未経験者でも始めやすいと言われ、求人件数も比較的多いルート営業求人。
営業の中での人気が高く、一説によると「楽な仕事」なのだそうですが、本当に楽なのでしょうか。
転職してルート営業をやってみたいと考える方は、実態をよく把握したうえで、後悔のない転職を目指すことが大切です。
今回は、ルート営業について、一般的な営業との違いや大変な点、求人探しの注意点を紹介します。
目次
ルート営業とは
ルート営業とは一体どんな営業のことなのか、詳しくは分からない方も多いのではないでしょうか。
ルート営業の特徴について、一般的な営業とは何が違うのかも踏まえて紹介します。
既存顧客に対するフォローを担当する
営業と聞くと、新規顧客を開拓することが主な仕事だとイメージされることが多いですが、ルート営業は既存顧客のフォローを中心におこないます。
すでに取引がある相手に対して、現状やニーズを聞きだし、より良い提案やアドバイスをしていきます。
どの顧客の担当になるのかは会社が決めますので、ルート営業は決められた顧客を受け持つことになります。
法人を相手にすることが多い
ルート営業の顧客は、法人や店舗が中心です。
そのため、「法人営業」と呼ばれることもあります。
不特定多数の個人を相手にする営業は、ルート営業ではなく、一般的な営業です。
法人や店舗が相手だと、おのずと営業時間内でのやり取りとなるため、時間外労働が発生しにくいメリットがあります。
先方は、企業や店舗の看板を背負っていることから、物腰が柔らかくなりやすく、紳士的な態度で接してくれることも多くなります。
固定賃金で安定している
営業と言えば契約件数に応じたノルマが設けられていることも多いですが、完全なルート営業は固定賃金が主流になります。
新規顧客開拓を担当しませんので、契約件数のような分かりやすい評価対象がないからです。
歩合給の営業は月により賃金が変動するため不安定ですが、固定賃金のルート営業は比較的安定した生活を送ることができます。
ノルマがない
既存顧客のフォローをおこなう業務の性質上、「月の契約件数が〇〇件以上」などの分かりやすいノルマの設定が難しくなります。
1日のうちの訪問件数が決められていることはありますが、訪問すれば良い話なので、契約を取らなければならないノルマとは異なります。
ルート営業が一般的な営業と比べて精神的に楽だと言われる所以です。
飛び込み営業がない
訪問先がすでに決まっていますので、飛び込み営業をしたり、新規のアポイントを電話で取ったりすることがありません。
相手は顔見知りなので、新規開拓営業のように嫌な顔をされることもなく、商談がスムーズに進みます。
ルート営業はここが大変
ルート営業は、一般的な営業に比べて人気が高いです。
ここまで紹介した特徴から分かるように、ノルマや新規開拓時のストレスが少なく、営業力がなくてもできる仕事だと思われているからです。
しかし、実際にルート営業として働く人の話を聞くと、決して楽な仕事とは言えない点が多数あります。
ルート営業はどんな点が大変なのか、よく知っておきましょう。
きめ細やかなフォローが必要
既存顧客のフォローとひとことで言っても、きめ細やかさが求められます。
なぜなら、ルート営業には、既存顧客を守るという重大な任務があるからです。
新規契約を取って終わりではなく、その後も継続して顧客から信頼と満足を得る必要があるのです。
こまめに足を運び、何か困っていることはないか、今後どんなサービスを求めているのかなどを聞き取り、自社を引き続き利用してもらうための工夫をしなくてはなりません。
顧客との付き合いが長くなりますので、営業個人の魅力も必要となります。
競合他社との戦いがある
「人と争うことが苦手だから。」という理由で、一般的な営業ではなくルート営業を選ぶ人がいます。
しかし、競合他社との戦いがある点を忘れてはなりません。
いくら過去に取引がある相手とはいえ、その関係性は保障されるものではなく、いつ何時競合他社に奪われるとも限りません。
特に、競合他社が多い業界のルート営業は日々新しい提案をおこなう必要がありますので、簡単な仕事ではありません。
嫌な顧客でも担当しなくてはならない
会社から割り振られた企業の担当者が、自分との相性が悪いことがあります。
法人や店舗であっても、自分たちの方が立場は上だと見て、感じの悪い対応をする人はいるものです。
しかし、仕事は仕事ですから、嫌な顧客でもうまくやり取りする必要があります。
ルート営業の場合、不特定多数を相手にする新規顧客開拓営業と比べて担当件数が少ない傾向にあるため、嫌な顧客がいると、担当件数に占める割合が高くなります。
モチベーションを保ちにくい
安定した固定賃金は魅力ですが、言い換えると、努力が報酬に結びにくいということです。
きめ細やかなフォローや多数の提案をおこなっても、さほど努力しなくても、報酬は変わりません。
結果的に「ほどほどに仕事をしよう。」と感じることになり、人によってはモチベーションが下がっていきます。
自分自身でしっかりと目標を立てられる人でなければ、成長が難しい環境下であると言えます。
