音楽は人々の心に寄り添い、豊かにし、感動を与えてくれるツールです。
いわゆる生活必需品ではないものの、音楽がなければ生きていけないと感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな素晴らしい音楽に関わる仕事に就けたらと、希望をもっている方もいるはずです。
音楽に関わる仕事といえば、ミュージシャンや演奏家などを思い浮かべるかもしれませんが、その他にも多数の仕事があります。
どのような立場で音楽に関わっていきたいのか、ご自身の希望は明確になっているでしょうか。
今回は、音楽に関わる仕事の種類を紹介するとともに、気になる年収相場や仕事の探し方をチェックしてみます。
目次
音楽に関わる仕事の種類とは
音楽には多くの人々が関わっており、一般的にはあまり知られていないような仕事も多数存在します。
仕事の種類を知り、音楽にどのように関わっていきたいのか、自分にはどんな仕事が向いているのかを考えてみましょう。
演奏活動を通じて音楽を届ける仕事
音楽に関わる仕事といえば、やはり演奏活動をしたいと考える方は多いでしょう。
メディアやコンサート等で目にするアーティストの姿に憧れ、自分も同じような仕事をしたいと考えることがあるはずです。
たとえば次のような職業が代表例です。
- 歌手、ミュージシャン
- バンドマン
- ピアニスト、バイオリニストなどの楽器演奏家
- スタジオミュージシャン、DJ
- 指揮者
- ミュージカル俳優、女優
- 営業ミュージシャン
一般的にイメージされる歌手やミュージシャン、楽器演奏家になるには、基本的にオーディションなどを受けて合格したり、コンクールで賞をとったり、スカウトされたりして音楽事務所やレーベルに所属することが王道の方法です。
ミュージシャン養成学校、専門学校に入学し、技術を磨きながらチャンスをうかがう方法もあります。
いずれにしても、待っているだけではなれない職業ですので、ひとつでも多く行動をおこしていく積極性が必要になります。
また、有名アーティストとしてではなく、結婚式場やホテル、ジャズバーなどでカバー曲を演奏するような営業ミュージシャンもいます。
派遣会社に登録し、イベント会場などに派遣されるピアニストもいます。
どのようなリクエストにも対応できるだけの技術力が必要ですが、専属や掛け持ちで生計を立てていくことも可能です。
音楽を生み出す仕事
曲や詞を作ったり、アレンジや組み立てをしたりして、音楽作品を世に送り出す仕事もあります。
専門で活動されている方、演奏家と並行して活動されている方がいます。
活動の範囲も実に幅広く、さまざまなアーティストとタッグを組んだり、映画やドラマの主題歌を依頼されたりと多くの方面から依頼がある人気者や天才と呼ばれる方もいます。
- 音楽プロデューサー
- ディレクター
- 作曲家
- 編曲家、サウンドクリエーター
- 作詞家
- 演出家
音楽を作る、という意味では、肩書や所属を問わず、誰でもなることが可能です。
ただし、仕事としてやっていくには才能や感性も大きく影響しますので、自分の実力がどの程度なのかを知ることも必要です。
中でも音楽プロデューサーや演出家は、まずは音楽業界で素晴らしい成果を挙げることが前提になります。
ほとんどの方がミュージシャンや作曲家などで大成功を収めてからプロデュース業をてがける、という流れを経ています。
楽器に関わる仕事
音楽の中でも楽器に特化して関わっていく仕事もあります。
プロの演奏家たちはもちろん、趣味で楽器をされる方も多くいらっしゃいますので、その意味では多くの方と接点がある仕事になります。
たとえば次のような職業があります。
- 楽器製作者、職人
- ピアノ調律師
- 楽器クラフトマン、リペアマン
