求人広告のキャッチコピーに「やる気をもって取り組める方を歓迎します。」というものがあります。

スキルや経験がないけれどチャレンジしたいという人や、頑張りを評価されたいと思っている人にとっては魅力的に感じるかもしれません。

しかしこの文言には少し注意が必要です。

一体どういうことなのでしょうか?

「やる気をもって取り組める方歓迎」の意図とは?

スキルや経験以上がいくらあってもやる気がなければ始まらない、そう考える人事担当者は多いため、やる気がある人を求めるのは当然とも言えます。

この文言の意図は、やる気をはじめとして積極性や向上心の高さなど、能動的に仕事に取り組んでくれる人を求めていることが分かります。

わざわざキャッチコピーとして利用するぐらいですから、以前にやる気がない人が応募してきた、やる気がない社員を採用して痛い目に合ったなどの事情も考えられます。

そもそもグレーな言い方?

「やる気をもって取り組める方」という書き方は法律的に違法ではないのですが、あまり好ましくないとの見方もあります。

事業主が求人広告を出す際には雇用対策法や職業安定法などの法律によって、募集側は応募者を「限定」することは禁じられています。

例えば年齢や性別、国籍などだけでなく、「明るい方歓迎」など性格的なものを限定することもNGとされています。

応募者の門戸を広げるため、仕事の能力とは関係のない事項を書くことは基本的にできないからです。

明るく仕事ができるに越したことはないでしょうが、性格的に明るくなくてもちゃんと仕事をしてくれる人はいます。

そうなると求人広告に何も書けないでないかということで、「明るく仕事に取り組んでくれる方歓迎」などのように含みを持たせた言い方に替える逃げ道があります。

ただこれは表記上問題がないだけであって、あえて逃げ道を選択してまで性格的なものを求めているということは覚えておいても良いかもしれません。

「やる気をもって取り組める方」ならば、やる気重視の側面が強いと言えるでしょう。

長時間労働のリスクもある

日本では長時間働くことが評価される風習がいまだに根強く残っており、早く仕事を終わらせて定時に帰る人よりも、毎日残業している人の方が「仕事熱心でやる気がある人」「頑張っている人」と思われることがあります。

つまり、長時間労働もいとわないぐらいの方が、やる気があると判断される可能性があるということです。

もちろんすべての企業に該当するわけではありませんが、やる気重視=長時間労働の可能性という意味でも少し注意が必要です。

残業時間の事前確認などを慎重に行っておきましょう。

教育体制が整っていない場合も

中途採用者を募集する企業は、基本的には新卒のような未経験者をゼロから育てる余裕がありません。

やる気がある中途採用者ならばわざわざこちらから教えてあげなくても、自分で勉強したり、先輩たちの姿を見て仕事を覚えてくれることがあるでしょう。

そのため、教育体制が整っていない企業でもやる気がある人を求める傾向にあります。

転職しても満足いく教育を受けられないなどの不満を感じる可能性があります。

社風が体育会系の可能性あり

やる気という内面的なものを求める典型例として体育会系の社風があります。

学生時代の部活のように、上下関係が異様に厳しい、基本的に声が大きくないといけないなど職場内に熱がこもっている社風です。

もちろん体育会系の社風がすべて悪ではなく、活気ある社内の雰囲気でとても良い職場もあります。

許容できる範囲内での体育会系ならば問題ないと言えるでしょう。

しかし、いつも上司に怒鳴り散らされる、礼儀がなっていないという理由で殴られるなど、パワハラが横行しているならば大問題です。

仕事上の相談やミスに対しても「やる気さえあれば乗り切れる」など精神論を押し付けられ、具体的な解決策を提示されない可能性もあるでしょう。

職場見学や面接時に職場の雰囲気を確認するなどして、看過できない体育会系の社風がないか見極めるようにしましょう。

企業としてのアピールポイントがない

求人広告のキャッチコピーは応募者を募るために効果的なものですが、そもそも求人広告にキャッチコピーは必須ではなく、仕事内容や待遇などの労働条件について詳細に記載されていればいいはずです。

そのため気を付けたいのは、求人広告が小さいサイズなのにやる気を求めるキャッチコピーが書かれているケースです。

求人媒体によっては求人広告の内容には総文字数の制限がありますから、限られた文字数の中で必要な情報を掲載する必要があります。

応募者にとって通常必要な情報は仕事内容や条件面などに関することで、広告サイズが小さい場合は必要最低限のことしか書けないでしょう。

しかしその中の何かを削ってまで、やる気を求めるというキャッチコピーに文字数を費やしているということは見逃せません。

考えられることとしては、応募者を惹きつけるような企業としてのアピールポイントが他にないということがあります。

企業としてアピールすべき点が他にない場合、キャッチコピーを利用して何とか応募者を募ろうとすることはよくあります。

極端なことを言ってしまえば、給与や待遇がよく仕事内容も楽しそう、そんな仕事であればキャッチコピーなどなくても人は簡単に集まるのです。

企業研究を通じて企業としての魅力が何なのかを見極めなくてはならないでしょう。

キャッチコピー一つで疑心暗鬼になる必要はない

ここまで「やる気をもって取り組める方歓迎」という文言にリスクがあることをご紹介しました。

もちろんこれは単なるキャッチコピーですから、この文言一つをもって疑心暗鬼になる必要はありません。

企業としては「こんな人と一緒に働きたい。」という気持ちで悪意など何もなくキャッチコピーとして利用していることも多いからです。

ただ、こういった精神論を求めるキャッチコピーが募集要項や企業HPなどでいたるところに見られる場合には、疑ってかかる必要があるかもしれません。

その上で、企業研究や職場訪問、面接での対応など総合的に見た上で最終判断するようにしましょう。

応募時の相談は転職エージェントにしよう

求人広告を見ていると「この企業本当に大丈夫かな?」「興味はあるけど不安がある。」など、応募に踏み切れないケースが出てきます。

応募=働くことではないので積極的に応募していきたいところですが、悪質な企業に引っかからないようにしたいとの考えはよく理解できます。

この場合は、転職エージェントを経由して応募していくと安心できるでしょう。

募集要項に関して不安や知りたいことがあれば転職エージェントから確認してもらうこともできますし、掲載にあたっての企業審査もしっかりされています。

求人紹介だけでなく、応募書類の添削や面接対策など転職活動をサポートしてくれる点も魅力です。

応募者は無料で利用できますので活用してみてください。

最後に

いかがでしたか?今回は、「やる気をもって取り組める方歓迎」と書かれた求人広告の意図とリスクをご紹介しました。

キャッチコピー一つではありますが、募集側の感情や求める人材が表れているものでもあります。

その視点で求人広告を見つめてみてはいかがでしょうか?