動物園やサファリパーク等にいる動物たちの、世話や健康管理をおこなう動物飼育員の仕事。

動物好きな方なら一度は憧れたことがあるでしょう。

一見楽しそうですが、動物飼育員はハードな職業の1つとして知られていますよ。

今回は、動物飼育員の仕事の大変さと転職事情を紹介していきます。

動物飼育員は超ハード!

動物園やサファリパークは、訪れる立場からすればワクワクする楽しい場所ですが、そこで働く動物飼育員の仕事は激務を極めます。

動物飼育員の仕事はどんな点が大変なのでしょうか。

命と向き合う責任ある仕事

動物飼育員は、常に命と向き合い、尊さを感じながらおこなう責任ある仕事です。

動物の赤ちゃんが生まれるときにはこのうえない喜びを感じますが、担当していた動物が年を取ったり、病気になって亡くなっていくこともあります

そんなときも、悲しんでいるだけでなく、動物飼育員として死因調査などをおこなうこともあります。

動物も人間と同じで、適当に接していては心を開いてくれませんし、言葉が話せないため意思疎通がうまくいかないこともあります。

それでも、忍耐強く信頼関係を築きあげていくのが動物飼育員なのです。

重労働に汚れや臭いも

動物飼育員の仕事は体をフルに使う仕事です。

動物飼育員が扱う餌や糞は大量ですし、掃除1つとっても重労働。

暑さ寒さに耐えるのは当たり前、体は汚れる、臭いもつく、まさに汗水垂らして働く仕事でしょう。

さまざまな種類の動物がいて、猛獣系や巨体の動物を扱うこともあり、危険もともないます。

単に動物が好きで可愛がりたいという程度ではやっていけません。

動物たちと一緒に生きるという強い覚悟が必要です。

労働時間は長い?

動物はいつ変化が起きるか分かりませんし、飼育や管理のほかにイベントやショーの準備もおこないます。

やるべきことはたくさんあるため、時間に追われやすい仕事です。

お昼休憩をゆっくり取る時間もなく、飲み込むようにして食事をする人も多いです。

時給で働くという感覚はあまりなく、必要に応じて長時間対応することもあります。

頭も使う仕事

動物飼育員は、ひたすら重労働というだけでなく、頭も使う仕事です。

自宅で飼うペットと違い、園の方針や条件に沿った管理を徹底しなくてはなりません。

常に頭を使い、動物の状態が変化したときもすぐに気づけるように観察を続ける必要があります。

自分が好きな動物だけを担当できるわけでもありませんから、異動になれば、自分が担当する動物について、習性を理解するよう勉強を続けなくてはなりません。

動物園には動物の生態研究や希少動物の保護といった目的もあり、動物飼育員には研究者としての役割もあるのです。

エンタメ性が求められる

動物園やサファリパークは、多くのお客様が動物たちを見に来てくれることで経営が成り立っています。

動物を育てて世話をすると同時に接客、サービス業でもあるため、「人を楽しませたい。」という気持ちが大切です。

イベントやショーの企画、実施をおこなったり、動物の特性をわかりやすく興味をもってもらえるように解説することも仕事のうちです。

これだけを取ると楽しそうに思うかもしれませんが、動物の管理や観察と並行しておこうため激務ですし、思い通りにならない動物をイベントやショーに登場させるには苦労もともないます。

動物飼育員の気になる年収

施設の経営状況にもよりますが、動物飼育員の年収相場は、民営施設なら200~350万円程度。

公営で働く場合は公務員なので400万円以上のケースもあります。

公務員は福利厚生にも恵まれているのも魅力です。

民営の動物飼育員は、体も頭も使い、責任が重い仕事であるにもかかわらず、年収には恵まれていない職業。

ただ、動物飼育員になる人は、たくさん稼ぎたいというより、動物が好きでいつもそばにいたいといった人が多いため、給与よりもやりがいを重視する傾向にあります。

動物飼育員の意外な退職理由とは

一般企業で働く方たちの退職理由は、給与の少なさや正当な評価が受けられないといった点が上位にきます。

動物飼育員の場合、給与の低さはある程度許容し、代わりに動物と触れ合える喜びを感じている人が多いです。

ただ、意外にも人間関係で悩む人が多いという特徴があります。

動物相手の仕事とはいえ、チームで動物の飼育にあたったり、上司もいるという点は他の職種と変わりません。

特に、上層部や上司と動物に対する考え方が違うことは多く、それが原因で辞めてしまう人もいます。

動物が好きであるがゆえに、自分以外の人がもつ動物への愛情について、高い理想をもってしまうからです。

動物への愛情が欠如している、お金儲けの道具のように思っている、そんなふうに見える上司や同僚がいると、辞めたいと感じるようです。

動物飼育員を辞めたらどこに転職できる?

動物飼育員の仕事はハードで、人間関係で悩む人も多くいます。

動物飼育員を辞めた場合、どこに転職できるのでしょうか。

動物飼育員は、動物関係の中でもかなり高い知識とタフな精神力が必要な仕事なので、動物に関わる仕事なら可能性は広がります。

理系の大学等をでていれば、研究機関などで実験動物の管理にかかわる仕事もあります。

ペットフードや雑貨を扱う企業、動物看護師やペットショップなど、動物の知識を活かせる転職先は豊富。

ただ、いずれも動物飼育員とは異なる点が多いため、動物飼育員の仕事が好きだった人にとっては違和感を感じやすく、馴染むのには時間がかかるかもしれません。

転職して動物飼育員になれるのか

動物看護師やペットショップ勤務など、現在動物を扱う仕事をしている人は、今からでも動物飼育員になりたいと感じるかもしれません。

動物飼育員への転職ですが、結論から言うと、可能性はゼロではないものの、かなり厳しいものがあります。

動物飼育員の求人は非常に少なく、欠員補充を狙うくらいしか道はありません。

正社員にこだわらず、契約、臨時、アルバイトを含めたすべての雇用形態であっても転職は狭き門です。

公営の園は公務員でないとならないため、民営を探すことになるでしょう。

動物関連の専門学校に通う場合は、学校に求人情報がでていたり、人脈を活かして紹介してもらうといったこともあります。

ほかには、転職エージェント、転職サイト等に登録し、欠員がでたタイミングですぐに求人を紹介してもらうようにするなど、地道に転職活動をしていくことになります。