人とコミュニケーションを取ることが苦手な人は、仕事上で苦労やストレスを感じることが多いと言えます。
仕事は1日の多くの時間を占めることですから、人とのコミュニケーションが求められない仕事があれば、ぜひ転職したいと考えることがあるかもしれません。
そこで今回は、コミュニケーションスキルが求められない仕事の特徴と、具体的な仕事を紹介します。
目次
コミュニケーションスキルが求められない仕事の特徴
コミュニケーションスキルが求められない仕事といっても、どんな仕事なのかイメージが湧かない方もいることでしょう。
まずは、コミュニケーションスキルが求められない仕事の特徴を紹介します。
簡単な受け答えができれば十分な仕事
コミュニケーション機会がゼロという仕事は限られますが、コミュニケーション機会が少ない仕事であれば探すことは難しくありません。
挨拶さえできれば十分、定例のやり取りのみで頭を使う交渉がないなど、程度の差がありますが、本人にとってストレスの少ない範囲であれば良いと考えるのです。
「対人ストレスをなくす」ではなく、「対人ストレスを減らす」という観点から探すことで、転職先の選択肢が広がるというものです。
社外の人とのやり取りが発生しない
人と話すとき、社内の人が相手なら何の問題もないのに、社外の人と話すと急に緊張してしまうことがありますよね。
この場合、コミュニケーションに対する苦手意識はあるものの、全くコミュニケーションが取れない人ではありません。
主に社内の人とのみコミュニケーションが必要で、接客や対顧業務が発生しない仕事であれば、大きなストレスを感じることなく進められるはずです。
ほとんど人と話す機会がない
機械や作業物と1日中向き合っているような仕事も、人とコミュニケーションする機会が少なく、特別なコミュニケーションスキルが求められることもありません。
技術系の職種が典型例です。
基本的に1人での作業がメインとなる仕事も、話をする相手がいませんので、コミュニケーションスキルが高くなくても問題ないことが多いです。
いわゆる「コミュ障」と自負しているような、コミュニケーションに苦手意識が強い人は、こうした性質の仕事を探すと良いでしょう。
コミュニケーションスキルが不要の仕事
続いて、コミュニケーションスキルが求められない仕事の具体例を見ていきましょう。
「自分はコミュ障だと思う。」「人と接しない仕事が気楽だ。」
このように思う方は、転職先の候補として覚えておくと良いでしょう。
長距離トラック運転手
長距離トラックの運転手は、1日の大半をトラックの中で、かつ1人で過ごします。
荷物の上げ下ろしの際には、取引先との挨拶や多少のやり取りが必要ですが、長い時間ではありません。
コミュニケーションが苦手な人でも問題ないことがほとんどです。
深夜に働く、長距離を運転するなど体力的に大変な面が多いですが、精神的には楽だと感じることが多いようです。
ただし、2人1組で移動するようなケースだと、コミュニケーションの頻度や対人ストレスは、むしろ多くなりやすいと言えます。
2人1組の相手が誰かによっても変わります。
転職の際には、転職希望先での業務の進め方を確認し、1人行動が可能かどうかを知っておくことがポイントになります。
工場勤務
工場勤務も、目の前の作業に没頭することが多く、コミュニケーションスキルはさほど求められません。
特に工場のライン作業は、機械の速度にあわせて手を動かしますので、人と話をしている暇すらありません。
コミュニケーションが苦手という理由で工場勤務を選ぶ人もいますので、休憩中などに人と接しなくても、周りから浮くことも少ないです。
ブランク期間があり段階的に社会復帰を希望する人も、工場勤務から始めるのは良い方法です。
ただし、正社員を希望する場合は、いずれは役職へとステップアップしていくことが一般的ですので、その段階でコミュニケーションスキルが必要とされます。
役職につかずに現場作業のみを続けていきたい場合は、派遣や契約社員、期間工などで働くことも選択肢に入れておきましょう。
清掃
