未経験の分野に転職したい、職種を変更したいなど、キャリアチェンジのために資格取得を目指すケースがあります。
経験がない分、資格が意欲のアピールにもなり、実際に業務で使える資格であれば評価される可能性があるでしょう。
仕事や家事にと忙しい毎日の中で勉強を続けるのは簡単ではありませんが、大いにチャレンジする意味があると言えます。
しかし、「資格取得のために会社を辞めて勉強に専念する」となると話が別です。
現在、将来ともに大きなリスクを抱えることになるため、慎重にならなくてはなりません。
そこで今回は、会社を辞めて資格取得を目指す場合のポイント、注意点を紹介します。
目次
会社を辞めて資格取得に専念するリスク
まずは、会社を辞めて資格取得に専念することには、どんなリスクがあるのかを整理していきます。
勢いで辞めてしまい無職になる前に、リスクを許容できるかどうかを考えておきましょう。
勉強期間中の生活はどうするか
会社を辞めて学校に通う場合、この間の生活はどうするのかという現実的な問題を考えなくてはなりません。
生活費を稼ぐためにアルバイトをすると勉強時間が減る、勉強に集中すると生活が立ち行かなくなるというジレンマに、必ず直面するでしょう。
アルバイトをしないなら、下記の条件が必要になります。
- 数年は生活できるだけの貯金がある
- 親や配偶者などを頼れる状況でかつ理解もある
- 運用やネットビジネスなどで「不労所得」がある
条件を満たしているなら、会社を辞めるハードルはぐんと下がります。
いつ合格できるかわからない不安
超難関資格の場合、1年に1回の試験がほとんどですし、勉強すれば必ず合格できるものでもありません。
合格までに最速で1年ですが、3年、5年と当たり前にかかるでしょう。
いつ合格できるかわからない不安もあり、精神的にもかなりきついものがあります。
ブランク期間ができることで転職が不利に
学校に通うなどして一時的に仕事から離れることを「ブランク期間がある」と言います。
無事に資格を取得しても、ブランク期間だけは消すことができません。
ブランク期間は、企業の人事担当者にとって下記のような懸念材料となり、転職が不利に働くことがあります。
- 会社員としてのストレス耐性が薄れていないか
- 働く意欲が保たれているのか
- ビジネスマナーなど社会人としてのスキルレベル低下
ブランク期間を気にするかどうかは人事担当者の考え方によります。
しかも、単に休んでいたわけではなく、あくまでも仕事に活かすための資格取得という目的があります。
他のケースでブランク期間ができてしまった人よりは、前向きなため理解される可能性はあるでしょう。
しかし、働いていない間に下がってしまった意欲や、ストレス耐性低下への懸念は、すべて排除できるものではありません。
転職で不利になる可能性も確実にあると理解しておきましょう。
資格取得が評価されることはないの?
資格自体は、無意味なものと揶揄されることがあるものの、向上心や勉強熱心な姿勢の証でもありますから、一定の評価を受けることが実際にあります。
特に業務に関わりのある資格や、スキルレベルの分かりやすい証明になるものは、取得する意味があると言えるでしょう。
ただし、転職組の場合は即戦力として、向上心とともに経験が重視されます。
経験が全くない場合は、厳しい戦いになると思っておきましょう。
会社を辞めてまで資格取得を目指した場合、何の資格かもポイントです。
その業務をおこなう上での必須資格でない限りは、計画性のなさや危機管理能力の低さを懸念される可能性も。
会社を辞めなくても取得できたのに辞めてしまうという「考えの甘さ」がネックになるということです。
資格取得のために会社を辞めるべきかのポイント
資格取得のために会社を辞めるべきかどうかを迷ったときは、下記の質問に対しての答えを1つ1つ出していくことで判断できます。
どんな点がポイントになるのでしょうか。
会社を辞めないと取得できないかどうか
そもそも、会社を辞めないと取得できない資格とは何でしょうか。
1日のうちほとんどを勉強に充てなくてはならない超難関資格か、昼間学校しかやっていない専門職に限られるはずです。
1日数時間の勉強で毎日コツコツ続ければ合格できるなら、それは会社を辞めないと取得できない資格ではありません。
まずは、今取ろうとしている資格がこれらに該当するのかをしっかり見極めましょう。
資格合格までにかかる勉強時間、合格率、取得後のキャリアなど、資格について調べておくのです。
会社を辞めてまで取る必要がある資格か
難関資格にしても専門資格にしても、そこまでして取るべき資格は、「その資格がなければ仕事ができない」「資格取得してキャリアチェンジすることが将来大きな意味をもつ」ものでなければならないでしょう。
でないのなら、会社を辞めてまで資格を取る意味は、はっきり言って「ない」と思っておきましょう。
転職を考える業界事情をよく調べておき、資格がなくても活躍している人がいるかどうかを確認したいですね。
働いていない間に生活できる?
働いていない間に生活が成り立つのかどうかは、事前に細かくシミュレーションしておきましょう。
家賃、光熱費、食費など生活費のほか、住民税や国民健康保険料などは前年の所得にかかるため、正社員時代の所得を元に計算されます。
それらをしっかり支払った上で生活できるのか計算しておく必要があります。
残業代もボーナスもでないわけですから、急な出費に対応できるだけの余裕も必須。
ここまで確認すれば、会社を辞めて勉強に専念すべきかどうかが見えてくるでしょう。
会社を辞める前にキャリア相談を
キャリアチェンジを目指す場合、いずれは転職活動を始めるわけですが、会社を辞める前に活動を開始しましょう。
転職エージェントを利用すれば、キャリアカウンセリングを受けられるため、必要資格や会社を辞めてから目指すべきかどうかなど相談ができます。
資格の勉強を始めるには強い意志や勢いも必要ですが、キャリアだけは別。
先走って会社を辞めると後悔する可能性もあります。
プロに相談しながら、よりよいキャリアチェンジの方法を探っていきましょう。