助産師が転職を考えるとき、選択肢として病院とクリニックで迷う方も多くいます。

病院とクリニックとでは業務内容が異なっており、助産師が感じるメリット・デメリットにも違いがあるでしょう。

転職先として病院とクリニックのどちらを選ぶべきかを迷ったら、それぞれの特徴を比較し、自身との相性を冷静に判断することが大切です。

そこで今回は、助産師の転職先として考えらえる病院とクリニックのメリット・デメリット、転職時の注意点を紹介します。

助産師が病院に転職するメリット

助産師の転職先として真っ先に考えられるのは病院でしょう。

実際に、助産師の多くは病院で働いていると言われます。

助産師が病院に転職するにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

まずはメリットから紹介します。

いろいろなケースの分娩を経験できる

病院は正常分娩だけでなく、異常分娩やハイリスク妊産婦も扱っています。

クリニックだと設備が整っておらず対応が難しいため、大学病院や総合病院など規模の大きな病院に集まってくるからです。

助産師にとっては、いろいろなケースの分娩を経験でき、勉強になる点がメリットです。

特に若いうちは多数の経験を積むことで、今後の助産師キャリアに活きてくるでしょう。

ただし、人によっては正常分娩を担当したいと感じることもあります。

分娩の種類がメリットになるかどうかは人によって異なりますので、自己分析が重要となります。

教育体制が整っている

病院はクリニックに比べて組織化されており、教育体制が整っているメリットがあります。

若手助産師のうちからいきなりクリニックに転職すると戸惑うことが多いため、最初のうちは病院でしっかり教育してもらってから移るのが一般的です。

同僚の助産師たちとともに学び、経験を積むことができるため、悩みや不安も共有しながら成長していくことが可能です。

福利厚生に期待できる

病院勤務は福利厚生が充実しており、年間休日数、手当、賞与、退職金なども恵まれています。

レジャー施設の割引や資格取得支援などに加え、人間ドッグ、医療費免除など、病院ならではの日常的に使える福利厚生があるのも特徴です。

昇給が毎年あり、賞与の支給率も大きな変動がなく安定的に受け取ることができます。

助産師が仕事に集中しやすく安心できる環境といっていいでしょう。

病院によって分かれるが段階的に上がりやすい

給与については病院によっても分かれます。

大学病院は比較的給与相場が高めで、年収500~600万円ほど稼げる助産師も少なくありません。

総合病院の場合は400~500万円ほどと、大学病院に比べると低くなるケースもあります。

助産師数によっては忙しさの割にあわない可能性もでてきます。

いずれにしても、病院は給与テーブルが一定で、経験年数に応じて段階的に給与が上がりやすいため、長く勤めるほど金銭的なメリットは大きくなります。

育児中の職員が働きやすい

病院では看護師の離職を回避するためのさまざまな制度があります。

正社員、パートといった分類だけでなく、病院の独自制度として短時間正社員を設けていることも。

一般的に、パートになってしまうと、賞与や退職金、福利厚生面で不利になってしまうことがほとんどですが、短時間でも正社員として勤務することで変わらず受け取ることができます。

