進学などで都会にでて、そのまま就職した人が地元に戻って転職することを、Uターン転職と呼びます。

都会で次々と新しい企業やサービスが生まれる中、地元の魅力を再認識する人が増えていますので、Uターン転職が気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Uターン転職に着目し、転職におけるポイントや注意点を解説していきます。

Uターン転職をしたい理由を整理しよう

Uターン転職という言葉をどこかで聞き、何となく「地元に帰ろうかな。」と感じることもあります。

Uターン転職をする人は現在増加傾向にあると言われていますが、それは決してUターン転職が簡単だというわけではありません。

本当にUターン転職すべきかどうかを自己分析し、よく考えることが大切ですよ。

ここでは、Uターン転職を希望する理由を紹介します。

地元の方が暮らしやすいから

地元には知り合いも多く、いざというときに頼れる人がいます。

どこに行くにも知っている場所が多いため、困ることも少ないでしょう。

都会に比べると物価が安く、経済的に楽になりそうなイメージもありますよね。

プライベートを充実させたいから

都会より、生まれ育った地元の方が、労働時間が減り、家族と一緒にいる時間が増えると考える人もいます。

アウトドアスポーツなどを趣味としている方は、都会より地方の方が楽しみやすいこともあるでしょう。

都会の生活に疲れたから

毎日の通勤ラッシュ、ギスギスした人間関係、人混みへのストレスなど、都会の生活に疲れてUターン転職を希望する人もいます。

精神的にボロボロになった状態で、癒しを求めるような形で戻ってくる人も多いものです。

都会での経験を地元で活かしたいから

都会での勤務経験を通じ、地元の活性化につながりそうな知識やスキルを得た場合に、Uターン転職を希望することがあります。

若い頃は都会の何もかもが新鮮ですが、ある程度年月が経つとその気持ちも薄れてきます。

それよりも、これまでの経験を生まれ育った街に還元したいと感じるようになります。

家庭の事情

親が高齢になって心配だから、介護が必要な家族がいるから、地元出身の配偶者が帰ることになったからなど、家庭の事情でUターン転職する人は多いでしょう。

Uターン転職を自らが希望するというより、周囲の環境によってやむを得ず転職を考えるケースです。

都会にいる意味がなくなったから

今はインターネットを使えば都会でなくてもできる仕事が増えました。

自宅やカフェでも仕事ができ、日本にいる必要すらない仕事もあります。

敢えて都会で仕事をする意味を見いだせなくなったとき、自然豊かな地元に戻ろうと思うこともあるでしょう。

Uターン転職を希望する人が覚えておきたい注意事項

自身がUターン転職したい理由が整理されたら、続いては、その希望が本当に叶うのかどうかを見ていきましょう。

重要なのは、地元に帰りさえすれば希望通りの仕事や生活が手に入るわけではないと、覚悟しておくことです。

「地方=残業が少ない」わけではない

一般的に、都会に比べて地方は残業が少ないと言われることが多いです。

確かに都会は企業数も多く、競争も激しいことから、長時間労働になりやすい環境と言えるでしょう。

ただし、地方が必ずしも残業が少ないわけではありません。

地方は車社会で終電がない分、いつまでも職場の灯りがついているケースもあります。

特に近年は、ITの発達で都会に本拠地を構える必要がないと考える企業も増えていますので、都会にあった企業がそのまま地方にあるだけと置き換えることもできます。

経済的に生活しやすいという幻想

Uターン転職をすれば都会に比べて物価が低く、経済的なゆとりがでると考える人は少なくありません。

住居費に関しては確かに都会の方が高いですが、それ以外は大きく変わりません。

住居費が安くなる分、地方では車が必需品となり、車購入費や維持費でお金がかかります。

実家で暮らすことが決まっている場合は別ですが、自立した生活を望むのであれば都会と大差はないと思っておきましょう。

求人件数は圧倒的に少ないという事実

都会に比べ、地方は圧倒的に求人件数が少ないです。

都会にいると年齢とともに転職しにくさを感じることがありますが、Uターン転職で解消されるものではありません。

ただ、地元の規模によっては大手企業が多く集まり、求人が豊富にある地域もあります。

Uターン転職を決める前に、地元の求人事情を必ず調べておきましょう。

都会に比べて給与ベースは低いことが多い

都会に比べて給与がダウンすることは、ある程度許容すべきです。

地価が安く、中小企業も多い地元では、全体的に給与ベースが低め傾向にあります。

同じ業界、職種であっても、給与が下がる可能性はあると思っておきましょう。

