医師や会計士と並び、ゴールドライセンスである弁護士。
選ばれし者しかなれない特別感と高収入、「先生」と呼ばれる社会的地位の高さから、羨望の眼差しを受ける職種ですよね。
弁護士になれば一生安泰とのイメージを持たれやすいですが、近年は弁護士業の様相は大きく変わってきています。
弁護士であっても転職は普通におこなわれていますし、弁護士だから稼げるというわけでもないようですよ。
今回は、そんな弁護士の転職にフォーカスし、弁護士を辞めたい理由と転職事情を紹介します。
目次
弁護士を辞めたい人多数。弁護士を辞めたい理由は?
弁護士になるには、多額の学費を払って勉強に明け暮れれ、司法試験に合格し、司法研修所を卒業するという長い年月がかかります。
苦労して弁護士になり、ようやく希望の法律事務所に就職できても、転職したい、弁護士を辞めたい人も多数います。
ここでは、なぜ弁護士を辞めたいのか、その理由を紹介します。
ブラック事務所で働いていたから
法律家のトップとも言える弁護士ですが、就職した法律事務所の経営者が必ずしも法律を遵守しているとは限りません。
中には、従業員である弁護士を長時間強制的に働かせるケースも。
ブラック企業があるのは弁護士業界でも同じなのです。
法知識があるがゆえに、法違反ギリギリのところをついて、都合のいいように働かせる悪質な経営者弁護士もいるということ。
弁護士でもブラック事務所に引っかかり、長時間労働を強いられて心身ともに疲れ果て、辞めてしまう人がいます。
特に、意欲の高い若手弁護士は早々に見切りをつけて転職の道を探ることになります。
仕事が減ってきたから
訴訟件数の減少により、弁護士資格があるだけでは経営がなりたたない事務所もでてきました。
本来は社会保険労務士の担当領域と認識されていた、訴訟額の小さい労働関係にも手をださないとやっていけません。
最近は、弁護を依頼する人の方も、それなりに法知識を備え、各弁護士事務所をネット上で徹底的に比較し、選べる立場になっています。
もちろん、依頼者からすればそれ自体はいいことでもあるのですが、弁護士側からすると立場が弱くなったとの見方もあります。
弁護士は仕事の依頼を断ることもできるのですが、訴訟件数が減ってきた中で稼がなくてはならないため、仕事の選り好みをできなくなっているのです。
その結果、不本意ながら依頼を受けたり、自身の考えとは異なる方向で戦わないといけなくなったりと、自己矛盾を抱えやすくなるのです。
高収入を得ることが難しくなっているから
弁護士は医師とならぶ「高収入職種」の一つですが、近年では弁護士であっても高収入を得ることが難しくなっていると言われています。
その理由は、弁護士が増え過ぎたことにあります。
弁護士はもともと定年がなく知的労働のため、高齢になっても続ける人がいますし、司法改革の影響により新しく弁護士になる人も急増しました。
訴訟件数自体が減っているのに弁護士数ばかりが増えたことにより、少ない枠の奪い合いが起きています。
弁護士でさえあれば稼げた時代はとっくに終わり、ノマドワーカー的に携帯電話一つで仕事をする弁護士すらいます。
弁護士であっても、一般的なサラリーマンより年収が低いケースも今や珍しくなく、稼げる職種とは言いづらい側面があるのです。
自身が持つ正義感とのジレンマ
弁護士は弱いものの味方とのイメージがありますが、中には、弱いもののフリをした悪質な依頼者もいます。
困っているからというより、お金や嫌がらせ目的で依頼をしてきたりといった依頼者もいますが、仕事の選り好みがしにくい中で断る勇気が持てないことがあります。
弁護士になるまでに自分自身が思い描いていた「正義」の形を、ずっと同じように持ち続けることは難しく、どこかで割り切るか、正義感と稼ぐ必要性とのジレンマにつぶされそうになることがあります。
もともと正義感が強い弁護士ほど、精神面で耐えられなくなるケースもでてくるのです。
ワークライフバランスを保ちたい
弁護士は多忙ですから、家庭やプライベートを大切にしたい人が仕事との両立を図るのは非常に難しいと言えます。
しかし、弁護士も人間ですから、仕事以外に大切にしたい人もいます。
近年はワークライフバランスという言葉が広く浸透したため、これまで当たり前のように働き続けてきた人も、ふと自分自身の働き方を振り返るきっかけが増えたといえるでしょう。
弁護士からの転職先は?
弁護士が転職したい場合、転職先はどこになるのでしょうか。
ここからは、弁護士のキャリアチェンジで考えられる道を紹介します。
別の法律事務所へ移る
ひとくちに法律事務所といっても、債務整理を専門とする事務所から、離婚をメインに扱っている事務所までさまざまです。
個人向けではなく、企業法務を専門としている事務所もあります。
企業向けの場合は訴訟以外の案件が多いため、比較的安定的な事務所経営が叶うでしょう。
現在の法律事務所が合わないと感じても、別の法律事務所へ転職することで、自分に合った仕事に携われる可能性があります。
弁護士自体を辞めたいのか、今の事務所の方針と合わないかは分けて考えなくてはなりません。
一般企業で法務担当になる
弁護士としての法律知識を活かしつつ、事務所のようなハードワークがなく安定的な働き方ができるとして人気なのが一般企業です。
企業内弁護士として法務や知的財産に関する部署に配属されることで、その知識を十分に活かすことができます。
訴訟がない分精神的なストレスも減り、クライアントの都合で休みなく働かされる必要もないため、ワークライフバランスも保ちやすいと言えるでしょう。
ただし、弁護士事務所から一般企業への転職は人気が高いため、弁護士とはいえ簡単ではありません。
特に、企業法務に携わった経験がないと難しいと言えます。
ベンチャー企業に移る人も
ベンチャー企業に転職して一旗あげようと考えるチャレンジングな弁護士もいます。
ベンチャー企業の法務を担当するというより、ほかの社員たちと同じく事業の立ち上げにゼロから携わる場合も多いです。
将来的には経営者を目指し、苦労して取得した弁護士資格を直接は使わない道を選ぶ人も。
弁護士は司法試験を突破した抜群の頭脳を持っていますから、簡単に言ってしまえば、やるき一つでどの職種にキャリアチェンジすることも可能なのかもしれません。
弁護士の転職活動方法は?
弁護士が他の事務所や一般企業への転職をする方法は、ハローワークや求人誌を利用する方法があります。
ただし、ハローワークや求人誌では圧倒的に求人数が少なく、弁護士ではなく弁護士秘書や事務職の応募が多く見られます。
弁護士として転職したいなら、弁護士や管理部門への転職に特化した転職エージェントを使いましょう。
法律事務所を多数扱っている弁護士専門の転職エージェントや、企業の法務など管理部門の求人を得意とする転職エージェントなどがあります。
サポートしてくれるコンサルタントが弁護士転職に精通しており、弁護士求人が集まるため希望の求人を見つけやすいでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、弁護士の辞めたい理由と転職事情を紹介しました。
特殊な職業とのイメージが強いですが、辞めたい理由は他職種と大きくは変わりません。
弁護士であっても労働者であることに違いはないのです。
弁護士の転職先は法律事務所か一般企業の企業内弁護士かが主な選択肢ですが、弁護士になれたポテンシャルがあれば、その他のキャリアチェンジも十分に可能と言えるでしょう。