百貨店の渉外担当や外商員と呼ばれる人たちの存在に興味があり、その仕事に就いてみたいと感じる人がいます。

お金持ちの顧客相手に優雅な接客をしているイメージですが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回は、百貨店の渉外担当の仕事の概要や、求められるスキル、転職活動方法などをまとめてご紹介します。

百貨店の渉外担当ってどんな人のこと?

まずは、百貨店の渉外担当の仕事の概要をご紹介します。

渉外担当とはどんな人なのか、仕事内容はどうなのかを整理してみましょう。

百貨店の渉外担当の仕事内容

百貨店の渉外担当の仕事は、顧客に対して商品の紹介や提案をおこなうことです。

接客販売と営業職をあわせたようなイメージで、百貨店の一般販売員と違うのは、接客する相手と場所が異なること。

一般企業の営業職との違いは、こちらから営業をかけて契約にこぎつけるというより、すでに決まっている顧客に対して、要望を聞きながら適した商品を提供していくという点です。

ターゲットは富裕層

百貨店の渉外担当が接客するのは、主に富裕層です。

「外商顧客」などと呼ばれることもあり、具体的には上顧客用のクレジットカードを持っていたり、外商専用の販売会などに参加できる資格がある人のことを指します。

外商顧客は誰でもなれるわけではなく、年間の買い物額、年収や社会的地位等で決めているケース、上顧客からの紹介など、条件は百貨店によって異なっています。

上顧客の買い物額は、一般顧客も含めた売上全体の半数以上の売り上げを占めているとも言われているため、百貨店としては業績を左右するお相手ということになります。

法人担当もいる

百貨店の外商部には個人の渉外担当と法人向け担当がいて、それぞれに求められる役割は異なります。

一般的にイメージされる渉外担当は個人の富裕層向けかもしれませんが、法人担当も割合的には少なくありません。

法人に対してお歳暮やギフトなどを提案していくことが多いです。

渉外担当が働く場所はどこ?

渉外担当も百貨店の社員ですので、百貨店で接客をすることもあります。

催事場に来てくれた上顧客を接客したり、一般の売り場に同行して商品の説明をしたりします。

外商顧客に対しては、別室や広めのフィッティングルームを用意して接客することも多く、他の顧客の目が届かない場所で買い物や相談ができます。

そのほか、顧客の自宅に訪れるケースや、会社社長の場合などは会社に出向くこともあります。

渉外担当の年収はどれくらい?

百貨店の渉外担当は、富裕層を相手にする仕事とはいえ、自分自身が富裕層というわけではありません。

特に地方の百貨店では、年収350~400万円程度で、一般企業のサラリーマンと大きく差がないのが実情です。

一般の販売員と比べると、インセンティブがつくケースがあることや、賞与で上乗せされることもあるためやや高めですが、神経を使う割に稼げるとはいかないようです。

ただ、売上上位の大手百貨店などでは、年収相場がぐっと上がり、渉外担当も600~700万円ほどの年収になることがあります。

経験年数や売り上げなどによっても異なりますが、大手の年収が高いのは百貨店業界も他業界と同じですね。

渉外担当の将来性は?

百貨店の渉外担当ですが、将来性については厳しいものがあります。

理由は、百貨店自体の業績が悪化しており、閉店する店も増えているからです。

特に地方の百貨店の現状はよくありません。

百貨店が減少傾向にある理由は主に下記の点です。

  • 外商顧客以外の一般顧客が節約志向によって百貨店を使わなくなった
  • インターネットで手軽に質のいいものが買える時代
  • 大型ショッピングモールの台頭

また、外商顧客が高齢化により買い物をしなくなってきたこともあり、外商顧客自体が減っていることも考えられます。

ただ、渉外担当は販売員の中でトップクラスに優秀な人なので、勤務先の百貨店が潰れても経験を活かして転職することもできますし、一般企業の営業職などへの道もあります。

百貨店の渉外担当になるために必要なこと

百貨店の渉外担当へ転職を考えている方は、どんなスキルや資質が必要なのか知っておきましょう。

転職活動方法もあわせてご紹介します。

一流の接客スキルが必要

百貨店の渉外担当になるには、まず百貨店の外商部に配属されなくてはなりません。

外商部はベテランで接客レベルの高い社員が集まっています。

転職して外商部に配属されるには、外商経験があり、外商部の求人に応募することが基本です。

一般売り場から外商部に異動になるケースは少ないですが、接客スキルを磨いてその能力が認められれば可能性がないわけではありません。

カリスマ店員と呼ばれるようなレベルになれば、異動が認められるかもしれませんね。

年齢は若くない方がいい?

渉外担当の年齢は比較的高めで、使いものになるまで10年はかかると言われているため、20代でいきなり渉外担当を任されることはあまりありません。

若くて30代、50代の人も多い職種です。

富裕層や法人を相手にする仕事であり、高額の商品を提案するため、顧客から信頼される人物でなくてはならないからです。

一般的な転職では若い方が有利になりやすいですが、渉外担当に関しては年齢が上でも問題ないと言えます。

ただし、当然年齢相応の経験は求められますから、未経験で渉外担当になることは難しいと思っておきましょう。

仕事に一途になれる人

渉外担当の多くは男性です。

比較的ハードな仕事であることと、いつなんどき呼ばれるかわからないからです。

信頼関係が必要なため、百貨店の営業時間外だから伺えないと言うことはできませんし、顧客の自宅で食事に招待されることもあります。

近年キーワードとなっているワークライフバランスですが、仕事とプライベートを完全に分けたいという方には、あまり向かない仕事と言えるかもしれません。

仕事中心の生活でも構わないと思えるくらい、仕事に一途な人の方がいいでしょう。

百貨店への転職活動方法は?

百貨店に転職して外商部に入るには、テナントの販売員ではなく、百貨店の社員になる必要があります。

百貨店の上層部にコネでもない限りは、百貨店のホームページで採用情報を確認するか、転職エージェントや転職サイトなどの媒体を利用して求人を探していくかになります。

百貨店の社員を募集している求人は決して多くないため、かなり根気強く転職活動をする必要があるでしょう。

転職エージェントや転職サイトで経歴を登録しておき、スカウトオファーを待ちながら、転職エージェントにも探してもらうという方法がおすすめです。

自分で求人探しをするより、求人が出たタイミングで紹介が受けられるため、求人情報をキャッチしやすい方法と言えるでしょう。