「働くなら絶対に正社員。派遣社員なんてありえない。」と言う人は多くいますが、理由を聞いてみるとそこまで明確に答えられない人も多いもの。

「正社員の方が安定している」が主な理由といったところでしょうか。

しかし、現代は正社員であっても企業自体がいつ倒産するかわからないような時代。

大企業の社員であっても、常に整理解雇や望まぬ部署異動のリスクを抱えています。

終身雇用制度が崩壊している現代では、正社員安定説はもはや理由にはなりません。

「正社員だから安定」という考え方は捨て、派遣と正社員の働き方が自分にあうかどうかが大切かもしれませんよ。

今回は、派遣社員と正社員の違いを紹介していきます。

給与は派遣有利、賞与があるかないか

派遣社員は正社員に比べて年収が低く、生活が苦しいなんて言われ方をすることがあります。

派遣社員の時給は職種や地域によってさまざまですが、例えば一般事務職の時給が1,200~1,500円程度は普通です。

これが英語を使えるなどプラスのスキルが加わると2,000円近くはザラにあり、中には3,000円近い時給も。

派遣は大企業で働ける機会が多いため、高時給も望めるのです。

一般事務で、時給換算2,000円という正社員は多くありません。

時給2,000円で8時間労働だと1日16,000円、月20日勤務でも320,000円になります。

一般事務で毎日定時帰り、給与30万円超は、そうはないでしょう。

給与は意外にも派遣が有利なのです。

その代わり、正社員には賞与があります。

賞与まで含めて考えると、年収ベースではほぼ同じくらいか正社員がやや有利。

正社員だから給与がいいというより、賞与があるかないかが重要です。

福利厚生に違いがある?

福利厚生というのは、会社が従業員のためにいわば恩恵的に用意している手当や制度のことですよね。

会社ごとに特徴があるため、福利厚生を比べて転職先を決めるのも一つでしょう。

派遣社員は、一般的に「福利厚生に恵まれていない」と言われることがありますが、実は単純に比較することができません。

なぜなら派遣社員の雇用主は派遣会社になるため、基本的には派遣会社の福利厚生制度を利用します。

派遣社員だから福利厚生がないということではなく、そもそも制度を提供する「おおもと」が異なるということです。

一部の派遣では派遣先の健康保険組合に加入できるなど、派遣先正社員と同様の福利厚生を利用できる場合も。

その場合は、派遣先と派遣元両方からメリットを享受できる可能性もあります。

大手派遣会社から中小企業に派遣される場合は、派遣先の中小企業でさほど福利厚生が整っておらず、派遣社員の方が実はいいなんてケースもあります。

どの派遣会社からどの企業に派遣されるのかによって異なるため、比較が難しいのです。

交通費があるかないか

交通費の支給は企業としての義務ではありませんが、交通費がでない正社員というのはかなり珍しい部類でしょう。

資金力が低い中小零細企業でない限りは、交通費はあるという企業がほとんどです。

派遣の場合は、この交通費の問題がかなり大きくなります。

派遣先の社員ではないため派遣先から交通費がでることは多くなく、交通費がでる場合は時給が低かったりします。

交通費を別途支給してくれる派遣会社もありますが、正社員に比べて交通費に期待できないのが派遣社員のデメリット。

自宅から遠い場所が派遣先になってしまうと、時給がいくら良くてもほとんど意味がないということにもなります。

会社の一員として認めてもらえない

派遣社員はどうしても派遣先で「派遣さん」という扱いになります。

毎日同じ職場で顔をあわせる仲間のはずなのに、雇用主が異なるというだけで会社の一員として認めてもらえない気すらします。

職場の人たちも「派遣だから仲良くしても期間がきたらいなくなる。」と少なからず感じてしまうため、距離を置かれてしまうのでしょう。

ただ、これは必ず悪いというわけではありません。

ビジネスライクな人間関係を求める人にとっては、煩わしい付き合いや派閥などに入る必要がなく、仕事と私生活を完全に区別することもできます。

情に厚く職場の人と仲良くしたいという人は、派遣社員という働き方に寂しさを覚えるかもしれませんね。

同じ会社に働き続けるわけではない

派遣は雇用が安定的ではないと言われる理由として、派遣は正社員のように同じ会社に働き続けるわけではないという点があります。

そもそも派遣契約は最初から期間が決まっていますから、契約満了時がくれば別の会社に派遣されることになります。

働く場所を期間ごとに選ばなくてはならないのは、派遣のデメリットかもしれません。

しかし、期間が決まっているということは、メリットになることもあります。

職場で嫌なことがあっても期間満了までは頑張れる人も多いですし、女性のように生活環境が変化しやすい場合は、敢えて派遣を選び、キャリアを自由に形成したいと考える人もいます。

また、正社員であっても、外資系などでは雇用の見直しが定期的におこなわれます。

給与も成果主義なので、1年間の働きぶりによって変わることもあります。

日系企業の正社員は安定と言われる反面、仕事のモチベーションがなくても働き続ける「ぶら下がり社員」の問題もありますから、今後どこまで安心できるかわからないとも言えるでしょう。

仕事の担当範囲が違う

正社員と派遣社員で大きく違うのは仕事の担当範囲です。

派遣契約によっても異なりますが、派遣の場合は担当業務が事前に明確にされています。

残業なしの契約ならほぼ定時で帰れますし、正社員のように「あれもこれもお願い!」と言われることはありません。

契約から外れる働き方をさせれば、派遣先が派遣元から「派遣契約違反」と言われかねないからです。

担当が明確にされている環境で働きたいなら派遣、いろいろな仕事に幅広くチャレンジしたいなら正社員を選ぶといいでしょう。

正社員にこだわるのではなく条件のいい会社の正社員にこだわる

正社員なら必ず派遣より有利ということではなく、正社員として働く企業の給与、福利厚生などがそれなりに整っていることを前提としています。

仮に福利厚生が少ない、賞与もないという企業に転職するなら、派遣の方がよほど条件よく働けるということもあるのですよ。

条件が整った環境で正社員として働きたいなら、転職エージェントを利用して求人探しをしましょう。

転職エージェントは企業からの掲載料を取る分、採用に対して意識が高い優良企業が集まります。

企業審査もきちんとおこなわれているため、ブラック企業を回避できるのもメリットでしょう。