浴びせられたりひどい場合には暴力を受けるということもあります。

それでも笑顔で接する、そういう仕事であることを理解した上で、実際に仕事としてやっていけるのかという現実的な考え方を持っておくべきでしょう。

資格についても確認しておこう

勤務場所が介護施設内に限られているなどの場合は無資格でも働くことができますが、訪問介護なども行っている場合は介護職員初任者研修などの資格が必要で、入社してから受講を求められることもあります。

働きながら取得することも可能ですが、慣れない仕事で毎日ヘトヘト、仕事で覚えることも多い中で同時に資格の勉強も続けていくことになります。

働きながらだと3ヶ月程度かかりますが、もし失業中であれば最短1ヶ月で取得も可能なので先に取得してから転職活動を行うのも手です。

要件を満たすのであればハローワークの無料受講の対象になりえますが、人気の資格で倍率が高くテキスト代などの実費は発生しますから、お住まいのハローワークに詳細を確認してから動き出す必要があります。

民間スクールも同時に調べておく方が無難でしょう。

企業によって大きな違いがあるから求人選びは慎重に

介護職の応募はいたるところで見られますが、各企業や施設のレベルには大きな差があります。

介護職員の労働環境改善のために努力し、介護に対して信念を持った経営者もいれば、単なる利益目的で参入しとにかく安く労働力を搾取しようとする経営者もいます。

見極めるのはなかなか難しいですが、無料で掲載できて審査が甘いハローワークではなく、有料掲載で企業審査がしっかり行われる転職エージェントを経由して応募する方が優良な介護施設や企業に出会いやすくなります。

最後に

いかがでしたか?今回は、未経験で介護業界に転職する場合に事前に知っておくべき注意事項をご紹介しました。

この業界で仕事を続けていくには、仕事自体に価値を見出すことと多少のきつさに耐える覚悟が必要です。

それを理解した上での転職であれば、資格を段階的に取得してステップアップでき、成長を感じられる仕事でもあります。

需要は今後ますます高まり活躍の場は広がるでしょう。