現職と並行して転職活動をおこなう場合、平日に面接時間を確保することができず、悩むことが珍しくありません。
有休を使うことが基本とはいえ、職場の雰囲気的に取得しにくい、仕事が忙しすぎて休むと自分が大変になるなど、難しいこともあります。
となると、土日に面接をしてもらうことが考えられますが、現実的には可能なのでしょうか?
今回は、在籍しながらの転職活動で平日の面接が難しい人に向けて、土日面接の可能性や、面接時間を確保する方法を紹介します。
目次
土日に面接してくれる企業はあるのか
まずは、土日面接が可能かどうか、企業の実態を確認します。
結論からいえば、土日休みの企業で、土日に面接してくれることはあります。
しかし、その数は決して多くはなく、基本的には平日の面接が主流です。
企業として土日面接をおこなわないと決めていることもありますが、ほとんどの求職者が、有休や定時帰り、中抜けを利用し、平日の面接に対応できている現実もあります。
皆、あの手この手を使い、なんとか平日の面接時間を確保しているため、土日の面接自体が多くなりにくいのです。
今の仕事が忙しいなどで土日の面接を希望している人は、基本的には珍しいケースで、難しい面があるものだと覚えておく方がよいでしょう。
特に、役員面接や最終面接において、土日面接のハードルは高まります。
交渉次第では土日に面接してくれる企業もありますが、先方の負担が増えることになる点は押さえておきたいところです。
土日が営業日の企業の場合
飲食店や宿泊施設、医療機関など、土日も営業している企業の面接を受ける場合、土日を希望しても構わないのでしょうか。
これは、先方の状況にもよりますが、原則平日の面接を希望する方がよいでしょう。
サービス業の場合、そもそも土日は繁忙日なので、面接に対応する時間がないことが考えられます。
店舗は営業日でも、人事担当者が所属する本部は土日休みということもあるでしょう。
また、面接に対応するような管理職になると、土日は勤務していないことも珍しくありません。
土日が休みの企業と比べると、土日に面接を受けられる可能性はやや高いといえますが、それでも難しいことがあります。
在籍中の求職者に対して一定の理解を示す企業
ここまでの内容を見ると、土日の面接は絶望的だと思うかもしれません。
しかし、在籍中の求職者に対しては、一定の理解を示してくれるのが企業です。
「働いているのだから仕方がないよね」と、ある程度柔軟に対応してくれる企業も珍しくありません。
そこで必要となるのが交渉です。
交渉は、単に「土日の面接を希望します」とだけ述べればよいわけではありません。
交渉のステップとしては、
- 1.どうしても平日に行けない事情を説明する
- 2.無理を承知で土日の面接をお願いできないか聞いてみる
- 3.それでも難しいなら平日に面接してもらうよう工夫する
という流れになります。
土日の面接を希望する明確な理由と、低姿勢がポイントです。
あくまでもダメ元であることを理解し、土日の面接が難しいようなら別の方法を考えることも必要になります。
また、土日の面接が叶った場合、日時については先方の都合にあわせることが望ましいといえます。
プライベートの予定が入っていたとしても、よほどの理由がない限りは、面接を優先させましょう。
転職活動期間中は、どうしても外せないプライベートの予定を入れないことも大切になります。
平日に面接に行けないと感じる人が確かめたいこと
「平日に面接に行けないから転職は無理」と感じている人もいるでしょう。
前述したとおり、企業の面接は基本的に平日が多いため、平日に動けない人は調整が難しいものです。
しかし、せっかく転職の意志があるのに、それだけの理由で諦めるのは勿体ないといえます。
平日に面接に行けない人は、まずは確かめたいことがあります。
なぜ有休が使えないのか
平日の面接は「有休が使えないから」行けないと言う人がいます。
では、有休が使えないのは一体なぜなのでしょうか。
たとえば次のような理由でしょうか。
- 休んだら周りに迷惑をかけるから有休を取得してよいわけがない
- 休むと他の日の仕事にしわ寄せがくる
- 有休なんて上司が許してくれるはずがない
- 有休を取得すると職場の人が嫌な顔をする
- パートだから有休がない
有休については、「有休なんてない」「使ってよいはずがない」と、思い込みが捨てられない人が一定数います。
一旦冷静になり、有休とはどんなものなのか、本当に使えない事情があるのか、整理してみることが必要です。
有休は労働者の権利
ここで、有給休暇とはそもそもどんな制度なのか、簡単に概要を知っておきましょう。
有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。
入社半年が経過しており、かつ8割以上の出勤率を満たした労働者であれば、誰でも取得することができます。
正社員や派遣、パートなどの雇用形態は関係ありませんので、たとえパートでも労働日数に応じた有休が与えられます。
