宝石鑑定士という仕事を耳にしますが、実際どんな仕事をしているのか知らないという人も多いのではないでしょうか。
実は意外に人気の仕事で、専門学校や大学に通う必要がなく民間資格が多数存在していることから、転職して宝石鑑定士になりたいと考える人もいます。
宝石自体が高価で顧客も富裕層であるため、どこか年収が高そうなイメージを持つ人も多いですが、実際はどうなのでしょうか。
今回は、宝石鑑定士の仕事について、年収や資格の有効性、求められるスキルなど転職事情に迫ります。
目次
宝石鑑定士ってどんな仕事?
宝石鑑定士の仕事を簡単に言うと、その宝石が本物か偽物か、本物である場合はその品質がどのレベルのものなのかを判断する仕事です。
傷の有無や屈折率、比重などをもとに鑑定するため、専門的な知識が必要になります。
鑑定士の目利きによって販売価格や買取価格が変わってくるため、お店の経営を左右する、重要な役割を担う仕事です。
宝石鑑定士が働く場所
宝石の需要がある限り、宝石鑑定士が働く場所は多数あります。
たとえば下記のような場所で働くことができます。
- 宝石販売店
- 宝石買取店
- 輸入代理店
- 宝石加工会社
- 宝石鑑定機関
- 百貨店のジュエリー売り場
職種も、鑑定士としてだけでなく、販売員、値付士、バイヤー、ジュエリーデザイナーなど、他のスキルとあわせることで幅広く活躍できるでしょう。
宝石鑑定士の資格
宝石鑑定士になるには現在国家資格はありません。
宝石に関する多数の民間機関も存在しており、民間の資格取得を目指すのが一般的な方法です。
中でもGIA(米国宝石学会)が定めたカリキュラムに沿ってが実施される「G.G(Graduate Gemologist」が、世界有数の宝石鑑定士の資格と言われています。
ほかにも民間団体が多くあり、日本にもいくつかの団体で資格を展開しています。
ただ、権威ある団体は海外のものも多く、教育を受けるときに日本語対応していないといったデメリットもあります。
資格取得までにかかるお金は、安いもので15万円前後ですが、200万円以上かかるものも多いです。
「G.G」も日本円で200万円以上かかります。手軽に低価格で取得できる資格ではないようです。
資格取得までに多額の費用がかかる宝石鑑定士なので、将来的なキャリアを見据えて、仕事に活かすことを大前提として取得しましょう。
宝石関係の仕事に転職するには資格が必要なのか
宝石鑑定士の資格を持っていることや、取得見込みであることを条件にしている求人は多数あります。
そのため、資格があれば応募できる求人の幅が広がることは確かです。
ただし、資格があれば採用されるかと言うとそれほど甘くはありません。
たとえば、宝石店や買取店に転職を考える場合。宝石鑑定士の資格を持っていて接客経験がゼロという人より、他業界で接客スキルを磨いてきて、お客さまと適切なコミュニケーションを取れる人の方が、有資格者よりずっと採用確率が高いこともあります。
転職で有利になるように資格を取得するという考えより、現場で求められるスキルを磨くことを第一に考えましょう。
そのうえで知識量を増やす向上心をもっていれば、転職してから資格取得をしたっていいでしょう。
宝石鑑定士の年収相場
宝石鑑定士の年収相場は300~400万円程度です。
宝石という豪華なものを扱う仕事の割には、少ないと感じるかもしれません。
月収ベースだと20万円台も一般的なので、雇われて働く場合には、それほど稼げる仕事ではありません。
ただし、企業によっては資格手当がつくこともあるため、コツコツ努力すれば数十万円の年収アップも夢ではありません。
宝石バイヤーなど目利き力や経験が問われる仕事に携わる場合は、インセンティブがついたり、経験を積むことで信頼を得るようになるため、年齢とともに年収も上がりやすい傾向にあります。
宝石バイヤーの場合は英語力と交渉力も問われるため、鑑定技術以外にも鍛えていく必要があるでしょう。
宝石鑑定士の将来性
宝石鑑定士は、現在のところ求人も多数でており、働く場所に困ることはあまりない職業です。
ただし、宝石鑑定士としての将来性は厳しいものがあります。
近年は合成宝石などの技術が進み鑑定が難しくなっていることもあり、職人による鑑定ではなく機会鑑定の導入も叫ばれてきています。
合成宝石でも本物と同じように美しいのなら、安価な方を選ぶという人も増えてくるでしょう。
また、宝石を扱う仕事柄、景気には必ず左右されやすいため、安定的に稼ぎ続けることは難しい業界に属しています。
転職して宝石鑑定士を目指す場合は、宝石知識や鑑定スキルだけでなく、接客スキルや交渉術、語学力などトータルで磨いていき、どんな時代が到来しても対応できるようにしておく必要があります。
宝石鑑定士は残業が少ない仕事?
宝石鑑定士を募集している求人を見ると、「残業ほぼなし」「残業10時間未満」など残業が少ないことを売りにしているケースも多いです。
近年は残業削減が社会的な流れですから、それに従った求人が増えてきているのでしょう。
ただし、お店によってはサービス残業があったり、インセンティブがつくため結局は残業をせざるを得ないといったこともあります。
勤務先によって働きやすさに大きなばらつきがある仕事と言えます。
求人内容だけでなく、実際はどうなのかをしっかり見極めてから転職すべきでしょう。
宝石鑑定士の転職活動方法
宝石鑑定士が転職活動をするには、転職エージェントを利用して転職活動することをおすすめします。
宝石鑑定士が働く買取店や鑑定機関は中小零細企業も多く、実態をしっかりリサーチしてからでないと働きやすい環境かどうかがわからないからです。
転職エージェントは企業の情報収集力があり、残業の有無や職場の雰囲気など「聞きたいけど聞きにくい」ことを代わりに聞いてくれます。
また、転職エージェントに掲載する際には企業審査がおこなわれることもあり、ブラック企業と呼ばれる低質な求人を回避できるのです。
後悔しない転職を成功させるためにぜひ活用してください。