「コンビニオーナーは儲かる。」

どこかでこんな話を聞き、自分もやってみたいと意欲が沸いてきたことはないでしょうか。

現在会社勤めをしている人の中には、コンビニオーナーへの転職に興味を持つ人も大勢います。

自分のお店を持つことができ、高収入と自由な生活を手にすることができる、そんな期待を胸に転職を決める人もいるかもしれませんね。

コンビニオーナーへの転職を決める前に、本当に正しい選択なのかについて慎重に考えておく必要がありますよ。

今回は、コンビニオーナーへの転職にスポットライをあて、メリット・デメリットを紹介します。

コンビニオーナーに転職するメリット

まずは、コンビニオーナーに転職するメリットを紹介します。

価値観や状況によって何がメリットになるかは人それぞれです。

自身の考え方などと照らし合わせて、本当にメリットになるのかどうかを確認してみましょう。

普通のサラリーマンでも経営者になれる

サラリーマンは、雇われの身という気楽さがある一方で、組織内で立ち回ることの難しさや、必ずしも希望の仕事ができるわけではないといった制限があります。

頑張った分だけ稼げるわけではない点も辛いところでしょう。

誰もが一度は一国一城の主として、起業を夢見たことがあるかもしれません。

コンビニオーナーへの転職は、経営者になることと同じです。

自分が思う通りに人を育て、資金繰りを工夫し、努力次第では高収入を得ることも可能です。

通常、経営者になるには、経営の勉強や人脈作りなどの下地が必要になりますが、コンビニオーナーなら本部から蓄積されたノウハウを教えてもらうことができます。

ごく普通のサラリーマンでも経営者になることができるのは、コンビニオーナーの大きなメリットと言えるでしょう。

コンビニのネームバリューを利用できる

通常の起業では、銀行からお金を借りたり、営業や販売活動をおこなったりする際に社会的な信用が必要になります。

前職がサラリーマンでしっかりと勤めていたとしても、起業にあたっては一個人になるわけですから、起業家としての信用を得ることは大変なことでしょう。

多額の開業資金が必要になり、寝る間を惜しんで営業活動を続ける覚悟も求められます。

すぐに信用を得ることはできませんので、地道な努力が必要になるでしょう。

しかし、コンビニオーナーの場合はフランチャイズというシステムを利用して、すでにあるコンビニのネームバリューを利用できます。

世間は、どこの誰か分からないオーナーであっても、大手コンビニブランドの看板があれば安心できるのです。

長い年月をかけて社会的信用を得る必要はなく、少ない資金でも開業できる仕組みがあり、すぐにでも看板を利用できます。

非常に開業しやすい環境と言えるでしょう。

需要が安定したコンビニ業界で働ける

コンビニのオーナーに転職しても、コンビニ自体の需要がなければ、うま味がなく経営は難しいでしょう。

しかし、食品や日用品を扱うコンビニは景気の影響を受けにくく、安定的な需要が見込めます。

街のいたる場所にあり、コンビニを使ったことがない人はほとんどいないと言えるほど、私たちの日常生活と密接な関わりがありますよね。

コンビニの市場規模を見てみると、2017年は、全店売上高10兆6,975 億円、店舗数は5万 5,322店と、いずれも前年比プラスとなっています。※

プライベートブランドの強化や宅配事業の展開など、将来性ある事業にも着手していることから、今後もコンビニの勢いは右肩上がりで伸びていくとの声もあります。

コンビニオーナーになることは、安定業界への転職と言い替えることができるでしょう。

※参照:一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会
http://www.jfa-fc.or.jp/particle/320.html

