いわずと知れた人気スポーツのサッカー。
サッカーが好き、サッカーを仕事にしたいと考える人は多くいます。
いったん別の仕事に就いたけれど、夢を捨てきれず、サッカーに関わる仕事に転職したいと考える人もいることでしょう。
サッカーに関わる仕事と聞くと、サッカー選手か監督くらいしか思いつかないと言う人は少なくありませんが、そのほかにもさまざまな仕事が存在します。
今回は、サッカーに関わる職種や年収、なる方法などを紹介します。
目次
サッカー審判員
まず紹介するのがサッカー審判員です。
JFA(日本サッカー協会)では、サッカー審判員として1級~4級までと、フットサル審判員1級~4級までにわけています。
サッカー審判員の人数は約27万人ですが、JFAが主催するサッカー競技を担当できる1級保有者は約200人と、全体の0.07%です。
さらにJ1で審判員を務めることのできる「プロフェッショナルレフリー」は、1級保有者の中でも14名です。(2018年現在)
確率から考えて、サッカー審判員になるには、プロサッカー選手になるよりも厳しいと言われることがあります。
サッカー審判員の年収
ハードルが高いサッカー審判員1級ですが、1級を取得していても必ず試合を担当できるとは限りません。
そのほとんどが他に収入源を持っているなど、審判員のみで生計を立てている人は少なくなっています。
その中でも審判員のみで生計を立てられるのがプロフェッショナルレフリーです。
年収は日本サッカー協会との契約によりますが、1,000万円~2,000万円ほどと言われています。
プロフェッショナルレフリーになれれば高年収に期待ができますが、まずはサッカー審判員4級から1級まで取得し、1級の中でも優秀だと認められる必要があるため、道は遠く険しいものとなっています。
さらに、1級の受験資格は34歳以下で、2級取得後2年経過していることと実績が必要であるため、少なくとも32歳までには2級を取得し、実績を積んでおかなくてはなりません。
サッカー審判員になるには
サッカー審判員4級と3級については、普段から体を動かしている健康状態のよい人や、もともとサッカーに携わってきた人などであれば、比較的取得しやすいと言われています。
年齢制限も緩く、講習や簡単な体力測定、筆記試験などをクリアすればよいからです。
しかし、2級以降は都道府県の推薦も必要になるため、実績が必要になり、取得のハードルがぐっと上がります。
1級ともなれば、サッカー協会からの推薦が必要になるうえ、瞬時の判断力、試合をコントロールする力、相当の体力も必要になるため、かなり難しくなります。
早くサッカー審判員になるには、JFA公認審判員養成学校に通うことがひとつの方法です。
通常は2年以上かかる2級取得が在学2年で叶いますし、資格に直結したカリキュラムを学べるほか、地域の試合で実績を積むことができます。
あとは、1級の受験資格に年齢制限があることを踏まえ、少しでも早く行動に移すことが重要となるでしょう。
参照:http://www.jfa.jp/referee/system/
サッカー指導者
続いては、サッカー指導者です。
指導者といっても、教える相手や場所はさまざまです。
たとえば、
- プロサッカーチームの監督
- 地域の少年サッカークラブコーチ
- スポーツジムのミニサッカー教室担当者
- 有力中学校や高校の外部コーチ
などがあります。
サッカー選手のセカンドキャリアや、サッカー選手になれなかった人などの就職先としては人気のある職種だといえるでしょう。
サッカー指導者の年収
サッカー指導者の年収は実に幅広くなっています。
J1の人気チームの監督ともなれば数千万円稼ぐ人もいますが、選手以上に枠が少ないため、実際になれる人は極めて稀な例であるといえます。
ほとんどの場合、社会人チームや地域のクラブコーチ、少年サッカーの監督などになりますが、年収300万円あればよい方の部類に入ります。
少年サッカークラブのコーチであれば年収200万円を切ることも多く、正社員ではなく契約社員やアルバイト、業務委託といった形が主流になります。
スポーツジムのトレーナーなどであれば正社員として働くことが可能なので、クラブチームの監督・コーチよりは安定しています。
とはいえ、年収は200~350万円ほどで年齢も30代くらいまでが基本ですし、必ずしもサッカーを教えられるとは限らないというデメリットがあります。
サッカー指導者になるには
JFA公認指導者ライセンスには、プロ選手の指導ができるS級ライセンスのほか、A級からD級コーチ、キッズリーダーがあります。
