正社員として働きながらも副業に興味がある。
こんな人は、副業を始めるべき基準はあるのか、本業との両立はどのくらい大変なのか、気になる点が多いはずです。
そこで今回は、正社員と副業の関係について紹介します。
副業開始の判断基準や本業と両立する大変さ、コツを知っておきましょう。
目次
なぜ多くの人が副業をしているのか
「今の給与で十分生活できるから副業なんてしなくて良い。」と考える人がいるかもしれませんが、副業をする人が必ずしも生活に困っているとは限らないものです。
正社員として働きながら副業もする人が増えていますが、なぜ副業をする必要があるのでしょうか。
副業をする人たちの目的を探ります。
将来に備えてお金を貯めておきたい
副業をすることの大きなメリットは収入を得られる点です。
本業の給与では将来が不安、十分な生活ができないといった人もいるでしょう。
しかし、政府の働き方改革によって残業を削減する企業が増えており、本業のみで収入を増やすことが困難になっています。
本業プラスαの収入を得て、貯金や生活費に充てたいという目的で副業をする人は珍しくありません。
いつか本業にしたい
起業したいと考えたとき、いきなり正社員を辞めて起業することは高リスクです。
それよりも、副業として始め、仕事が軌道に乗ってから起業する方が安心です。
経済的にも精神的にも困ることなく夢を叶えることにつながります。
いつか本業にしたい仕事があるから、副業という位置づけでスキルアップをしながら起業を目指す。
こんな人は大勢います。
副業への理解が浸透してきたから
元々は副業をするつもりはなかったけれど、副業解禁になったタイミングで始める人もいます。
一昔前は、副業は本業を妨げるものとして、多くの会社で副業を禁止していました。
しかし、現在では、むしろ副業を通じてスキルアップすることができ、結果的に本業への貢献度が高いとして、副業を積極的に応援する企業が増えてきました。
また、リーマンショックで社員に十分な給与を与えられない経験をした企業が、社員を本業で縛りつける必要はないと考えるようにもなっています。
こうした時代背景から企業の副業への理解が浸透しており、副業を始める人が増えてきています。
複数の収入源が身を助けるから
正社員は安定していると言われるものの、倒産や解雇の可能性はゼロではなく、いつ誰でも職を失うリスクがあります。
ケガや疾病、メンタルの不調などで休業する可能性もあります。
収入源が一つだと、いざ収入源が途絶えたとき経済的に困窮する可能性が考えられます。
本業の会社員と副業があれば、失業して次の職場を探す間に無収入にならずに済みます。
休業中であっても、在宅の副業であれば問題なくできるケースもあるでしょう。
副業が上手くいけば本業にすることもできます。
つまり、副業がセーフティーネットになるということです。
副業をしても良い?副業開始の判断基準とは
そもそも副業をしても良いのか、法律で禁止されているのではないのかなどと不安になる人もいるでしょう。
禁止されていないとしても、副業を始めるべきかどうか、迷うことがあるかもしれません。
ここでは、副業開始の判断基準を整理して紹介します。
法律上の決まりはない
会社員にまつわる法律といえば労働基準法がありますが、労働基準法には、副業を禁止する規定はありません。
法律上、副業をすること自体は問題ないのです。
むしろ同法では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と、二社以上で働くケースを想定した規定も存在します。
もっとも、この規定により、副業を希望する先で採用を見送られる可能性があります。
なぜなら、会社は、複数の勤務先がある従業員に対して、複数の会社での労働時間を通算して法定労働時間を超える場合は、残業代を支払う必要があるからです。