- 楽器販売店経営、スタッフ
- 楽器、機材レンタル会社社員
大手楽器メーカー、商社、楽器店などに就職して技術を磨いている方や、その後独立される方、著名な方や店に弟子入りされる方などさまざまです。
職人や技術者は専門的な技術や知識が求められますので、専門学校などで学んで方が多くなります。
楽器販売店やレンタル会社では専門技術までは求められませんが、知識的な面で不足があれば顧客離れにつながりますので、やはり勉強が必要です。
音楽を教える仕事
音楽を人に教える仕事もあります。
自身の技術力が高くなければ生徒はつきませんので、ある程度のレベルの技術を有していること、また講師や教師としての人間力、コミュニケーションスキルなども求められる仕事です。
たとえば、
- インストラクター、講師
- 音楽の先生
- 保育士
などが該当します。
インストラクターや講師は、専門学校の講師となる方法、大手楽器教室の専属となる方法、個人宅などを利用した独立系の講師となる方法などがあります。
小学校や中学校で音楽を教える場合は、教育大学や音大などを卒業し、教員免許を取得する必要があります。
音楽の授業を担当するほか、校歌や合唱コンクール、文化行事の指導、吹奏楽部や合唱部の顧問などを任されることがほとんどです。
保育士も、音楽ができないと難しい面がありますので、音楽に関わる仕事のひとつといってよいでしょう。
女性保育士が多数を占める業界ではありますが、昨今ではギターなどの楽器が得意な男性保育士が活躍しているようなケースもあります。
子供は音楽が大好きなので、楽器や歌が上手な保育士は憧れの的になるのかもしれません。
コンサート、ライブの運営に関わる仕事
コンサートやライブは、ファンに直接音楽を届けられる、アーティストにとって大事な場所です。
コンサートやライブを企画し、実際に運営するには実に多くのスタッフが関わることになります。
たとえば次のような仕事があります。
- ステージスタッフ
- 照明、舞台美術
- 音響、映像制作、その他技術者
- イベント制作、プロデュース
- チケットプロモーター
- スタジオ経営
こうした仕事は、アーティストのような才能や感性が重視されるというより、技術的な側面が強くなりますので、努力次第で就くことも十分可能な仕事です。
技術者にあたる方は、専門的な技術や知識が必要になりますので、音楽関係の専門学校をでることが一般的です。
アルバイトとして現場に入り、腕を磨くというパターンもありますが、何もできない状態ではたとえアルバイトであっても雇われるということのハードルはあるでしょう。
コネがあればまた別の話になります。
イベント制作やプロモーターは、イベント会社やチケット取り扱い会社などに就職し、現場で経験を積みながら仕事を覚えていく形が多くなります。
求人も一定数ありますので、それなりにチャンスのある仕事だといえるでしょう。
音楽ビジネスに関わる仕事
音楽をビジネスとして関わっていく道もあります。
たとえば、
- 音楽雑誌編集者
- 記者、音楽ライター
- アーティストのマネージャー
- 音楽評論家
などがあります。
音楽をより多くのファンに届け、ビジネスとして成り立たせる必要があるため、現実的でシビアな世界でもあります。
雑誌編集者やライターになるためには、音楽出版物を扱っている出版社へ就職します。
ライターとして名が売れているような場合はフリーランスで活動することも可能です。
アーティストのマネージャーは音楽プロダクション、事務所へ就職を目指すことになります。
その他として音楽評論家などもありますが、生計を立てられるような人はごく稀で、業界で長く活躍していることが前提となります。
音楽に関わる仕事はどこに転職すればできる?
