日本労働組合総連合会が実施した調査によると、4人に1人が「勤務先はブラックだと思う」と回答、20代では3人に1人という結果になりました。

理由としては、「長時間労働が当たり前」「仕事の割に合わない低賃金」「有給休暇が取得できない」などが上位。

会社勤めをしたことがある人なら誰もが一度は感じたことがある不満ですが、これらは決して「当たり前」ではなく、本来あってはならないことですよね。

ブラック企業から脱出してホワイト企業で働きたいと考えている方に、ぜひ知っておいていただきたい制度があります。

それは、ホワイト企業認定制度。

今回は、ホワイト企業認定制度がどんなものか、ホワイト企業に転職するためにはどうすればいいのかを紹介していきます。

参照:日本労働組合総連合会
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20141128.pdf

ホワイト企業認定制度とは

ホワイト企業認定制度の正式名称は、厚生労働省がおこなっている、「安全衛生優良企業公表制度」のことです。

労働安全衛生に関して積極的な取組を行っている企業を認定、企業名を公表し、より多くの企業に安全衛生の積極的な取組を促進するための制度として、平成27年6月から受付が開始されました。

企業側は「Wマーク」という認定マークを取得することで、求職者にアピールすることができますし、求職者側は働き先を選ぶ際、Wマークがあることで安心できる応募や就職につながります。

いわゆる「ブラック企業」を避け「ホワイト企業」で働くための目安にできるというわけですね。

Wマークとは?

Wマーク認定企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。

WマークのWは、ホワイトマークの意味のほか、Women、WorkのWでもあると言われています。

シンボルマークにはよく見るとWの文字が含まれており、はなまるがついているのが特徴です。

ちなみに、愛称は優ジロウ。

そもそも労働安全衛生とは

会社員の方なら頻繁に耳にする法律として、労働基準法がありますよね。

この労働基準法から派生し、職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成を推進することを目的とした法律が「労働安全衛生法」です。

労働安全衛生と聞くと、工場や工事現場など、危険をともなう職場でのみ関係があると思われがち。

もちろん、そうした職場におけるリスク管理なども定めてありますが、安衛法の範囲はそれだけではありません。

たとえば、一般企業のほとんどでおこなわれる健康診断や、ストレスチェック制度など幅広く含まれているため、誰にとっても関係がある法律です。

ホワイト企業認定制度は、この労働安全衛生法をもとに策定されており、コンプライアンスを守っているかどうかを厳しくチェックします。

ホワイト企業認定制度はどんな審査基準があるの?

ホワイト企業認定制度は、まだ新しい制度ですが、審査に通るには厳しい基準があります。

たとえば、過去3年間の有休消化率(70%以上)や長時間労働者がいないこと(2ヶ月連続80時間超)、受動喫煙防止対策を実施しているか、といったことなど。

70項目以上について、取組評価点と実績評価点を採点していきます。

総合点としては全体の80%以上をクリアしなければならず、そう簡単に審査にとおるものでもありません。

厚労省のホームページに診断ツールがあるため、自社で診断をおこない、審査基準をクリアしていると判断したら、実際に厚労省に申請します。

ヒアリングや書類審査までおこなわれてはじめて認定となります。

企業としては取得が難しいというデメリットがありますが、求職者にとっては大きなメリット。

厳格な審査に通った企業だけが認定されているため、モチベーションを保ちながら安心して働けることになります。

参照:厚労省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075611.html

くるみんマークとは違うの?

厚労省の認定制度としては、「くるみん」なら聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

ホワイト企業認定制度制定より前の、平成15年に公布された法律である「次世代育成支援対策推進法」に基づく認定制度のことです。

この法律は、次世代を担う子供たちが健やかに生まれ育つため、事業主としての取り組みをおこない、具体的な行動計画の届け出をおこなうことを義務づけたもの。

厚労省の認定を受けると子育て支援に積極的な企業として、「くるみん」と呼ばれるロゴマークの使用が認められ、平成29年4月からは「プラチナくるみん」として新しい認定基準が適用されています。

厚生労働省のホームページを見ると、都道府県ごとに「くるみん認定企業」を確認することができます。

くるみんマークは主に子育てと仕事とのバランスにフォーカスしたものなので、ホワイト企業認定制度は、より広い対象に向けた制度と言えるでしょう。

参照:厚労省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/

Wマークのある企業に転職するには?

Wマークのある企業に転職したい!と思った場合、どうすればいいのでしょうか。

認定企業については、くるみん認定企業と同様に、厚労省のホームページにて探すことができます。

さまざまな業種の企業がありますが、製造業や建設業などが多い印象。

有名企業で言えば、たとえば、トヨタ自動車や、朝日生命保険、東京海上日動火災保険などが認定企業に含まれています。

認定企業は現在のところわずか33企業なので、ピンポイントで転職するには至難の業と言えますが、これだけブラック企業というキーワードが話題になっている昨今。

企業側からの注目が高い制度なので、今後認定企業が増えてくることに期待したいですね。

ホワイト企業は転職エージェントで探そう

現在転職活動をされている方がホワイト企業を探す方法としては、やはり転職エージェントを利用することがもっとも近道です。

掲載求人のすべてがホワイト企業とまではいかなくとも、事前に企業情報を教えてもらえたり、掲載審査を実施することで、他の媒体に比べるとブラック企業を回避できる可能性が高いからです。

特に大手や老舗の転職エージェントでは、転職ノウハウが蓄積されており、サポートや提案力に強みがあるため利用価値が高くなっています。

転職エージェントのアドバイスを受けながら、慎重に転職活動するのがいい方法ではないでしょうか。