植物や自然と触れ合うことが好き、体力に自信があるなどの理由で、造園業界への転職を考える人がいます。

特に近年は「手に職」への憧れが強く、職人イメージが強い造園業の仕事をやってみたいという方も少なくありません。

中には、全くの未経験から挑戦する人も。

実際のところ、造園業界への転職はどうなでしょうか。

今回は、造園業界に転職することのメリット、デメリットを紹介します。

新規住宅減少とともに造園業も衰退


まずは造園業の業界動向について。

自宅でガーデニングに取り組んだり、都会でも緑がある場所に注目が集まったりと、造園業は勢いがあると思うかもしれませんね。

しかし、造園業の仕事は、個人宅やマンション、公園などの植栽管理や伐採、整備などが主な仕事です。

次々と新築戸建てが増えていた時代には、それに伴い造園業も成長してきましたが、近年は衰退傾向にあります。

戸建て住宅や公園が減少し、受注量全体が低下しているため、業界内で仕事を取り合う状況。

緑ブームは造園業の受注にはつながらず、市場規模は狭まるばかりで、小さな造園業を営む事業主は廃業していっています。

これから造園業に転職を考えているなら、現状としては厳しい道を歩む覚悟は必要でしょう。

造園業に転職するメリットは?

業界全体としては勢いがない造園業ですが、働き手にとっては大きなメリットもあります。

ここでは、造園業への転職で考えられるメリットを紹介します。

やりがいが大きい仕事

造園業で働く人が感じるメリットとして、もっとも大きなものは「やりがい」です。

緑を整備することで町の景観づくりに貢献できたり、作業前後の風景の違いを見ると、達成感ややりがいを感じる人は多いのです。

便利さと引き換えに自然が失われつつある日本だからこそ、日本の良さを感じられる景観を保つことは、社会貢献度が高い仕事とも言えるでしょう。

自然相手で楽しい仕事

造園業の仕事は基本的に外での作業なので、四季の変化を感じながら、毎日飽きずに働くことができることもメリットです。

一説によると、自然相手の仕事は、メンタルヘルスになりにくいとも言われています。

もともと植物に詳しい、自然と接することが好きという方にとっては、「好きを仕事にできる」典型例とも言えるでしょう。

年齢を問われないことが多い

一般的に転職市場には年齢による壁があると言われています。

40代以降では求人数がぐっと減り、特に未経験職種への転職は絶望的だと言っていいでしょう。

しかし、造園業では30代、40代はまだ若い方。

50代になってから転職する人もいるくらいなので、転職活動中の年齢の壁は感じにくメリットがあると言えます。

造園業に転職するデメリット


やりがいを感じやすい一方で、造園業への転職にはデメリットもつきものです。

デメリットをしっかり理解しておかないと、転職して後悔する可能性があります。

自身に適性があるかを含めて、しっかり考えておきましょう。

天候に左右される仕事

自然相手の仕事は、天候に左右されるのが大きなデメリットです。

悪天候時には計画通りの作業ができないだけでなく、給与にも影響があります。

造園業で働く場合、建設業などと同じように日給制のケースが多いため、働いた分だけしか給与がもらえません。

仕事がなければ給与もでないので、天気が不安定なシーズンには、がくっと給与が下がる可能性があります。

作業中の危険が多い

造園の仕事では、刃物を扱ったり、高所の作業が多く足場も悪いため、常に危険が伴います。

植物と間近で接する仕事なので、作業中に蜂などの虫に刺される危険性があるでしょう。

これらは造園業で働く人の「あるある」なので、避けては通れないもの。

ケガをしてしまうと仕事ができず、数人だけで営む小さな事業所では社会保険未加入のこともあるため、所得補償が受けられない可能性もでてきます。

親方との人間関係に悩む人多数

造園業への適性は、勤務先の親方との相性と切っても切り離せない関係です。

親方との相性がよく、可愛がってもらえる場合などは、働きやすいと感じている人もいます。

反対に、親方に理不尽なことで怒られてばかりなのが苦痛だと思う人も。

入ってみないとわからない人間関係ですが、面接などでしっかりと経営者の話を聞き、どんな人かを見極めるよう意識しましょう。

やりがいは高いが労働と給与とのバランスが悪い

造園業で働く多くの人がデメリットとしてあげるのが、労働量と給与とのバランス。

危険が伴い、暑さ寒さに耐える厳しい仕事であるにもかかわらず、給与相場は低いのが特徴です。

造園業では親方と従業員数名ということも少なくないため、規模が大きい造園会社でなければ給与や賞与にはほとんど期待できないでしょう。

造園業で稼ぐには、技術力と営業力を手にして独立を成功させるか、大手に就職して安定的な仕事を得るかどちらかになります。

地域の特性を生かした造園など、新しいアイデアで、これまでにない造園を開拓できるなら、年収アップの可能性もあります。

造園業の給与相場

気になる造園業の給与相場は300~400万円程度です。

技術力によってはさらに高い収入を得ている人もいますが、300万円未満というケースも少なくありません。

造園業でメインとなって働く40代、50代は通常なら給与相場が高いゾーンなので、年齢による給与相場として考えるとさらに低くなります。

造園業では受注して仕事を請け負うことが基本なので、依頼がなければ仕事がないと不安定になりがち。

公共事業などを請け負える規模が大きめの造園会社でなければ、安定した受注は難しいと考えるべきです。

転職して働き続けるなら規模が大きめの造園業が狙い目

将来の独立のために技術力を身につけたい人は別にして、転職してサラリーマンとして長く働き続けることが目的なら、規模が比較的大きめの造園会社を狙いましょう。

公園や道路などの公共工事を請け負う仕事があったり、大手マンション会社からの受注が見込めたりと、比較的安定的な仕事が叶うからです。

給与や待遇面でも個人事業主に比べると期待できるでしょう。

転職エージェントを利用すれば、規模が大きめで安定している造園会社を探すことができます。

気になる労働条件については、エージェント経由で事前に聞いてもらうことができるため、しっかりと情報収集してから応募に踏み切りましょう。