給与アップにこだわり過ぎると、求人件数の少なさもあり、なかなか転職できないという事態に陥ってしまいます。

家族への配慮を忘れないこと

独身の場合は住み慣れた地元で暮らすことに抵抗はないかもしれませんが、配偶者が子どもがいる場合は注意が必要です。

自分には優しい親や兄弟が、必ずしも配偶者によくしてくれるとは限りませんし、「俺の地元だから平気だよ。」と、何の根拠もなく言うのは違います。

配偶者にとっては見ず知らずの街で暮らすストレスがあるということも踏まえ、しっかりフォローしましょう。

子どもの場合も同様です。

地方には、都会から転校してきた子を受け入れない子どもたちもいます。

友達はできたのか、困ったことはないのかを注意深く見極めましょう。

Uターン転職の活動方法とメリット、デメリット

Uターン転職の実情を把握し、それでもUターン転職を希望する場合は、いよいよ具体的な活動に移っていきます。

Uターン転職の活動方法はいくつかのパターンが考えられますが、それぞれにメリット、デメリットがあります。

比較検討しながら、どの方法を利用するのかを決めていきましょう。

実家を頼ってじっくり転職活動する

Uターン転職の大きなメリットは、実家の家族を頼れるという点です。

遠方から転職活動する場合では宿泊費用がかかりませんし、退職を優先させて実家住まいの状態で就職先を探すことも可能です。

経済的に助かるという点は魅力的ですが、ぬるま湯に浸かってしまい、転職機会を逃しやすいとも言えます。

住む場所には困らないため、ダラダラと転職活動をし、ブランク期間が長くなって内定がもらえなくなる可能性もあるでしょう。

一時的には実家を頼るにしても、早めにでていくつもりで活動したいですね。

転職活動費をしっかり貯めて遠方から活動する

遠方から転職活動する場合にネックになるのは、費用の問題です。

転職活動では交通費や宿泊費のほか、スーツ代や活動中の飲食代など諸々の費用がかかるでしょう。

転職活動を開始する前に、転職活動費をしっかり貯めておくことが大切になります。

この場合、お金はかかりますが、その分早く転職を決めようと必死になることができます。

自立した活動をすることで、家族からも信頼を得やすいでしょう。

地元の人脈を活かして紹介してもらう

地元には友人知人も多いでしょうから、人脈を活かした転職活動ができます。

通常の転職活動に比べて内定確率が上がりやすく、友人知人を通じて事前に企業情報を聞いておくこともできます。

苦労することなく転職できてしまう人もいますが、一方で、転職した後に困る可能性もある方法です。

たとえば、コネ入社であることで職場で浮いてしまう、仕事内容が嫌で辞めたくなっても、友人知人の手前なかなか辞めることができないといったことが考えられます。

人脈を活かして転職活動をする場合でも、簡単に転職を決めるのではなく、転職した後のことまで慎重に確認しておきましょう。

自治体支援制度を活用する

地方自治体には、Uターン転職を支援するためのさまざまな支援制度を設けている場合があります。

求人情報の提供、転職活動費や住居費の補助など、自治体ごとに異なりますので事前に調べておくといいでしょう。

都会でUターン転職の説明会がおこなわれることもありますので、積極的に参加して情報収集しておきたいですね。

地元特化型の転職サイトに登録して求人情報を集める

遠方への転職活動は骨が折れる作業ですが、求人探しだけならインターネットを利用して都会でおこなうこともできます。

全国の求人を扱っている転職サイトの場合、地方によっては求人が非常に少ない場合がありますので、地元特化型の転職サイトがあれば活用しましょう。

転職サイトを利用すれば、仕事が終わった夜や休日にも求人検索ができて便利です。

ただ、応募や面接の日程調整など、すべての活動は自分一人でおこないます。

求人を見る目や冷静な判断力も必要になるでしょう。

転職エージェントを利用する

転職エージェントを利用してUターン転職を目指す方法もあります。

転職エージェントは求人紹介から応募サポートまでおこなってくれますし、悩みや不安を相談することができます。

プロの手を借りて転職活動できれば心強い味方となるでしょう。

ただし、転職エージェントの活動拠点は確認しなくてはなりません。

地元が大阪や名古屋などの地方都市であればサポートを受けられることが多いですが、地域によっては対面でのサポートが受けられない可能性もあります。

Uターン転職で転職エージェントを利用できるか否かは、下記のポイントを確認するといいでしょう。

  • 地元に支店のある転職エージェントか
  • 電話やメールでのサポートも受け付けているか
  • 求人保有件数が多く地元の求人も豊富にあるか
  • 都会での経験を活かせる業界や職種を扱っているか