清掃員も、高度なコミュニケーションスキルは不要です。
1人で黙々と作業することができ、美しくなった床や窓を見て、心が晴れやかになると感じる人もいます。
ただし、清掃中に、企業の社員や施設の利用者と顔をあわせた際には、感じの良い挨拶ができなければクレームにつながることもあります。
元気な挨拶が問題なくできるが、長く話すことが苦手といった人に向いている仕事です。
朝が早い、体力を使うなど大変な点も多いですが、コツコツと真面目に働ける人であれば、ストレスが少なく取り組めるのではないでしょうか。
プログラマー
プログラマーは1日中パソコンと向き合っていることも多いため、人とのコミュニケーション機会が少ない職種です。
会議や打ち合わせ等で多少のコミュニケーションは必要ですが、日常的な業務においては多くを求められません。
コミュニケーションスキルが高くなくても、プログラマーとしての技術力があれば、それなりに評価をしてもらうこともできる点もメリットです。
また、雇用される以外の道もあり、起業家やフリーランスとして活躍する人もいます。
コミュニケーションが苦手でも、技術力次第では高収入を期待できる職種です。
変化が激しい業界に属するため継続した勉強が必要ですが、その分やりがいもあると言えます。
警備員
オフィスビルや商業施設の警備員も、比較的コミュニケーションスキルが求められにくい仕事です。
基本的には1人での巡回や監視業務が多いからです。
ただし、コミュニケーションの程度は、勤務先によって異なります。
たとえば、商業施設のように不特定多数の人が集まる場所で、日中の警備を担当する場合は接客スキルが必要です。
この場合は、人と接することが好き、誰とでもうまくコミュニケーションが取れるような人の方が向いている仕事です。
警備員の対応によっては施設の評判にも関わりますので、コミュニケーションが苦手だと続けにくくなるでしょう。
一方、オフィスビルの夜間警備のように、原則人がいない場所を警備する場合には、接客スキルは不要です。
どこで、いつ働くのかによって変わると思っておきたいですね。
社内向け事務を担当する職種
「事務職」とひとくくりにしてしまうと、事務職には相応のコミュニケーションスキルが求められます。
事務職は多数の部署と関わることが多く、電話や来訪者応対なども発生しますので、誰とでもうまくやれるような人の方が向いているからです。
ただし、コミュニケーションのストレスが比較的少ない事務もあります。
たとえば、社員の給与や社会保険の担当などは、主に社内の人を相手にします。
コミュニケーション自体は必要ですが、対外向けのコミュニケーションが少なく、黙々と目の前の仕事に取り組みやすい環境にあります。
小さなミス一つ許されない仕事であるため、細かいところにまで注意できる人に向いていますが、その方が気楽だと感じるのであれば良いでしょう。
反対に、営業事務や人事はコミュニケーションスキルが高くないと難しいため、コミュニケーションが苦手な人には向かない事務職になります。
農業
自然を相手にする農業もコミュニケーションスキルが不要とされます。
人間関係のストレスに疲れた人が農業に取り組むと、心が元気になっていくケースもあるほどです。
農業と聞くと個人農家を思い浮かべるかもしれませんが、近年は農業に参入する企業が増えており、農業法人への転職する道もあります。
体力を使い、天候や災害に左右されやすいなど大変な面が多い仕事ですが、その他の業種と比べて高収入になる可能性も秘めています。
新聞配達
新聞配達員は、新聞店に新聞を取りに行くときと、配達が終わって報告をするとき以外は、人と話す機会が少ないです。
配達先の住人と顔を合わせることがあっても、挨拶一つできれば十分です。
ただし、正社員として働くのであれば、配達の他に営業や集金、梱包、チラシ入れなどの新聞店内業務もあります。
ステップアップしてアルバイトの管理を任されることもあります。
アルバイトであれば問題ないものの、正社員としての転職先としては、コミュニケーションスキルが求められる機会があると思っておきましょう。
