「転職活動をしていて自分に合いそうな企業が見つかったけれど、転職すれば勤務地が遠くなり、自身の単身赴任は避けられそうにない。」
このような場合、その企業を転職先として選ぶべきかどうか、判断に迷うことがあるかもしれません。
今回は、単身赴任が条件の企業へ転職するメリット・デメリットをお伝えするとともに、その他の選択肢はないのか、転職において重要なポイントは何かを紹介します。
目次
単身赴任が条件の企業へ転職するメリット
単身赴任が条件の企業へ転職すべきか否か…。
漠然と考えていると、次第に何が正解かよく分からなくなってしまいます。
単身赴任を避けられない企業へ転職するメリット、デメリットを整理して考えてみましょう。
まずは、考えられるメリットを紹介します。
良い条件での転職が可能になる
単身赴任という負担があるけれど、他では有利な点が多いのであれば、転職するメリットはあります。
たとえば、
- 大幅に給与がアップする
- 福利厚生が非常に充実している(休みが多い、手当が多数つくなど)
- 単身赴任先でしかできない仕事を経験できる
- 単身赴任経験者には役職の椅子が用意されている
などが考えられます。
ここでは、単に他の企業と比べて少し良いという程度の条件ではなく、単身赴任の負担を受け入れてでもプラスになるほどのメリットなのかを、考える必要があります。
家族と物理的な距離を置くことでうまくいくことも
家族との距離が近すぎて衝突が多いのなら、夫が単身赴任をして距離を置くことで、家族全体がうまく回りだすこともあります。
毎日顔をあわせるたびに喧嘩をするより、月に数回しか会えなくても、お互いに思いやりを持ち、コミュニケーションを取るようにすれば、むしろ家族仲が良好になることも考えられます。
夫は妻のサポートが受けられなくなることで、妻の存在の大きさを実感するかもしれませんし、妻は夫がそばにいてくれることの安心感に気づき、感謝するかもしれません。
ただ、元々不仲な家族が、単身赴任をきっかけに完全に崩壊するケースもありますので、本人たちの努力や素直な気持ちは必要不可欠と言えます。
自分一人の時間を持つことができる
結婚した夫からよく聞かれる悩みに「自分一人の時間を持ちたい」というものがあります。
仕事から解放された時間くらいは、一人になって趣味に取り組んだり、友人と飲みに行ったりしたいと考える人もいます。
しかし、家族と一緒に暮らしている状態で好き勝手に一人行動をしたり、家を留守にすることが多かったりすれば、妻や子供たちが不満を持つこともあるでしょう。
既婚男性がそう簡単に一人になることは難しいものです。
単身赴任をすれば、仕事以外の時間は基本的に自分のために使うことができ、赴任先で趣味を見つける、飲みに行くなども自由です。
単身赴任が条件の企業へ転職するデメリット
続いては、単身赴任が条件の企業へ転職するデメリットを紹介します。
結論から言えば、単身赴任をするデメリットは非常に多いです。
転職するか否かを考えるときは、これらのデメリットを許容できるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。
家族と離れ離れに暮らして寂しい
家族と離れて暮らすのは想像以上に寂しいものです。
住まいが別々だったとしても、すぐに会いに行ける距離ならまだいいのですが、単身赴任ともなれば容易に会いに行くことは難しいでしょう。
自分だけでなく、家族にも寂しい思いをさせます。
妻はもちろん、特に子供は寂しいと感じることが多いはずです。
家族の防犯の問題
夫が単身赴任になると、残された家族は、女性と子供、年配の親だけで暮らすことになります。
防犯上の問題もあり、家族は不安を抱えることになります。
単身赴任をする夫としても、家族に危険が起こらないか、不安に思うでしょう。
妻の家事育児負担が増える
夫が家にいない分、残された妻の家事育児負担はさらに大きくなります。
特に子供が思春期を迎えていたりすると、精神的なサポートまで妻がすべておこなうこととなり、通常の育児に加えて負担が重たくなります。
妻の負担が大きくなることで、妻自身が精神的に参ってしまうことも考えられます。
自身の健康管理や家事の問題
家族と一緒に暮らしていれば、妻が家事の多くを担ってくれ、食事を通じて健康管理をしてくれることも多いでしょう。
単身赴任先でもコンビニやスーパーでお弁当を買うことはでき、食べ物に困ることはないものの、健康に気を使った手作りの食事とはやはり違います。
仕事から疲れて帰ってきた後に掃除や洗濯をするのも大変なことです。
家計全体の生活費が上がってしまう
一般的に単身赴任では、住居費や帰省費などの手当がつくことも多いですが、企業が生活にまつわるすべての費用を負担してくれるわけではありません。
つまり、単身赴任先での生活費と、残された家族の生活費とが、二重でかかる部分も多くなるわけです。
現在と比べて転職先での給与が多少高くなったとしても、同時に生活費の負担も大きくなりますので、結局は家計全体の負担は増える可能性もあります。
