仕事を早く辞めたいと悩みを抱えていませんか。
- 上司のパワハラに我慢が限界
- 毎日長時間労働が続いて心身ともにヘトヘト
- 働いても、働いても先が見えない
こうした状況に陥ってしまい、今すぐにでも辞めるべきか迷うことがあるでしょう。
仕事を早く辞めたいほど辛い場合、思考が停止してしまうことがありますが、少しだけ落ち着いて考えてみることも必要です。
今回は、仕事を早く辞めたいとお考えの方に向けて、整理すべきことや、仕事を早く辞めるべき人の特徴、早く辞めるときの注意点を紹介します。
仕事を早く辞めたい人が整理すべきこと
仕事を早く辞めたい、今すぐ辞めたいと思うことがあるでしょう。
退職は手続きなど必要なことがありますので、落ち着いて状況を整理することが大切です。最低限考えておきたい点を紹介します。
今すぐでも辞めた方がよいのか
まずは、今すぐでも辞めた方がよいのか、それとも今後のことをゆっくり考えながら退職を検討すればよいのか、ご自身の状況を判断しましょう。
後述しますが、今すぐにでも辞めた方がよい人には相応の理由があります。
今辞めるのか、いずれ辞めるのかは大きな違いです。
一時的な感情で辞めてしまい後々困ることだけはないようにしてください。
一旦休職する方法もある
過労で倒れる直前にあるのなら、辞めてもすぐには転職活動ができませんので、まずは会社制度を利用して休職する方法があります。
何かしらの健康障害がでており、医師の診断書がもらえるのであれば、健康保険の傷病手当金をもらいながら休むことが可能です。
会社に在籍していることで健康保険料などの会社負担があり、福利厚生などの利用もできますので辞めるよりメリットがあります。
「最近疲れがたまってきたな」といった程度であれば、休職までいかずとも、有給休暇を使う方法もあります。
仕事を忙しくしてきた人ほど有休が余っている可能性はありますので、思い切って使いましょう。
有給休暇の残日数を確認しよう
早く辞めようと思っても、実際の退職日は慎重に決めましょう。
特に次の仕事が決まっていないのなら、有給休暇の残りを使いきって退職日をあと倒しにした方がよいでしょう。
有給休暇は賃金をもらいながら出勤する必要がないため、転職活動をするにしてもその間は経済的に安心です。
ご自身の有給休暇の残日数を確認してください。
新年度になっているような場合には、新年度分の付与もあります。
退職事務手続きの担当部署に確認すれば、有休がどれくらい残っているのかはすぐに確認できるはずです。
退職時の有休消化については「そんなことうちではできない」と上司に言われることがあります。
しかし、有休は繁忙期など正当な理由がなければ会社が拒むことはできない権利ですから、諦めずに主張しましょう。
退職後の生活をイメージ
会社を辞めたところで人生が終わるわけではなく、これまで通りの生活が続きます。
退職後にどうするのかは考えておく必要があります。
- 住居はどうするのか(家賃を払い続けられるのか)
- 扶養してくれる人はいるのか
- すぐに働き始めるのか、しばらく休むのか
- 退職後の生活費はあるのか(預貯金、退職金、失業保険など)
こうしたことは、退職者が必ず直面する問題です。
退職金や失業保険は、退職してすぐにもらえるわけではありません。
当面の生活費としてあてにしていると、困ることがあります。
預貯金があるか、家族を頼れる状況にあるのかなどを確認しておきましょう。
仕事を早く辞めた方がよい人の特徴
仕事を早く辞めた方がよい人には、れっきとした辞めるべき理由があります。
単に「何となく仕事がつまらないから」「ミスばかりで仕事に慣れずに辛い」といった程度の理由であれば、もう少し冷静になり退職を思いとどまった方がよいでしょう。
では、仕事を早く辞めた方がよい人とは、どのような特徴をもっているのでしょうか。
違法な労働環境で働かされている
職場自体に違法性があるなら、犯罪をしている会社の中で働いているということになります。
そのような職場にいて今後よいことがあるでしょうか。
今すぐ辞めるべき理由に該当するはずです。
たとえば次のようなケースは違法の可能性があります。
- 残業代が未払い
- 給与が最低賃金を下回っている
- 休みを申請しても正当な理由なく取得させてもらえない
- 月45時間以上の残業が慢性化している
ここで「月45時間程度の残業ならどこの企業もやっているのに違法なの?」と疑問が生じるかもしれません。
月45時間というのは、労働基準法における36協定が締結されている場合の、1ヶ月残業時間の上限です。
基準を超えて従業員を働かせる場合には「特別条項つき36協定」を結ぶ必要があり、それは臨時的、突発的な場合の残業にのみ認められています。
つまり、たまたまその月だけ忙しくて月45時間の残業になったのではなく、毎月のように45時間以上の残業が続く場合は違法になる可能性があるというわけです。
このため、会社によっては「月45時間を超える分の残業は申請してはいけない」と、暗黙のルールを設けていることがあります。