在宅ワーク
コミュニケーションスキルが不要な仕事の究極形態とも言われるのが在宅ワークです。
人と話をする必要がなければ、人と顔をあわせる必要すらありません。
職場の拘束時間に左右されず、自由度が大きい点も魅力でしょう。
ただし、在宅ワークの場合、会話はなくてもメール等のやり取りはあるため、すぐに返信する、敬語を使うなど、常識の範囲内でのコミュニケーションは必要です。
すぐそばに人がいないことでコミュニケーションが適当になりやすい仕事ですが、パソコンや電話の向こう側にいるのは人間です。
コミュニケーションスキルが全く不要というわけではなく、むしろ対応に丁寧さが求められる場面もあります。
また、在宅ワークをする場合、在宅ワークが可能な企業に勤めるか、フリーランスのような形で仕事を請け負うかのいずれかになります。
前者の場合、主には大企業がメインとなりますし、後者の場合は安定性がありません。
転職を考える場合は、そのあたりも押さえておく必要があります。
コミュニケーションが必要な仕事とは
ここまでとは反対に、コミュニケーションが必要な仕事とはどんな仕事でしょうか。
コミュニケーションが苦手でこれから転職を考えている人にとっては、避けた方が良い仕事になります。
もっとも、敢えてコミュニケーションが必要な仕事に転職し、苦手意識を克服する方法もあります。
そうした目的があるのであれば、むしろ転職先として選ぶ必要もでてきます。
ご自身の目的にあわせて選ぶようにしましょう。
販売、営業
販売や営業はコミュニケーションスキルがすべてと言えるほど、高いスキルレベルが求められます。
単に人前で話すことが好きというより、相手のニーズに応えられるコミュニケーションスキルが必要です。
相手の話をよく聞き、提案して形にしていく仕事です。
販売、営業は求人件数が多く、学歴や資格などが求められないため、転職のハードルは低めです。
問題は、続けられるかどうかです。
対人機会が多いことをストレスに感じて辞めてしまうことが明らかであれば、最初から選ばないことも一つの方法です。
医療系職種
医療系職種は専門性が高いことから、コミュニケーションスキルは二の次だと思われることがありますが、接客業的な側面が強い仕事です。
具体的には、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、放射線技師などです。
たとえば、腕は抜群だが患者に横柄な態度で接し、暴言も吐く。
こんな医者が許されるのはテレビドラマや漫画の世界です。
実際は、コミュニケーションスキルが低ければ、患者やその家族からの評判にもかかわってきます。
そもそも人と接することが好きでなければ、人を助けたい、貢献したいといった気持ちになりにくいため、医療系職種の適性としては疑問が残る仕事でもあります。
福祉系職種
介護や保育などの福祉にまつわる仕事は、人との触れあいの中で価値を提供していく仕事ですから、高いコミュニケーションスキルが求められます。
仕事の大変さの割に待遇が悪いとされているため、対人業務に喜びを感じられなければ、なおさら続けることが難しいでしょう。
一方で、コミュニケーションをする相手が限定されやすいため、人によっては楽しく取り組める仕事でもあります。
たとえば、若い人と話すのは苦手だけれど、年配の方や子どもたちと話すのは好きといった人は、福祉の仕事に向いていることがあります。
どんな場面でのコミュニケーションが苦手なのかによっても、向き不向きが変わってくる仕事と言えるでしょう。
大企業
大企業への転職もコミュニケーションスキルが必要です。
大企業は給与や福利厚生などが恵まれている分、結果を求められるからです。
コミュニケーションが必要とされる業務も多く、部署異動も頻繁におこなわれます。
その都度環境に対応していくには、コミュニケーションなしには達成できません。
そもそも倍率が高い大企業は、コミュニケーションスキルが低ければその時点で採用に至らないことが多々あります。
