安定を求め、団体職員への転職を考える人が多くいます。
しかし、そもそも団体職員とは何なのか、どんな仕事をするのか、本当に安定しているのかまで、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、団体職員への転職について紹介します。
団体職員の仕事内容や年収、転職活動方法などを押さえておきましょう。
団体職員の定義
団体職員に明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、非営利団体で働く職員のことを指します。
非営利団体とは、株式会社のように営利を第一の目的としていない団体で、たとえば、NPO法人や商工会議所、独立行政法人、農業協同組合などがあります。
なお、公益のために存在する団体の職員であることから、みなし公務員や準公務員と呼ばれることもありますが、公務員ではありません。
ただし、公務員から天下りしてくる人もいるため、その意味では公務員と関係性が深いとも言えます。
団体職員はどんな仕事をするのか
団体職員の業務内容は、団体によって大きく異なります。
たとえば、イベントの企画、実行、案内、パンフレット作成、民間企業からの相談など、多岐にわたります。
「団体職員=事務員で楽」とイメージされる人もいますが、人前で話す機会があったり、外回りをしたりと、必ずしもイメージ通りとはいかないものです。
どんな仕事をするのかは、団体職員の応募の際によく確認しておくようにしましょう。
団体の収益源と職員の年収の関係
営利を目的としていない団体ですが、団体の運営には費用が必要です。
収益源となるのは、国や自治体からの補助金、団体会員の会費、寄付金などです。
営業による利益が見込めないことから、運営が厳しい団体も多く、職員の年収が低いことも珍しくありません。
職員の給与を上げたくとも、原資がないため、上げられないのです。
正社員であっても、年収300万円前後というケースもあり、契約社員やパートなども多いため、さらに低い人もいます。
一方で、団体規模が大きい場合や、公務員からの天下りしてきた人、幹部の人などは高年収になることがあり、不公平感が生じるケースも存在します。
また、地方よりも都市部の団体の方が、年収が高い傾向にあります。
ただし、株式会社のように景気に左右されることがなく、年功序列的な俸給表を採用しているため、給与が急に下がるリスクは少ないです。
安定性という点ではメリットがあると言えるでしょう。
休みの取りやすさについて
近年は給与より休みが多い方が良いと考える人が増えているようです。
団体職員は、公務員に近い勤務形態なので、土日祝日休みであることが多いです。
イベント前などでなければ、緊急性が高い仕事は多くないため、有給休暇も取得しやすい傾向にあります。
ただし、どの団体に所属するのかにもよります。
たとえば、スポーツ振興協会などの団体であれば、土日祝日にイベントを開催することもあるでしょう。
当然、イベント当日は出勤することになります。
また、団体によっては非常に多忙で、残業が続くこともあります。
休みの取りやすさが団体ごとに異なるという点は、一般企業と同じことが言えます。
安定志向の人に向いている
団体職員は、地域に根付いた活動をすることが多く、人事異動も少ないため、全国転勤の可能性が低いと言われています。
長く働く人も多いため、職場の人間関係も継続しやすい傾向にあります。
同じ場所で、同じ人たちとともに、変化しない環境で働きたい人には向いています。
営利目的の企業のようにノルマや営業成績を求められることもないですし、公務員のように市民から「税金泥棒!」などと言われることもありません。
その点では精神的な負担が少ない環境だと言えるでしょう。
ただし、よくも悪くもお役所的な側面があるため、革新的な仕事をしたい人、好奇心が旺盛な人は、仕事がつまらなく感じることも考えられます。
団体職員になり、仕事にやりがいを感じられず、辞めてしまう人もいます。
国民や公益のために働く貢献意識が高い人でなければ、やりがいを見出すことが難しいかもしれません。
なぜ団体職員に転職したいのかを考える
民間企業から団体職員へ転職したいと考える人によく見られるのは、「安定を重視して」という転職理由です。
確かに団体職員は、景気や外的要因で雇用が脅かされることが少なく、公務員に近い安定を得ることができます。
しかし、所属団体が民営化する、解体される可能性もあることから、必ずしも安定しているとは言えません。
また、民間企業で努力し、仕事で成果を挙げることにやりがいを感じていた人は、物足りなさを感じることも多いです。
中には、仕事が暇すぎて苦痛になり、辞めてしまう人もいるほどです。
さらに、団体職員の管理職は、公務員から天下りしてきた人や、上層部の知り合いなど、コネによるケースが多くあります。
出世意欲が高い人は、いくら能力が高くても報われない可能性があることから、成果主義の民間企業への転職を考えた方が良いでしょう。
団体職員への転職であれ、民間企業への転職であれ、大切なのはなぜ転職したいのかです。
面接での受け答え以外にも、今後、自分自身が仕事を続ける理由になるものなので、掘り下げて考えるようにしましょう。
団体職員への転職方法
団体職員の求人は、ハローワーク、転職サイト、転職エージェントなどの一般的な媒体で見つけることができます。
特定の団体で働きたい場合は、団体のHPから確認する方法もあります。
求人件数は多くありませんが、働きながら探していれば、転職の可能性は十分にあります。
ただし、採用基準が公務員に準じていることも多く、年齢や学歴、職歴などの要件が厳しい傾向にあります。
教養試験や論文試験を設けているケースもあるため、誰でも通過できる選考とはいきません。
また、主には事務系職種の募集となるため、非常に人気が高いです。
実態としてはコネ入社などもよく見られますので、一般応募で転職することはややハードルが高めだと言えるでしょう。
団体職員の知り合いなどがいれば、欠員がでていないか、聞いてみることもひとつの転職方法となります。
最後に
いかがでしたか?今回は、団体職員への転職に着目し、仕事内容や年収、転職活動方法などを紹介しました。
団体職員は公務員のような安定性があり、地域貢献ができる魅力的な仕事です。
反面、給与が低い、変化が起こらないなど、人によっては向いていない可能性もあります。
転職を考える場合は、仕事内容をよく確認したうえで、本当に自分に向いている仕事なのかを把握しておきましょう。