薬剤師の転職は主に「調剤薬局」「病院」「ドラッグストア」「企業」の4つに分かれます。

転職を考える薬剤師は、どの分野で働くかを決めておくと、転職活動の方向性が定まるためスムーズ。

薬剤師の転職先の中でも今回は、調剤薬局にフォーカスしてお伝えします。

薬剤師が調剤薬局に転職するメリットとデメリットはどんな点でしょうか。

薬剤師が調剤薬局に転職する8つのメリット

薬剤師の転職先として調剤薬局は人気がありますが、調剤薬局で働くとどんなメリットがあるのでしょうか。

自身が転職に求めている点を整理し、メリットと照らし合わせて考えていきましょう。

1.規則的な勤務形態でしっかり休める

調剤薬局は基本的に土日休みで営業時間も固定されています。

多少の残業はあるものの、深夜にまで及ぶ長時間残業にはなりにくい環境です。

急性期病院などで薬剤師として働くと、当直や夜勤は当たり前、残業も多い傾向にあります。

製薬会社の薬剤師もハードワークで有名ですよね。

それらに比べると、調剤薬局では規則的に働きやすく、休みもしっかり取れると言えるでしょう。

特に女性にとっては、家庭との両立がしやすいのが大きなメリット。

結婚や出産を機に病院から調剤薬局への転職を希望する女性薬剤師も少なくありません。

働きやすさの点では、他の転職先に比べて高いと言えます。

2.複数店舗があり配偶者の転勤に対応しやすい

調剤薬局とひとくちに言っても、単一店舗から、中堅や大手薬局チェーンまであります。

チェーン展開する調剤薬局の場合は複数の店舗を持っているため、勤務地の希望が比較的聞き入れやすいのがメリットです。

たとえば、女性は配偶者の転勤によって転職を余儀なくされるケースが多いですが、その場合でも、転職ではなく異動という手段が残されます。

転職リスクなく働き続けることが可能ということに。

特に、広範囲で店舗展開している大手薬局チェーンであれば、配偶者の転勤先に店舗がある可能性もでてくるため、生活スタイルの変化にも柔軟に対応しやすいと言えるでしょう。

