大手やIT、ベンチャーを中心に、週休三日制度の話題がよく聞かれるようになりました。
制度の名称だけを見ると、単純に「うらやましい!」「転職するならそんな企業がいい。」と考えるかもしれませんね。
ただ、よくよく考えてみると必ずしもメリットが多いとも言えず、デメリットも存在しています。
これから転職を考えている方は、求人広告の「週休三日選べます!」の文字に飛びつくのではなく、どんな可能性があるのかをしっかりイメージしておきましょう。
今回は、週休三日制度のメリット・デメリットを紹介します。
目次
やっぱり魅力的?週休三日制のメリット
まずはメリットから。
週に一日休みが増えることで、労働者にとってはどんな可能性が広がるのでしょうか。
プライベートを充実させられる
休みの日に何をするのかは自由。
趣味に勉強にと自分の時間に費やすのもよし、家族サービスをおこなうのもいいでしょう。
育児や介護などと仕事を両立させている人にとっては、「今週も忙しくて色々やってあげられなかった…。」という気持ちが薄れ、ストレスが減る可能性もあります。
心身ともに楽
週のうち五日出勤するのは非常に体力を使いますよね。
祝日があってたまたま週三日休みになったとき、体が楽だと感じた経験があるのではないでしょうか。
会社員としてストレスフルな毎日を送っている人にとっては、仕事のことを考えなくていい日が一日増えることは、とてつもなく幸せなことかもしれません。
休みの日に副業できる
休みの日に副業をすることもできます。
他の会社でも雇われる副業となると、週の総労働時間がどれくらいか、割増賃金はどうすべきかといった問題が発生しますが、趣味の延長の副業なら別。
近年は、趣味が簡単にお金になったり、インターネットを使ってお小遣い稼ぎができたりと、副業が手軽にできる時代です。
楽しくお金が稼げる副業なら、休みの日にやっても苦にならないかもしれませんね。
通勤回数が減る
1時間電車の中で立って過ごす、満員電車でもみくちゃになる、痴漢冤罪のリスクに怯えるなど、通勤にかかる負担は相当なもの。
休みが増えることで、通勤回数が減ることになります。
たとえ、1日の労働時間が増えて総労働時間が変わらなかったとしても、このメリットだけは代えがたいものではないでしょうか。
効率を考えて仕事をするようになる
総労働時間が短縮されるタイプの週休三日制の場合、時間に対する意識が高まります。
「この時間内にこれだけの仕事をやらなくてはならない。」と危機感を持つため、効率を重視するように。
生産性がアップして仕事の能力が高まるだけでなく、会社にとってはコスパの高い人材育成につながります。
人が集まる
週休三日制を導入する企業側の目的として「優秀な人材を集めたい」「離職を食い止めたい」といったことがあります。
確かに週休三日制にはインパクトがあり、企業への興味関心につながりますから、人が集まるという効果が期待できます。
「働きたいけど育児との両立が難しい」と考えている優秀な女性などが離職するのを回避することもできるでしょう。
優秀な人材が増えることは、労働者にとってもメリット。
優秀な人材に囲まれることで仕事への意識を高く持つことができ、自身の成長につながります。
実は多い週休三日制のデメリット
ここからはデメリットについてです。
いいことづくめと思いがちな週休三日制ですが、実はデメリットを指摘する声もちらほら。
どんなことが考えられるのでしょうか。
働いていない分給与が減る
賃金には「ノーワークノーペイ」という考え方が根底にあります。
労働時間が減ればその分賃金水準も下がるのは当たり前。
そうでなければ、労働時間が多い人との公平性が保たれなくなりますよね。
週休三日制の大きな問題として、金銭的な事情があるのです。
短い時間で同じ結果を要求される
週休三日制導入企業が、「労働時間が減った分、仕事量も減らしてね。」と果たして言うでしょうか。
作業効率を上げることでカバーできるとばかりに、短い時間でこれまでと同じ結果を要求される可能性も大いにあります。
効率を考えて仕事をするのは大切なことですが、実際にどこまでできるかは個人差があります。
高いレベルの生産性を求められることが大きな負担になるかもしれません。
1日の労働時間が増えてハードになる
週休三日制の中には、休みを増やす分、1日の労働時間を増やすといったものもあります。
労働時間が多くなれば集中力を保つことが困難になりますし、その日の負担は必ず増えます。
「大変な1日」ができることで、休日明けの仕事に対してストレスを感じやすくもなるでしょう。
いわゆるブルーマンデー症候群に陥るリスクです。
人によっては、「毎日定時で5日間勤務する」スタイルの方が、高い生産性とストレスの少ない仕事につながる可能性があるでしょう。
コミュニケーションを取りにくくなる
週休三日でシフト制の場合、勤務日によっては職場の人とのコミュニケーションが取りにくくなる可能性もでてきます。
たとえば、AさんとBさんが週に二日の休みを交代で取る場合、下記のように、少なくとも週のうち三日は同日の出勤ができるため、相談や報告をする機会が3回確保できます。
<週休二日を交代で取得>
- Aさんの出勤日 月 水 金土日
- Bさんの出勤日 火 木金土日
ところが、週休三日企業においてAさんとBさんが交代で休みを取る場合など、下記のようなシフトも十分にあり得ます。
このパターンだと、週に1回しかAさんとBさんは顔をあわせて意思疎通ができないことに。
<週休三日を交代で取得>
- Aさんの出勤日 月 水 金 日
- Bさんの出勤日 火 木 土日
もちろん、休日が全員同じ曜日であれば週に4回顔をあわせることができます。
メールや共有の情報管理フォルダーなどを使えば、わざわざ顔を合わせて話す必要もないかもしれません。
ただ、どうしても会って話したい場合に、どちらかが休日なのに出勤することになったり、休みの相手に電話をする、メールを送るということがないとも限りません。
また、職場の人に限らず、顧客からすれば「今日もいないのか。」という話になりかねませんので、顧客への周知と理解も必要になるでしょう。
週休三日制導入企業への転職を検討するときは
まだまだ決して多くはありませんが、求人媒体などでも週休三日制を導入している企業を見かけるようになりました。
こうした企業に転職を検討するときは、週休二日と比べてどんな違いがあるのか、それが自分にとってどんなメリット、デメリットがあるのかを、よく考えておくことが大切です。
実態がどうかを知るためには、転職エージェント利用が吉。
企業内情に詳しく、独自の情報ルートがあるため、役立つ情報を提供してくれます。
見た目の魅力だけに惑わされないよう、慎重に見極めていきましょう。