「今の仕事にやりがいを感じられない。」
「給与は低くてもやりがいさえあれば頑張れるはず。」
そんな風に思って転職活動をしていませんか?
友人や知人が生き生きと働いている様子を見て、自分もやりがいある仕事がしたいとうらやましい気持ちになることがあるかもしれません。
世の中には仕事に対してやりがいを感じながら仕事をしている人も大勢いて、確かにその人たちの満足度は高いという側面があるでしょう。
ただしそこにあるのは必ずしもやりがいだけではないという点については忘れてはなりません。
やりがいという魅力に惑わされてしまい転職先を安易に決めるということにはリスクもあるのです。
そこで今回は、やりがいだけを求めて転職することの危険性とはどんなことなのかについてお伝えしていきます。
長時間労働で過労になる
近年特に長時間労働の問題についてメディア等でも議論される機会が多く見られます。
こういうときに大抵条件付きで長時間労働を肯定する人がいて、その内容は「長時間労働は必ずしも悪ではない。やりがいがあって自分が楽しいと思う仕事ならば長い時間働いてもいいのではないか。」といったことです。
この考えは一理あるとも言えるのでここでは考え自体の是非を議論するつもりはありませんが、自分自身の状況を鑑みずこうした「やりがいがあれば」という考えを鵜呑みにしてしまうことが問題です。
例えば何でも全力投球、一つのことに集中してやるのが得意なタイプの人などは、やりがいの魅力に惑わされやすいです。
こういうタイプの人がやりがいの魅力に囚われてしまうと自分の体調など省みず長時間労働をいとわなくなり、ついつい「頑張り過ぎる」ということをしてしまいます。
やりがいを除いたときにその仕事を続ける理由が見えなくなってしまうためやりがいを感じられる程度に頑張る必要があったり、ランナーズハイのような状態になっていて自分自身を冷静に見られないということもあるでしょう。
やりがいだけを求めて転職した結果、長時間労働で過労になってしまうというケースはよくあります。
どこかで自分を客観的に見つめることができない人は、やりがいを追い求め続けることは危険だと言えるでしょう。
給与が低くて生活できなくなる
やりがいがあるけれど激務になりがちな仕事としてよくマスコミ、出版、医療系専門職などの仕事が例に挙げられることがあります。
こうした仕事は確かにやりがい指数が高そうではありますが、その分高めの給与水準を維持しています。
この場合では、やりがいプラス高い給与があるから仕事がきつくても耐えられている可能性があります。
実は給与面でも恵まれているのに「やりがいがあれば乗り越えられる」という言葉を鵜呑みにすると、やりがいはあるけど給与が低い仕事を選んでしまうということをします。
例えば低賃金が問題視されている介護士や保育士などの仕事は、やりがいを求めて就いた結果、低賃金がネックになって辞めてしまうという人は多いと言われます。
やりがい自体は大切なことかもしれませんが、あくまでも仕事をするには生活を成り立たせる必要があるという点は忘れてはならないことです。
プライベートがぼろぼろになる
ワークライフバランスという言葉が浸透している現代ですが、一部ではプライベート重視思想に対して異議を唱える風潮もあります。
ここは価値観の問題ですから仕事とプライベートのどちらを大切にするのかは人それぞれです。
ただ現実問題として、やりがいを求めてハードな職場に転職した結果、家族や恋人との時間が取れずにプライベートがぼろぼろになるとうことはよく起こります。
一緒に過ごす時間がないからお互いの考え方が理解できないようになる、仕事が大変でストレスが溜まるから身近な人に八つ当たりしてしまう、そんな風にして離婚や別れなどにつながることも珍しくありません。
最終的にはやりがいを求め過ぎて大切な人を傷つけてしまったことを後悔する人も大勢いるのですが、やはりやりがいの魔力にはかなわないのか、早い段階で気づける人ばかりではないのです。
ノルマがきつくて精神的に追い込まれる
営業職など一部の職種にはノルマがつきものですが、これは人によっては「ノルマがある方が頑張れる。」「ノルマを達成したときにやりがいを感じる。」など良い結果を生む場合もあります。
やりがいある仕事を求める人にとっては、ノルマはある程度必要なものだという位置づけなのかもしれません。
ノルマがあると人はプレッシャーを感じますが、それが適度なものであればうまくいくことはよくあります。
ただし、その適度なラインを一定して保ち続けるということは非常に難しいことです。
過度なプレッシャーを感じて眠れないとか、ノルマ達成のためならどんな手を使ってもという気持ちになりモラルが崩壊したりとか、悪い結果につながることも多くなります。
こうしてノルマと戦いながら仕事を続けていくうちに、精神的に耐えられなくなり辞めてしまうということが起こります。
特にノルマをやりがいと置き換えて「頑張れば報酬がもらえるのでやりがいがあります!」など募集要項に書かれている歩合制営業職などは、人によってはリスクが高い仕事です。
自分自身の性格や仕事に対しての考え方など、多角的に判断した上で仕事を選ぶ冷静さも必要でしょう。
やりがいを求めて転職した結果本当にいい仕事を失う人もいる
ここまでご紹介したように、やりがいだけを求めて転職することにはリスクがあります。
今の職場は人間関係も良好で給与も悪くない、ただ仕事内容がつまらないなどの場合にやりがいを求めて転職した結果「前の仕事の方がずっと良かった。」「仕事で大切なことはやりがいだけではなかった。」と気づく人も多いものです。
「隣の芝は青い」とはよく言ったものです。
それなりに良い仕事に就けているにもかかわらず、楽しそうに働く人の一面だけを見て「もっとやりがいがあって自分が輝ける場所があるはずだ。」という幻想を人はつい抱いてしまうものです。
やりがいという言葉には人を惹きつける力がありますが、転職先を選ぶ際にはやりがい以外の点も見つめる冷静さを持つことも必要です。
もし今、やりがい重視の転職活動を行って一直線になっているのであれば、転職エージェントなどのプロのアドバイスをもらいながら、仕事選びの軸となるものをもう一度見つめ直してみても良いでしょう。
自分が仕事に対して求めているのは本当にやりがいだけなのかどうかということです。
最後に
いかがでしたか?今回は、やりがいだけを求めて転職することの危険性についてご紹介しまいした。
仕事にやりがいを求めるのはとても良いことですが、それだけを見つめてしまうと転職が失敗するということはよくあります。
やりがいはどんな仕事でも自分の意識次第で感じることができるものです。
ぜひそのことを忘れずに、やりがいだけをやみくもに追い求める転職には注意してください。