病院や企業で働く薬剤師の場合は、勤務地への柔軟な対応が難しくなります。

3.通勤しやすい場所にある

調剤薬局は基本的に患者さんにとって不便のない場所に置かれていますので、薬剤師にとっても比較的通勤しやすい場所にあると言えます。

調剤薬局は特に女性薬剤師に人気が高い場所ですから、自宅や子供の保育園から近い調剤薬局であれば、忙しい主婦にとっては助かりますよね。

通勤に時間がかからず、仕事帰りに夕飯の買い物をして帰る余裕もでてくるため、家事の時短につながります。

4.福利厚生が充実している

調剤薬局は福利厚生が比較的充実しているケースが多いです。

特に大手調剤薬局チェーンは給与や待遇にも恵まれており、産休育休制度も取りやすい傾向に。

退職金もしっかりでます。

ただし、単一店舗の調剤薬局の場合は福利厚生の充実には期待できないのも実情です。

手当や退職金、その他サービスの利用といった福利厚生を求める方は、やはり中堅から大手薬局チェーンを選ぶ方がいいでしょう。

5.求人数が多く転職しやすい

薬剤師求人の中で件数がもっとも多いのが調剤薬局です。

特に地方の調剤薬局では薬剤師は不足しているため、多数の勤務地で募集がだされています。

求人数が多いと2つの大きなメリットがあり、1つめは調剤薬局ごとに比較して選べる点です。

どうしても病院で働きたい場合は、自宅から通える病院を探すことになり、転職先がかなり限定されますが、調剤薬局なら多数の選択肢があります。

じっくり比較して選ぶことで、より希望の条件にあった求人を見つけることができるでしょう。

2つめは、採用ハードルが低いという点です。

どの調剤薬局でも薬剤師に来てもらいたくて仕方がありませんので、薬剤師免許と実務経験がそれなりにあれば採用されやすいと言えるのです。

もちろん、条件がいい人気の調剤薬局であればライバルが増えるため確実ではありません。

経験年数やアピールにかかっていると言ってもいいでしょう。

とはいえ、人気が高いのに求人数が少ない病院や企業に比べる、とかなり転職しやすい転職先となります。

6.病院やドラッグストアに比べて落ち着いて仕事ができる

調剤薬局は他の転職先に比べて、ゆったり働けるとの意見もあります。

病院薬剤師や企業のMRは非常に多忙ですし、残業もかなり多いです。

ドラッグストアの場合も、薬剤師業務以外にレジ打ちや商品陳列など、一般のドラッグストアスタッフ同様の業務があり、やることが多い印象。

調剤薬局が暇というわけではありませんが、他と比較するとマイペースで仕事ができると感じる人が多いようです。

ただし、調剤薬局によって忙しさには大きな差があります。

1日20~30枚程度の処方箋で済み、高齢の方にゆっくり丁寧に服薬指導する余裕もある調剤薬局があれば、複数科目で多数の処方箋をひたすらこなすハードな調剤薬局もあります。