休む理由はもちろん労働者の自由ですし、取得時期も労働者が決めることができます。
事業主は、労働者が有休を申請すれば、原則拒むことができません。
唯一事業主に認められているのが「時季変更権」といい、申請された有休の時季をずらすことができる権利です。
これは、単に「有休を取らせたくないから」「今忙しいからだめでしょ」といった程度では行使できるものではありません。
労働者が有休を取得することで事業運営を妨げるほどの、正当な理由でなくてはならないのです。
また、取得時期を変更させられるだけの権利ですので、単に有休を取得させないだけでなく、別の日には有休を取得させなくてはなりません。
有給休暇については、ほかにも規定がありますが、ここまでのことを押さえておけば、少なくとも「有休を取得できない」事情はそれほど多くはないと分かるのではないでしょうか。
平日の夜ではなぜだめなのか
自身の担当業務が多すぎて、有休の取得が難しい職場だとしても、仕事が終わった夜に面接を受けることはできないでしょうか。
毎日残業をしている人でも、いつもより少し早く切り上げるくらいは、仕事の配分を調整したり、朝に早く出社して進めておいたりと、多少の工夫で叶えることが可能です。
企業の人事担当者は、わざわざ休みの土日に出社して面接をするより、少し遅い時間でも平日の夜に面接をする方が柔軟に対応してくれやすい傾向にあります。
人事担当者にしてみれば面接は業務のひとつですから、休みの土日にでてくることの煩わしさは、ある程度予想はできるでしょう。
あまりに遅い時間だと迷惑ですが、18:00~19:00開始で、21:00くらいまでなら対応してくれる企業も中にはあります。
平日の何時くらいまでなら対応してもらえるのかを確認してみましょう。
同時に、自身がどうしても平日の昼間に対応ができない事情を真摯に説明することが大切です。
企業側が理解を示してくれるとはいえ、「会社員なのだから、平日の遅い時間でも対応してもらえて当然」という態度で接することだけはやめましょう。
面接は平日、企業の営業時間中に訪問することが大原則なのです。
退職を優先させることは慎重に
平日は忙しすぎてとても転職活動はできないから、退職を優先させるべきか悩むこともあるでしょう。
退職してしまえばいつでも面接に訪問できるため、スケジュール調整は非常に楽になります。
一方で、経済面、精神面の不安定さはつきものです。
また、企業によっては、ブランク期間がある求職者をよく思わないケースがあります。
転職活動期間が長引くほど、この傾向は強くなっていきますので、可能な限り仕事から離れない方がよいでしょう。
心身ともに限界がきているなど、やむを得ない事情がある場合を除き、「忙しいから」という理由のみで退職を優先させることは慎重になるべきです。
面接時間を確保するための工夫
平日の仕事が忙しくて面接時間の確保が難しい人に向けて、面接時間を確保する工夫を紹介します。
仕事を効率化する
現職が忙しくて時間が取れないのであれば、いかにして仕事時間を減らすのかを考えることがひとつです。
たとえば、現職の業務量が多くて面接の時間が取れないのであれば、早めに出社して前倒しておこなうことで、夕方~夜の時間を確保することが可能です。
早い時間であれば通勤ラッシュにあたることがなくスムーズに出社できますし、社内に人も少ないため集中して業務に取り組むことができます。
頭を使う業務は午前中に、昼休憩後の眠くなりやすい時間帯には手を動かす作業や外出をメインにするなど、いつ、どの業務をおこなうのかによっても、効率が変わってきます。
時間を効率良く使う工夫は転職した後にも役に立つため、転職活動をよい機会として身に付けておくとよいでしょう。
1日で数社の面接を受ける
有休を1日取得できたら、できれば数社の面接を受けられるように日程を調整するとよいでしょう。
1社につき1日有休を取得するよりも効率的です。
面接の日程調整の際、他の面接の日程とも照らし合わせ、集中して同じ日に組むようにします。
特に有休が取得しにくい職場の場合は何日も休むことが難しいため、こうした工夫が必要です。
転職活動の開始時期も重要
転職活動を始める前に、スケジュールを把握しておくことも重要です。
たとえば、今の仕事がもっとも忙しい時期に転職活動を始めてしまえば、平日の面接時間が確保できなくても無理がありません。
仮に転職が決まったとしても、繁忙期の転職は上司の引き留めにあう可能性や、職場の人に迷惑をかける可能性が生じてしまいます。
この場合、スケジュールの設定が間違っている可能性があります。
今の仕事の繁忙期を避け、有休取得や定時帰りがしやすい時期に集中して転職活動を始めることで、スムーズな転職につながります。
皆どうしてる?在籍中の転職活動方法
在籍しながら転職活動する人は多数いますので、他の求職者たちがどうやって平日の時間を確保し、面接に臨んだのかも気になりますね。
