介護職員の待遇改善が叫ばれている中、なかなか上がらない介護職員の給料。
介護の仕事にやりがいも意欲もあるけれど、給料が低いことで生活が苦しいという方も少なくありません。
そこで今回は、介護職員が業界内で給料アップを目指す方法を紹介し、介護業界の給料が低い理由もあわせて解説します。
他業界への転職を考える前に、今できることはないかをぜひ考えてみてください。
目次
介護業界の給料が低いのは一体ナゼ?
介護職が給料アップの方法を知る前に、なぜ介護職の給料が低いのかを知っておきましょう。
介護職が給料アップするための糸口が見えてくるはずです。
ここでは、介護職の給料が低い理由を紹介します。
専門職として認知されていない
介護の仕事に就いている方は、介護ケアの基本から、介護の原因となる病気やケガの種類などの医療知識、介護保険の知識など、さまざまな専門知識を持っています。
それらの知識を元に実際に介護するのが仕事なので、食事や入浴、排せつの介助などあらゆる場面専門スキルが求められます。
このように介護職はれっきとした専門職ですが、一般的には専門職として認知されていません。
つまり、「誰にでもできる仕事」と思う人が多いということ。
専門職として認知されない理由としては下記の点が考えられます。
- 未経験者も積極採用している
- 40代、50代の人材でも受け入れられやすい
- 「介護職=低賃金」と一般的イメージ
- 介護はかつては家族の仕事と位置づけられていた
介護報酬の影響を受けるから
介護事業所の収入源である介護報酬は、国で決められた公定価格で上限もあります。
介護報酬の大半が介護保険料や公費からまかなわれていることもあり、介護報酬を簡単に上げることができない仕組みになっています。
要介護度やサービス内容によって価格が決まっており、事業所が自由に利用料を決めにくいのです。
3年に1回の介護報酬改定時期には、介護事業所や介護職員たちが国の動向をこぞってチェックしています。
事業所や従業員たちの努力や工夫だけでは事業所収入を上げることが難しく、他者頼みという点が、介護業界で働く従業員の給料が安い根本原因となっています。
事業所だけが儲かっているという話も
介護報酬の影響を受けやすいのは確かですが、事業所だけが儲かっているとの声もあります。
たとえば非課税の社会福祉法人では内部留保の問題が指摘されており、従業員の給料に反映させる余地が十分にあるとも言われています。
介護職員の待遇改善のために設けられた「処遇改善加算」についても、配分方法が事業所に任されていることもあり、実際には給料が上がらないか、上がっても少しという職員も多くいます。
ひどい事業所になると、事業主のお気に入りの職員のみに加算がつき、それ以外の職員は全く影響を受けないことも。
「処遇改善加算」の存在自体は明るい話題ですが、その運用方法には問題があるようです。
ハードワークで離職率が高いから給料が上がりにくい
日本企業での給料は、一般的に勤続年数に応じて上がっていくケースが多くなります。
初任給が低くても、勤続年数を重ねることで定期昇給や昇級、ベースアップの機会にも恵まれやすくなるでしょう。
基本給が増えていくことで賞与や退職金の額にも影響を与えます。
しかし、ただでさえ体力勝負の介護職。
加えて深刻な人手不足と待遇の悪さもあり、離職率が高い傾向にあります。
介護業界全体で勤続年数が短いため、給料平均も上がりにくいのです。
介護業界で給料アップを目指す方法
介護の仕事にやりがいを感じており、実際に仕事に活かせる知識やスキルを持っているにもかかわらず、介護業界を離れてしまう人が大勢います。
その理由の1つが低賃金によって生活が成り立たないから。
他の離職理由があるならまだいいのですが、「本当は介護の仕事を続けたいのに給料が低いから無理。」と泣く泣く諦めるのはもったいないことですよね。
介護業界の中で給料アップしていくことも可能ですから、まずは給料アップを目指しましょう。
ここからは、介護業界で給料アップを叶える方法を紹介します。
介護業界は資格が重要
介護業界は、数ある業界の中でも資格がモノ言う世界です。
「介護の資格なんて取得しても意味がない。」「介護福祉士を持っていても手当は雀の涙。」といった声もあります。
しかし、それは資格を評価してくれる事業所で働いていないから。
実際には資格をきちんと評価し、それに基づいた手当を支給してくれる事業所もたくさんあります。
資格がすべてとは言いませんが、介護業界において資格取得をしていくことは、給料アップのもっとも王道な方法と言えます。
実務経験年数が必要なため躊躇する方も多いですが、介護福祉士やケアマネージャーまで取得できると、給料アップの道が開けてきます。
夜勤を積極的におこなう
介護職員の基本給の低さは簡単に変えることはできなくても、働く時間帯を変えることで給料アップにつなげることはできます。
主には夜勤を積極的におこなうことです。
