飲食店や小売店の求人で「店長候補」の募集を見かけることがあります。
店長候補とは、近い将来店長になることを期待された人材で、基本的に正社員として採用され、一般業務経験を積みながら徐々に店長業務も覚えていくことになります。
中には未経験から入社し、3ヶ月~1年で店長になった人もいますが、店長とはそんなにすぐになれるものなのでしょうか。
そこで今回は、未経験から短期間で店長に抜擢される人の特徴と、店長になるために磨くべきスキルを紹介します。
業界未経験でも店長に選ばれる人には共通点がありますよ。
店長候補の求人に応募を考えている方や、現職で店長を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
未経験から店長になる人の特徴は?
業界未経験ながら最速スピードで店長になれる人はどんな特徴を持っているのでしょうか。
その特徴から、店長になるために必要なことを学んでいきましょう。
謙虚な姿勢で成長スピードが速い
まず第一に、謙虚な姿勢であることが挙げられます。
先輩や上司の指導内容をよく聞き、自身の力不足も認識したうえで、教えてもらったことをすぐさま実行します。
店長候補の求人に応募してくる人は他業界での接客経験はある人が多いですが、そこでの経験にあぐらをかくことなく、転職先での学びをとことん吸収しようとします。
店長やマネージャーなど育てる側の人間にとっても、謙虚な姿勢で仕事に取り組む様子は成長への期待値が大きくなるため、店長へ推薦しやすい要素になるのです。
コミュニケーション能力が高い
店長は店舗やスタッフたちを管理するポジションですから、高いコミュニケーション能力が求められます。
実際に店舗に立ってお客さまとやり取りをおこなうのはもちろん、他のスタッフとも協力して業務をこなしたり、業者など外部の人との調整ごともあるでしょう。
店長になるには単に人当たりがいいだけではなく、会議で発言したり、部下や新人指導で厳しさを見せる必要もあります。
コミュニケーション能力は飲食店や小売店で働く以上、店長でなくとも必須の能力ですが、短期間で店長になれる人は頭一つ抜き出ているのです。
短く的確な言葉で伝える力がある
飲食店や小売店は客単価が低い分、大勢の消費者に商品サービスを提供することで売上につなげていきます。
そのため、準備や営業時間内のやり取りはスピーディーにおこなう必要があります。
スタッフたちが慌ただしく動きまわる中、的確な指示をだすのが店長の役割。
何を言いたいのか分かりにくかったり、長々と話をして仕事の手を止めてしまうような指示の出し方では店長として失格でしょう。
未経験から店長になれる人は、言いたいことを短くまとめ、的確に伝える能力に長けています。
これは、話してみればすぐに分かります。
普段から要点を得た話し方をするよう意識している人は、質問にテンポよく返してくれるため、店長になっても的確な指示・指導ができるのです。
業務の効率化を考えている
店舗には売上をアップさせるという大きな使命がありますが、単に労働時間を増やすことで達成すべきではありません。
業務の効率化をはかり、短い労働時間の中でも売上につなげることこそが店長に求められています。
未経験から店長になる人は、日々の業務の中で常に効率よく動くことを考えています。
個人レベルでの考えから、徐々に後輩指導へとつなげていき、店長になれば店舗運営に活かすこともできるでしょう。
よく、ダメな店長の例として、通常業務ばかりに追われて管理業務ができない人が挙げられますよね。
スタッフ時代から効率化を考えている人なら、店長になっても管理業務をしっかりおこない、人を動かすことができるようになるはずです。
