転職すると同時に、居住地や勤務地を変えたいと考える人も多いのではないでしょうか。

「転職するなら仕事が多い都会!」と言いたいところですが、都会勤務と地方勤務は一長一短なので、自分に合った方を選ぶことが大切です。

そこで今回は、都会と地方には仕事や転職事情にどのような違いあるのかを紹介します。

仕事の選択肢の違い

都会と地方を比較すると、職種や働き方の選択肢には大きな隔たりがあります。

都会は仕事が豊富

仕事の選択肢は、圧倒的に都会が豊富です。

大企業が数多く集まり、規模の大きい案件を扱うチャンスにも恵まれます。

一方で、中小零細企業や、IT系を中心とした優良ベンチャーもあり、大企業だけが選択肢ではありません。

全体的に求人件数が多いだけではなく、既存の職種から新しい職種まで、職種の種類が豊富で、勤務形態や雇用形態も選べます。

業務量が多く忙しい職場は多いですが、多数の選択肢の中から選ぶことで自分に合った仕事につながりやすいのは、大きなメリットでしょう。

地方はその特性にあった仕事が多い

地方は都会に比べて仕事の選択肢が狭いですが、その分、地域の特性にあった業界や職種を選ぶことができます。

たとえばモノづくりに興味がある人なら、製造業やメーカーの盛んな地方に行くことで、製造系の仕事に就くことは難しくありません。

漁業や農業をやりたい人なら、特産物から勤務地を決めることも考えられます。

近年は観光業に転職したくて地方に移住する人も少なくありません。

特定の仕事に転職したい人は、必ずしも都会が良いわけではなく、むしろ地方の方が希望の仕事に就ける可能性も高くあります。

ただし、地方の中でも田舎にいくほど種類がかなり限定されていきます。

農業と公務員くらいしか種類がない田舎もありますので、事前にどんな仕事があるのかを調べる必要があります。

給与相場や生活費の違い

都会と地方では、給与相場やそれにともなう生活費にはどんな違いがあるのでしょうか。

給与相場が高めな都会

物価や生活水準が高い分、都会の給与相場は高めです。

大企業やIT企業など、業績の良い企業も多数集まりますので、従業員への還元も大きいと言えるでしょう。

都会の場合は住居費用の負担が大きいですが、近隣都市から通うなどの工夫をすれば、生活費を抑えつつ、高収入を得ることが可能です。

地方のように車を使わずとも便利に生活できますので、車関連の維持費などもかかりません。

給与相場が低めな地方

同じような仕事内容で都会と比較してみても、給与相場には歴然とした違いがあります。

たとえば、アパレルの販売員は都会なら基本給が18~20万円が一般的ですが、地方の販売員は14~15万円ほどが相場です。

その分、物価が安く、特に住居費の負担が少ないのが特徴です。

地代や家賃相場が低いだけでなく、親からの土地を譲り受ける、実家で暮らすといったことも可能なので、住居費がほぼかからない人もいます。

ただし、車を持てば年間何十万もの車維持費がかかりますので、地方だから生活が楽だとまでは言えないでしょう。

仕事の評価方法の違い

都会と地方では、勤務先からの評価方法にも違いがあります。

都会は若くても実力があれば活躍できる

都会はベンチャー企業も多数あるため、年齢によって差別されず、若くても実力次第で評価される環境に身を置くことが可能です。

大企業だから倒産しない時代ではありませんし、外資系企業も多数進出していますので、成果主義的な評価方法に変わりつつある企業も増えてきています。

効率を重視する風潮もあり、長時間残業を評価しないと宣言する企業もありますので、時間内に成果を出すことで評価されることになります。

地方は保守的な評価制度が多い

地方は地元密着企業が多く、外資の参入やベンチャー企業も少ないため、昔ながらの評価制度が継続されやすい環境です。

年功序列式であったり、公務員の給与体系に準拠していたりします。

ごく簡単に言えば、保守的な評価制度を採用している企業がまだまだ多いということです。

