子どもを保育園に預けて働いている人は多数います。

仕事と子育ての両立で問題となるのは「保育園からの呼び出しにどのように対応するか」ではないでしょうか。

親である以上お迎えに行く必要はあるけれど、仕事を誰かに頼まなくてはなりません。

職場の理解が得られず、お迎えのたびに嫌な顔をされてしまい、辛くなることもあるでしょう。

そこで今回は、子育て世代の会社員に向けて、保育園からの呼び出しに対応するコツ、周囲に嫌な顔をされない人の特徴を紹介します。

保育園からの呼び出しに理解がない職場がある

保育園からの呼び出しに理解を示さない職場はいまだに存在します。

夫婦共働きが当たり前と口ではいいながら、どこかで「小さな子どもを育てているなら働かない方がよい」と考える人たちはいなくなりません。

これだけ残業時間の削減が叫ばれている時代において、「残業時間が多い人ほど、一生懸命に働いている」と考える人がいなくなりません。

こうした人たちの影響もあり、保育園からの呼び出しで仕事を抜けることが多い人は、「仕事をしていないのだから評価に値しない」と思われてしまい、あまり良い顔をされないことがあります。

残念な事実ですが、それでも、保育園から呼び出しがあれば、親として放っておくわけにはいきません。

母親がお迎えに行くことが多い現実

保育園からの呼び出しに対応するのは、多くの場合は母親です。

父親もいる家庭であれば、父親が迎えに行ってもよいはずですが、次のような理由から、主に母親が迎えにいくことが多くなっています。

  • 父親より母親の方が子どもの体調や服薬に詳しい
  • 母親より父親の方が職場内における地位が上だという考え方が根強い
  • 父親ではなく母親が迎えにいくのが当たり前という古くからの考え方
  • 子ども自身が、体調が悪いときは母親でないと嫌がる

保育園に通う子どものお迎えは、さまざまな側面から考えても母親が適している。

そう考えられることには一理あります。

お腹の中にいるときから一緒にいる母親にしかできないことがあるからです。

仕事上の責任が「父親>母親」という古い考え方が当たり前のように残っていることもあります。

それなのに政府や企業は「女性にも男性と同じようにバリバリ働いてほしい」と言います。

職場環境が整っていないのに働けといわれても難しい面があるでしょう。

保育園からの呼び出しに賢く対応するポイント

子育て世代にとってはまだまだ大変なことが多い社会です。

しかし、保育園からの呼び出しに賢く対応するポイントがありますので、知っておきましょう。

業務効率を上げる

労働基準法には「ノーワークノーペイ」の原則があります。

働いていない人には賃金を払わないという原則です。

昔のように単純作業が多く、時間労働で考えられていた時代であれば、「ワーク」は時間をかけることで成立していたでしょう。

しかし今は効率化や生産性が重視されている時代です。

労働時間が長いほど企業に貢献しているとはいえません。

つまり、時間をかけずに「ワーク」をすることが可能なのです。

保育園からの呼び出しがあっても、やるべき仕事をきちんとこなしている人に対して、周囲が文句を言う可能性は減ってくるといえます。

成果をだすことで、自分自身が上司や職場の人に罪悪感を抱くこともなくなるでしょう。

保育園に通う子どもがいる親たちは、時間をかけない「ワーク」の方法を身につけましょう。

業務効率を徹底的に上げ、他の人と同じ時間でもそれ以上の成果を挙げるのです。

具体的には、

  • 今日やるべきことを整理してから取り組む
  • 同じような業務はテンプレート化する
  • ショートカットキーなど時短テクニックを身につける
  • 集中力が必要な業務は午前中におこなう

