転職を成功させている人の多くは、自身の市場価値を判断したうえで、それに見合った活動を行います。

市場価値が高いならすぐにでも動き出すことで、希望の仕事に就いたり、高く評価をしてくれる企業へ転職したりすることが可能です。

市場価値が低ければ高めてから動き出すことで、より納得のできる転職につながります。

今回は、転職市場価値とはどんなものか、市場価値を知らないことのリスクや知る方法を紹介します。

転職市場価値とは

いわゆる転職市場価値とは、転職市場における適正年収です。

物やサービスを購入する際、価格を見ない人は少ないはずです。

それは、物やサービスの価値が費用に見合ったものかどうかを確認するためです。

転職市場における人材は企業にとっての商品なので、適性年収が分かりやすい指標となります。

適正年収は、経歴や年齢、学歴、スキル、資格、語学力、意欲、人間性など、さまざまな要素によって総合的に算出されます。

最終的には応募企業が何を求めるかによるため、選考がおこなわれますが、その前段階として、人材としてどのレベルに位置しているのかを、おおよそ判断することができます。

今の年収=転職市場価値ではない

今の年収が高いからと言って、一歩転職市場に放り出されれば、同じ年収がもらえるとは限りません。

たまたま業績の良い会社に在籍していたり、大手の肩書を使えたりして、高年収になっているだけのケースもあるからです。

業界による年収相場にも左右されます。

今の年収と転職市場における適性年収はイコールではないのです。

ここは重要なポイントです。

「今これくらいもらっているのだから、転職先では少なくても同等の年収はもらえるはず。」と思って転職活動を始めて、想像以上に低い自分の価値に愕然とする人がいますが、あくまでも市場における価値だと理解する必要があります。

転職市場価値を知らないことのリスク

転職市場価値を知らないでいることは、転職を考えている人、考えていない人、どちらの人にもリスクがあります。

転職チャンスを逃す

本来は高い自身の市場価値を知らなければ、今のままの給与で満足してしまったり、レベル的に挑戦できる求人に応募しなかったりして、現状を変えることができません。

今の会社に不満はありながら、行動に移す勇気が持てず、後悔することになります。

転職活動が長引く

自身の市場価値を知らず、むしろ高く見積りすぎてしまうことで、転職先が決まる前に「何とかなるだろう。」と辞めてしまったり、自分のレベルでは転職できない求人に応募したりします。

結果的になかなか転職が決まらず、活動期間が長引いてしまい、焦ることになります。

能力やスキルが上がらない

今すぐ転職を考えていないから良いという問題ではありません。

転職市場価値を知らないことで、自身の成長につながりません。

転職市場での価値を知ることで、現在、自身が給与に見合った働きをしているのか、もしくは自社でどの程度までステップアップしていけるのかを判断することにもつながります。

転職市場価値が低いと思えば、市場価値を上げるために努力しますが、転職市場価値を知らない、もしくは高いと勘違いしていれば、何の努力や工夫をしないまま、次々と若手に追い抜かれていきます。

年代別市場価値の要素

転職市場価値は年代によっても要素が異なります。

年代ごとに重視される価値を見ていきましょう。

20代の市場価値

20代前半は経歴と言ってもそれほど目ぼしいものはありませんので、意欲や性格を見て、成長性があるか、自社の意向に沿った働きをしてくれそうかなど、未来の価値を判断されます。

努力できる資質があるかの判断材料として、学歴を重視する企業もあります。

20代後半になると、これらに実務経験なども加わりますので、30代と似た要素で判断されやすくなります。

30代の市場価値

30代になると実務経験や専門性、実績など、これまでの経歴が重視されます。

30代でも人間性が見られやすいですが、対人関係構築力など、より業務に関わりが深い内面が重視されます。

さらに、思考力や問題解決能力があるのかなど、汎用性の高い能力も市場価値の要素となります。

また、30代になると特定の業界を除いて学歴はほとんど関係なくなります。

高学歴で目立った経歴がない人より、高卒でも実績が高い人材の方が重宝されます。

30代半ば以降はマネジメント経験があるかどうかも重要です。

40代以降の市場価値

40代以降になると、30代までの経験に加え、マネジメント経験やチームとしての実績が重視されます。

マネジメント経験がない場合は、高度な専門性がなければ市場価値は高くなりません。

また、部下を率いて外部や他部署との調整が生じるポジションであること、40代以降での新天地という点から、高いコミュニケーションスキルがあるか、柔軟性がある人材かどうかも判断されます。

40代以降では転職が厳しくなると言われますが、市場価値の高い人材は引く手あまたですので、ここまでに何をやってきたかによって転職成功確率が大きく変わります。

転職市場価値を知る方法

転職市場価値を知る具体的な方法を紹介します。

手軽に知るならミイダス

大手転職エージェントDODAを展開するインテリジェンスが、ミイダスというサービスを提供しています。

入力したデータを元にたった数分で適性年収を知ることができるほか、転職支援サービスとも連動しています。

手軽に利用できるサービスなので、ひとつの参考として試してみてもいいのではないでしょうか。

ただし、あくまでもざっくりとした適性年収なので、実際に転職活動を始めてみると「ミイダスで算出されたより提示年収が低い」ということも多々あります。

一般的な価値から、企業とのマッチングという細かい要素が加わるため、当然かもしれません。

転職サイトのスカウト機能

リクナビNEXTやDODAなどの大手転職サイトに登録すると、スカウト機能を利用できます。

経歴を登録しておくことで、それを見た企業からのスカウトオファーが届く仕組みです。

簡単に言えば、スカウトが多いほど市場価値が高く、ほとんどスカウトがなければ市場価値が低いと見なされやすいということです。

ただ、企業の担当者が経歴を見ずに自動一斉メールで届くスカウトもありますので、本当の意味でのスカウトなのかを見極める必要があります。

ヘッドハンティング型転職エージェントを利用する

高収入を狙う人なら、ヘッドハンティング型の転職エージェントも市場価値を知る方法です。

経歴を見た企業の担当者やヘッドハンターが直接ヘッドハンティングをしてきます。

転職サイトのスカウトメールより、現実味を帯びたスカウトになるため、面接に進むことが珍しくありません。

その分、経歴に魅力がなければスカウトを受けることができませんので、その時点で市場価値がそれほど高くないと知ることになります。

転職活動を始める

転職したい地域での市場価値を知るには、やはり転職活動を始めてみなければ分からない点が多数あります。

応募書類が通りやすいのであれば、見た目の市場価値はそれなりに高いと言えるでしょう。

面接では、経歴やスキルのほか、考え方や性格、意欲なども加味されますので、自分に何が足りないのか、経歴以外にどんな点が評価されやすいのか、といった点を推測することができます。

具体的に活動を始めるのは少し早いと考えているのであれば、転職エージェントに会ってみるのもひとつです。

エージェントは転職市場に精通しており、多数の求職者を知っていますので、その中での価値がどのくらいあるのかを相談してみてもいいでしょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、転職市場価値はどんなものなのか、知らないリスクや知る方法なども含めて紹介しました。

転職を考えている人は、自身の市場価値がどの程度なのかを常に意識しておくことで、納得のいく転職につながりやすくなります。

市場価値を判断した結果、今は転職のタイミングでないとしても、高める努力をすることができるでしょう。