いわゆるサービス残業にあたりますが、当然そのようなことが許されるはずはありません。
いずれのケースにもいえることですが、違法かどうかは確認が必要です。
たとえば上記の「休みを申請しても取得させてもらえない」というケース。
本人が取得できないと思い込んでいたり、上司がその場しのぎで「今忙しいから…」と言っていたりするだけかもしれません。
結果だけに着目するのではなく、正当な申請や手続きがなされたうえで違法になっているのかは確認しておきましょう。
違法性を主張して辞めるにはそれなりの根拠が求められるということです。
ハラスメントを受けており職場も放置している
セクハラ、パワハラ、マタハラなど、職場にはさまざまなハラスメントが存在しています。
ハラスメントをおこなう上司がいても、その上に相談して解決できれば、ハラスメントをする上司一人の問題です。
しかるべき場所に相談することが先です。
しかし、職場がハラスメントの存在を認知していながら放置しているのであれば、企業体質の問題です。
そう簡単に変えることはできませんので、早く退職した方がよいといえるでしょう。
毎日会社に行くのが辛い
毎日会社に行くことが本当に辛く、呪文のように「辞めたい、辞めたい」と唱える日々を送っていないでしょうか。
「会社員なんて毎日仕事に行くことは憂鬱で当然」と割り切ろうとする気持ちは分かります。
誰でも少なからず仕事へのストレスは抱えているでしょう。
しかし、その度合いが強いようであれば危険です。
たとえば、
- 朝起きようと思っても起きられない
- 仕事が嫌で毎日泣いている
- 会社の入口で立ちすくんでしまう
などは、メンタルが非常に不安定な状態です。
今すぐにでも休職するか、それが難しいなら早く辞めた方がよいでしょう。
数年勤務しているのに仕事が全く覚えられない
入社して数ヶ月の新人や、新しい部署にきたばかりであれば別ですが、数年勤務しており、すでに後輩もいるような立場にあるにもかかわらず仕事が全く覚えられないことがあります。
この場合、その仕事には向いていない可能性があります。
人には向き不向きがありますので、別の仕事でなら活躍できるかもしれません。
転職して確実に仕事を覚えられる保障はありませんが、自己分析をおこない、本当に向いていないとの結論に至ったのであれば早く辞めた方がよいでしょう。
貴重な時間を無駄にすることになるからです。
仕事を早く辞めたいけど法的にはどうなの?
とにかく仕事を早く辞めたいけれど、法的に可能かどうか気になる方もいるでしょう。
ここからは、退職と法律の関係について、基本的な点をお伝えします。
法律上は退職2週間前の申し出で可能
退職の申し出については、労働基準法ではなく、一般法である民法の規定に従うことになります。
ここでは、期間の定めのない契約について見ていきます。
期間の定めのない契約は、いわゆる正社員がメインですが、契約終了日が決まっていなければアルバイトやパートでも該当します。
民法では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。雇用は、解約の申し入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。
これはつまり、退職から2週間前までに申し出をすれば、基本的に雇用契約を解除できるということです。
本当に早く辞めたい、今すぐ辞めたい人は、原則2週間で辞められるのです。
なお、月給制の場合は賃金計算期間の前半に申し出る必要があります。
通常は就業規則にそった申し出をおこなう
ここで、「普通は退職1ヶ月くらいには申し出ないといけないのでは?」と疑問に感じることがあるでしょう。
それは、通常は就業規則にそった申し出をおこなうことが多いからです。
就業規則は会社ごとに異なりますが、1ヶ月~3ヶ月前までの申し出が定められていることがほとんどでしょう。
なお、就業規則に「退職前3ヶ月前に申し出ること」と書かれていたとしても、原則は退職2週間前に辞めることができます。
就業規則は遵守すべきですが、あくまでも会社の規則ですから、その上にある民法の効力を上回るものではないからです。
とはいえ、波風立てずに平穏に辞めたいと感じているのであれば、普通は就業規則を守って辞めることが望ましいです。
心身ともに限界がきており、今すぐ辞めなければならない状況であれば、民法の規定に従うことを念頭に置きましょう。
退職届を無理に書く必要はないけれど…
「会社を辞めるときには退職届を提出するもの」という認識を持たれている方は多いでしょう。
しかし、退職の申し出にあたっては口頭でもよいとされており、法的に退職届が必須というわけではありません。
たとえば、会社側から解雇されたにもかかわらず退職届に「一身上の都合により」と書けば、それが証拠となり、解雇ではなくあくまでも自己都合退職とされてしまうことがあります。
ケースによっては、退職届はむしろない方がよいこともあるのです。
ただし、自ら早く辞めて会社との縁を切りたい場合においては、「退職の申し出をした証拠」として、退職届があった方がよいでしょう。