C級、D級、キッズリーダーは講習会に参加することで取得できますが、B級以上は、選手としての実績かC級コーチとしての実績がなければ難しくなり、受験資格もかなり厳しくなっています。
一般のサラリーマンが指導者を目指すには、大学や専門学校のスポーツビジネス科などで基礎を学んでいること、まずはC級コーチ取得を目指し、実績を挙げることなどが前提として必要となります。
トレーナー、マッサージ師、栄養士
選手たちを身体面や栄養面からサポートするトレーナー、マッサージ師、栄養士などの道もあります。
サッカー選手に関わるための資格はありませんが、多くの方が理学療法士やあん摩マッサージ師、柔道整復師などの医療系資格を保有しています。
栄養士の場合は管理栄養士が必須です。
勤務先は、病院、整体院、接骨院、リハビリ施設、スポーツジムのほか、ごく一部の人はプロチームや社会人チームと契約を結んでいます。
トレーナー、マッサージ師、栄養士の年収
医療施設で働くトレーナーやマッサージ師、栄養士の年収は、300~400万円程度と、一般的なサラリーマンと同等か低い人も多くいます。
専門知識が求められる大変な仕事ですが、その割には年収は高くないと言われています。
一方、クラブチームと直接契約を結べるような有能なトレーナー、マッサージ師、栄養士になると、年収1,000万円クラスもでてきます。
ごく限られた人ではありますが、実力や人脈などによっては高年収の人もいる職種です。
トレーナー、マッサージ師、栄養士になるには
関連する医療系資格の大学や専門学校、スポーツトレーナー養成施設に入り、スポーツ科、スポーツ栄養科などで学びます。
学校を卒業してすぐにサッカー選手に関わる人は少なく、多くが医療施設などで実務経験を積んでいきます。
サッカー選手のトレーナーやマッサージ師、栄養士になるには、経験を積む中で人脈を構築し、人づてに紹介を受けてなるといったケースも多いようです。
サッカーメディア関連の仕事
サッカーメディア関連の仕事に就き、サッカーの面白さや魅力を伝える方法もあります。
たとえば、
- スポーツ記者
- サッカーニュースのディレクター
- サッカー雑誌編集者
- スポーツカメラマン
などがあります。
記者や編集者になるには出版社への転職、ディレクターやカメラマンはテレビ局などへの転職が方法となりますが、フリーで活躍する人も多くいます。
出版社やテレビ局へ勤務すると年収600万円超と高年収も夢ではありませんが、大手が多く基本的に新卒採用なので、転職のハードルは極めて高いといえるでしょう。
フリーの場合は実力に応じて年収は青天井ですが、数百万円程度で生活が苦しい人も珍しくありません。
また、そのほとんどが出版社やテレビ局などの勤務を経て独立しています。
もう少し現実的な転職先として挙げると、一般企業でサッカーコンテンツの配信に関わる仕事や、Jリーグや選手の写真、映像を管理する仕事があります。
ネットメディアが台頭している時代ですから、広告、通信業界などへの転職も現実的な方法として考えられるでしょう。
そのほかサッカーに関する仕事は多数
サッカーは他のスポーツの追随を許さないほど人気スポーツですから、サッカーに関わる仕事は多数存在します。
プロサッカー選手や審判員などのように直接関わる仕事ではありませんが、一般企業の会社員として、長く働くこともできます。
たとえば、次のような仕事がありますので、ご自身の適性にあわせて探してみてはいかがでしょうか。
- Jリーグクラブ運営(広報、営業など)
- スポーツチームの旅行を手配する仕事(旅行業)
- サッカースクールを運営する仕事(教育業)
- サッカー用品、ユニフォーム等の企画・販売する仕事(アパレル、販売業)
- Jリーググッズ、ライセンスを管理する仕事(広告、製造業)
- サッカー大会の企画、運営をする仕事(イベント企画、運営業)
- 選手や海外への留学をマネジメントする仕事(マネジメント事業)
プロサッカー選手
最後に、プロサッカー選手です。
転職先としては現実的ではありませんが、年齢が若い人であれば可能性はゼロではありません。
プロサッカー選手になるには
プロサッカー選手の仕事に就くためのルートとしては、
- 高校の部活やクラブチームで活躍してスカウトを受ける
- Jチームのユースからトップチームに上がる
- Jチームの選考会に参加する
などがあります。
どのルートでも狭き門ですので、才能や努力が求められます。
プロサッカー選手の年収は?