時間的な制約が大きい人材をむやみに雇うことのリスクも考えられるでしょう。
政府は副業を推奨
政府は働き方改革の一環として、副業や兼業の解禁を原則推奨しています。
新たな技術の開発や、起業、第二の人生の準備として有効な方法であるとしているようです。
「多様な働き方」がキーワードの近年では、従来の枠にとらわれない働き方が受け入れられつつあり、副業もその一つと言えるでしょう。
法律で禁止されておらず、国も推奨しているのであれば、副業をしても良いかどうか迷う必要すらないようにも思えますね。
就業規則に違反する場合はNG
しかし、会社には規則があります。
たとえ法律上の決まりがなく、国が推奨しているとしても、会社員は会社規則に従わなければなりません。
会社で副業を禁止されている場合は、副業をやらないことが賢明です。
どうしても副業をしたい場合は、副業を許可されている会社に転職するか、会社に知られたときのリスクを負ってまで始めるかどうかです。
冒頭で副業をする人が増えたことに触れましたが、今のところ、副業を禁止している企業の方がまだ多いと言えます。
理由は、本業に支障をきたすこと、本業の情報漏えいの問題などがあります。
しかし、その割合は年々減ってきているという指摘も。
大手やベンチャーを中心に、副業を大々的に許可する方針を発表する企業も増えています。
まずは自身が勤める会社の就業規則を確認し、副業禁止規定が盛り込まれているかどうかを知っておきたいですね。
体力が続くかどうか
会社で副業が禁止されていない場合は、自身の状況から、副業を始めるべきか考えてみましょう。
まずは体力の問題です。
正社員として働いている場合はフルタイム勤務がほとんどでしょうから、副業をすればその分労働時間が長くなります。
たとえ収入が増えたとしても、体力的にきつくて倒れてしまえば何の意味もありませんよね。
健康的な生活を維持したまま、副業をできる状況なのかどうかが判断基準となります。
副業をしやすいケースについては後述しますので、そちらも参考にしてください。
目的があるかどうか
何か目的があるなら、副業を始めると良いでしょう。
たとえば、
- 勤務先の給与だけでは到底生活できない
- 留学資金や結婚資金を貯めたい
- 勤務先の業績が悪いから備えておきたい
- 転職するために副業でスキルを身につけたい
- いつか起業したい
などが考えられます。
正社員として働きながら副業をすることは、体力や時間が必要です。
目的なく始めて上手くいかなかった場合、ただ疲れて終わってしまうケースもあります。
目的を決めてから始めると良いでしょう。
副業よりも本業を頑張らないといけない時期もある
副業は副業です。
本業に支障をきたさない範囲でおこなうべきなので、副業を始める時期も重要になります。
副業をやっている場合ではなく、本業に打ち込むべき時期というものがあります。
たとえば、
- 社会人になったばかりでこれといった成果を出せていない時期
- 本業で必要な資格を取得しなければならない時期
- 本業で責任ある仕事を任されて集中すべき時期
- 本業の負荷が強く休息が必要な時期
副業は、本業で一定の余裕があるときにおこなうものです。
本業が落ち着いてきてから始めても遅くはありませんので、まずは本業を頑張りましょう。
副業をしやすいケース
ここからは、副業をしやすい状況の特徴を見ていきましょう。
副業禁止規定がないことが大前提ですが、それ以外にはどんなケースで副業しやすくなるのでしょうか。
定時で帰れる
平日の仕事を定時で上がることができれば、帰宅後の時間を副業に費やすことができます。
平日1~2時間副業するだけでも、週に5~10時間の副業が可能です。
月だと20~40時間ほどを副業に費やすことができます。
