転職活動中の方が求人広告等でよく「総合職」「一般職」という書き方を目にしませんか?
2つは何が違うのか、自分でもなれるのかなど、さまざまな疑問が沸きますよね?
2つの選択肢がある場合は、どちらを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。
そこで今回は、総合職と一般職の違いとそれぞれのメリット、デメリット、適性について紹介します。
目次
総合職と一般職とは
総合職と一般職はどの企業でも必ず採用してる人事制度ではありませんが、比較的規模が大きい会社の場合でよくある制度です。
どちらも正社員であることに変わりはないのですが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。
総合職は社内の中で総合的な業務を担当し、将来の幹部候補とも言えます。
一般職は会社の典型的な業務を担当し、総合職に比べると業務領域が狭くなる傾向にあります。
転職活動中の方は、求人を探していく中で「技術系総合職」「事務系一般職を募集」といった文言を見かけることがあるでしょう。
一般的に認識されている両者の違いと、これから述べるメリットデメリットを踏まえ、応募すべきかを判断していきましょう。
転職して総合職になるメリット
総合職の求人に応募しようと考えている方は、総合職のメリットデメリットを把握しておかないと、転職してから後悔する可能性もあります。
まずはメリットから。転職して総合職になるとどんなメリットがあるのでしょうか。
給与が高い
総合職は一般職に比べて給与が高いのが特徴です。
企業によりますが、一般的には給与規則そのものが違うことが多いです。
基本賃金のほか、昇給幅や賞与の支給率、退職金の額にまで影響を与えることもあります。
このため、長く勤めれば勤めるほど、総合職は一般職との収入に差が生まれていきます。
福利厚生については、総合職も一般職も正社員なので大きな違いを設けていない場合も多いですが、住宅手当や扶養手当などの給与に直接関わる金銭的なものを中心に差を設けている企業も。
たとえば、扶養手当は総合職にのみ支給される、支給要件が一般職より緩いといったことがあります。
幅広い仕事ができる
総合職はその名の通り総合的な仕事に携わる立場なので、幅広い業務を任されることが多くなります。
現場業務だけでなく、チームをまとめたり、他部署との調整を担当することも。
将来の幹部候補でもあるため、出世を目指すことを前提として30歳前後で係長になる人もでてきます。
同じ部署で居続けることがないためさまざまな分野でのスキルを磨くことができ、転職をするときに有利になることもあります。
社内での評価が得やすい
総合職と一般職への意識は企業ごとに異なりますが、社内での評価が得やすいのも総合職です。
極端な話を言えば、全く同じスキルや能力をもっていても、総合職の方が一般職より評価点が高くなる傾向にあります。
これは、総合職が一般職とは業務内容が異なることが前提であることと、全国転勤や長時間労働などを許容できるという点において、企業にとっては貢献度が高い人材となり、そもそもの基準点が高いからです。
転職して総合職になるデメリット
給与や社内的な評価が高くいいことだらけな気がする総合職ですが、デメリットもあります。
人によっては総合職より一般職を選ぶ方が満足度が高い場合もあるため、デメリットもよく理解しておきましょう。
長時間労働や休日出勤もやむを得ない
正社員であればアルバイトや派遣社員のように定時で帰るわけにはいかないこともありますが、特に総合職は顕著です。
職場内の誰かに残業や休日出勤を任せたい場合、真っ先に打診があるのが総合職です。
総合職として高い給与や評価を得ている以上、簡単に断ることはできませんので、必然的に長時間労働になりやすくなります。
転勤と異動はつきもの
総合職の大きな特徴の1つが転勤、異動の可能性があることです。
転勤や異動の裁量権は会社側にあるため、その会社に雇われているなら原則断ることはできません。
会社によっては、小さな子供さんがいる社員に対して遠方への転勤がないように配慮してくれるといったこともありますが、上層部の考え方次第です。
基本的には、遠方への転勤ができないなら一般職になる選択肢があり、制限があるのに総合職でいることには一般職との不公平感が生じます。
家庭の事情や持ち家購入などは考慮されず、必要に応じて転勤や異動が実施されることが多いです。
責任の重たい仕事がまわってくる
総合職は責任の重たい仕事がまわってきます。
責任ある仕事にやりがいを感じる方ならいいのですが、人によっては大きなストレスになるでしょう。
たとえば、社内発表会開催に向けて職場の代表者を選ぶ場合。
人前でプレゼンする責任や度胸が問われますが、この代表には一般職ではなく総合職が選ばれるでしょう。
周囲の目が厳しい
総合職はさまざまな点において恵まれている反面、周囲の目が厳しく刺さることになります。
たとえば下記の人材が職場にいた場合、周囲はどんな反応を示すでしょうか。
(総合職Aさん)
仕事をさぼりがちでミスも多く、周囲からの信頼が低い。
転勤については「転勤なんてごめんだね。もし転勤辞令があれば転職するつもり。」と周囲にもらすこともある。
(一般職Bさん)
仕事が速くて正確。