プロサッカー選手の年収は実力に応じて幅広くなっています。
J1リーグのプロサッカー選手年俸平均は約2,600万円ですが、日本人のトップ選手になると1億円を超えてきます。
海外のプロリーグで活躍する日本人選手であれば10億円超の可能性も。
20代~50代のサラリーマン平均年収が500万円ほどであることを考えると、やはりその額は桁違いといえそうです。
一方、プロサッカー選手でもB契約、C契約ともなれば年俸の上限は480万円となっています。
ひとくちにプロといっても、それだけで生計を立てられる人とそうでない人がいるという、厳しい現実もあります。
日本のサッカー人口におけるプロ選手の割合は?
プロ選手になれる可能性についても触れておきます。
参考までに、2017年度、JFAへの登録選手人数を見てみます。
- 第一種 148,250(Jリーグ、日本フットボールリーグ、社会人連盟など)
- 第二種 176,292(18歳未満)
- 第三種 250,065(15歳未満)
- 第四種 279,134(12歳未満)
参照:http://www.jfa.jp/about_jfa/organization/databox/player.html
合計約91万5千人です。
もちろん、選手登録していなくてもサッカーをする人はいますので、これよりはるかに多い人数が日本のサッカー人口だといってよいでしょう。
では、いわゆるプロサッカー選手は何人くらいいるのでしょうか。
一般の人がイメージしやすいサッカー選手として、J1かJ2に所属している選手を想定して人数を計算してみます。
2018年シーズンJ1クラブ数は18、J2クラブ数は22、年俸の上限がないプロA契約は1チーム原則25人まで、J2が5人までです。
J1が450人、J2が110人で、合計560人です。
このほか、プロB、C契約や人数枠除外者、外国籍選手などのほか、海外のプロリーグで活躍する選手もいますので、プロサッカー選手は大体1,000人ほどが目安になります。
さきほどのJFA登録者数第一種の人数におけるプロA契約人数は約0.6%です。
プロになれる確率を正確に算出することはできませんが、社会人以上でサッカー選手登録をする人のうち、プロとして活躍できるのはごく一握りであることは分かりますね。
サッカーに関わる仕事の探し方
サッカーをやってきた人やサッカーをこよなく愛する人が、サッカーに関わる仕事に転職したいと考えるのはごく自然な流れです。
選手や指導者など現実問題としてはかなり厳しい職種もありますが、一般企業への転職まで目を向けてみると、その可能性は広がります。
転職先を探す場合、スポナビキャリアなどの特化型の転職エージェントのほか、DODAやリクルートエージェントなどの大手転職エージェントで相談してみることも方法です。
また、人脈があればとことん活かし、とにかく行動を起こすことも鍵を握ります。
最後に
いかがでしたか?今回は、サッカーに関わる仕事にスポットライトをあて、どのような職種があるのか、年収やなる方法などを含めて紹介しました。
人気スポーツであるサッカーに関わる仕事にはさまざまな選択肢があります。
好きなことを仕事にできる楽しさややりがいは計り知れないものがありますので、視野を広く探してみてはいかがでしょうか。