看護師の免許を持っていながら仕事に就かない、潜在看護師が多くいます。
結婚や出産を機に退職してそのまま専業主婦に、または別の職種に転職した人もいます。
潜在看護師の多くが復職することで、医療現場における人手不足が解消され、今いる看護師たちの労働環境にもいい影響がでるはず。
働く看護師たちの環境改善がされれば、対応がスムーズになる、院内の雰囲気が良くなるといった、患者にとってのメリットも。
では、これだけ社会から求められているにも関わらず復帰しないのは一体なぜなのでしょうか。
今回は、免許があるのに看護師として働かない人が多い理由を紹介します。
目次
育児との両立が難しい
看護師は夜勤があります。
どの職種であっても、育児と仕事の両立は難しいのに、夜勤を伴う看護師はさらに大変。
さらに、シフト制で不規則な勤務形態、土日も出勤する必要があるなど、子供と一緒にいる時間が少なくなったり、激務のため家事をする体力が残っていないことも。
夜勤中に子供と一緒にいてくれる大人が必要で、家事育児についての家族の理解と協力なくては到底両立することなどできない仕事です。
看護師でも個人医院や介護施設などで働くなど、夜勤もなく、ワークライフバランスが整いやすいケースもあります。
ただ、出産前に総合病院などで最先端医療に携わってきた人にとっては物足りない気持ちもあるのでしょう。
結果として「それならまだ復帰しなくていいのかな。」とためらってしまうのです。
心身ともにハードな仕事だから
看護師は誰もがイメージする通り、心身共にハードな仕事。
そのため、一度辞めてしまうと復帰するための気持ちを高めるのが難しくなります。
仕事のハードさを理由に辞めた人の場合、すでに別の職種に転職していることも。
規則正しい生活でデスクワークに従事できる事務職などに転身した人も意外と多いです。
仕事の厳しさをよく知っているからこそ、復帰への決心がつきにくいのも1つでしょう。
サービス残業があるから
看護師の仕事には患者対応があるため、突発的な残業になることはよくあります。
忙しい医療機関の場合は定時で帰れることはほとんどないことも。
しかも、サービス残業になることも珍しくありません。
これは、看護師本人が職場の雰囲気を感じとって申請しない、上長から残業はあまりしないように言われていて申請できないといった理由があります。
通常こうした慣例はあってはならないのですが、上長の中にはわかっていながら目をつぶる人も。
看護部の上長は看護のプロですが、労務管理に関しては長けていない人もいたり、上から言われていて仕方なくといったケースもあるからです。
カンファレンスなどで休日出勤することも
看護師の仕事は通常業務だけでなく、カンファレンスや委員会活動に参加する、院内外の発表会に提出する資料を作成するといった仕事もあります。
特に、20代後半以降で中堅になってくると、通常業務以外の仕事が増えてきます。
これらをすべて所定労働日数内でおこなうのは難しく、休日に事務作業だけをしに出勤する人も珍しくありません。
休日出勤は強制ではないものの、カンファレンスや委員会に参加しないと、情報共有できずにあとで自分が困ることがありますし、責任感から参加する人も増えてきます。
ただでさえ不規則な勤務形態でハードなのに、せっかくの休みも働かざるを得ないのは辛いところ。
こうした事情もあり、どうしても復帰はためらってしまうのです。
いつでもどこでも働けるという安心
看護師は全国どこに行っても引く手あまたで、免許さえあればいつでも復帰しやすいというのも理由。
総合病院などの採用でも、看護師については「免許保持していれば、よほどのことがない限り雇いたい」という意見が主流です。
それだけニーズがあるのが看護師であり、その事情は看護師自身もよくわかっているでしょう。
ただ、この安心感が復帰を妨げることも。
配偶者の収入などで生活が成り立っている場合、「働いて稼がなくては!」という危機感が薄れやすいため、復帰を先延ばしにする人もいるのです。
これが事務職など倍率が高い職種であれば、ブランク期間は短いに越したことがないため、将来を見据えて今のうちから復帰を目指そうとします。
ブランクがあって不安が大きい
何年もブランク期間があると、ハードな医療の現場に戻るにあたって「もうついていけないのでは?」と不安になってしまうことがあります。
これまで問題なくおこなってきた業務も忘れてしまっていたり、スピード面での懸念もあります。
若い看護師たちがどんどん入ってくる中、遅れをとってしまうのは少し怖い面も。
さらに、医療は日々進歩しており、看護師も免許を取得して終わりではなく、次々と新しい知識やスキルを身につけていく必要があります。
ブランク中にも勉強を続けていたというならいいのですが、医療から完全に離れていた場合は、また新しいことを覚えることへの抵抗もあります。
せっかくの免許を活かそう
潜在看護師の多くは、もともと看護師の仕事に誇りややりがいを感じていた人たちです。
それでも復帰ができないのは、看護師特有の労働環境が大きく影響しているでしょう。
条件さえ整っていれば復帰したいと考えている人も多いですから、自身の生活スタイルにあった看護師求人を探すところから始めてみましょう。
最近は規模が大きい医療施設でも、看護師不足解消のため、夜勤がない勤務パターンを選べたり、手厚い育児支援制度を設けているところが増えてきました。
どこに行っても求められている看護師だからこそ、どんなスタイルで働くかを選ぶ余地があります。
せっかくの看護師免許をぜひ活かしていきましょう。
転職エージェント利用でブランクもなんのその
「ブランクがあるけど復帰できるの?」と不安が大きい方は、転職エージェントを利用するといいでしょう。
転職エージェントの魅力は、自分と医療機関との間にコンサルタントが入ってくれるところ。
不安や疑問があれば事前に確認でき、面接の日程調整や給与交渉なども代わりにおこなってくれます。
転職希望者の状況を熱心に説明し、最初のうちは病棟勤務からにしてくれるなど、復帰しやすいよう交渉してくれた例もあります。
エージェントの利用は無料なので、上手に活用してスムーズな復帰につなげましょう。