よほど優れた技術や特筆すべき能力がない限り、コミュニケーションスキルは必須だと思っておきたいですね。
ただし、大手製造業の工場勤務の場合、大企業の待遇を受けながらコミュニケーション機会を少なくすることが可能です。
総合職の場合はどの部署に配属されるか分かりませんので難しいですが、工場の求人に直接応募するのであれば考えてみても良いかもしれません。
職人
黙々と作業に取り組む職人は、日常的なコミュニケーションが多くない仕事です。
ただし、あくまでも一般企業に雇われて作業場で働くような職人に限定されます。
職人として成功するには、独立して人脈を広げていくことも必要なので、むしろ高いコミュニケーションスキルが求められることがあるのです。
職人同士のつながりを大切にしたり、営業をおこなったりといった過程では、コミュニケーションを避けて通ることはできません。
自分で作ったものをネット上でのみ販売するのであればまだ良いのですが、その分販売する物の魅力が問われることになりますので、簡単ではありません。
コミュニケーションスキルが不要の仕事に就くリスク
コミュニケーションを求められる仕事を避け、コミュニケーションスキルが不要な仕事に就く。
多数の仕事がある現代においては、それもまた選択肢の一つです。
決して悪いことではありません。
ストレスを抱えながら自分に合わない仕事をするよりも、ストレスなく仕事に取り組むことの価値は十分にあるでしょう。
一方で、コミュニケーションスキルが不要の仕事に転職することは、一定のリスクが伴います。
長い目で見て本当に良いのかどうか、掘り下げて考えておくようにしたいものです。
コミュニケーションスキルを上げる機会を失う
コミュニケーションが不要の仕事では、日常的に人と接することが少ないため、コミュニケーションスキルを磨くことができません。
コミュニケーションが苦手なまま、職業人生を歩むことになります。
コミュニケーションスキルを磨きたいと考えている人は、コミュニケーション機会の多い仕事に転職した方が良いでしょう。
最初は苦労するかもしれませんが、いつのまにか慣れ、自然とコミュニケーションスキルが身につきやすくなります。
孤独感を持つことがある
誰ともコミュニケーションをしないと、孤独感を持つことがあります。
1日が終わったとき、「今日は人と会話をしなかった。」と、愕然とすることもあるでしょう。
仕事で困ったときに助けてくれる人が近くにいないかもしれませんし、仕事上の喜びを分かち合う機会がないかもしれません。
仕事は仕事で割り切り、プライベートで好きな人と接すれば良い。
このように考える必要があるでしょう。
今後転職しようと思ったときに選択の幅が狭まる
転職市場においては、コミュニケーションスキルを重視されることが多いです。
業界、業種を問わず、コミュニケーションスキルが高い人ほど転職が有利になりやすい傾向にもあります。
そのため、コミュニケーションを必要としない仕事に就くと、今後転職しようと考えたときに、できる仕事が限られてしまいます。
どうしても就きたい仕事である、長く続けたい仕事であるといった気持ちがあれば良いのです。
単にコミュニケーションが不要な仕事が気楽だと思って転職してしまうと、それ以外の点で不満を感じたときに再転職したくなります。
そのときには、転職先の選択肢が限られ、自分の思うような仕事に就けないリスクがあるのです。
最後に
いかがでしたか?今回は、コミュニケーションスキルが求められない仕事の特徴と具体的な仕事を紹介しました。
人とのコミュニケーションが苦手で、仕事上のストレスを強く感じているのであれば、コミュニケーション機会の少ない仕事に転職することも一つの方法です。
ストレスによって日々の仕事を嫌々おこなうより、自分に合った仕事を精一杯おこなう方が、質の高い仕事をすることにつながることはあります。
コミュニケーション機会の少ない仕事に転職するには一定のリスクもありますが、自身の適性や希望を見極めたうえでの選択であれば、良い結果となるはずです。