ごみ収集作業員と聞き、どのようなイメージを持たれるでしょうか。

転職先の候補として「ごみ収集の仕事なんてあり得ない。」と考える人、「興味があるからぜひ就きたい。」と考える人、さまざまでしょう。

実は、ごみ収集作業員は非常に人気が高い職種で、転職市場でもしばしば注目を集めます。

もちろん、大変な面も多いごみ収集作業員ですが、それを上回るメリットがある仕事といっても過言ではありません。

そこで今回は、ごみ収集作業員の仕事事情を紹介します。

仕事の大変さや魅力などもあわせて見ていきましょう。

ごみ収集作業員の仕事とは?

パッカー車を運転し、一般家庭からでるごみや、企業・工場からでる産業廃棄物を収集し、自治体の焼却場に運ぶ仕事です。

パッカー車の清掃や管理などもおこないます。

自宅近くのごみ置き場で、作業員が収集する様子を見たことがある人は多いのではないでしょうか。

ドライバー、収集員、清掃作業員など、呼び名は企業ごとに異なりますが、同じ仕事内容を指すことも多いです。

毎日ごみ収集作業の仕事をするのかといえば、それも企業ごとに異なります。

ごみ収集作業以外にも、上下水道や工場の清掃を請け負っている企業の場合、担当変更なども考えられるからです。

正社員の場合は、複数の業務を経験する機会もあると思っておきましょう。

ごみ収集作業員の雇用形態

ごみ収集作業員の雇用形態は、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどさまざまです。

正社員求人も珍しくありませんので、転職先の候補として考えることもできます。

契約社員やアルバイトの場合も、正社員登用制度を設けている求人に応募すればチャンスがあります。

ごみ収集作業員は正社員登用制度ありの求人を比較的見かけますので、必ずしも正社員として転職するだけが道ではありません。

ごみ収集作業員はどこで働く?

