転職活動の中でも重要な作業の1つが企業研究。
企業研究をしっかりおこなうことで、人事担当者の心を掴む志望動機やアピールにつながり、転職後のギャップを回避することもできます。
とはいえ、企業のどんな点を研究すればいいのかわからないこともありますよね。
今回は企業研究の一環として、企業のリスクマネジメント力を見極めるという点に注目していきます。
企業のリスクマネジメント力とは何なのか、リスクマネジメント力が高い企業の特徴は何なのか、ぜひ参考にしてみてください。
目次
リスクマネジメント力とは?
企業におけるリスクマネジメントとは、何らかの危機発生から回復、それらを事前に回避するための予防措置まで、リスク対策全般を指します。
危機が発生した場合の損失を最小限に抑えるための「危機管理」よりも、さらに広い範囲でカバーできる力をリスクマネジメント力と言います。
たとえば、個人情報漏えいによる企業の信頼性低下が危機だとすれば、情報漏えい後の対応力だけでは足りません。
そもそも情報漏えいを防ぐために、セキュリティを強化する、社員たちの情報保護意識を高める工夫をおこなうなど、幅広く対策する必要があるでしょう。
リスクマネジメント力が低い会社に転職するとどうなる?
求職者が企業を見るとき、真っ先に気になるのは給与や待遇、仕事内容でしょう。
当然これらは重要な要素として確認すべきですが、リスクマネジメント力がある企業かどうかも知っておく必要があります。
リスクマネジメント力が低い企業に転職するとさまざまな不都合が起きるからです。
事前対策がないために次から次へと危機が襲ってきて、その対応で仕事時間の多くを割くことになります。
利益をだすための仕事は残業しておこなうハメになり、長時間労働につながります。
危機発生後のマニュアルなども整備されていないため、責任の所在や連絡手段が曖昧で、最悪の場合自分が責任を押し付けられることにもなりかねません。
いくら給与や待遇がよかったとしても、いざというときに守ってくれない企業はどうなのかということです。
リスクマネジメント力の高い企業の特徴とは
ここからは、リスクマネジメント力が高い企業の特徴を紹介します。
転職活動中の企業研究、面接の質問タイムなど、さまざまな場面で思い返してみてください。
社員の教育体制が整っている
サーバーのバックアップや停電対策など、システム化できるリスク対策は多くありますが、会社は人が集まる組織です。
そこで働く人たちのリスク意識が高くなければ、最先端のシステムが無駄に終わってしまうことだってあるでしょう。
たとえば、社員が勝手に仕事を持ち帰り、自宅のパソコンから会社情報を流出させてしまう、SNSで顧客情報を発信してしまうといったことは近年よく起きています。
こうしたことを防ぐため、リスク管理についての研修がある、職場単位で意識づけがおこなわれているなど、社員の教育体制が整っている企業は、リスクマネジメント力が高いと言えます。
「人ありき」の仕事をさせない
社員に対して、「人ありき」の仕事をさせないこともリスクマネジメントです。
「人ありき」の仕事というのは、簡単に言うと「その人がいなければ業務が滞ってしまう」仕事のことです。
特定の人だけにいろいろ任せている、業務内容や方法などの情報を職場全体で共有していないのは、大きなリスクにつながります。
誰が見ても対応できるわかりやすいマニュアルがあったり、1つの業務に対して何人も同じ品質でおこなえる人がいれば、誰かが抜けても品質を保ったまま顧客に商品サービスを提供することができます。
会社組織である以上、「誰が辞めても困らない」状態を常に保っていることはリスクマネジメントとして必要なことなのです。
労務管理が徹底されている
従業員の労務管理が徹底されていることもポイントです。
残業時間の管理やメンタルヘルスの問題がいい例です。
これらの管理を怠ったことで、元従業員からサービス残業代を請求される、メンタルの不調の原因を指摘されて会社の評判を下げるといったことが起きています。
転職面接で聞いても社員の残業時間を言いたがらない、「そんなデータは取っていない」などと逃げる会社は危険。
会社の口コミや同じ業界で働いている人に話を聞くなどすると、「あそこはサービス残業が多いみたいだよ。」などの情報を得ることがあります。
労務管理が徹底されているかどうかは、入社前に確認しておきたいですね。
役職者のリスクへの意識が高い
役職者のリスクマネジメント力がどうかはとても重要です。
役職者の意識1つで、その下で働く社員たちの未来が変わってくるものです。
社員たちがいくら「リスク対策をしっかりしよう」と声をあげたところで、決裁権のある役職者がお金をかけてリスク対策をすることをためらったらどうでしょうか。
たとえば、ある印刷会社の社員からこんな話を聞きました。
印刷用機械が老朽化し、このままいけば印刷ができなくなってしまうからと、現場の社員たちは新しい機械購入を会社に求めました。
しかし、会社はとにかく機械購入費が惜しく、目の前の利益にしか興味がなかったため放置。
結果的に機械が壊れ、印刷がストップし大損失、従業員たちも対応で連日走りまわることになりました。
早い段階で機械購入に踏み切っていた方がお金も時間もかからなかったのです。
そんなまさかと思うかもしれませんが、実際にこういう会社は存在します。
「なんとなかなる」と思っているリスクマネジメント力の低い経営者は意外にも多いものです。
効率的に企業研究をするために
企業のリスクマネジメント力がどうなのかという点は、企業HPなどで明らかにされていることがあります。
リスクマネジメントに力を入れている企業ならば、自社のアピールポイントとして、対策方法について細かく説明していることも。
ただ、すべての企業についてHPで確認することはできませんから、面接で確認する、転職エージェントを経由して不明点を確認しておくなど、幅広く情報収集しましょう。
特に転職エージェントなら、面接では質問しにくいことを担当者に聞いてくれたり、独自の調査ルートで情報をまとめてくれることがあります。
企業研究が効率的におこなえ、信憑性の高い情報を仕入れることができるメリットがありますから、上手に利用してみましょう。