感情が安定している
店長やマネージャーが店長候補を育てるとき、「店長としての器があるか。」を考えます。
その1つの要素として、感情が安定している点があります。
店長になると、店舗内で起きたさまざまなトラブルやクレーム対応、スタッフへの指導や精神面のフォローなど、冷静に対処しなくてはならない場面が多く発生するでしょう。
店長がすぐにカッとなりやすいタイプだったり、慌てて適切な対応ができないような人では、スタッフがついてこれなくなり、店舗運営が立ち行かなくなってしまいます。
イレギュラーなことが起きたときにも感情に流されず落ち着いて対応できる人は、店長としての器があると判断されるのです。
クレーム対応もできる
飲食店や小売店では一般消費者を相手にするため、クレームがつきものです。
正社員は店長でなくてもクレームに対応することが多くなりますが、店長候補としてしっかりチェックされているポイントです。
未経験でも最短で店長になってしまうような人は、どんなクレームに対しても冷静に的確な対応をします。
クレーマーの怒りに同調してイライラすることはなく、あくまでも相手がお客さまという立場を保ち、上手に対処します。
楽しく前向きに働いている
サービス業界は離職率の高さが問題になっていますが、中には定着率の高い店舗もあります。
そうした店舗は、スタッフが楽しく働けるような雰囲気作りに店長が積極的に関与しています。
店長自身が楽しく前向きに働くことで、むやみにスタッフを怒鳴りつけたり、サービス残業を強要することはないはずです。
サービス業界全体の離職率に歯止めをかけるには、店長のこうした資質が不可欠でしょう。
将来性が高い店舗では、スタッフに影響を与える店長自身の人柄や雰囲気がどうかをしっかり見極めています。
シフトの変更に快く応じてくれる
飲食店や小売店では基本的にシフト制を採用していますが、急な体調不良や家族の用事などでやむを得ずシフト変更が発生することがあります。
未経験から短期間で店長になる人は、シフトの変更に快く応じてくれます。
店長やマネージャーから見ると非常に助かる人材のため、評価が上がりやすくなるでしょう。
店長候補としても重要なポイントです。
店長になればパートの欠勤などで休日出勤することも多く、柔軟に勤務できる人の方が対応しやすいからです。
後輩指導に積極的で慕われやすい
店長業務の1つに部下や新人の教育・指導があります。
店長の育て方によって、スタッフの質が変わり、スタッフの質によって店舗の評判そのものが変わるため、特に重要な業務の1つと言えるでしょう。
未経験から店長になる人は、後輩指導にも積極的です。指導の仕方も丁寧に根気強く、後輩から慕われるような人柄も兼ね備えていれば、店長としての資質があります。店長になればスタッフをしっかりまとめていく必要があるため、人がついてきやすい人柄かどうかも重要になります。
店長に学歴は関係ない
ここまで、未経験から店長になる人の特徴を紹介しました。
店長というポジションは、一般企業における係長クラスで、出世の第一歩と言える立場にあたります。
一般企業では学歴や職歴が昇進に影響を与えることがありますが、飲食店や小売店では学歴はほとんど関係ありません。
学歴より、実際に勤務した中で、スタッフとしての個人能力や店長としての資質、意欲を判断されます。
サービス業界は低賃金が指摘されていますが、学歴がない人でも年収アップのチャンスがある業界です。
今後、店長からマネージャー、エリアマネージャーへとキャリアアップしていけば、大卒で一流企業で働く一般社員よりも高収入も可能です。
一発逆転を目指すならまずは短期間で店長になりましょう。
未経験から店長を目指す人が磨くべきスキルとは?