一部のごみ収集作業員は、清掃局に勤める公務員です。

ごみ収集作業の大変さは公務員も民間も変わりませんが、雇用の安定や福利厚生などの点で圧倒的に恵まれています。

同じごみ収集作業員でも、公務員か民間企業勤務かは天と地ほどの差があるのです。

作業員の場合、事務系の公務員試験と比べると難易度は下がるようですが、清掃局に転職するのはそう簡単ではありません。

年齢制限がある、筆記試験がある、応募者が多いなどが理由です。

転職しやすいルートとしては、清掃局のごみ収集業務を委託されている企業に転職することです。

廃棄物会社や清掃会社など、民間企業でもごみ収集作業をおこなっています。

近年は、清掃局が民間企業にごみ収集作業を委託するケースが多くなりました。

民間企業なので、一般的な転職活動方法で探すことができます。

公務員と比較すれば採用ハードルは格段に下がるため、公務員の応募条件を満たさない人は探してみると良いでしょう。

ごみ収集作業員が求められるスキル、資格、資質

ごみ収集作業の仕事をするために特別なスキルや資格は不要ですが、運転免許を求められることが多いです。

免許を持たない場合はドライバーを担当せず、収集作業にのみ専念することになりますが、正社員の場合は難しい面もあります。

免許があった方が、ドライバーを担当することも多くなり、体力的にも楽になります。

アルバイトであれば免許がなくても応募できる求人も存在します。

免許については、大型自動車免許を持っていれば、採用や待遇面で優遇されることもあるでしょう。

一定の体力と健康状態も必要です。

重たいごみを積み入れる作業、炎天下での作業などもあるため、特別体が弱い人は大変になってしまうからです。

そのほかの資質としては、同乗者が誰になってもうまくやっていける人、安全確認をしっかりおこなえる人、住民への心配りができる人などが考えられます。

休日の傾向

ごみ収集作業員の休日は、企業規定によりますが、どの地域の回収を委託されている企業なのかが問題です。

自治体によっては、土曜日や祝日でも回収をおこなうことがありますので、その場合は出勤日になります。

土曜日と祝日に回収をおこなわない地域であれば、ごみ収集作業員の土曜日や祝日も休みになりやすいです。

一般的には、土日休みか、日曜日と平日の1日が休みの企業が多いようです。

有休の取りやすさは企業の人員数にもよりますが、大手の場合は比較的有休が取りやすく、融通が利くとの声もあります。

ごみ収集作業員の大変なところ

ごみ収集作業の仕事は、どんな点が大変なのでしょうか。

転職して長く続けるためにも、仕事の大変な面を知っておきましょう。

朝が早い

ごみ収集作業は朝の8:00頃から開始しますが、それまでに準備がありますので、出社時間は7:00くらいになることが多いようです。

一般的には8:00~9:00出社の企業が多いため、朝はやや早い仕事だと言えます。

早起きが苦手な人は辛く感じることもあるでしょう。

ただ、通勤ラッシュを避けて出社できるメリットもありますし、明け方に出社するわけではありませんので、慣れてしまえば問題ないかもしれません。

天候が悪くても作業がある

ごみ収集が1日でもおこなわれないと、ごみ置き場の汚れや臭いがきつくなり、動物やカラスなどによってごみが散乱する恐れもあります。

そのため、ごみ収集作業は天候が悪くても原則おこなわれます。

作業員は専用のカッパや長靴を履いておこないますが、それでも屋外での作業になるため、雨や風が強い日は特に大変です。

もっとも、雨や風が強い日はごみを出さない人も多いため、作業量自体は少なくなります。

危険が伴う

すべての住民が正しくごみを出してくれれば良いのですが、必ずしもそうとは限りません。

スプレー缶の空気を抜かずにそのまま出してしまったり、刃物のようなものを裸の状態で捨ててしまったりする人もいます。

また、ごみを処理しながら運ぶ収集車の特性上、巻き込まれて事故になる可能性もゼロではありません。

このあたりの安全管理は研修でしっかり受けることになりますが、危険が伴う仕事であると認識する必要があります。

体力が必要

さきほど、ごみ収集作業員は一定の体力が必要だとお伝えしました。

人によって想像以上にきついと感じることがあります。

重たいごみを積み入れるほか、収集ポイント同士が近い場合には、走って移動することもあります。

地域によっては、暑さが厳しい場所、雪が多く降る場所などもあるでしょう。

年齢が高い人も就いている仕事ではあるものの、相応の体力が必要だと思っておかなくてはなりません。

スピーディーな作業が求められる

ごみ収集車用の駐車場などはありませんので、住民や近くを走る車に配慮しながら、スピーディーに作業する必要があります。

ごみをとにかく手早く車に積み込む手際のよさが求められますので、のんびりと作業したい人には向きません。

作業時間そのものは短いですが、収集ポイントでの作業には集中力が必要です。

汚れや臭いがきつい

ごみそのものだけでなく、ごみ置き場や収集車に汚れや臭いが付着します。

作業着やマスクを装着して作業するにしても、汚れや臭いがきついと感じることもあります。

自治体から依頼を受け、道端にある動物の死体を除去することもあります。

このため、ごみ収集作業員の多くが男性です。

中には女性も活躍していますが、女性は特に大変だと感じやすいかもしれません。

「良い仕事」だと思われないことがある

何をもって「良い仕事」かどうかは、人の価値観や判断基準によりますので、一概に言えるものではありません。

ごみ収集作業員については、ごみを収集してくれる人がいなければ、ほとんどの住民が困るはずなので、社会的な貢献度が高い仕事だと言うこともできます。

しかし、中にはごみ収集の仕事をあまり良く思わない人もいます。

作業の性質上、汚い、誰でもできるといったイメージを持つ人もいるようです。