定時で仕事を終わらせるという現代の考え方が浸透しておらず、「残業が多い人ほど頑張っている。」と時代錯誤的な評価を受けることもあります。

スキルアップ環境の違い

向上心が高い人にとっては、スキルアップの環境が整っているかどうかも重要です。

都会は資格の学校や試験会場が近場にある

スキルアップをするために、たとえば資格の学校や専門学校に通う人もいるでしょう。

都会は学校の数や種類が多いため、自分が希望する学校を見つけることが難しくありません。

少しでも費用の安い学校を比較しながら探すことができますし、かなりマイナーな専門分野の学校でさえ見つけることが可能です。

講師陣も都会に集まりますので、有名講師の講習や質の高い授業を受けやすいとも言えます。

資格試験の会場も都会を中心に決められますので、自宅から特に苦労することなく試験を受けることができます。

また、仕事上でも能力の高い人に遭遇することが多いため、仕事を通じてスキルアップをしやすい環境でもあります。

地方は選択肢が限られる

地方に暮らしていると、スキルアップの環境はあまり整備されていません。

学校自体が少なく選択肢が限られています。

場合によっては、行きたい学校がなく、わざわざ都会に出て学校に通う必要も生じます。

試験会場が近くにないことも多いため、都会に泊まりで試験を受けにいくことにもなります。

学校や試験会場への移の労力や交通費などがかかりますので、よほど強い意志がなければ挑戦しにくい環境です。

地方の場合はWeb講座を選択することもありますが、生の緊張感がありませんし、その日のうちに質問できないことが多いため、実際の授業と比べると見劣りしやすいです。

通勤時の苦労における違い

仕事に付随する条件として、通勤時にはどんな違いがあるのでしょうか。

都会は通勤だけで疲れる

都会は公共交通機関を利用した通勤が主流ですので、通勤ラッシュの苦労が絶えません。

早起きしてラッシュ時間帯を避けて出勤する、自転車や徒歩で通うなど工夫をしないと、日々の通勤だけで疲れ果ててしまいます。

しかし、都会ではオフィスビル街と住宅街が離れた距離にあるケースが多いため、自転車や徒歩通勤を選ぶことは容易ではありません。

移動距離が長い分、痴漢やひったくりなどの犯罪被害に遭う、もしくは冤罪被害に遭うといったリスクもありますので、精神的にも気を使います。

地方は通勤の自由度が高い

地方では、公共交通機関を利用するほか、車通勤も一般的です。

通勤に関して言えば都会よりも自由度が高いため、通勤にストレスを抱える人は少ない傾向です。

通勤時間帯に通えば渋滞に巻き込まれることはありますが、それでも車内は一人きりの空間ですし、人混みでもみくちゃにされるストレスはありません。

居住エリアやその近くに中にオフィスを構える企業も珍しくありませんので、自宅から通いやすい距離の職場を選ぶことができます。

子育て環境の違い

子育て中の夫婦や、近い将来に子供が欲しいと考えている人の転職では、子育て環境についても考えておく必要があります。

都会は待機児童問題が深刻で近隣住民の協力が得られない

待機児童問題や子育て支援の環境については、都会の方がやや苦労することが多いと言えます。

関東圏の待機児童は全国的にも高い傾向ですし、近隣住民との付き合いが希薄であることから、いざというときに頼れる人がいないことも多いです。

子供を思い切り遊ばせられる公園が近くにない、人口が多い分不審者との遭遇リスクも上がるなど、親にとっては不安に感じやすい環境です。

子供が生まれたことをきっかけに地方に移る人も多いです。

地方は子供を育てやすい

全国的に見ると、待機児童率が高いのは、都会や近隣のベットタウンが上位を占めますので、地方は子供を保育園に預けやすい環境です。

両親や兄弟姉妹などが近くに住んでおり、ご近所付き合いもありますので、いざというときに子供の面倒を頼める人もいます。

また、地方では人口流出を防ぐための試みとして、自治体が独自の子育て支援制度を設けていることもあります。