職場の状況はそれぞれ異なるため全ての方法を使えるわけではありませんが、自身の状況下で使えそうなものがあれば参考にしてみましょう。
昼休憩の時間を面接にあてる
昼休憩の1時間を面接にあてる方法です。
面接時間は多少前後することがあるため、事務職など昼休憩の時間帯と、職場に戻る時間がきっちり決まっている人は難しい方法です。
一方で、外出が多い職種の場合は、多少戻りが遅れても言い訳が可能、昼休憩の時間をずらして取得することが可能、などの理由で使っている人もいるようです。
外回り営業の途中で面接に寄る
外回りの営業職や役所手続き業務などが多い職種の人は、外出先で面接に立ち寄ることがあるようです。
外回りであればスーツを着ていても違和感がありませんし、有休を使わずに面接を受けることもできてしまいます。
職場の人に見られたときのリスクがあるためおすすめはできませんが、現実問題としては、比較的よく使われる方法です。
通院などの理由で早退する
通院や体調不良を理由にして早退する方法です。
私用の有休は許可されない場合でも、通院や体調不良なら、上司や周囲が文句をいうことはそうありません。
繰り返し使いにくい方法ですし、職場の人に知られたときのリスクは大きいですが、転職が決まるまでのその場しのぎ的な方法として採用する人もいるようです。
家族の事情で休むと伝える
自分自身ではなく、家族の通院や体調不良、用事などを理由に有休取得や早退をする人もいるようです。
普段は有休取得に嫌な顔をする上司も、家族を引き合いにだせば許可せざるをえないことがあるでしょう。
こちらも職場の人に知られたときのリスクがありますが、自分自身の通院や体調不良と比べると使いやすい方法かもしれません。
正直に面接だと伝える
転職活動をしていることは、職場の人には秘密にしておくことが大原則です。
しかし、職場の状況によっては、正直に面接だと伝えて堂々としている人もいるようです。
たとえば、職場全体で社員の士気が下がっているような場合。
自分以外の人も転職を考えていることがあるため、面接があるからと有休取得や早退をすることに理解を示してくれるのです。
ある人は、職場の上司が「この会社は経営状態がよくないから、早めに転職活動をした方がよいよ」と、面接で休むことを推奨してくれたそうです。
多くはないケースですが、状況によっては正直に伝えること「アリ」なのかもしれません。
面接の日程調整が難しいなら
- どうしても平日に有休を取得できない事情がある
- 土日の面接は可能なのか確認したい
- 平日の夜は何時まで対応してもらえるか聞きたい
これらのことを企業の人事担当者に伝えることは、難しい面もあります。
基本的に「こちらのわがままを聞いてくれますか?」という主旨なので、できれば避けたい調整ごとでしょう。
その場合、転職エージェントの利用を検討してみましょう。
転職エージェントが自身と企業の間に入り、面接の日程調整をおこなってくれるため、調整のストレスや煩わしさから解放されます。
さらに、
- 職場の雰囲気はどうか
- 有休は取得しやすい職場か
- 実際の残業時間はどれくらいか
など、「知りたいけど聞きにくい」企業内情についても、教えてくれることがあります。
転職エージェントは、過去の転職者データや実際に足を運んで得た情報、人事担当者とのパイプを利用することで、企業内情を知ることが可能だからです。
土日に面接をしてくれる企業の注意点
最後に、土日が営業日ではないにもかかわらず、土日に面接をしてくれる企業に応募する際の注意点をお伝えします。
それは、休日出勤が当たり前におこなわれているブラック企業の可能性がある点です。
- 求職者のためを思って土日にも快く対応してくれている企業
- そもそも休日出勤が当たり前という社風の企業
両者は大きな違いがあります。
後者の場合、転職が決まったとしても、自身も休日出勤を余儀なくされ、続けることが難しくなるリスクがあります。
見極めは難しいですが、企業研究や口コミ、転職エージェントからの情報などを利用してよく調べるようにしましょう。
あまりに難なく土日面接を許可してくれる企業については、少し慎重になり、「なぜ土日に対応してくれるのか」を考えてみてもよいでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、現職が忙しくて平日の面接が難しい人に向けて、土日面接の実態や対処法を紹介しました。
在籍中の求職者であっても、平日の昼間に面接を受けることが基本です。
しかし、交渉次第では、平日の夜や土日の面接を受けられる場合があります。
本当に平日の面接が無理なのか、自身の状況を整理するとともに、どうしても平日の面接を受けることが難しい場合には、どのように交渉していくのかを考える必要があります。
個人の力で調整することは大変な面もありますので、転職エージェントなどをうまく活用しながら、可能なかぎり在籍中の転職を目指すようにしましょう。