などの方法があります。

同じ職場で、仕事が早いのに成果を出している人がいれば、動きを参考にしたり、日々の工夫を聞いてみたりすることもよいでしょう。

母親が必ず行く必要がないことも

毎回母親がお迎えに行くと、仕事を抜ける回数が多くなり、その分職場からの理解を得ることが難しくなってしまいます。

しかし、保育園へのお迎えは、母親でなくても十分に対応できるケースはあります。

父親はもちろん、祖父母や叔父叔母などの親族でも対応できることがありますので、必ず母親である必要はありません。

あらかじめ、「誰がいつお迎えに行けるのか」「どんな場合は誰がお迎えに行くのか」を決めておきましょう。

父親との役割分担を整理することや、祖父母や叔父叔母などの親族に根回しをしておくことも必要になります。

子どもの年齢によっては発熱などが当たり前にあり、呼び出しが頻繁に起こりますが、子どもの成長に伴い、それも減ってくるものです。

それまでの間、家族と協力し、上手にやりくりする術を身に付けましょう。

保育園との信頼関係を築く

保育園によっては、多少の体調不良であれば、親が来るまで付き添って寝てくれる、様子をよく見てくれるなどして、ある程度の時間まで預かってくれることがあります。

「今すぐにお迎えにいかなければならない」状況と、「お迎えは必要だが○時までに行けばよい」状況では、大分違いますよね。

これには、保育園との信頼関係も必要です。

普段から保育士さんとコミュニケーションをとり、行事には積極的に参加する中で、どんな保育園なのかを知っておくと、多少の融通がきくこともあります。

呼び出しを受けたときに、子どもがどんな状態なのかをしっかりと聞き、柔軟に対応すると、仕事への影響を抑えることができます。

周囲の顔色を気にしすぎないことも大切

子育て世代の問題はいたるところで指摘されていますので、「子育ては大変なこと」くらいは、誰もが理解しているものです。

独身者であっても、子どもが自立した世代であっても、子育てが楽なことだとは思いません。

保育園からの頻繁な呼び出しに対し、あからさまに嫌な顔をする職場というのも少なくなっています。

しかし、本人の問題として、罪悪感を抱いてしまい、「あぁ、今日も嫌な顔をされた…。」と思い込むことがあります。

周囲に気を使うことは大切ですが、顔色を気にしすぎるとストレスが溜まります。

結果的に、職場や家庭でイライラしてしまったり、自身が体調を崩してしまったりして、よくない循環が生まれてしまうことも。

仕事や周囲との関係性はとても大切ですが、何より大切なのは子どもであるはずですよね。

この点、ある程度は周囲を信じ、深く考えすぎないことも必要です。

保育園からの呼び出しに嫌な顔をされない人の特徴

保育園からの呼び出しに、周囲の人が嫌な顔をするかどうかは、単に周囲の問題だと思っていないでしょうか。

もともと人柄がよくて理解がある人が集まる職場であれば、保育園からの呼び出しに嫌な顔をされることがなく、もともと嫌な人が多い職場であれば理解されない…。

確かに、そういうこともあるかもしれません。

しかし、どんな職場に身をおいても、周りの人にきちんと理解される人がいます。

つまり、周囲の問題だけではなく、自分自身の問題もあるということです。

ここからは、保育園からの呼び出しがあっても周囲から笑顔で「行っておいで」と言われる人の特徴を挙げます。

他の人が困っているときにはフォローを申し出る

職場の人にもそれぞれに事情があります。

子育て中の人、介護中の人、体調が優れない人など、休みや早退が必要な場合や、周囲の助けがほしい場合があるでしょう。

他の人が困っているときに手を差し伸べている人は、いざ自分が困ったときにも助けてもらいやすい傾向にあります。

普段から非協力的なのに、自分のときだけ助けてほしいというのはわがままだと捉えられます。

「子育て中でいっぱいいっぱいだから人のフォローまでできない」と思うかもしれませんが、一声かける癖をつけるだけでも違います。

たとえば、自分の仕事が少しだけ早く終わったときには忙しそうにしている人のサポートを申し出る、自身の外出予定があるときはついでに寄る先がないかを聞いてあげる。

この程度の気遣いでもよいのです。

結果的にフォローする必要がなかった場合でも、周囲からすると「普段から気をつかってくれる人」という印象が残ります。

自身の業務を整理し引き継ぎ者が困らないようにしている

保育園からの呼び出しで早退するとき、誰かに自分の仕事を引き継ぐことがあります。

引き継ぐ人の立場からすると、「困るような仕事を残して帰ってしまう人」よりも、「フォローしやすい体制を作ってから帰る人」の方が、よい印象を持ちます。

周囲の理解を得やすい人というのは、自身の業務を常に整理し、引き継ぎ者が困らないように準備をしてあります。

たとえば、マニュアルやテンプレートを作ってある、普段から業務内容を共有してあるといったことです。