たとえば時給1,000円の副業を月に40時間おこなった場合、副業収入は4万円です。
土日をしっかり休みながら、月に4万円の追加収入を得られるのであれば、悪くないのではないでしょうか。
毎日定時とまではいかなくても、週に何回か定時近くで帰れる日があるだけでも違いますね。
週に2日以上の休みがある
週に必ず2日以上の休みがあれば、休日の1日を副業、1日を休息に充てることができます。
本業の疲れを回復させつつ、副業にも精力的に取り組むには、週に2日以上の休みが欲しいところです。
完全週休2日を確保できない場合は、本業が忙しいと認識する必要があります。
副業には慎重になるか、副業のしやすい会社に転職することを考えましょう。
周りに副業をしている人が多い
副業をするには、本業との時間調整や、本業と副業双方での付き合いを断る必要性もでてきます。
ときには周囲からの理解を得にくいこともあるでしょう。
円滑なコミュニケーションを続けていなければ、本業に支障をきたすことになってしまいます。
周囲に副業をしている人が多ければ理解を得やすいため、副業を始めるには適した環境です。
職場で副業をしている人がいれば、注意点や何の副業をしているのかなどを聞いてみても良いでしょう。
副業が難しいケース
続いては、副業が難しいケースを紹介します。
副業禁止規定がある
本業の勤務先で副業禁止規定があり、それに違反した場合、就業規則違反として厳しい処分を受けることがあります。
処分の度合いは会社によってさまざまですが、最悪の場合は解雇になる可能性も否定できません。
現在ではマイナンバー制度も始まっていますので、以前と比べて副業がバレやすい環境になったと言えるかもしれません。
本業と関係のある副業をしたい
従業員の副業を認めている会社であっても、本業とは関係のない仕事をすることが前提です。
本業の知識やスキル、ノウハウを直接使った副業は通常認められません。
これは、競業避止義務と言って、本業と競合関係にある業務をおこなってはならないからです。
本業で培った経験を活かしたいのであれば、副業ではなく、転職または起業が選択肢となります。
土日しかできないことを副業にしたい
平日は仕事で忙しいから、土日だけ副業したいと考える人もいるでしょう。
しかし、土日しかできないことに限定すると、副業時間を多く捻出することができず、副業でほとんど稼げなくなる可能性があります。
たとえば、土日に就業機会が多い仕事と言えば接客業ですが、会社の人に会ってしまうリスクがあり、立ち仕事が多く体力を使うため、平日忙しい人が取り組む仕事としてはやや不向きです。
株やFXは、土日は市場自体が閉まっているためできませんので、平日に余裕がある人の副業になります。
選択肢を少し広げて、曜日を問わず隙間時間で取り組める副業の方が良いでしょう。
多額の資金が必要な副業
副業で得られる収入は月に1~5万円が目安となります。
あくまでも本業プラスαの収入なので、開始資金が不要な仕事に就くことが大切です。
多額の資金が必要な副業は、リスクが高く、本人のストレスも強くなるため、本業への悪影響が懸念されます。
たとえば、不労所得が可能と言われる株やFXなどは元本が必要ですし、元本割れのリスクも伴います。
株価の変動が気になって本業に集中できない人もいますので、余剰資金が十分にないならやめておきましょう。
副業で借金を作り、本業の収入で返していくなど本末転倒ですので、無資金で始められる副業でなければ難しいでしょう。
具体的には、クラウドソーシングやブログアフィリエイトなどのネットビジネス、雇用されてアルバイトとして働くといった方法があります。
無資金で始められてリスクが低いため、副業を初めてする方は選択肢の一つとして考えてみると良いでしょう。
本業と副業の両立はどれくらい大変なのか?
