今の会社の業績が悪化した、給与が低くて生活が厳しかったなどが転職理由としてある場合に陥りがちなのが「安定した企業へ転職したい。」という気持ちです。
不安定な状況で仕事を続けてきた人にとっての「安定」はとても魅力的な言葉に感じることでしょう。
しかし、転職先に安定を望むのは危険な考え方であり、安定は幻想でしか過ぎません。
色々な場所でそういったことを言われているであろうに、なぜか転職先に安定を求める人があとをたたず、大抵が不採用であったり転職後に後悔することになります。
そこで今回は、転職先に安定を求める人が知っておきたいことについてお話していきます。
目次
大企業が安定はもう時代遅れの考え方
転職先に安定を求める場合、真っ先に考えるのが「大企業だったら安定しているはず。」ということです。
給与や待遇が良いだけでなく、資金力がある、事業展開も豊富でリスクヘッジがされているなど、多くの理由から「大企業=安定」というイメージが沸くことでしょう。
しかし今は大企業も倒産の可能性がある時代です。
今も昔も就活生から圧倒的な人気を誇る大人気企業だって過去に破綻を経験しています。
最近では誰もが知る有名大企業の倒産が目前だと一部ではささやかれていますし、吸収や合併で会社の経営方針そのものが大きく変わってしまうリスクだってあります。
こういった事実を新聞やニュース等で知ってはいるのに、まだ大企業が安定だと思うのは、仕事に対して他に価値が見いだせないといった事情もあるのかもしれません。
いずれにしても大企業が安定的であるというのは今の時代にそぐわない考え方です。
依存心が強いと必ずどこに行っても不満を持つようになる
転職先に安定を求めるということは、会社に依存したいという気持ちの表れとも言えます。
何かあったときに助けてほしいから、自分の生活を高い給与で担保してほしいから、安定企業を求めるのです。
もちろん、安心して働きたいと願うのは当然の感情で悪いことでは決してありません。
ただし、それは将来的な保証はどこにもないのだということは理解しておかないとなりません。
依存心があると相手に対して「こうしてくれるはず」という期待を心のどこかで抱きます。
自分では働かず配偶者の収入に依存している人が「稼いできてくれるはず」と思っていることと似ています。
そういう人がある日突然配偶者が失業したときに「何やってるの!?」と怒りにも似た感情を持つのと同じで、会社に対して依存心があるばかりに、会社がしてくれない何かに対して不満を持つのです。
自分の力で何とかしようと常に考えている人は不満を抱きにくいですが、誰かに依存したい気持ちが強い人はどこに行っても必ず文句を言うようになります。
結果的に転職を繰り返して失敗してしまうことになるのです。
安定志向の人は活躍できない?
会社への依存心が強い安定志向の人が仕事で活躍できるのかを考えたとき、多くの人が淘汰されていく可能性があります。
例えば、「ぶら下がり社員」と呼ばれる人たちがいます。
指示された仕事以外のことはやらない、自らすすんで何かを提案することはない、給与さえもらえればそれでいいという会社に依存している人のことです。
こういった人たちは近年問題になってきていて、各企業の人事部を中心としてぶら下がり社員への対応を行ったり、依存心がありそうな人をそもそも採用しないということもあります。
ぶら下がり社員の問題もあって、特に近年の転職市場では多くの人事担当者にとって安定志向の人は魅力的ではないのです。
そもそも企業は応募者に貢献を求めているのですから、依存心が強く能動的に行動できない人を採用するメリットは全くないのです。
人が嫌がる仕事をする覚悟はあるのか
世の中に安定した仕事があるとしたら、「需要がなくならないけれど誰もやりたがらない仕事」かもしれません。
需要があっても人気で参入企業が多い仕事であれば他企業との競争が激しく不安定ですし、やりたい人ばかりの人気の仕事であればそもそも自分がその仕事に就けるか分かりません。
転職先として安定を絶対条件で挙げるならば、そういった仕事に目を向けてみるのも一つかもしれません。
例えば葬儀関係の仕事や廃棄物、汚物処理などの仕事は需要がなくなる可能性が低く、自らやりたがる人はそう多くはない仕事です。
もちろんこういった仕事でも100%の安定というものはあるわけではありませんが、転職先に安定を求めるのであれば、人が嫌がる仕事をする覚悟はあるのかということは自分に問いかけてみても良いでしょう。
人事評価制度はバランスが大事
昔の日本社会は安定企業が多かったと言われるのは、終身雇用、年功序列制が当たり前だったからです。
一度入社した会社で働いてさえいれば定年まで給与は上がり続け、世代ごとのライフステージに適した給与がもらえたことでしょう。
こういった制度はいまだに採用している企業も多いですが、だから安定ということではありません。
年功序列の人事評価制度を採用している場合、かなりの確率で「仕事の成果が正当に評価されない」という不満を抱く人がいます。
自分より明らかに無能な上司の方が、自分より高い給与をもらうということに耐えられないということがあるのです。
反対に、完全歩合制などの成果型の評価制度も不安定です。
頑張れば報酬として返ってくるけれど、成績が悪いと一気に生活できなくなるということが起こります。
転職先の人事評価制度を確認するときに大切なのはバランスです。
基本的には経験年数などで給与が段階的に上がっていくけれど、賞与など一部に成果報酬が取り入れられている、そういったバランス型の評価制度がある方が長い目で見て続けられやすいかもしれません。
安定志向の人は志望動機で熱意が伝わらない
安定志向の人の転職活動では、応募書類や面接で必ず答える志望動機が曖昧になりやすいです。
転職の目的が安定なので、人事担当者の心に響くような志望動機が考えられず、どこにでもあるような志望動機になってしまうのです。
安定を望むことが悪いというよりは、それが目的になってしまっては転職すら叶わないということです。
志望動機は特に大切なポイントなので、事前にプロの添削を受けておくなどして熱意が伝わるものに仕上げておきましょう。
転職エージェントを使えば無料でプロのアドバイスをもらうことができます。
最後に
いかがでしたか?今回は、転職先に安定を求める人が知っておきたいことをご紹介しました。
転職先に安定を求めることにはリスクがある、ということがお分かりいただけたでしょうか?
安定は現実的なものではなく幻想でしかないという事実を受け止めて、本当の意味での現実的な転職活動を行っていきましょう。