営業以外の業務が多数ある
ルート営業は資料作成やデータ分析など、営業以外の仕事が多数あります。
新規顧客担当の場合、営業事務が補佐してくれるなど、とにかく新規開拓に集中しやすいことが多いですが、ルート営業は自分一人で雑務もこなします。
場合によっては、営業とデスクワークの両立で業務量が膨大になり、長時間労働になることもあります。
新規開拓と並行しておこなうことがある
既存顧客のフォローだけしていれば良いと考える企業ばかりではなく、ルート営業も新規顧客開拓もひとくくりに「営業」としている企業は多くあります。
既存顧客のフォローをしながら、新規開拓も同時におこなうわけです。
この営業は非常に大変ですが、決して珍しくないケースなので、転職の際は業務内容をよく確認しておく必要があります。
ルート営業求人を探すときの注意点
ルート営業は、営業の中では圧倒的に人気の形態ですが、転職活動にあたって覚えておきたいことがあります。
ここからは、ルート営業に転職したい方に向けて、求人を探すときの注意点をお伝えします。
「ノルマ無し」を鵜呑みにしない
ノルマがある営業は求職者から敬遠されることが多いため、求人に「ノルマ無し」と記載するケースが珍しくありません。
しかし、実際にはチームノルマがあったり、明確なノルマはないが事実上のノルマがあったりと、入社してギャップを感じることが多いものです。
あまり鵜呑みにせず、仕事内容の詳細や面接での質問から探っていきましょう。
たとえば、「営業の皆さんはどのように目標設定をしているのでしょうか?」といった質問も一つの方法です。
「チームで契約目標があって…。」「前年比100%以上は保つように指導している。」などの返答があれば、事実上のノルマが存在する可能性があります。
歩合給の場合は新規開拓営業の可能性が高い
ルート営業なのに歩合給ありの求人の場合、新規開拓営業の可能性が高いです。
完全なルート営業の場合、歩合給がつくケースは稀です。
歩合給は通常、新規契約に対してつくことがほとんどなので、あらかじめ担当が割り振られるルート営業において歩合給がつくのは違和感があります。
もちろん、ルート営業先で別商品を契約してもらった場合などに、一定の歩合がつく可能性は考えらます。
しかし、歩合給の割合が多いようなケースでは、新規開拓営業が中心かもしれませんので、業務内容を詳細まで確認しておく必要があります。
固定残業代は悪用されがちな制度
固定残業代と記されている求人には気をつけましょう。
固定残業とは、一定時間の残業をすることを想定し、あらかじめ決められた残業代を支払う制度です。
想定よりも残業時間が少なかった場合には決められた残業代が支払われ、想定残業時間を超えた場合は追加の残業代が支給される仕組みです。
しかし、この制度を悪用し、たとえ長時間残業があっても、見込み分しか支給しない企業が後を絶たないことから、非常に注意が必要な求人となります。
求人の見極め方としては、「固定残業代あり」としか書かれておらず、具体的な計算方法に触れていない求人は危険です。
正しく固定残業代を支払っている企業の求人は、想定残業時間を超えた場合の取り扱いについて、詳しく書かれていることが多いです。
業界によって仕事の大変さが異なる
ルート営業に限った話ではありませんが、どの業界を選ぶかによって、仕事の大変さは変わってきます。
たとえば、人材業界の営業は雑務が多く、多忙なことで知られています。
広告業界も、顧客からの無理な要望が発生しがちなので、担当営業が苦労することが珍しくありません。
反対に、インフラ業界のように、顧客にとって必要不可欠なサービスを扱う業界では、競争も少なく、契約切りをされるリスクが低いため、のんびりと仕事をしている営業もいるようです。
転職の際には、業界特性や業界の将来性なども調べることが大切です。
働きやすいルート営業求人の探し方
新規開拓営業やノルマなどのストレスがなく、固定賃金で安定性も高いルート営業は、営業未経験者でも始めやすい営業です。
新規開拓営業がきついと感じている営業経験者の営業先としてもおすすめです。
しかし、完全なルート営業だと思って転職した結果、実は一般的な営業と変わらないケースもありますので、転職先選びは慎重になるべきです。
働きやすいルート営業求人を探すなら、転職エージェントを利用すると良いでしょう。
転職エージェントは、企業の掲載料が有料、掲載審査があるなどの理由から、質の高い求人が集まりやすい傾向にあるからです。
ノルマなどの聞きにくい質問についても、転職エージェントを介して確認してもらうことができるため、実態を把握したうえでの転職が叶います。
最後に
いかがでしたか?今回は、ルート営業に着目し、一般的な営業との違いや大変なところ、求人を探すときの注意点を紹介しました。
ルート営業は必ずしも楽な仕事とは言えず、大変な点や苦労もあります。
仕事内容をよく確認し、ご自身の適性を判断したうえで、転職後のギャップを回避するように活動をおこないましょう。