マニュアルやテンプレートも、自分のパソコンのデスクトップに保存するのではなく、共有サーバーなどに入れておくようにするとよいでしょう。

普段から報告・連絡・相談が多い人も、周囲に業務内容を把握してもらいやすくなります。

デスク周りが整理されている人も、書類を探す手間などがなく、どこに何があるのかを引き継ぎ者が理解しやすくスムーズです。

助けてもらったら感謝の気持ちを示している

「子育て中だから助けてもらって当然」

このような態度でいつもいる人は、自分で自分の首を絞めているようなものです。

子育て中の人に対して当たり前のようにバックアップすることは、周囲の人が思うべきことで、バックアップを受ける本人たちが思うことではありません。

本人たちは「いつも助けてくれてありがとう」と思い、周囲は「子育て中だから皆で助けるのが当たり前だよ」と思う。

これが思いやりの関係となり、良い循環を生みます。

保育園からの呼び出しに嫌な顔をされない人は、このことを理解しています。

そのため、職場の理解や協力があれば、その都度感謝の気持ちを示すのです。

よくフォローしてくれる人に対するひとつの工夫として、次のようなことをしている人もいます。

  • 「いつもありがとう」と小さなお菓子をこまめに渡す
  • 「いつも迷惑をかけているから」とランチをごちそうする
  • 旅行に行った際にはお土産を買ってくる

金品を渡すことが重要なわけではありません。

それでも、感謝の気持ちを示そうという態度を受け、周囲の人もサポートしてあげようと思うものです。

職場で求められている役割を果たしている

一生懸命やっているつもりなのに評価されず、保育園からの呼び出しにもため息をつかれてしまう人は、自身が職場の中で何を求められているのかを理解しているでしょうか。

たとえば、自分でなくてもできる仕事にむやみに手を出し、呼び出しがあれば早退する…。

これでは、職場への貢献度は低くなります。

保育園からの呼び出しについて周囲から理解される人は、周囲が求めている仕事を優先的におこなっています。

中抜けや早退をしたとしても職場へ迷惑をかけることがなく、周囲も子育てに理解をしやすい状況になります。

職場の中で何を求められているのかを知るには、コミュニケーションが必要です。

上司との面談機会があれば積極的に質問し、同僚たちにも普段から聞いておくようにします。

子育てしていると必死になり周りが見えなくなりがちですが、組織に属している以上、周囲の様子を知ることが重要になります。

職場の人とランチを一緒に食べる

職場ランチは自分一人でのんびり食べたいと感じる人もいますよね。

仕事では常に周囲に気を使いますので、昼くらいは一人になりたいと感じること自体は悪いことではありません。

一方で、職場ランチをコミュニケーションの場と捉えることも有益です。

特に、保育園からの呼び出しが頻繁にあるような子育て世代の方は、仕事終わりに同僚と出かけることもできず、仕事中は集中しなければなりませんので、コミュニケーションの場が少なくなりがちです。

ランチの時間だけでも同僚たちとコミュニケーションをとっておくと、家庭の事情なども話しやすくなり、いざというときに助けてもらうことができます。

職場の人と積極的にコミュニケーションをとろうという姿勢も、協調性があると捉えられることもあります。

毎日は難しくても、たまには上司や同僚とランチをとり、コミュニケーションを深めてみるとよいでしょう。

どうしても職場の理解が得られないなら異動や転職も検討

あの手この手で工夫をした結果、職場から理解が得られるようになる、いつのまにか子どもの手がかからないようになる、といったことは多々あります。

頑張って乗り切った自分を褒めてあげましょう。

一方で、何をやっても理解を示してくれない、残念な職場もあります。

その場合、本人の問題ではありませんので、環境を変えることが方法になります。

異動が可能なら申し出てみる、異動が難しいのであれば転職も現実的な選択肢です。

とはいえ、転職する際には、お迎えなどに理解があり、融通がきく職場か、自宅や保育園からのアクセスがスムーズな職場かといった点に注目する必要があります。

また、子育てが落ち着いた後にどんなキャリアを築いていけるのかも見据えて考えなくてはなりません。

子育てを基準に考えるとき、転職先を見極めることは難しくもあるのです。

そんなときは、転職支援のプロである転職エージェントのサポートを受けるとよいでしょう。

子育てしやすい職場を探してくれるほか、将来のキャリアについても、プロの視点からアドバイスをしてくれます。

最後に

いかがでしたか?今回は、子育て中の会社員の方に向けて、保育園からの呼び出しに対応するポイント、職場の理解を得やすい人の特徴を紹介しました。

保育園のお迎え問題をはじめ、子育て中にはさまざまな悩みがつきものですが、工夫や考え方を変えることで対応していくことが可能です。

転職や在宅ワークなど、さまざまな選択肢もある時代ですから、自身と子どもにとって最適な方法を探してみましょう。