業界未経験でも短期間で店長になり、キャリアアップを叶えるには、どんなスキルを磨いていけばいいのでしょうか。
ここからは、短期間で店長になるために必要な努力を紹介します。
コミュニケーションスキル
これがなくては始まらないと言えるくらい重要なのは、コミュニケーションスキルです。
お客さまの要望を聞き満足してもらう接客ができているか、上司や同僚たちともうまくやっていけているか振り返ってみましょう。
自分より立場が下のスタッフや業者に横柄な態度をとるようでは、コミュニケーションスキルがあるとは言えませんよ。
関わる人はすべて店舗の利用者になる可能性があります。
誰に対しても謙虚で感じのいい対応ができ、積極的にコミュニケーションを取っていける人が優れています。
サービス業に関わる人材としてだけでなく、今後店長になって業績アップに貢献するために必須です。
情報収集スキル
店長になると、業界動向や店舗周辺の出店情報など、常にアンテナを張って情報を仕入れる必要があります。
インターネットだけで得られる情報ばかりでなく、人脈を広げたり、情報誌やセミナーから得られるものもあるでしょう。
店長になってからでは出遅れてしまいますから、今のうちに情報収集スキルを磨いておくべきです。
今の店長がどんな情報網を持っているのかを参考にしてみてもいいでしょう。
実行力
店長になるには実行力が必要です。
仕事をしていると納得できない指示を受けることもありますが、自分の中に落とし込んで実行に移すことができているでしょうか。
スタッフのうちから言い訳が多いようでは、店長になかなかなれないだけでなく、ようやくなったとしても業績を上げることなどできません。
景気や増税、立地など何かと言い訳が多い店長は、マネージャーや経営者からすれば厄介な存在ですから、淘汰されていく可能性があります。
言い訳をする前に、今できることは何かを考えて実行する力を磨いていきましょう。
根気
店長は根気がいる仕事です。
評判の高い店舗にするには地道な活動や日々の業務こそが大切で、すぐに結果がでるものではありません。
コツコツと忍耐強く取り組む必要もあるでしょう。
サービス業では多くのアルバイトが働いていますが、中には一度も働いたことのない人や、一般常識や基本的な業務を一から丁寧に教えなければ分からない人もいます。
業界全体で人手不足で低賃金で知られていますから、優秀で即戦力スキルとなる人材がそうそう集まってくるわけではありません。
店長としては、今は何もできない人材でも育て上げるスキルが必要で、根気のいる作業になります。
店長になれば仕事が楽になるとか手を抜けるなどと考えるのではなく、店長になったときにこそ発揮できるよう根気を磨いておきましょう。
お金への感度や知識
店長には経営者視点が求められるため、お金への感度や知識が必須です。
店長になる前から売上の推移を見つめ、売上の変動の要因をいつも考えておくようにしましょう。
飲食店や小売店は景気や他社の動向など、外的要因が売上に影響を与えることも多いですが、それは言い訳に過ぎません。
外的要因を理由にするのではなく、内にある原因を考えて対策している店舗は左右されにくい傾向にあります。
常に売上や経費に敏感でいれば、ピンチのときに素早く反応できるでしょう。
お金の知識を得るために勉強や情報収集を怠らないようにし、簿記などの資格を取得しておくのもいいでしょう。
危機管理能力
リスクが起きてから手段を講じるのではなく、事前にリスクが起きないように管理することこそが重要です。
店長は店舗に起こり得るすべてのリスクを事前に想定し、起きないために何をすべきかを考えて実行しなくてはなりません。
今のうちから、潜在的なリスクを想定し動いておくクセをつけておきましょう。
未経験から転職して店長を目指す人は転職エージェントを利用しよう
業界未経験から転職し、短期間で店長になろうと考えているなら、転職エージェントを利用して転職活動をすべきです。
飲食店や小売店は労働環境の改善が進んでいるものの、まだまだブラック企業が多い業界特性があります。
店長クラスであってもハードワークを強いられている人が多いため、事前にしっかり見極める必要があるでしょう。
せっかく店長になっても、長時間労働や劣悪な労働環境で心身ともに疲弊しては意味がありませんよね。
転職エージェントを利用すれば、業界事情に詳しいプロからアドバイスが受けられたり、企業情報の提供をおこなってくれたりします。
事前に気になる点があれば聞いてもらうこともできるため、転職した後のギャップを回避してくれます。
店長という肩書だけにとらわれず、働きやすい環境かどうかもチェックしておきましょう。
最後に
いかがでしたか?
今回は、未経験から短期間で店長に抜擢される人の特徴と、店長になるために磨くべきスキルを紹介しました。
未経験からわずか数ヶ月で店長になってしまう人は実際にいて、スタッフ時代からしっかりと店長になるべく動いていますよ。
その要素を参考にし、積極的に取り入れていきましょう。