夜勤をすれば少なくとも労働基準法で定められた2割5分増の手当がつき、事業所によっては上乗せ手当が支給されることもあります。
正社員の介護職員の場合、夜勤を何回おこなうかは事業所ごとに目安がありますが、生活が不規則になる夜勤はやりたがらない人が多いのも事実。
事業主に「夜勤をたくさん入れていただいて構いません!」と申し出れば、夜勤シフトが多めに回ってくる可能性はあります。
事業主にとっても、皆が嫌がる夜勤をやってくれる人材はありがたいため、評価が高くなる可能性もあるでしょう。
家庭がある方は家族の理解や協力も必要ですが、給料が上がることを根拠に説明すれば納得されやすいのではないでしょうか。
コミュニケーション力をとことん磨く
介護職は利用者や家族とコミュニケーションを取ることはもちろん、同じ事業所で働く職員たちと協力し合っておこなう仕事です。
給料アップのためにスキルを磨こうと思ったら、コミュニケーションスキルを鍛えるのはいい方法です。
コミュニケーション能力が高い方は利用者や家族からの評価も得られやすく、周囲の人とうまくやっていくこともできます。
事業所の評判を上げてくれ、さらに協調性があってトラブルを起こさない人材は、事業主は手放したくありません。
面談などで交渉すれば給料アップを検討してくれる可能性もあるでしょう。
相性のいい施設なら長くいた方が結局いいことも
業界や職種に限らず、仕事を辞めたい理由は給料以外だという方も多くいます。
特に、仕事内容や人間関係は大きな要因となるでしょう。
もし今の勤務先で、仕事内容にも満足しており、人間関係も良好に保っているのであれば、長く勤めることも視野に入れてみましょう。
給料が低いからという理由だけで転職すると、結局「前の施設の方が相性がよくて働きやすかった。」と後悔する可能性もあります。
低いと言われる介護職の給料でも、年齢や勤続年数ごとで比べると、やはり長く同じ場所でいた方が給料が高い傾向にあります。
前述したように、給料だけでなく賞与や退職金にも影響を与えるため、転職を繰り返すより生涯年収が増える可能性もあります。
事業主の介護にかける想いを確認する
介護業界はニーズの高さから、初期投資が少ない訪問介護をはじめとして、参入障壁が比較的低い業界です。
そのため、本当に利用者や従業員のために事業所を運営する経営者だけでなく、完全に利益目的で従業員をこき使う経営者も多くいます。
事業主がどんな想いで介護事業を展開しているのか、その想いからも給料アップの可能性を推測することもできます。
勤務先の事業主はどんな人かを知り、将来的な給料アップの可能性を探ってみましょう。
給料が高い勤務地を狙う
介護職の給料は勤務地による違いもあります。
地域ごとに物価や経済状況が異なることから最低賃金に違いもありますが、介護職の場合はそれだけではありません。
「地域加算」と呼ばれる、地域ごとの人件費格差を埋めるために介護報酬の上乗せ割合を定めたものがあるからです。
地域加算の率が高い地域にある事業所の方が、従業員の給料が上がる可能性が高いですが、この加算には不公平さも指摘されています。
たとえば同じ東京都内の隣接区で物価や経済状況があまり変わらない場合でも、上乗せ割合にかなり違いがあることも。
就職や転職で自宅から通える範囲内で事業所を選ぶ際にも、どの地区にある事業所で働くかによって給料が変わる可能性があるのです。
「地域加算」が高い地域にある事業所を探すのも1つの方法です。
給料が高い施設形態を知る
従業員の給料や施設ごとに異なるため一概に言えませんが、給料が高い傾向にある施設形態もあります。
たとえば、介護老人福祉施設。
厚労省が公表した調査結果によると、給料等を引き上げた割合、介護職員の平均給料額、定期昇給の実施(予定)において、介護老人福祉施設は他施設形態を上回る結果となっています。
介護老人福祉施設は、介護度が高い高齢者が長期入所できる施設のため、業務内容も入浴介助やおむつ交換などの身体介護が中心です。
生活援助業務が多い施設に比べて給料が高い傾向にあるのも当然かもしれません。
参照:厚労省「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/14/index.html
給料の高い施設に転職したいなら転職エージェントを利用すべき
給料相場が低いと言われる介護業界ですが、中には高い給料を払ってくれる事業所もあります。
今より給料の高い施設に転職するのは、業界内でのキャリアを築き給料アップにもつながるいい方法です。
給料や待遇などの気になる点は転職エージェントを利用すると信ぴょう性がある情報を得られやすく、転職失敗のリスクを回避できるでしょう。
最後に
いかがでしたか?
今回は、介護業界の給料が低い理由と、介護職が業界内で給料アップする方法を紹介しました。
人手不足の介護業界ですから、知識やスキルがあるなら業界内でのキャリアアップが叶いやすくなっています。
さらに給料がアップすればモチベーションも保て、やりがいと給料の両方を手に入れることもできるでしょう。