育児中は短時間正社員として仕事をセーブしながら働き、子育てがひと段落すればフルタイム正社員に戻ればいいのです。

キャリアに応じた選択肢が豊富なのが魅力でしょう。

助産師が病院に転職するデメリット

病院への転職は多数のメリットがある一方でデメリットも存在しています。

自身がどんなキャリアを積みたいかによって大きく変わってくる点でもあるため、しっかりと把握しておきましょう。

産科に配属されるか分からない

助産師は看護師と助産師資格を持っていますから、病院にとってみれば「どの科でも使える人材」です。

希望を配慮してくれることも多いですが、産科以外の科で看護師不足が起きていた場合などは、そちらに配属される可能性もあるため確実ではありません。

助産師免許があるとNICUに異動となるケースも多いため、分娩には関われないこともあります。

クリニックの場合は分娩を目的とした施設ですからこうしたリスクはないですが、病院だと希望の仕事に就けないこともあると思っておきましょう。

産前から産後まで深く関われない

病院の場合、診察や処置を医師や看護師がおこなうことも多く、助産師は保健指導や母親教室などを担当することもあります。

働く人が多数いる分、担当分けがしっかりなされており、一人の妊産婦に産前から産後まで関わることは少なくなっています。

多くの妊産婦と部分的に関わることになっていくため、クリニックで働く助産師に比べて関係性が薄く物足りなさを感じる人もいます。

産科の規模縮小や閉鎖も

病院には複数の科があるため、場合によっては産科の規模縮小や閉鎖の可能性もあります。

最近は食事が美味しかったり、設備がきれいでゆったりできたりするクリニックの評判が高く、病院は人気が低くなってきています。

スマホなどで簡単に口コミを確認できることができるようになったことも一因でしょう。

病院の経営状態によっては、産科以外の科に力を入れる可能性もあるため、助産師が希望の部署で働けなくなるケースもでてきます。

転職先として病院を考えている場合は、分娩件数や産科医の人数など、将来性も含めて確認しておきたいところです。

多数の専門職と関わるため人間関係に悩む人が多い

病院の産科では産科医や助産師だけでなく、看護師やその他の医療系専門職が多数働いています。

「チーム医療」の一員としての役割を求められるため、他職種との関わりは避けて通れません。

圧倒的多数の看護師たちとも協力体制を築き、良好な人間関係を保つ必要があるでしょう。

関わる人数が多く、さまざまな職種がいることで、人間関係にストレスを感じやすくなり、悩みにつながっています。

人間関係の悩みはどこに行ってもつきものですから、病院にあってクリニックにないわけではありません。

関わる人が増える分、合わない人がでてくる可能性が高くなるということです。

助産師がクリニックに転職するメリット

病院と異なる点が多数あるクリニックは、助産師なら一度は転職を考えたことがあるかもしれませんね。

妊産婦からの人気も高くなっており、需要が増えてきています。

クリニックへの転職にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリットから見ていきます。

とにかく多数の分娩に関わることができる

クリニックは病院とは異なり、産科を専門としています。

分娩を扱っているクリニックと外来のみのクリニックに分かれますが、ここでは主に分娩を扱っているクリニックについて述べていきます。

クリニックでは、分娩経験を積むことができるため、とにかく分娩に関わりたい方には大きなメリットとなります。

助産師としての仕事のやりがいを感じやすいと言えるでしょう。

正常分娩を中心に扱っている

クリニックで扱う分娩は主に正常分娩になります。

軽度の異常分娩を扱うこともありますが、設備や人員、リスクの観点からも、異常分娩やハイリスク妊産婦は病院を紹介されることになるからです。

リスクの少ない分娩の方が、母子ともに健康な状態で皆の笑顔が見られるため、助産師の醍醐味を感じやすいとも言えます。

幸せに包まれる瞬間に立ち会いたい助産師は、正常分娩が多いクリニックの方がいいでしょう。

一人一人の産前から産後まで担当できる

クリニックでは、産前から産後のフォローまで一連の流れを担当します。