周囲の人に仕事内容を話したくない、自慢できる仕事ではない。

こんなふうに感じてしまう作業員もいます。

研修期間中の給与が低い

ごみ収集作業員は研修期間が設けられていることが多いですが、その間の給与は低いです。

日給で7,000円に満たないこともありますので、研修が終わるまでは生活が苦しい可能性もあります。

研修期間は企業によって異なりますが、長くても3ヶ月以内のケースが一般的です。

あらかじめ研修期間や研修期間中の給与を確認しておき、生活費を預貯金で補うなどの工夫が必要になります。

ごみ収集作業の魅力

ごみ収集作業員の仕事は、一部では、3K(きつい、汚い、危険)の仕事だと揶揄されることもあるほど、大変な仕事です。

一方で、その定着率は非常に高いと言われており、一度就いたら辞めない人が多い仕事でもあります。

求人がでれば応募者が殺到するほど、人気の高い仕事でもあります。

この仕事にはそれだけメリットがあるということですね。

ここからは、ごみ収集作業員の魅力に迫ります。

実労働時間が少ない

ごみ収集作業はルートが決まっており、時間内に終了するように予定が組まれています。

ごみ収集作業の実労働時間は1日5~6時間ほどと、他職種と比較しても少ない傾向にあります。

作業時間以外は、待機や休憩をしています。

そのため、残業がほぼありません。

ごみ収集作業員の求人を見ると、ほとんどの求人で残業なしをアピールしている通り、大きなメリットの一つと言えるでしょう。

一般的に、8:00前後に業務開始、16:00~17:00の間には業務が終了します。

ごみ収集作業の仕事が終われば帰宅し、プライベートを充実させることができます。

安定している

民間で一般ごみの収集をおこなっている場合、自治体から業務を委託されていることが多いため、仕事が安定的にあります。

ごみは家庭や企業から出続けますし、景気によってなくなることはありません。

倒産のリスクが少なく、長く働き続けることができます。

業績が良い委託業者が多いため、賞与や退職金などの福利厚生にも期待できるでしょう。

清潔な状態で帰宅できる

ごみ収集作業員は1日の作業を終えると、自社に戻り、シャワーを浴びてから帰宅することが多いです。

仕事帰りにどこかに寄りたい場合でも、清潔な状態で立ち寄ることができます。

担当やルート先のごみ置き場によっては、さほど汚れや臭いがつかないこともあり、あまり気にしない人も多いようです。

作業服は会社から支給されますので、自前の服を汚してしまうこともありません。

なお、アルバイトや派遣の場合は、作業服を利用できないことがありますので、汚れても良い服や靴で作業する必要があります。

コスパの良い仕事

ここでは民間を例にとりますが、ごみ収集作業員の初任給相場は16万円~22万円ほどと、基本給自体はさほど高くないと言えます。

特に地方の作業員であれば、20万円に満たない求人が珍しくありません。

「ごみ収集作業員はけっこう稼げる。」

こんな話を聞いたことがある人もいるでしょう。

これは、公務員のごみ収集作業員のことを指していることが多いのですが、民間の作業員についても「悪くない。」と言える一面があります。

実は、基本給以外に各種手当がつき、退職金もありますので、時間単価に換算すれば高時給になるのです。

長く勤める人が多いため、年齢によって基本給も上がっていきます。

さらに、残業がほぼない、業務自体の複雑さがない点なども考慮すると、コスパ良く稼げる仕事だと言えます。

なお、都内のごみ収集作業員は、民間でもかなり稼ぎやすい傾向にあります。

実労働時間が長くなり、作業量も多いなど大変ですが、年収600万円以上稼ぐ人も少なくありません。

ごみ収集作業員の給与は、都心と地方で大きな差がある点も押さえておきたいところです。

学歴や経験を問われない

ごみ収集作業員の求人では学歴や経験を問われないことが多くあります。

未経験の場合でも研修がありますし、同乗者と一緒に作業しますので、一人で困るということはありません。

通常は、ドライバーを含めて3人1組で作業にあたることが多いです。

作業自体はシンプルですから、学力や頭の良さが求められることもありません。

これは、多くの人にとって応募のチャンスがある仕事であることを示しています。

少しでも興味のある人は挑戦してみると良いのではないでしょうか。

ごみ収集作業員の求人を探す方法

ごみ収集作業員に転職するには、公務員になるか、民間の委託業者へ転職するかのいずれかが考えられます。

公務員を希望する場合は自治体のHPから採用ページにアクセスし、詳細を確認しましょう。

民間の委託業者に転職する場合、一般的な転職活動と同様に、ハローワーク、転職サイト、転職エージェントなどの媒体で探すことになります。

希望の地域で有名な廃棄物会社などがあれば、企業HPから直接探す方法もあります。

中でも、転職エージェントを使った転職活動がおすすめです。

なぜなら、ごみ収集作業員は定着率が高いため、求人自体が多くなく、主には欠員募集になるからです。

ハローワークや転職サイトを使って自力で探すとなると、なかなか求人が見つからずに非効率です。

今の仕事を続けながら転職活動をする人は、特に効率を重視した活動が求められるため、転職エージェントが向いているのです。

あらかじめ希望の職種や条件を伝えておけば、求人がでたタイミングで紹介してもられることも多いため、今の仕事と十分に両立しながら活動を進めることができるでしょう。

最後に

いかがでしたか?今回は、ごみ収集作業員への転職をテーマに、必要なスキルや資質、仕事の大変さや魅力など、仕事事情を紹介しました。

汚い、きついといったイメージを持たれやすいですが、残業がほとんどなく雇用が安定しているなど、メリットが大きい仕事でもあります。

ごみ収集作業員の求人は人気が高く、すぐに埋まってしまうことが多いため、気になる求人を見つけたら早めに動き出すようにしましょう。