音楽に関わる仕事に就きたいと思ったら、次のような会社に転職することが一般的です。
- 音楽プロダクション
- レコード会社
- 音楽出版社、著作権管理会社
- メディア関係
- 広告代理店
- CD、音楽グッズ制作、販売会社
- デザイン会社
- コンサートイベント企画会社
特に、有名アーティストに関わりたいといった希望がある方は、大手プロダクションやレコード会社、出版社などに就職することも必要になります。
大手なので学歴や経歴が問われることはもちろん、倍率も高くなります。
また、演奏活動や作曲、編曲活動などで生計を立てるためにはまずはプロになり、人気がでることは必要不可欠です。
さまざまなオーディションがありますので、地道に受けていく忍耐も必要です。
一方で、今はインターネットが普及した時代になり、昔ほど音楽に関わることが遠い世界の話ではなくなりました。
ミュージシャンを例にとっても、ユーチューバーとして自作の音楽を配信していた人が音楽関係者の目にとまりデビューするといったケースもあります。
SNSのつながりを利用して音楽業界にアルバイトとして入ってみることもない話ではありません。
また、音楽といってもCDショップやグッズ制作、販売会社など、比較的身近にある企業や店舗で音楽に関わっていく道もあります。
どの程度深く関わりたいのかは希望や求人状況などによっても変わってくるでしょうから、幅広く探してみましょう。
音楽に関わる仕事の年収相場
続いては、ご紹介した仕事別に年収相場をチェックしてみましょう。
音楽は芸術ですから、相場を一概に検証することは難しい面がありますが、それでも仕事にする以上、気になる方が多いはずです。
ひとつの参考材料として知っておくことはよいでしょう。
演奏活動を通じて音楽を届ける仕事の年収
アーティストや演奏家の年収は幅が広すぎて相場と呼べるものはありません。
世界的な人気アーティストであれば年収何十億、何百億の世界ですし、日本の人気アーティストでも億を超す年収の方がいます。
しかし、そうした成功者はごく一握りのケースで、歌手、ミュージシャン、演奏家といっても年収100万円に満たない方もいます。
人気がでない場合はその仕事だけで食べていけませんので、他の仕事も並行しながら何とか年収200~300万円で生活するケースも珍しくありません。
音楽を生み出す仕事の年収
音楽プロデューサーや作曲家など、音楽を制作する人の年収もピンキリです。
誰もが知っている有名音楽プロデューサーの年収は、日本ですと10~50億ほど稼いだ方がいるようです。
これを聞くととても夢があるように思えますが、一般的な音楽プロデューサーの場合、年収200~500万円ほどと、世間一般のサラリーマンやOLとさほど変わらない年収だといわれています。
音楽プロデューサーになるだけでも大変ですが、なった後に稼ぐことはさらに大変です。
作曲家の場合、契約にもよりますが、1本分の契約金と印税が主な収入になります。
曲数や売上額、本人の知名度などによっても左右されますが、たとえば1本200万円と印税といったケースがあります。
楽器に関わる仕事の年収
たとえば楽器クラフトマンやリペアマンは経験や技術力にもよりますが、年収相場は300~400万円ほどと、一般的なサラリーマンとほぼ変わらない金額です。
ただし、これは楽器制作会社などに所属して安定収入を得ている人の話です。
独立している方だと依頼数によって変動しますし、受注可能件数も限られていますので、年収100~200万円程度になることもあります。
ピアノ調律師も年収200~300万円と、決して高い年収とはいえません。
音楽を教える仕事の年収
趣味で楽しむ方や子供向け音楽教室などの講師の場合、年収相場は200~300万円ほどとごく一般的です。
大手音楽教室に所属していてもそれほど高収入にはならないようです。
個人で教える方は自由にレッスン料を設定できるため幅がありますが、それでも会社員講師と同程度か、やや高い程度です。
ただし、有名アーティストを輩出している学校の講師や、講師自身が有名アーティストだった場合、琴や三味線など伝統的な楽器を教える師範の場合のように、レッスン料が高額で年収も高い方もいらっしゃいます。
小学校や中学校で音楽を教える場合も公務員になりますので、年収は400~500万円ほどと、比較的高収入となっています。