転勤や通勤ストレスがない

コンビニオーナーは自分の店を管理するのが仕事ですから、上司の命令で転勤になることはありません。

毎日同じ時間に出勤する必要もありませんので、満員電車の中でストレスを感じることもないでしょう。

いつ下るか分からない転勤辞令に怯えることもなく、毎日の通勤でヘトヘトになることもないのは大きなメリットです。

特に、年齢が上がるほど、家族の事情や体力的な問題で転勤や通勤が大変になってきますので、中高年の方が感じるメリットは大きいと言えます。

自分の裁量で休むことができる

サラリーマンが会社を休むときは、繁忙期を避ける、職場の事情を考慮するなどし、かなり気を使いながら有休申請するものです。

日本の有休取得率は先進諸国に比べて低い水準にありますから、ほとんど使えずに毎年捨ててしまう方も多いでしょう。

一方コンビニオーナーは、経営を軌道に乗せることができれば、自由に休むこともできます。

店長やスタッフがお店にでて働いてくれますので、自らが汗水垂らして働く必要もないのです。

極論を言えば、不労所得に近い状態が叶うということになります。

定年関係なく働くことができる

まだまだ働ける意欲も体力もあるのに、会社の定年制度によってやむを得ず退職する60代は大勢いるでしょう。

役職に就き、高い給与を得ていた世代でも、嘱託社員や契約社員などになり、学生アルバイトとほとんど変わらない給与になってしまう人もいます。

コンビニオーナーは定年がありませんから、何歳になっても働くことができます。

日本の年金制度は崩壊していると言われており、将来受け取れる年金には期待できません。

定年関係なく働くことができれば、長く安定した収入の確保につながります。

コンビニオーナーに転職するデメリット

コンビニオーナーへの転職はメリットが大きいようにも感じますが、デメリットも存在しています。

大切なのは、デメリットにも目を向け、許容できるかどうかを事前にしっかりと考えておくことです。

コンビニオーナーに転職するデメリットとは一体どんなことなのでしょうか。

短期間で解約しにくい

コンビニのフランチャイズ契約は一般的に7~15年程度と言われています。

コンビニオーナーに転職したけど経営が上手くいかず、数年で解約しようと思っても簡単にはできません。

解約には多額の費用がかかりますから、解約したくてもできず、弁護士などの専門家に相談するオーナーも多いです。

コンビニオーナーは自営業にあたりますので、労基法上の労働者にならず、裁判などでも不利な立場にあると言われています。

契約や労働環境などに対するさまざまな不満が生まれても、救済される可能性が低いことも問題視されているのです。

想像した以上にさまざまな制限がある

経営者という立場の魅力として、自身の裁量権を最大限に活かせることがあります。

コンビニオーナーも経営者ですから、サラリーマン時代に比べれば自由度は高いでしょう。

しかし、フランチャイズの場合はあくまでもコンビニ本部の管理下に置かれていますので、思っているほどの自由度はありません。

何をするにも本部への確認と承認が必要になり、雇われと変わらない息苦しさを感じることもあります。

ロイヤリティが高く儲けにくい

コンビニの売上の中で、ロイヤリティと呼ばれる多くの部分が本部に吸い取られます。

ロイヤリティとは、コンビニブランドを使える権利や経営ノウハウ、サポートなどの対価と言えるべきものです。

ロイヤリティの率は、コンビニや契約形態によって30~75%と非常に幅広くなっていますが、一般的にコンビニのロイヤリティは非常に高いと指摘されています。

「コンビニ経営者が頑張ると本部だけが得をする」と言われるほどです。

ロイヤリティを差し引いた中から、人件費やその他の経費を支払うため、オーナー自身が得られる収入はごくわずかという場合も。

稼げる可能性がある一方で、生活できないほどというレベルの人もいます。

それなりのリスクがある転職だと言えるでしょう。

コンビニ業界の将来性に不安が残る

現状のコンビニ業界は高い収益をだし続けていますが、将来性については不安も残ります。

店舗数が増え過ぎたことから店舗同士の争いもあり、コンビニのビジネスモデル自体が限界に来ているとの声もあります。

フランチャイズ契約が短期間ではできないことを考えると、中長期的に見たコンビニの将来性についてはしっかり考えておく必要があるでしょう。

現時点でコンビニが堅調と言っても、10年、20年後にはどうなっているのか分からないのです。

サラリーマン時代より労働時間が増えることもある

コンビニオーナーに転職して、前職より労働時間が増えてしまう可能性もあります。

開業当初の忙しさはある程度許容できるとしても、すでに開業から何年も経過しているのに、朝から晩まであくせくと働くオーナーもいるのです。

たとえば、上手く人を育てることができない、店舗運営を任せることができない心配性の人などが当てはまります。

一般企業で働く管理職でも、自分がすべての仕事に関わらないと気が済まないタイプの人はいるもので、そうした管理職の下では人が育ちにくく、業績も伸びない傾向にあります。

コンビニオーナーに転職する際は、自身が仕事を抱え込む癖がないか、部下たちを信用して任せることができるタイプなのかを判断することも必要でしょう。

家族を巻き込むことがある

コンビニオーナーへの転職は、基本的に家族を巻き込むことになります。

家族がそれぞれが別の会社で働くことでリスクを分散することができますが、コンビニオーナーになると、家族と一緒に働くことが多く、運命共同体です。

契約時には保証人を頼むこともありますし、アルバイトが集まらなかったり、経営が厳しくなったりすれば無報酬で家族に働いてもらうこともあるでしょう。

コンビニ経営の行く末によって家族の将来をも左右するということですから、その責任を取れるのかという点は考えておくべきです。

単なる興味や「楽に設けられそう。」といった安易な考えでコンビニオーナーに転職するのは危険です。

最後に

いかがでしたか?今回は、コンビニオーナーへの転職について、メリット・デメリットを解説しました。

コンビニオーナーへの転職に興味がある人は、フランチャイズの説明会などに行き、メリットを力説され、やってみたい気持ちが沸きあがるかもしれません。

しかし、多数のデメリットも存在しています。

上手くいく人、いかない人がいることを念頭に置き、誰も経営成功の保障はしてくれないと覚悟しておきましょう。

現状を変えたいのなら、コンビニオーナーへの転職でなくても、一般企業に転職する方法もあります。

コンビニオーナーへの転職と違い、転職に失敗してもある程度のやり直しがききますので、通常の転職も選択肢に入れて考えることも必要ではないでしょうか。