その点について、よく計算しておく必要があるでしょう。
転職して単身赴任をする「以外」の方法
転職して単身赴任をする以外の方法は本当にないのか、他の道をすべて考えてみたでしょうか。
単身赴任のない企業へ転職する
検討している企業への転職において、単身赴任が一つの懸念材料となっているのなら、最初から単身赴任のない企業へ転職する方がいいでしょう。
全国に支店があるような大企業以外は考えられないのであれば別ですが、地元密着の中小企業を選べば、単身赴任がないこともごく普通にあります。
中小企業であっても優良な企業は多数ありますので、なぜ大企業にこだわるべきかを考えてみてもいいでしょう。
転職して家族と一緒に移り住む
現在の住まいから通えない場所が勤務先だったとしても、家族と一緒に移り住む方法もあります。
どうしても家族と一緒に行けない理由としては、子供を転校させたくない、妻の仕事がある、親の介護があるなどの問題が考えられます。
子供を転校させたくないのは、友達や部活、生活環境などいろいろと理由があるでしょうが、単身赴任を選べば親とは離れることになるため、子供にとって最善の方法とまでは言えないかもしれません。
妻の仕事や親の介護で家族を連れて行けないのもあり得ますが、そのような状況で夫が単身赴任をするということは、残された妻の負担がより重くなる点は忘れてはならないでしょう。
今のまま収入アップを目指す
単身赴任を受け入れざるを得ない理由として、「現在の収入が少なくて生活できないから。」と考える人もいるでしょう。
しかし、前述したように、単身赴任では二重の生活費がかかりますので、いくら給与のいい企業へ転職しても、家計全体の負担が必ず減るとは限りません。
それよりも、今の環境のまま収入アップを目指す方法もあります。
真っ先に考えられるのは、専業主婦の妻なら働いてもらう、パートの妻なら勤務時間を増やしてもらう方法があります。
それが難しいのであれば、仕事に役立つ資格を取得して手当がつくようにする、副業をするなども考えられます。
今は副業解禁の企業が増えていますので、就業規則を確認してみてもいいでしょう。
さらに言えば、家計管理を徹底して無駄を省くことで、収入アップとはいかなくても、家計支出を減らすことは可能です。
転職を思いとどまる
「スキルや経歴を考慮すると、単身赴任がある企業以外は転職できる余地がない。」
転職市場の状況からこのように判断し、その企業に決めるべきではないかと迷う人もいるかもしれません。
しかし、それほどまでに転職先の選択肢がないのであれば、一旦転職自体を思いとどまることも一つです。
今の職場でスキルを磨き、転職市場での価値を高めてから転職活動を始めた方が、より最適な求人に出会いやすくなるはずです。
転職活動方法を見直す
転職活動方法自体に問題はないでしょうか。
ハローワークや求人誌を単体で利用しているのなら、見ている求人件数が少ない可能性も考えられます。
求人件数の多い転職サイトや転職エージェントも活用することで、希望の条件に合致する求人が見つかりやすくなるでしょう。
自身の経験を活かせる企業の中で、単身赴任をする必要のない企業が見つかる確率が上がります。
転職を迷ったときに重要なポイント2つ
単身赴任が条件の企業へ転職すべきか迷ったときは、忘れてはならない重要なポイントが2つあります。
家族の状況や気持ちは理解しているのか
単身赴任が条件の企業へ転職するとき、何より大切なのは家族がどう思っているかです。
仕事に関しては何でも一人で決めてしまう夫もいますが、単身赴任は、夫自身だけでなく、家族の問題でもあります。
家族会議を開くくらい重要な局面ですが、家族の状況や気持ちを聞き、理解に努めたでしょうか。
妻や子供に対しても、単身赴任をすることで発生し得るデメリットをよく分かってもらったうえで、賛成か反対かを述べてもらう必要があります。
単身赴任をしてまで転職したい企業なのか
単身赴任そのものにしかスポットライトが当たらないのも問題です。
転職全体で考えたとき、重要なのは、単身赴任をしてまで転職したい企業なのかどうかです。
単身赴任は一つの条件面に過ぎませんので、仕事内容や自身のビジョンとして、その企業を選ぶ明確な理由があるのかを考える必要があります。
条件面以外の転職理由がなければ、そもそも採用段階で通用しない可能性や、仮に転職できたとしても続けられない可能性があります。
「デメリットの多い単身赴任を敢えて選んでまで、転職したい理由があるのか?」
この点を掘り下げて考えるようにしましょう。
最後に
いかがでしたか?今回は単身赴任が条件の企業へ転職すべきか否かを、転職のメリット・デメリット、その他の選択肢なども含めて紹介しました。
単身赴任をするということは、現在の生活そのものを変えることになります。
一人で判断するのではなく、家族ともよく相談したうえで、本当にその企業へ転職すべきかどうかを慎重に判断するようにしましょう。