副業をするとどのくらい大変なのでしょうか。
正社員はただでさえ残業があったり、責任が重かったりとストレスを抱えやすいもの。
あらかじめ副業との両立が可能かイメージしておきましょう。
本業以外の会社でアルバイトをする場合
オーソドックスな副業として考えられるのが、本業以外の会社でアルバイトをすることです。
平日の夜や週末に限定して働きます。
このケースの場合、時給制であることが多く、シフトの調整が難しいという大変さがあります。
夜や週末に副業をすることで体力的にきついと感じることが多いでしょう。
副業で疲れてしまい、本業に支障をきたすことも。
以下は、ある正社員が平日の夜に4時間、別の会社でアルバイトをしている場合のタイムスケジュール例です。
- ~06:30 起床
- 9:00~18:30 本業
- 18:30~21:00 休憩、副業先への移動
- 21:00~01:00 副業
- 01:00~02:30 帰宅、入浴、就寝準備
- 02:30~就寝
本業と副業との間の休憩時間が2.5時間しかなく、睡眠時間は4時間と、かなりハードな1日です。
これを何日も続けるのは難しいですね。
短期間でお金を貯めたいなどの目的がなければ、あまりおすすめできる働き方ではありません。
ネットビジネスをする場合
ネットビジネスの副業は、移動時間が不要で、空いた時間を利用して取り組める点がメリットです。
本業の出勤前1時間、帰宅後の1時間など、こまめに副業をすることができます。
ただし、時給制のアルバイトと異なり、稼げるようになるまでに時間がかかる点が大変です。
クラウドソーシングの場合はある程度実績を作らないと時給数百円レベルの仕事が多いですし、ブログアフィリエイトはいつ収益があがるか分かりません。
経済的に切羽詰まっている人にはあまりおすすめできず、ある程度気長に取り組むべき副業です。
投資・運用系の副業をする場合
投資や運用は労働とは異なる概念になるため、上手くいけば不労所得に近い形で本業以外の収入を得ることができます。
しかし、リスクがつきものである点や、精神的に疲弊しやすい点がネックになります。
きちんと利益をだすには勉強も必要ですから、簡単に稼げるだろうと安易に手を出すことはやめておきましょう。
失っても構わない余剰資金があり、リスクを許容できるのであれば、不安定な将来を生き抜くために取り組む価値はあります。
副業をしながら正社員で働くコツ
正社員として働きながら副業をしている人たちは、どのような工夫をして本業と副業を両立させているのでしょうか。
そのコツを紹介します。
時間を管理する
本業と副業の両立でもっとも大切だと言われるのは時間管理です。
フルタイムの正社員に加えて副業時間を捻出するには、とにかく時間の無駄を省く必要があります。
本業では常に効率を重視した働き方をし、少しでも時間を作るようにします。
アルバイトタイプの副業をする場合は、本業と副業のシフトが被らないように、しっかりと管理しなくてはなりません。
本業で急な残業が入り、副業のアルバイト先に迷惑をかける。
こうしたことはあってはなりませんが、アルバイトタイプの副業では比較的ありがちなシーンです。
周囲の人とうまくやる
本業の仕事が終われば、定時で帰ることに問題はないはずです。
定時で帰り、副業に充てることができれば副業収入を上げることにもつながります。
しかし、中には毎日定時で帰ることをよしとしない雰囲気の職場があります。
この場合、周囲の人とのコミュニケーションが鍵を握ります。
普段から周囲の人とコミュニケーションを取り、良好な関係性を築いてあると、定時帰りが続いても不満を持たれにくくなります。
職場で困っている人がいれば積極的にサポートを申し出るなどの日ごろのおこないも、定時帰りをしやすい環境づくりに役立ちます。
家族や恋人の理解を得る
副業をするには、家族や恋人の理解を得ることも大切です。
本業の時間を終えたのに、別の仕事をしていては、「わたしたちと一緒に過ごす時間が欲しくないのか?」と思われることがあります。
経済的な理由や達成したい目的があって副業をしている旨を、家族や恋人にも伝えておくと良いでしょう。
不安感が排除され、副業も応援してくれるでしょう。
副業できる転職先を探すには?
副業をしたいけど会社で禁止されている、そろそろ転職を考えていたが副業ができる会社が良い。
こんな希望がある方は、転職エージェントを利用した転職活動をすると良いでしょう。
転職先で副業可能かどうかを確認する手段は限られますが、転職エージェントを介して聞いてもらえばスムーズです。
転職エージェントは企業の内情に詳しく、人事担当者と密に連絡を取り合う中で、通常は聞きにくい内容を聞きだすことができるでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は、副業を始める判断基準、本業と両立させる大変さやコツを紹介しました。
副業はいざというときのセーフティーネットになるため、取り組んでおくメリットは大きいと言えます。
一方で、副業禁止規定や本業との両立など注意すべき点もありますので、それらをよく把握したうえで慎重に始めるようにしましょう。