病院のように分業がされているわけではないため、どの妊産婦がどんな状態で、赤ちゃんはどうだったのかを把握しやすいと言えます。

不安が大きい妊産婦からも頼りにされやすく、ちょっとした悩みなども相談されることがあり、関係性を築きやすいです。

感謝の気持ちを伝えてもらう機会も多いため、助産師としての喜びを感じやすいものです。

給与に恵まれている

看護師の場合は、クリニックより病院の方が給与に恵まれているケースが多いですが、助産師の給与はクリニックでも比較的恵まれています。

最近はクリニックを希望する妊産婦も多いため、人気のあるクリニックであれば分娩数が多くなり助産師の給与も高くなる傾向にあるからです。

年収相場は500~600万円ほどですが、クリニックによって独自の分娩手当や夜勤加算を設けている場合もあり幅が広いです。

人気のクリニックであれば給与にはある程度期待できる点が、他の科とは異なると言えるでしょう。

助産師がクリニックに転職するデメリット

クリニックへの転職はメリットだけでなくデメリットもあります。

クリニック勤務が向いている助産師の範囲はある程度限られてくるため、自身との相性をしっかり判断しましょう。

仕事がハードになりやすい

分娩を扱っているクリニックでは24時間体制ですから、夜勤をすることが大前提となります。

人気のクリニックだと分娩待ちの妊産婦を多数抱え、分娩が立て続けに発生することもあるため忙しいです。

お産の長さは人によってまちまちですから、シフトが終わる時間帯を過ぎることは当たり前で残業もあります。

分業がされている病院であれば次のシフトの助産師に引き継ぐこともしやすいですが、クリニックの場合は担当している妊産婦への思い入れや責任感もあり、分娩途中になかなか代われないこともあります。

産科以外であればクリニックは病院に比べてゆったりしているのが特徴ですが、産科クリニックは全くそんなことはありませんので、バリバリ働きたい気持ちがないと難しいでしょう。

どうしても夜勤をしたくないなら、入院施設がないクリニックを選ぶことになりますが、助産師のスキルアップにはつながりにくくなります。

教育してもらえないケースがある

クリニックの規模にもよりますが、病院に比べて教育体制が整っていない場合もあります。

組織的な研修などはおこなわれず、実践を通じて仕事を覚えていく形も珍しくありません。

そのため、ある程度経験を積んだ助産師でないと難しいと言えます。

転職活動の際も、経験年数や分娩をどの程度扱ってきたかを問われることになるでしょう。

具体的には、助産師としての経験が3年以上はないと厳しくなります。

若手助産師は転職活動をしていてもなかなかうまくいかないこともでてくるため、病院で経験を積むことも選択肢に入れながら、慎重に転職活動する必要があります。

働き方が限られている

病院では、助産師や看護師は他職種に比べて優遇されやすい立場にあります。

他職種ではない育児制度が、助産師や看護師だけが使えるということも珍しくありません。

クリニックの場合はそもそも他の専門職が少ないこともあり、助産師だから優遇されるとは言えない環境です。

規模的に制度整備が難しい面があるため、正社員かパートかを選ぶことが多くなります。

育児中の方など今だけ働き方を変えたい場合は、パートになるくらいしか選択肢がない場合もあるでしょう。

病院とクリニックどちらが向いている?適性をチェック!

助産師が病院とクリニックで働くメリット・デメリットをそれぞれ紹介してきました。

ここまでの内容を元に、病院とクリニックへの適性をチェックしてみましょう。

以下、病院に向いている助産師、クリニックに向いている助産師の特徴を挙げます。

(病院が向いている助産師)

  • キャリアアップしたい人
  • いろいろなケースの分娩を経験したい人
  • 分娩以外の業務も積極的におこないたい人
  • より多くの妊産婦をサポートしたい人
  • 他職種ともうまくやっていける人
  • 福利厚生に期待したい人
  • しっかり教育してもらいたい人
  • 働き方を選びたい人

(クリニックが向いている助産師)

  • 分娩の仕事を中心にやりたい人
  • 正常分娩に携わりたい人
  • 一人の妊産婦の産前から産後まで関わりたい人
  • 給与に期待したい人
  • 助産師としてのスキルを磨きたい人
  • 経験年数が豊富な人
  • 夜勤もバリバリできる人