Uターン転職をするときの志望動機の伝え方

Uターン転職を希望する多くの人が立ち止まりやすいのは、志望動機の伝え方です。

通常の転職活動とは異なる視点が必要になりますので、Uターン転職ならではの失敗例や伝え方のポイントを見ていきましょう。

個人的な事情ではなく地元で何をしたいかが重要

Uターン転職を考える人の理由は、その多くが個人的な事情です。

地元の暮らしやすさや愛着、家庭の問題など、いずれも個人の事情に過ぎないということは、転職前に覚えておかなくてはなりません。

そして、転職活動では個人的な事情ではなく、地元に戻ってきて成し遂げたい点を伝える必要があります。

企業にとって個人的な事情は関係がなく、何をしてくれる人材なのか、雇うことでどんなメリットがあるのかを知りたいからです。

観光や農業など、その地域でしか就けない仕事を希望する場合は分かりやすいですが、そうでない場合は、自己分析を通じて今後のキャリアと目的を整理する必要があります。

都会だろうと地方だろうと、目的意識を持たない人材は希望の企業に転職することは難しいということです。

なぜ応募先を希望するのか、なぜその仕事を希望するのかを、掘り下げて考えておきましょう。

地元への想いには経験やスキルを付け加えること

地元企業で働いている人は、地元への想いを口にする応募者を好意的に見てくれます。

ただし、単純に「地元が好きだから。」では、そもそもなぜ都会に出ていったのか、今戻ってくるのはなぜなのかの理由になりません。

地元に戻りたいという気持ちを伝えること自体はいいのですが、志望動機の中心となってはいけないということです。

これまでの経験から何を身につけ、応募先でどう活かせるのかを付け加えるようにしましょう。

(志望動機例)

もともと地元が好きで地域貢献をしたいという希望がありましたが、そのためには都会で知見を広げ経験値を上げてくる必要があると思っていました。

これまでの仕事の中で〇〇という経験をし、スキルを身に着けてきましたので、今こそ地元で貢献したいと感じております。

地元を下に見る言い方をしないこと

地域への貢献を理由にすることはUターン転職における王道のアピール方法ですが、一つ注意点があります。

それは、地元を下に見るような言い方をしないことです。

たとえば、都会でどれだけすごい経験をしたのかをつらつらと述べる、都会での経験が地元なら通用するだろうといった言い方をするなどです。

単なる自慢話と思われ、地元を馬鹿にしているような印象も与えるでしょう。

やむを得ない事情を述べる際の注意点

親の介護をしたい、家族の健康面を考慮してなど、やむを得ない事情で地元に戻ってくることもあるでしょう。

Uターン転職を希望するきっかけとしては納得できるものですが、応募先企業を希望する理由にはなりません。

志望動機とは分けて考える必要があるでしょう。

さらに問題は、「労働時間に制限が生まれるのでは?」と企業側が不安視することです。

残業ができず、家庭の事情で職場を離れがちになる可能性が高い応募者は、一工夫しないと選考から漏れることがあります。

ポイントは、企業が安心できるように、周囲のバックアップ体制や本人の工夫、意志を伝えておくことです。

親や兄弟姉妹、配偶者と協力できているのか、病院や介護施設の支援サービスを利用しているのかなど、仕事に集中できる環境を作っていることを述べましょう。

「まだどうなるか分からないので…。」と曖昧にすると、計画性を持たずに応募していると思われます。

(やむを得ない事情がある人の伝え方例)

  • 残業できない日はありますが、作業効率を考えた働き方をすることでカバーできます。
  • 月曜日だけは早めに帰宅することが多いですが、家族に頼めば調整も可能です。
  • 前職では早めの出勤と集中力を高めることを意識し、問題なく業務に取り組んでいました。

最後に

いかがでしたか?今回はUターン転職におけるポイントと注意点を紹介しました。

Uターン転職は、自身の経験を活かして地元の活性化に貢献できる素晴らしい選択肢です。

通常の転職活動に比べて異なる注意点もありますので、事前の下調べを怠らず、転職後のことまでしっかり考えておくことが大切でしょう。

希望のUターン転職をぜひ成功させてください。