口頭だと「そんなこと聞いていないから退職できていない」と、退職の手続きがされておらず困ってしまうことも考えられるからです。
今すぐ辞めたいのに辞められない理由
早く会社を辞めたいのに、辞められないと感じる人がいます。
法的には2週間前の申し出で足りるはずの退職ですが、一体なぜ辞められないのでしょうか。
会社が辞めさせてくれない
辞めたくても会社が辞めさせてくれないと考える人がいます。
退職の申し出は自由意志に基づくものですから、そもそも会社に辞めさせない権利はありません。
しかし、場合によっては、辞めることで生じる損害に対して賠償請求すると脅されることもあるでしょう。
会社が、契約期間の定めのない従業員の退職に対して、損害賠償や違約金を請求することは通常はできません。
損害賠償については個別の民事上の問題となるため一概にはいえませんが、ごく普通に働いていた人がいきなり損害賠償請求される根拠はないでしょう。
仮に会社に借金をしていたとしても、それは退職後に返せばよいのであって、退職を拒む理由としては認められません。
会社側が勝手に「辞めさせることはできない」と言っているだけであって、こちら側が辞めることは自由なのです。
退職を申し出るのが怖い
ハラスメントが横行しているような職場だと、退職の申し出そのものが勇気のいることです。
上司に会って話せば殴られる、怒鳴られるなどが予想される状況であれば、恐怖を感じても無理はありません。
上司に会って退職を申し出ることが怖いのであれば、最終的には退職届を内容証明郵便で送り、退職とすることも可能です。
普通郵便で送ると「受け取っていない」と言われてしまうリスクがありますが、内容証明郵便であれば通知の証拠が残りますので、会社から言い逃れされることはありません。
自分ではどうしようもできないのであれば、弁護士などの専門家に相談する方法もあります。
まずは「何の手立てもないなんてことはない」と理解し、退職できる方法を考えましょう。
職場の人に迷惑をかける
「自分が辞めることで職場の人に迷惑をかけるから」という理由で辞められない人がいます。
誰かが辞めることになれば、他の人が引き継ぐか、新しい人を雇うかなどの方法で対処するのが会社組織です。
退職者がでたあとにどうにかすることも上司の仕事のうちです。
もちろん、引き継ぎの負担などがありますが、それもそのときだけです。
残された人たちも与えられた状況に適応していきますので、気にする必要はありません。
職場の人に迷惑をかけるから辞められないと感じるのは、言い換えると、自分の実力を過大評価していることでもあります。
「自分の存在が大きいから職場の皆が大変になる」と言っているわけです。
誰かが一人辞めたから企業経営が立ち行かなくなることなどないでしょう。
社長が辞めたとしても代わりはいるくらいです。
そうではなく、「会社はそういうもの」と思えば気が楽になり、辞めやすくなるのではないでしょうか。
次の職場でもやっていけるか不安
「転職先でもやっていけなかったらどうしよう」と考えて、辞める勇気がもてないことがあります。
当然、転職をしたとしてもうまくいくとは限りません。
ですが、この不安は転職者にはつきもので、転職して確実に成功する保障など誰にもないのです。
それでも、辛い環境から抜け出すために勇気をもって転職し、「辞めてよかった」と感じるわけです。
自力で生きていくのなら「次の職場への不安」と、「今の会社での辛さ」を天秤にかけるしかありません。
前者は好転する可能性が十分ありますが、今の会社で辛いことは、どこまで好転する可能性があるでしょうか。
辞めると生活できなくなる
会社を辞めれば収入が途絶え、生活ができなくなります。
失業手当は永遠にもらえるものではありませんので、いつかは自分で稼ぐ必要があります。
辞めると生活できなくなることが理由で辞められないのであれば、やるべきことはシンプルです。
可能な限り、次の職場を見つけてから辞めるために、今すぐ転職活動を始めることです。
仕事が忙しくて転職活動の時間が取れない方は、転職エージェントを利用しましょう。
求人探し、面接の日程調整、給与交渉まで、面倒なことを代わりにおこなってくれます。
ひとりで転職活動をするよりも効率がよく、辛い状況の中でも力になってくれますので、上手に活用してみてください。
転職エージェントに登録していつでも辞められる準備を
今回は、仕事を早く辞めたいとお悩みの方に向けて、押さえておきたいポイントを紹介しました。
早く辞めるにしても、その場で辞めることはそう簡単ではありません。
今後も続く職業人生のことを考えて、適切なタイミングと手続きを踏むことが望ましいといえます。
とはいえ、限界がきている状況であれば早く辞めることは可能です。
「辞められない」と思い込まず、「いつでも辞められる」「辞めても大丈夫」という気持ちももっておきましょう。
仕事はひとつではありません。
転職や退職に向けて一歩を踏み出すことで、これまでの辛さから解放されることがあると思っておいてください。