この他にも、転職を考えている病院やクリニックの特色によって、自分に合う合わないが変わってきます。

施設の研究をしっかりおこなうことと、自己分析が重要なポイントとなります。

助産師の転職活動で注意したいこと

ここからは、助産師が実際に転職活動を始めるにあたって注意したい点を紹介します。

病院かクリニックかの方向性を定めた後でも、そこからが重要になりますよ。

転職前に確認しておきたい点、活動方法を含めて見ていきましょう。

力を入れている分野を確認する

分娩でも、自然分娩や無痛分娩、水中分娩さまざまなタイプがあり、病院やクリニックによって特色が異なります。

どんなタイプの分娩を扱っているのかをあらかじめよく調べておきましょう。

また、分娩自体に力を入れているところと、産前産後のフォローに力を入れているかも違いがあります。

自分自身が助産師としてどんな仕事に関わりたいのかを掘り下げておき、希望に沿った転職先かを見極めましょう。

夜勤帯の助産師数をチェック

夜勤帯の助産師数によって、自身にかかる負担や求められる判断力が変わってきます。

夜勤帯に一人しか助産師がいない場合、夜間の分娩時には激務になります。

看護師ではなく助産師が何人稼働しているのかを確認しておきましょう。

業務に関わる点ですから、転職面接で聞いても問題ありません。

積極的に聞いておきたいポイントになります。

業務内容の詳細を聞いておく

具体的な業務内容についても事前にしっかり聞いておくことが大切です。

特に病院の場合は、産科に配属されたとしても思っていた仕事に携われないこともあります。

さらに、部署配属の決定が入社後にされるケースもあるため、いつ配属が分かるのかも確認しておきたいところ。

新卒と違って中途採用の場合は配属先が知らされていることも多いですが、人員配置の都合上あとで調整される可能性もあります。

そのあたりも含めて詳細まで聞いておくことが大切です。

日勤のみの希望なら給与ダウンは覚悟しよう

正社員の助産師として転職するなら、夜勤をおこなうことは原則です。

ただ、助産師不足の病院やクリニックでは、日勤のみの希望でも雇ってくれる場合もあります。

助産師免許は看護師免許にプラスして取得しなくてはならないため、助産師免許を持つ看護師は限られるからです。

入院施設でも日勤のみ働ける場合がありますが、給与ダウンはある程度覚悟しておきましょう。

助産師の給与は基本給が高いというより、夜勤や分娩手当などによって加算されていく仕組みになっているため、夜勤をしなければ必然的に下がっても仕方がないからです。

自分が何を優先させたいのかをよく考えておきましょう。

今の職場で働きながら転職活動すべき

助産師の中には、一旦退職してから転職活動する方も多くいます。

全国的な看護師、助産師不足と、助産師免許という圧倒的な強みがあるため、採用までが比較的スムーズだからです。

しかし、退職後にすぐ希望の職場が見つかるとは限りませんし、経験や年齢によっても採用ハードルは変わってきます。

無職期間が長くなってしまえば、生活が不安定にもなるでしょう。

希望の勤務地での転職市場がどうなっているかもわからないまま、退職を優先させるのはおすすめできません。

今の職場で働きながら転職活動をすることで、求人状況によっては現職に留まる選択肢もありますので、慎重に活動しましょう。

転職活動はプロの力を借りるのが吉

助産師の転職は転職エージェントを利用するのがおすすめです。

不規則な勤務形態と夜勤や残業で体力的にも厳しい助産師は、自分一人で活動するのは難しいからです。

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面接の日程調整や給与交渉もおこなってくれますので、助産師が忙しい中でも希望の職場へ転職できるのです。

病院かクリニックどちらにすべきか迷っている方でも、プロの視点から的確なアドバイスをくれますので、頼ってみるといいでしょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、助産師の転職先として、病院とクリニックそれぞれのメリット・デメリットと、転職における注意事項を紹介しました。

助産師の活躍の場としては、病院もクリニックも魅力があります。

キャリアの方向性によって選ぶべき場所が変わってきますので、メリット・デメリットを比較しながら自身との相性を見極めていきましょう。

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