調剤薬局だから落ち着いて働けるというより、調剤薬局ごとの業務量をしっかり確認してから転職することが大切でしょう。

7.仕事内容に「ある程度」の満足感が得られやすい

「やりがい」の面では、最先端医療に関わることができる病院薬剤師にはやや劣るものの、トータルで見たバランスでは調剤薬局が優れています。

薬剤師のメイン業務とも言える調剤業務はほぼ途切れなくおこないますので、薬剤師になった実感を得やすいでしょう。

病院薬剤師のように「患者さんと直接接することができない。」といった悩みもなく、地域の患者さんと接することで地域貢献度を感じやすくなります。

ドラッグストアのように雑務が少ないのも魅力。

仕事内容にそれなりの充実感があり、働きやすさもあることから、長く続けられる環境が整っています。

8.在宅医療に携わることができる

近年の医療業界で注目が高いのは在宅医療です。

高齢化によって在宅医療の重要性が指摘されている中、薬剤師も関わる機会が増えてきています。

調剤薬局の薬剤師は、医師の往診に同行して服薬指導や調剤業務をおこなうこともあり、特に在宅医療に力を入れている調剤薬局であればその機会に恵まれるでしょう。

患者さんへの栄養療法を提供する「NST(栄養サポートチーム)」の薬剤師を目指す方も、調剤薬局を希望する方の中には多いのです。

薬剤師が調剤薬局に転職する6つのデメリット

ここからは、薬剤師が調剤薬局に転職するデメリットを紹介します。

メリットが大きい調剤薬局への転職ですが、デメリットも踏まえて考えないと失敗してしまいます。

両者とのバランスを意識することが大切でしょう。

1.女性が多く人間関係が面倒

薬剤師はそもそも女性比率が高い職種ですが、調剤薬局の場合はさらに顕著です。

前述したように、規則的な勤務形態で家庭との両立が叶いやすいことから、女性薬剤師からの人気が高い職場だからです。

女性は協調性が高く気が利く人も多いため、人間関係がうまくいくと非常にスムーズ。

しかし、足並みが揃わないことにストレスを感じやすいため、相性が悪いと苦労する可能性があります。

女性比率が高過ぎる職場だと、女性ならではの人間関係に悩む薬剤師も少なくありません。

できれば男性薬剤師もいて、男女比のバランスが取れている調剤薬局の方がいいでしょう。

2.一人薬剤師だと自由に休みにくい

薬剤師の転職で、調剤薬局の一人薬剤師になって成功した例もあります。

仕事量が多くなく、他の薬剤師との煩わしい人間関係も発生しないため、気楽に取り組むことができるからです。

ただし、一人薬剤師の場合、体調不良などで急な休みを取りにくいというデメリットがあります。

他の店舗からヘルプを頼んだり、派遣薬剤師で対応したりと方法はあるのですが、調整に手間がかかるため、上司からあまり好まれないからです。

自身が職場に何を求めるかによっても変わってきます。

一人薬剤師の場合は、不測の事態にどう対応してもらえるかを、あらかじめ確認しておきましょう。

3.調剤薬局の規模によっては教育体制が整っていない場合も

転職組の薬剤師とは言え、働く場所が変われば仕事のやり方も担当業務も違うため、戸惑うことも多いでしょう。

特に病院やドラッグストアなど、調剤薬局以外から転職する方は、教育体制が整ってしっかり指導してくれる調剤薬局の方がいいと感じるはずです。

教育体制の有無は、調剤薬局薬局の規模によって大きく異なります。

小規模薬局などでは薬剤師の人数が少なく教える余裕もないため、丁寧な教育には期待できません。

先輩薬剤師の業務を見て覚えるしかなく、困ったときに誰にも聞けない可能性もあるでしょう。

病院や企業のように組織的に教育してくれる場所とは異なる点です。

4.処方箋枚数が多い薬局だと忙しい

調剤薬局の中でも処方箋枚数が多く非常に忙しい職場もあります。

1人あたりの業務量が多く、お昼休憩をしっかり取る余裕がないことも。

稼働している薬剤師人数が何人かは必ず確認しておきたいところです。

忙し過ぎると休みも取りにくく、薬剤師たちの精神的なストレスも大きいため、職場の雰囲気もピリピリしやすい傾向にあります。

5.調剤業務に偏ることがある

調剤薬局で働く薬剤師の業務は、「調剤業務」「患者さんへの服薬指導」「薬歴管理」がメインになります。

病院やドラッグストアに比べると業務のバランスがいいことが多いのですが、調剤薬局によっては調剤業務に偏るケースもあります。

ひたすら調剤業務をおこなっていると、業務がルーチン化しやすく、薬剤師としての満足感が低くなることもあります。

調剤業務だけでなく、他業務にも携われるかどうかは確認しておきましょう。

6.年収への満足感が得られないことも

調剤薬局の薬剤師の年収相場は450~650万円と、病院薬剤師と大きく変わらない水準です。

薬剤師は他職種に比べて稼げない職種ではありませんので、年収が低くて辛いと感じるケースは多くはないかもしれません。

ただ、ドラッグストアや企業に比べるとやや年収相場が低く、役職に就くといったキャリアアップのチャンスにはさほど恵まれていません。

ベテラン薬剤師でもずっと平社員ということも多々あるため、年収の大幅アップには期待できないでしょう。

年収にこだわりたい薬剤師なら、比較的年収相場が高いドラッグストアへの転職を考えるのが1つ。

激務や採用ハードルの高さを覚悟のうえで、製薬会社など企業への転職を目指すといった選択肢もあります。

薬剤師が調剤薬局に転職するなら転職エージェント利用が最適

薬剤師が調剤薬局に転職したいなら、どの求人媒体でも多数の求人に出会うことができます。

ただし、調剤薬局ごとの差が激しいため、慎重に見極めることが大切になるでしょう。

そのため、自力での応募より、転職エージェントを利用して活動することをおすすめします。

転職エージェントはプロが併走してくれ、プロ目線でのアドバイスによって転職失敗を回避できるからです。

調剤薬局の内情を教えてくれたり、給与交渉をおこなってくれたりと、自分一人ではできない点をサポートしてくれます。

最後に

いかがでしたか?今回は、薬剤師が調剤薬局に転職するメリット・デメリットを紹介しました。

働きやすい職場として人気が高い調剤薬局ですが、デメリットもありますし、調剤薬局ごとに労働環境は大きく異なります。

調剤薬局のメリット・デメリットを知り、慎重に見極めるようにしましょう。