たとえば、結婚や出産したら独自のお祝い金がでる、子供の医療費を負担してくれるなどの制度です。

もっとも、待機児童については地方だから必ず困らないわけではありません。

少し特殊な事情もありますが、沖縄県の待機児童率は、人口比を考慮すると、東京都を上回っています。

傾向としては地方の方が子育てしやすいですが、地方ごとの状況を確認しておくことも必要です。

アフターファイブの違い

仕事が終わった後のプライベートの充実度も、都会と地方では違いがあります。

都会は仕事帰りに立ち寄る場所が多い

仕事帰りに遊びに行きたい、趣味や習い事をしたい人は、都会は選択肢が豊富です。

飲食店や商業施設、娯楽施設なども多数ありますので、プライベートを充実させたい人には都会が向いています。

仕事帰りの降車駅を一つ、ずらすだけで、街の雰囲気も変わりますし、次々と新しい店や施設がオープンします。

いつでも新鮮な気持ちでいることができます。

地方はアフターファイブの充実度が低め

どの規模の地方かにもよりますが、仕事帰りに立ち寄れる場所は限られてきます。

飲食店や商業施設もありますが、営業時間が短かったり、数が少なかったりして、次第に立ち寄る機会が減っていきます。

ときどきある新規オープンの施設や店には、同じ地方に暮らす人たちがこぞって集まりますので、一時的に混雑しやすい、職場の人に会いやすいなどの問題もあります。

ただ、その分仕事が終わればまっすぐ帰宅する人が多く、家族や恋人との時間を持つことができるメリットがあります。

人間関係の違い

職場や日常生活における人間関係にはどんな違いがあるのでしょうか。

都会は華やかだが希薄な人間関係になりがち

都会には多種多様な業界、業種がありますし、イベントや交流会なども各所でおこなわれているため、人脈を広げやすいと言えます。

知り合いを増やしたいなら断然都会が有利でしょう。

華やかな分人間関係が希薄になりがちなので、広く浅い付き合いになることもあります。

外資系や革新的な企業も多い都会では、仕事とプライベートを完全に分けて考える人も少なくないため、職場の人との付き合いも浅めです。

地方はいざというとき頼れる人が周りにいる

都会のような華やかな人間関係こそ築きにくい地方ですが、昔からの友人がいたり、家族が近くに住んでいたりと、いざというときに頼れる人が周りにいる点が心強いです。

職場とプライベートの人間関係が重なることも多く、家族ぐるみの付き合いに発展することも珍しくありません。

転職活動方法の違い

実際に転職活動をおこなう際には、その活動方法の違いも覚えておきたいところです。

都会は転職エージェントが有利

都会では、転職エージェントを利用した転職活動が有効です。

保有している求人件数が多く、転職エージェントの事務所もありますので、エージェントに直接会って話を聞くことができるからです。

あらかじめ希望を伝えておくことで求人を探して紹介してくれますし、面接の日程調整や給与交渉などもしてくれますので、今の仕事を続けながら効率の良い転職活動が叶います。

地方はハローワークや求人誌も含めて幅広く活動する

地方の場合は、転職エージェントのサポート外である、地方求人が少ないといったことが起こりますので、地元のハローワークや求人誌も含めて転職活動した方が良いでしょう。

一定規模以上の地方都市であれば、転職エージェントを使って十分活動できることもあります。

田舎の場合は地元の役所にある地域振興課などに相談するなどしないと、求人を見つけることが困難になるケースがあります。

特に都会から地方への転職を考えている人は、連休を取得して転職活動をする、いったん実家に住まわせてもらって探すなど、工夫が必要になります。

最後に

いかがでしたか?今回は、仕事や転職事情における都会と地方の違いを紹介しました。

どちらで働くべきかは、個人の資質を見極め、仕事の目的を明らかにしてから考えることが大切です。

どんな仕事に就きたいのか、どんな生活を送りたいのかをよく分析し、自分に合った職場を見つけるようにしましょう。