困っている人がいれば積極的に手伝って残業にも対応してくれる。
優秀だが家庭の事情で転勤できないため一般職を選んでいる。
上記は、実際の会社で比較的あるケースです。
当然ながら、周囲はAさんに対して不満を持つようになり、場合によっては上司から厳しく指導されたり、希望しない部署への異動も考えられます。
総合職か一般職かの選択は新卒採用時におこなわれていることが多く、中途採用では一般職しか雇わない企業もあります。
そのため、総合職人材が必ずしも優秀であるとは限らないわけですが、将来の幹部候補でもあり高い給与を受け取っている総合職は、特に優秀であるべきことは言うまでもありません。
総合職であっても、意欲や能力が低い場合には淘汰されていくのです。
総合職に向いているのはこんなタイプ
転職して総合職になろうと考えている方は、自身の適性も考えてみましょう。
総合職に向いているのは下記のようなタイプです。
- 幅広い仕事を経験してバリバリ働きたい
- たくさん稼ぎたい
- 出世したい
- 責任ある仕事を任せてほしい
転職して一般職になるメリット
ここからは、転職して一般職になることのメリットデメリットを紹介します。
まずは一般職になるメリットから見ていきましょう。
残業が少なめ
正社員であれば残業はやむを得ないことが多いですが、一般職の残業は総合職に比べると少なく済む場合があります。
総合職より業務量が少ないことや、突発的な仕事に対応する責任を負わないことがあるからです。
また、日本人特有の「周りが帰らないから帰れない。」というお付き合い残業についても、一般職は少なくなります。
立場的な責任からどうしても帰りにくいと思いやすい総合職に比べると「自分は一般職だから気にしないで帰ろう。」と割り切りやすいからです。
オンオフのメリハリがつく
一般的に、一般職を選ぶのは女性が多いと言われていますが、それは家庭内における役割の比重が大きかったり、プライベートを大切にしたい人は女性の方が多いからです。
一般職を選ぶことで、必要以上の残業や休日出勤をしなくてよくなり、オンオフのメリハリをつけた働き方ができます。
特に結婚して家事育児を担う正社員女性は、一般職の方が家庭とのバランスは取りやすいと言えるでしょう。
転勤がなく計画的に働くことができる
一般職は基本的に転勤がなく、異動があっても決められた領域の中でのみおこなわれます。
住居変更を伴う異動はほぼないでしょう。
子供の学校や親の介護、持ち家購入など、ライフイベントに合わせて計画的に働くことができます。
得意な仕事を極めることができる
一般職は総合職に比べると業務領域が狭い分、同じ仕事を長く続けることができ、専門性を極めることも可能です。
「この仕事なら〇〇さんに頼むのが一番。」と言われるまでになれば、周囲から頼られ、やりがいにつながります。
決められた範囲の中でも深く掘り下げて知識やスキルを磨いていけば、転職で活かすこともできるでしょう。
転職して一般職になるデメリット
転職して一般職になることはデメリットもあります。
単に「一般職の方が楽そうだから。」という理由で選ぶと不満につながるため、しっかり確認しておきましょう。
総合職と同じ仕事ぶりでも給与が違う
総合職と一般職では業務領域が異なると述べましたが、企業によっては、ほとんど変わらない業務内容や責任を負わせていることもあります。
この場合、両者の違いは転勤が可能かどうかに絞られてきますが、転勤自体がそう頻繁に発生しないこともあります。
たとえば10年以上転勤がない総合職もいて、そうなると一般職は不満に感じることになるでしょう。
特に分かりやすいのは給与への不満です。
総合職と一般職が同じような成果を挙げている、または一般職の方が優秀なケースだと、両者の給与に大きな違いがあることに不公平感が生まれます。
実際、不公平感が原因で優秀な一般職が退職するケースはよく見られます。
サポートにまわるためスキルアップできない
総合職と一般職との業務領域に明確なすみわけができている企業の場合、一般職は主に総合職のサポートにまわることになります。
簡単な仕事や雑用的な業務も多くなるため、工夫しないとスキルアップがしにくい環境になります。
向上心が高い人にとっては、「もっとメインの仕事をやってみたい。」「成長できる環境に身を置きたい。」といった考えが生まれることになります。
出世枠がない
管理職登用を前提としている総合職に対し、一般職は典型業務やサポート業務を想定しているため、出世枠が用意されていません。
もちろん役職登用の条件は企業ごとに異なりますが、たとえば、総合職がどの役職も目指せるのに対し、一般職は最高で係長まで、といったケースがあります。
仕事への意欲や能力が十分あるにもかかわらず、家庭の事情等で転勤できないため一般職を選んだ方は、立場による違いによって役職が頭打ちになるのは悔しいでしょう。
一般職に向いているのはこんなタイプ
一般職にもメリットデメリットがありますが、自身への適性はどうでしょうか。
一般職を選ぶことで満足感が上がるのは下記のようなタイプです。
- 目の前の仕事を淡々とこなすことが得意
- プライベートを重視したい
- 家のことはしっかりやりたい
- 変化が苦手で住居地も変えたくない
- 前に出ないでサポート側にまわるのが好き
男性なら総合職を目指すべき?