コンサート、ライブの運営に関わる仕事の年収
音響や照明などのエンジニアの場合、経験によって大きく変動します。
年収は300~400万円ほどが目安ですが、ベテランエンジニアだと1000万円稼ぐような方もいます。
受付や設営、警備など専門技術や知識が不要な職種に関しては、時給1000円~、日給8000円~が目安です。
アルバイトも多いので年収は200万円に満たないことも多くなります。
チケットやコンサートのプロモーターは基本的に会社員ですので、会社規模や売上にもよりますが、年収250~350万円と他業種の会社員と大差ありません。
華やかに見える仕事ですが地味な作業も多く、残業もあるなど大変な仕事です。
労力に見合う年収かと考えると、そうは言い難いかもしれません。
音楽ビジネスに関わる仕事の年収
編集者の年収相場は400~500万円とやや高めです。
これは有名音楽雑誌の編集者になるには大手出版社へ就職する必要があることからが関係しています。
音楽ライターも社員であれば、出版社の給与体系によるため、比較的安定しています。
フリーランスの場合あくまでも実力主義ですので、実力によって年収も変動します。
アーティストのマネージャーは所属プロダクションの規模に左右されますが、基本的に会社員ですので、年収は300~350万円と平均的です。
音楽ビジネスに関わる場合は、企業に就職することが多いため、毎月安定した給与が支払われるという点では仕事として成り立ちやすいといえるでしょう。
音楽に関わる仕事の探し方
どうしても音楽に関わる仕事に転職したい場合、具体的にはどのように探せばよいのでしょうか。
専門学校に入学する
すでに音大や専門学校を卒業されている方は別ですが、現在そうした経歴がない方はまずは専門学校に入ることが王道です。
アーティストを養成する学校だけでなく、音響、楽器製作者などの技術者や音楽スタッフを育てる専門学校も多数あります。
専門技術が求められる仕事に就きたい方は独学では難しい面もありますので、やはり学校に入学して腕を磨くことが近道でしょう。
学校がもつ独自のコネクションを利用して仕事につながること、同じ志をもつ仲間と出会えて切磋琢磨しながら成長できること、業界の情報を得やすい環境におかれることもメリットです。
ただし、学費がかかること、仕事と並行させることが難しい面があります。
学生の方であればよいのですが、社会人の場合は一時的に実家を頼ること、夜間のアルバイトなどを並行しておこなうことなども検討しなくてはなりません。
アルバイトから経験してみる
学校に入ることが遠回りに感じる方は、アルバイトからでもよいので業界に入り、現場で腕を磨く道もあります。
収入には期待できませんが、現場で直接仕事を経験できるのは大きな財産となります。
音楽業界では人とのつながりが仕事になることがありますので、とにかく業界に入り業界関係者と知り合いになることも大事です。
小さなライブハウスや楽器店であっても、音楽関係者の方が出入りしていることもあります。
また、音楽業界に入ることで、業界にはどのような仕事があるのか、仕事を得るために何が必要なのかといった情報を得やすくなります。
転職エージェントを利用する
一定の音楽経験やアルバイト経験がある方は、経歴を活かして転職することが可能です。
転職エージェントを利用すれば、あらかじめ希望を伝え、業界を絞って探してきてくれますので、現在仕事をされている方でも効率よく探すことができます。
職場の雰囲気や仕事内容などの詳細まで、情報網を駆使してリサーチしてくれますので、慎重な転職にもつながるでしょう。
特に、多数の求人を扱っている大手転職エージェントを利用してくまなく探してもらうことで、よりご自身の希望にフィットした求人に巡り合いやすくなります。
最後に
いかがでしたか?今回は音楽に関わる仕事をテーマに、仕事の種類や年収相場などを紹介しました。
音楽に関わる仕事は実に多くの職種があり、思ってもみなかった仕事があると知った方もいるのではないでしょうか。
音楽はファンや消費者に伝わる時点ではとても華やかなものに見えますが、多くの関係者が地道な作業で支えてこそ成り立っています。
どのような立場で音楽に関わっていくのかによって選ぶ仕事は大きく変わります。
今回ご紹介した仕事を参考に、今後の方向性を決めてみてはいかがでしょうか。