即戦力が基本とされる転職市場においても、経験を不問とする求人を見かけることがあります。

未経験の業界や職種にチャレンジしたいと考えている人にとっては、目に入りやすい求人でしょう。

未経験での転職を成功させるためには、企業が経験不問求人をだす「本当の目的」を知っておく必要があります。

「経験不問だから自分にも大きなチャンスがある!」と楽観的に考えていると、後で残念な結果になりかねません。

今回は、企業が「経験不問」求人をだすことの意味と、未経験転職を成功させるためのコツを紹介します。

「経験不問」求人の背景とは?

企業が求人広告をだすときに「経験不問」「未経験者歓迎」などの文言を入れるのは一体なぜなのでしょうか。

言葉の意味をありのままに受け止めるのではなく、背景にある意図を知っておくことも大切。

ここでは、企業が「経験不問」求人を出す背景について解説していきます。

不人気職種などで人が集まりにくい

近年若者に不人気の肉体労働や屋外の仕事、サービス残業が多いイメージが定着してしまった接客・販売業など、求人広告を出しても人が集まらない仕事があります。

本音を言えば企業としても応募条件を細かく定めたいところですが、条件を指定することで応募者が来ないとなっては意味がありません。

求人の掲載にも費用がかかりますから、少しでも応募者を集めるため、経験を問わない文言を入れるのです。

資金力がなく給与など条件面を上げることが難しい

資金力がない中小企業や、労働力を安く買いたいと考える企業にとっては、給与などの条件面を改善することは難しいものです。

結果的に他の掲載企業と比べてどうしても見劣りしてしまうため、応募者の目を引くための苦肉の策として経験不問求人を出すことがあります。

簡単に言うと、応募者にアピールできる企業側のメリットがないため、経験を問わないことを唯一のメリットとしているわけですね。

職場内の人員を活性化するための前向きな意図

応募者にとってはよくないイメージが多い経験不問求人ですが、中には前向きな理由で求人をだす企業もあります。

社員にさまざまな仕事を経験させたり、職場内の活性化をはかるなどの目的で、大企業などでは人事異動が行われますが、中小企業ではあまり積極的に行われません。

部署自体が少なくて異動が難しいですし、1人で一連の業務を経験するため人事異動の必要性が少ないからです。

とはいえ職場内の人員が固定化することで、職場の空気がマンネリ化し、ぬるま湯に浸かってしまう人もいるでしょう。

人員活性化のため、敢えて経験がない人を雇うことで、職場に新しい風を入れようとすることがあります。

未経験転職を成功させるためのコツ

経験がない業界や職種への転職を成功させるためには、どんな心構えが必要なのでしょうか。

未経験転職を成功させるコツを紹介します。

応募できるだけであって歓迎されるわけではないと覚悟する

「未経験歓迎」と書かれている求人であれば、経験がなくても応募条件を満たすことはできます。

しかし、応募ができることと本当に歓迎されていることはまた別問題。

経験者の方が有利に働く可能性の方が高いと思っておきましょう。

選考はしてくれますが、未経験者であることをメリットとしてくれる企業はそう多くはないのです。

もちろん諦める必要はありませんが、そのぐらいの覚悟は持っておきましょう。

覚悟を持って臨むことで、気を緩めずに転職活動を意欲的におこなっていくことができます。

違う業界や職種でも共通点を必ず見つける

経験を問わない求人に対して誤解しやすいのは、「未経験でも大丈夫なのだから、しっかり育ててくれるのだろう。」と研修や指導に期待することです。

しかし、企業が中途採用者に求めるのはあくまでも経験を活かすこと。

例え異なる業界や職種出身者であっても、その経験の中で、新しい仕事に活かせる何かが必要なのです。

未経験転職を成功させる人の特徴としては、経験してきた仕事と応募する仕事内容に、必ず共通点を見出しているということです。

わかりやすい例で言うと、営業と接客は別の職種ですが、2つの職種には共通点が多いです。

顧客の要望を聞きだすコミュニケーションスキルや、適切な商品を紹介できる提案力などが代表的です。

営業と接客などの職種に限らず、どんな業界や職種への転職であっても、共通して使えるスキルや経験を掘り起こす作業が必要です。

キャリアの棚卸をして自分の経験を整理し、業界や職種の研究結果から、活かせることがないかを見つけていきましょう。

企業の募集背景を知り成功確率が高い求人に応募する

経験不問求人には、前述したような企業側の本当の意図があります。

未経験者を敢えて求めているというより、その裏にある募集背景を探っていくことが大切。

「とにかく人員数を確保したい」という背景がある増員募集なのか、「本当は経験者が欲しいけど不人気職種だから経験不問としているだけ」なのかを探っていきましょう。

企業の募集背景とタイミングが合致していれば、転職成功確率が上がるはずです。

募集背景を知るのは難しいですが、募集要項や企業HPを隅々まで読むのは一つです。

他にも、職場訪問や商品サービスを利用し、業界や企業でどんな人が働いているのかを研究していくなどすると、見えてくることがあります。

「経験不問」求人に挑戦するなら転職エージェントを利用すべき

いくら求人広告内に経験を問わない文言が並ぼうと、経験者に比べて圧倒的不利であることは、基本的に変わりはありません。

そのことを受け止めたうえでも未経験の仕事に挑戦したいなら、転職エージェントを利用して活動すべきです。

エージェントを利用することで、魅力的な応募書類の作成や面接対策など、さまざまな転職サポートを受けることができます。

企業の募集背景なども上手に聞き出してくれるため、本当に未経験でもやっていけるのかを事前に推測することも可能です。

失敗したくないならぜひ利用を検討しましょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、企業が「経験不問」求人をだす本当の意味と、未経験転職を成功させるコツを紹介しました。

ハードルが高めの未経験転職ですが、成功させて生き生きと働いている人も大勢いますから、諦めずに活動していきましょう。