総合職と一般職制度がある企業の場合、男性は当然のように総合職を選ぶ方が多いです。
一家の大黒柱としてバリバリ働き、家族を守る責任があるからです。
「男なら仕事ができてこそ一人前」という漠然としたイメージもあるでしょう。
女性のように出産や育児でキャリアの中断が起こりにくいため、総合職としての適性はやはり男性の方があると言えますね。
ただし、男性だから必ず総合職を目指すべきとは限りません。
男性だって家族の事情で転勤できないことがありますし、サポート的な仕事が向いている人もいます。
最近は、若手を中心に一般職希望の男性も増えてきました。
仕事への考え方の変化、働き方の選択肢や本業以外に稼げる手段が増えたことなど、さまざまな要因が考えられます。
本当は嫌なのに総合職を目指していると、どこかで無理が生じて退職してしまうといったこともあります。
男性だから総合職を目指すというより、自分自身が仕事にどう向き合いたいのかを、自身や家族の状況を踏まえてトータルで判断していきましょう。
女性は一般職が向いているのは本当なのか
男性が総合職を当たり前に目指すのと同じく、「女性=一般職がいい」というイメージを持たれる方も多いでしょう。
最近は就職活動中の女性の中でも、「最初から一般職を選びたい。」と考える方が多いようです。
確かに、習い事や自分磨き、家事育児に忙しい女性は、残業が少なくワークライフバランスが取りやすい一般職への適性は高いと言えるでしょう。
日本女性特有の奥ゆかしさから、前にでていかない方が好きだという女性も多いですよね。
しかし、近年は女性活躍推進社会で、ごく普通の女の子が管理職になれる時代です。
一般職に適性があって選びたいならいいのですが、「本当はバリバリ働きたい。」「色々な仕事に挑戦してみたい。」といった想いが少しでもあるなら、総合職という選択肢もいいはず。
一度一般職として入社すると、そこから総合職になるには社内試験などもあり、ハードルが高くなります。
総合職として入社し、自身の適性を判断してから決めるのも悪くないかもしれませんよ。
総合職か一般職は企業によっても範囲が異なる
ここまで総合職と一般職それぞれのメリットデメリットを紹介しました。
総合職か一般職かはあくまでも一般的な呼ばれ方であり、日本ならではの古い区分でもあります。
企業によっても捉え方や業務範囲は異なるため、転職活動では実態を調べておくことが大切です。
実際の業務はどうなのか、転職した後に変更することもできるのか、どんな目的で制度を作っているのかといった点を確認しておきましょう。
面接で聞くのもいいですが、転勤の有無や給与など踏み込んだ内容に触れることになるため、正直聞きにくい質問でもあります。
その場合は転職エージェントを利用すると、事前に確認してもらえるためスムーズです。
その他の企業情報収集にも一役買ってくれるため、上手に利用しましょう。
最後に
いかがでしたか?
今回は、総合職と一般職の違いやメリットデメリット、適性について紹介しました。
総合職と一般職は、企業の中でもしばしば不満の要因になりやすく、転職においては入社後にギャップを感じやすいポイントでもあります。
一般的な違いを理解するとともに、名称にとらわれ過ぎることなく、実態を把握するよう心がけましょう。
それこそが、納得できる転職につながる大きな鍵となるはずです。